[PR] 賃貸住宅 オクラサラダボウル 【創作BL】橘先生とキツネの魔法使い(仮) その8 忍者ブログ
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めでぃのくの日記
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2014-04-21 (Mon)
その8
現状12で終わりですが、事情により16ぐらいまで伸びそうです
まだ考え中なので、また書けたら







 雨足は相変わらず強い。ウシの祠を目指して走ってみたが、山道は険しくて、とても

走り続ける事は出来ない。それでもなんとか足を進めてはみるが、ずぶ濡れの服も靴も

重いし、そう長くは続かない。ぜぇぜぇと荒い呼吸をしながら休んでいると。

「やぁ、センセ。こんな雨の中で、何をしてるんだい?」

 由良君の声がした。「あ、ああ、由良君」と振り返って、俺は腰が抜けそうになった

。真っ白な衣に身を包んだ、長い角の有る、見るからに「シカ」な仮面を被った男が立

っていたのだ。

「ゆ……由良君……?」

「やだなァ、センセ。僕はシカだよ、白のシカ」

 どう考えても由良君だ。キツネ君と違って、自分の正体を隠す気が無いらしい。そう

いえばシカは上位の魔法使いだと言っていたし、村長選びにも頓着しないと言っていた

から、自分の正体云々にもあまりこだわっていないのかもしれない。

「えっと……じゃ、じゃあ、シカ君はどうしてこんな雨の中に?」

「さっき龍神様に誓いをしたのが居てねえ。……あー、僕は龍神様の代理みたいな事を

しなきゃいけないんだ、面倒なんだけどさぁ。でも、村長選びの最終日に、あのキツネ

が誓いを立てるなんて、意味深じゃない? しかもその内容が、センセを守るとかって

さ。つまり……センセが御子、なんだよねぇ?」

「……あ、……あれ? ……そういえば……シカが、由良君? だとすると変だ、俺の

知ってるシカは、違う人だよ……?」

「へえ? じゃあ僕がウソをついてるのかもねぇ。でももしかしたら、センセはそのシ

カに騙されたのかもしれないよ。ほら、面は人間の本質を表すんだ。人を騙すのが得意

なのはキツネと、ほら、あの腹黒タヌキのどっちか、かもねぇ?」

 それで俺はようやく理解した。タヌキだ。

 永尾さんの正体はタヌキのほうだ。あの時咄嗟に、自分がシカだと偽って、俺を安心

させた。そして信じたところを、村長と待ち伏せして犯そうと……。

 あの野郎、何が先生の事は好きだから協力したい、だ。次に腹痛で転がりこんで来て

も追い出してやる。流石に忌々しく思えた。

「な、なら君が本物のシカって事でいいんだよね?」

「ま、少なくとも僕はそう思ってるけど」

「なら、頼みが有るんだ。キツネ君を助けてくれないか」

「んー? どうして?」

「どうしてって……ずっと俺の味方をしてくれてたんだ、彼が身代りに犯されるなんて

やっぱり嫌だし……」

「んー、なるほど、妙な事になってるのは判ったけどさ。そうじゃなくて、どうしてこ

