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めでぃのくの日記
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2025-05-20 (Tue)
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2013-03-07 (Thu)
遅ればせながら、続き

メインキャラクターのフルネームが決定したので、置き換えしてます。
変なトコあるかも。

A 宇佐美 貴俊 (うさみ たかとし)
B 東雲 葵 (しののめ あおい)
C 朱雀 樹 (すざく いつき)
D 田口 飛雄牙(たぐち ひゅうが)

なお、飛雄牙は、葵が正しい名前の綴りを知らない為ヒュウガ表記で語られてます
そしてE、Fの名前は未だに未定
現段階でページ数不足が確定なので、樹ヒュウガも並行して書くべきか悩み中

 12/20 

 ニコニコとした顔で入って来た貴俊は、少しはその格好に慣れたのか、前よりも堂々としていた。

「いらっしゃいませ、宇佐美様。本日はどういった御用件で……」

「実はその……クリスマスプレゼントが、欲しくて……」

「クリスマスプレゼント、ですか……」

「今回はその、少し奮発しようかと思って……これぐらいまでの予算で」

 そう言って手の平を見せて来たから、恐らく5万円まで、という事だろう。ふむ、と葵は考える。

 値段を上げるという事は、脈が有るという事か。しかし今月に入ってもう3回目の贈り物になる。髪留め、ブレスレットときて、さて、今度はどうしたものか。

「実はその、ちょっと、食事に行ける事になったんで、その時に渡そうかなって……だから、何かこう、持ち運んでいいような……いや、アクセサリーなんて大体そうだよなあ」

「そう、ですね……何が良いでしょうか。指輪は……」

「まだ早い、まだ早いっ」

 貴俊は恥ずかしそうに首を振って、それから「でもね東雲さん」と切り出す。

「実はこれを渡す時に、告白しようと思っているんですよ。俺の気持ちを……」

「なるほど……でしたら……そうですね、ネックレスなどいかがでしょう」

「ネックレスかあ……タイタニックみたいな奴、有るの?」

「それは少し縁起が……まあ、ロマンチックに渡す方法の一つではあるかと思いますが……」

 こちらなどいかがでしょう、とシルバーのネックレスを見せる。いくつかを見比べて、貴俊は「これが好きかなあ」と、二つの星型のモチーフがついたネックレスを選んだ。星型のシルバーの台座に、カットされたジルコンが入っているものだ。光を受けて、よく輝く。女性にも人気が有る品だ。

 しかし、自分で決めるようになった。

 初めて来店した時のオドオドした雰囲気を思い出しつつ、葵はネックレスを包装する。今度はクリスマスプレゼントだというから、それ専用のラッピングを施す。

「ねぇ、東雲さん。もし指輪を買う事になったら、俺、ここに来るよ、東雲さんにはいっぱいお世話になったし」

「とんでもございません。私は店員としてするべき事をしたまでで……」

「いや、東雲さんが俺にちゃんと向き合ってくれたから、俺もプレゼントを買えて……こんな風に自信が持てたし。本当に、東雲さんとのおかげなんだ」

「そんな……」

「俺はさ、前も言ったけど、頭も悪いし、容量も悪くてさ、話も下手だし、まぁずっと野菜の事しか考えてないような奴だったから、自信とか持てなくてさ、でも東雲さんが丁寧に接してくれて、俺でも大丈夫なのかなって思ってさ」

「……」

 葵はその時、色々な事を考えてしまって、しばらく貴俊の言葉が耳に入らなかった。

 例えば、この男はヒュウガのような事を言う、とか。自分は本当に、やるべき事をしただけなのに、彼は勘違いをしている、とか。そんな風に、営業や社交辞令を、まごころと受け取ってしまったから、彼は件の宗教家に騙されてしまっているのだ。いや、ただ一方的な勘違いなのかもしれない。いずれにしろ、こんな関係が上手くいくはずがない。人を信じても、無駄で、人と関わり合って幸せになれる事など、無いのだ。