の僕が、キツネを助けないといけないの?」

「あっ、そ、それは……」

 そうだ、由良君には俺のお願いを聞く理由が無い。何しろ、中立なんだから。

「なんていうのかなー? その様子だと、キツネはセンセの代わりに村長にでも食べら

れそうになってるのかなー? なら見物に行くのは楽しそうだなあ、場所教えてよ、セ

ンセ」

「た、楽しそうだなんて、人の貞操がかかってるんだよ!?」

「だってさ、村長の側にはいつだってタヌキが居るんだよ? 万が一バレたらさ、キツ

ネの奴、タヌキに犯されるよ。そしたら魔力が尽きて、それで終わりさ」

「終わりって……」

「死んじゃうんだよ。キツネだってそれぐらい判ってただろうにさ、大きく出たよねえ

、勇気も力も無い癖にさぁ。その賭けが成功するか失敗するか、すっごく面白そうじゃ

ない? ねえ、先生」

 その言葉に俺は思い出した。キツネ君は魔力が弱い。強い魔法使いに抱かれてしまう

と、魔力が尽きてしまう。それが判っていて、俺の代わりにあそこに残ったという事は

。命を賭けたという事だ。

 バカじゃないのか。

 一番最初に思ったのはそれだ。こんなオッサンの尻と、命を天秤にかけるなんてバカ

だ。そりゃ俺だって、逃げおおせればそれが一番いいが、だからといって、あれだけよ

くしてくれていたキツネ君が死んでもいいなんて思わない。

 キツネ君を助けたいなんて、簡単じゃないか、俺の身体なんて差し出してしまえば良

かったんだ。でも龍神様に誓いを立ててしまった以上、どうも俺が抱かれたってキツネ

君は死んでしまうらしい。ならどうしたらいいのか。二人して逃げる以外に、手が無い

じゃないか。そうする為には、どんな事でもしなくては。

「……シカ君、これはゲームじゃないんだよ、判ってるだろう? 人の生き死にがかか

ってるんだ、面白がるような事じゃない」

「……」

「シカ君、判った。君の望む相応の事を、後で必ずするよ。それこそ龍神様に約束して

もいい。だから、ウシに、キツネ君が神社でピンチだって伝えて欲しいんだ。それだけ

でいい」

「それだけ?」

「あぁ、キツネ君は俺が助け出す。ウシに伝えてくれたら、どんな事でも言う事を聞く

よ」

「ふぅん、センセ、約束だからね? いいよ、それぐらいはしてあげる」

 由良君は相変わらず楽しそうに言う。

「それとね、いい事教えてあげる。もう少し神社に近い所なんだけどね、開かずの蔵っ

ていうのが有るんだ。キツネは知ってると思うから、聞いてみるといいよ。あれってと

ある魔法使いの領域だから、いつもは魔力で閉まってるんだけどさァ。そこの扉がね、

今日だけ何故か開いてるんだ。そして先生とキツネ以外に扉を開かない。不思議な事も

あったもんだね、センセ?」

「……シカ君」

「じゃあ僕はウシの所に行くよ、センセも精々気を付けてねェ」

 シカはそう言うと、ひゅっと人間とは思えない高さで飛んで、林の中に消えてしまっ

た。なるほどシカのようなしなやかな動きだった。それを見送って、俺は神社への道を

引き返して走った。

 


 子供の頃から平凡そのもので、いつだって俺は上から三番目ぐらいだった。叱られる

事も無いが、誉められるわけでもない。飛び抜けて良いわけでも悪いわけでもなく、と

ても平均的で、何も誇れる事が無かった。

 そんな俺だから、自分の事だってそんなに好きじゃない。今までそれなりの時間を、

色々やって生きて来たが、それが役に立ったともあまり思えない。医者として成功した

かといえばそんな事も無い。この小さな村で、皆に優しくされながら診療をするのは幸

せな事だが、それがこの村にとって同じぐらい良い事なのか、自信が無い。医者なんて

星の数ほど居る。俺でなくたって、橘薫っていう人間でなくたっていいんじゃないかと

いつも思う。

 だからこそ、俺が御子だから、だったとしても。

 こんな俺を、命をかけてまで守ろうとしてくれた、キツネ君を、守りたいと思った。

 キツネ君にそんな風に思ってもらえる俺は、たぶん、キツネ君にとっては、俺じゃな

いといけない存在なんだろうから。

 なら、そうまでしてくれるキツネ君を、俺は、なんとしても助けたかった。



「どういう事だろうね。背中に印が無いじゃないか。君は龍の模様が有ると言っていた

ね? でも彼には無い」

『……これは、別物……つまり、キツネが変化しているモノ、かもしれませんね』

 佐久間村長と、タヌキがそう話している。

「それは……まんまと騙されてしまいましたね。騙すのは君のお家芸だと思っていまし

たが」

『相変わらず憎たらしいキツネです。佐久間様、よろしければこやつを私めに下さいま

せ。犯して二度と我々の邪魔が出来ぬようにしてやります』

 村長が返事をするかしないか。そのタイミングで、俺は小屋の中に飛びこんだ。

「そうは、させるか!」

 突然俺が現れたもんだから、驚いているタヌキもとい永尾さんに、俺は指輪を力いっ

ぱい投げつける。

『なっ、先せ……、ぎ、ぎょぇええええぇえええ!!!』

「た、タヌキ、タヌキッ!?」

 小屋の中で吹っ飛んで転げ回るタヌキに驚いている佐久間さんを、後ろから締め上げ

る。高校の時に柔道を習っていた。大会にだって出た事は有る、すぐ負けるでも勝ち続

けるでもない、パッとしない成績だったが、落とし方ぐらいは知ってる。タヌキはすぐ

復活するだろうから、このまま死ぬって事も無いだろう。イケメン村長よ、眠れ。グッ

と力を入れると、佐久間さんが落ちた。

 佐久間さんをそっと転がして、まだのたうちまわっているタヌキを尻目に、キツネ君

に近寄る。彼は変化を解いたらしく、またお面と赤い布の姿になっていた。

『た、たちばな、さま、どうして……』

 ちょっと様子がおかしい。が、「いいから逃げるよ」と抱き上げようとする。が、人

間は流石に重い。抱えて逃げる事なんて出来るだろうか、と考えていると、キツネ君が

何か印を切った。するとキツネ君は、本物の狐に変化したじゃないか。なるほどこれな

ら運びやすい。心なしか軽くなった気もする。両腕で抱えて、一目散に小屋から飛び出

た。

『ま、待て、この……ッ、キツネェ!』

 タヌキが何か後ろで喚いている。キツネ君を抱えたまま走りつつ、後ろをチラッと見

ると、青い衣の大男と、白い衣のシカ君が何故だか、タヌキの前に立っていた。シカ君

は本当に、ウシを呼んでくれたらしい、確かウシは青い色の字で書いてあった。たぶん

ウシはタヌキからキツネを守ってくれる。俺はその間に、シカ君の言っていた蔵に逃げ

なければ。

 キツネ君に聞いてみると、林の中にその蔵は有った。漆喰が塗られた年代物の蔵に飛

びこむ。中は真っ暗かと思いきや、上の方に窓が開いていて、少しだけだが明りが差し

こんでいて、薄暗い程度だった。開かずの蔵、だったはずなのに、蔵の中はほこりっぽ

くもない。本棚にはたくさんの古そうな本が並んでいるし、戸棚には年代物の何か工芸

品のようなものがたくさん並んでいる。歴史資料館、という言葉を思い出した。そうい

えば、この村には変なルールはある癖に、そういった類の物が無い。もしかしたら、本

来はここがそうなのかもしれない。

 靴を脱いで、木で出来た床にキツネ君を横たえると、彼はいつも通りの姿にまた戻っ

て、くったりとしてしまった。何かされたんだろうか、ハァハァと荒い呼吸を繰り返し