「東雲さん、俺、大丈夫かな? 彼女、受け入れてくれるかな」

 そんな事はあり得ないだろう。もし受け入れたとしたら、それは心からそうしたいのではなく、関係を保ちたいだけだ。人と人との繋がりなど、そんなものでしかない、どっちみち。だってそうじゃないか、世の中は愛と恋で満ち溢れていると誰かは言うが、ふたを開けてみれば別れ話に熟年離婚、皆、お互いに嫌って離れて行くばかりじゃないか。好意なんてものは、それ自体が幻想なのだから、それに関わって話が上手くいくはずが無い。

「……宇佐美さんが真心を込めて接すれば、きっと」

 きっと、どうなのか。肯定しているのか、していないのか。何も判らない言葉を、満面の笑みで答える。こうすると大抵、相手は相手の聞きたい返事を、何処からか勝手に聞く。それは葵の言葉ではない。

「ありがとう、東雲さん。俺、東雲さんの事、好きだな」

 俺の事なんて、何も知らないだろうに。そう思うと妙におかしくて、葵は優しく微笑んだ。他人に対してこうも容易く、好きなどと言える事が、葵には判らなかった。




 +

 12/23

 日曜の昼間。葵はいつものように、1人で過ごしていた。

 リビングの椅子に腰かけて、じっくりと読書に……ふけっていたハズだった。いつもなら、1人で有れば空腹も忘れて読んでいるはずなのに、何故か入り込めない。

 集中出来ないな、とうっとうしく思っても、原因が判らない。集中出来ないなりに本を読み進めていると、チャイムが鳴った。どうせヒュウガか宅配業者だろうと、軽い気持ちで玄関のドアを開いて、葵はそれを後悔した。

「……やあ、久しぶり」

「……兄さん……」

 驚きのあまり、言葉が思いつかない。そこに立っていたのは、葵の実兄であるFだった。そしてFの姿を見た時、葵は改めて思った。

(やっぱり、兄さんと宇佐美さんは、似ている)




 葵の兄、Fは、葵と5つ年が離れている。だから彼は今年で31のはずだが、妙に老けて見えた。兄弟、と言われてもピンと来ないほど、2人は似ていない。Fは穏やかな、人の良さそうな恰幅の良い男で、葵よりよほど背は高く、のんびりとした雰囲気が漂っている。服装も無難過ぎて、年を少々多目に見積もられてしまう様子だ。

「こっちに戻って来たっていうのに、実家にも顔を出さないんだから。兄ちゃん心配になってさ、顔を見に行こうと思って。葵、昔から大人しいから、理由でも無いと、合いに来ないだろう? だから兄ちゃんが会いに行こうって……。元気そうで良かったよ」

 追い返すわけにもいかず、リビングに通して、お茶を出す。Fはしばらく部屋を眺めて、「彼女とかは居ないの?」と尋ねる。

「うん」

「そうかあ、東雲は俺と違って、モテそうなのになぁ。ほら、東雲は昔から成績も良くて、見た目も良いし、兄ちゃん、東雲を自慢に思ってたよ」

「うん」

「でも、大きくなったよなあ、本当に。お前が生まれた時の事、覚えてるよ。あんなに小さかったのに……いつも俺の後ろに隠れてるような大人しい子だったのに、立派になったよ。……兄ちゃんは、嬉しい」

「……うん」

 うん、以外に言葉が見つからない。葵はFが苦手だ。出来れば目も合わせたくない程に。だが、嫌いなのとは違う。苦手、なのだ。理由は、薄々気付いているが、葵はそれを思い出さないようにしている。

「俺は、世間にも家族にも認められるような人間じゃないからさ。……葵は兄ちゃんの誇りだよ。葵にしてみれば、不本意な事かもしれないけど」

「そんな事は……」

「……葵は、俺の事、嫌ってるだろ?」

「いや、俺は……」

「判ってるんだ、だからここに来るのは本当に怖くて悩んだよ。でも、どうしても葵に伝えたいと思ってね。……兄ちゃんな」

 今度、結婚するんだ。

 そう言われてからの記憶は曖昧で、もう、葵も覚えていない。



 
 幼い頃から、父は仕事に追われて単身赴任。だから自宅にはいつも、母と、兄と、葵しか居なかった。

 兄は努力家で、とても葵を可愛がっていた。葵は幼い頃、少々気弱で、何処に行くにも兄の後ろを、隠れるように着いて行っていた。とても仲の良い兄弟だった。

 何もかもが変わり始めたのは、兄が中学生になってからだった。兄の背が急激に伸びて、彼の成績が急速に落ちた頃だ。母はいつも、兄に小言を言った。兄は努力家だった。葵はそれを知っている。努力して努力して、愛する母に厳しく当たられる兄の、しょんぼりした背中ばかりを見るようになった。