ている。雨の中を走ったものだから、お互いずぶ濡れだし、薄暗いし、蔵の中は狭いか

ら、それなりに近いし、キツネ君の呼吸は荒いし、何とも妙な感じだった。

 とにかく、キツネ君の無事が確認したい。「何かされた?」と尋ねながら身体に触れ

ると、キツネ君は『お許しを』と何故だか身を捩って、逃げようとする。

「キツネ君」

『……あ、あの、……さ、佐久間、様に、折角なら、気持ち良く、させたいと、何か、

クスリを……そうしたら、その、身体、が……』

 ああ。ああ……。俺は「かわいそうに」と思わず呟いて、キツネ君に触れた。キツネ

君は『お許し下さい』と身を捩るばかりだが、こうなってはどうしようもない。

 媚薬、という都合のいい薬はこの世にあまり存在はしていないが、まあそれに近い物

は合法で出回っていなくもない。こんな田舎に住んでいたら、存在だって知らないだろ

うし、もちろん対処法だって判るまい。このままガマンしていてもどんどん辛くなるだ

けだという事も。じゃあ知ってる俺はなんなんだって話だが、それはまあおいておこう

。とにかく、このままではキツネ君は辛いばかりだ。

「ごめんね、キツネ君、このままにしてても辛いだろうから、ちょっと我慢してね」

『あっ、や、あ、た、橘様、お許しを、……っ、は』

 見られるのも嫌だろうから、隠すようこっちに背を向けている後ろから身体に触れる

。衣の中にそっと手を差し込んで触れると、キツネ君はいやいやと首を振ったが、もう

抵抗する力も無いらしい。雨でびしょ濡れの身体は可愛そうなぐらい熱を持っていた。

「まだ何もされてなかったの?」と尋ねると、『まだ、本番は……でも、その、指……

を……』と弱々しい返事。それでこんな事になってるんだったら、クスリとやらの効果

は絶大だ。もしくはイケメン村長のテクがヤバイ。どっちも、かもしれない。かわいそ

うに。

「ごめんね、すぐ終わるから、出しちゃえば楽になると思うから」

『な、何、あっ、た、橘、様、……ッ、ぅ、ぁ、んんっ……』

 既にすっかり固くなってしまっているキツネ君のそれに触れて、優しく扱いてみる。

キツネ君はしばらく何かを言おうとしていたけれど、口を開くと甲高い声が出てしまう

らしく、すぐに堪えるように黙り込んでしまった。それでも、お面ごしにふぅふぅと荒

い呼吸をしているのが聞こえるから、きっと気持ち良くてたまらないんだろうとは思う

。お面なんか付けていたら苦しいだろうに、と思ったが、無理に取ろうとも思わなった



 くちゅ、と雨のせいではないだろう濡れた音がする。キツネ君は恥ずかしそうに何度

もいやいやと首を振っていたが、そのまま極力優しく扱き続ける。変にテクニックを使

うと怖がりそうだったから、単調に、ただ優しくそうしてやっていると、キツネ君はあ

っという間に俺の手の中に精を吐き出した。

『………………っ』

「よしよし、これで少しは楽になったかな、キツネ君……」

 頭を撫でてやると、キツネ君はしばらくして、本当に小さな声で、『し、しにたい…

…』と呟いた。判らないでもない。前後不覚になって他人にイかされるなんてとてつも

なく恥ずかしい経験だ。だからこの「しにたい」は穴が有ったら入って埋まりたいぐら

いの意味に捉えよう。

「仕方ないよ、キツネ君、変な薬を使われていたんだから、少しも恥ずかしい事じゃな

いよ」

『う……っ、ぅ……』

 キツネ君は返事もせずにめそめそしている。泣いているのかもしれない。こういう時

はどうしたらいいんだろう、とりあえずキツネ君に今の気持ちを伝えるべきか……と悩

んでいると。

『こ、ここは、シカ様の、領域、ですし、安全、でしょうから、橘様は、どうぞ、ここ

にお隠れになって、一晩お過ごし下さい……』

 と、キツネ君はよろよろと立ち上がる。

「えっ、キツネ君はどうするの」

『私は、帰ります……』

「どうして。キツネ君だってタヌキに狙われてるんだろう、ここが安全なら一緒に……



『か、帰りますっ、た、橘様、一ヵ月、ありがとうございましたっ』

 キツネ君はそう言い捨てて、本当に出て行ってしまって。

 俺は茫然と閉まった扉を見る事しか出来なかった。

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