 努力しただけではいけないんだ、と葵はその時理解した。結果こそがこの世界の全て、だから結果の無い努力に、何の価値も無いのだ。そう思う。兄はよく、友人達に裏切られた。利用された。その度、悲しそうに微笑んで、仕方ないんだと呟いていた。そして、葵は人を信じる事に意味は無いのだと思った。

 だから、葵は努力をした。結果を出す為の努力を。嫌われる事は効率を落とすと知っていたから、好かれる努力をして、自分は相手を好く事は決していない。どんなに親密に見える関係を作っても、決して信じず、心を開かなかった。葵は成績優秀、人から好かれる子供になった。母は葵を自慢に思ったらしく、葵を愛して、相変わらず兄の事は叱責し続けた。

 その頃からだ。葵が、兄の事を苦手に思い始めたのは。



 12/28

 悪い事は重なるものだ、と誰かが言っていたのを思い出す。おかげで、葵はすっかり上の空になってしまった。

 別に気にする事は無い、自分は一人で生きているのだから、他人がどうなろうと知ったこっちゃない。ヒュウガが俺以外の誰と親しくしようと、兄がどんな女とどういったいきさつで結婚しようと、関係無い。ましてや、客が誰とどうなろうと。

 そう思うのに、心は全く晴れない。仕事にまで影響が出ていたらしい、見かねた上司が、今日はもう休んでいい、と言い出す始末だ。最初は断ったのだが、自分で鏡を見て思い直した。とても笑顔で接客出来る状態ではない。何故か笑っても、心ここに有らずといった風なのだ。こんな事では、仕事に差し支えが出る。店に貢献出来ないのは嫌だ。幸い今日は平日だ。年末とはいえ、客も少ない。葵は上司の言葉に甘えて、帰る事にした。

 12月28日、もう年の瀬だ。商店街は年明けを見越して、イルミネーションや初売りの準備を始めている。だが、この寂れた商店街では、大した集客力は無いだろう。それでも、年始には浮かれた客がやってくるから、この通りも多少は賑わうだろう。尤も、葵のアクセサリー店は年末年始の一週間、営業しない事を決めているから、葵には関係無いのだが。

 帰ろう、と思ったが、こうなっている理由が判らない以上、家に帰ったところで、治る気もしない。さて、どうしたものか、気晴らしに何かしたほうがいいのか、よくスポーツをして汗と一緒に悩みごとを吹き飛ばす連中も居るらしいが……。そう考えつつ歩いていると。

「東雲さん……?」

 声をかけられて、はたと足を止める。下を向いて歩いていたらしく、全く気付かなかったが、目の前に貴俊が立っていた。

 初めて店にやって来た時のような、色気の無い服装をして、何故かサングラスをかけた貴俊が。

「東雲さん、だよね……?」

「え、ええ……宇佐美様、先日は……」

「東雲さん、東雲さん、俺、もうどうしていいか判らなくて、誰にも相談出来なくて、東雲さんに話に行こうかって、……でも東雲さん、その格好は……今日は休み、なんだよね……? お、俺の話なんて、聞いてくれないよね?」

 何故だか泣き出しそうな声で言われて、葵は困った。貴俊は大切な客の一人だ。とはいえ、オフの時まで接客する義理はない。しかし、相手の様子がおかしい。ここで断っても、いい事は無い気がする。

 何より、縋るような貴俊の様子が、放っておけなかった。何故だか。

「いえ、大丈夫ですよ。どうしました、私でよければお聞きします」

 そう答えると、彼は一瞬息を呑んで、それから、

「ふられたんです……」

 と、悲しげな声を出した。

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