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めでぃのくの日記
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2013-02-15 (Fri)
久しぶり過ぎて、ログインの仕方を忘れるレベル

とりあえずここにもそっと貼り付けてみるけど

まだ書いてる途中なのでどうなるやら

キャラの名前は暫定でABCDEFで表記

現代ものです

A×B、C×Dのつもりで書き始めたんですが

この展開、どう考えてもオチがD×Bの流れ

それでも! ぼくは! とりあえず A×BとC×Dで書きあげてみるよ!!

 嘘を吐くのは、良くない事だ。倫理的な問題から、ではなく、単に面倒だから。

 大体、嘘は往々にして、一つ吐けば終わりというわけでもない。一つの嘘を正当化する為に、次々と嘘を重ねる必要が出たりもする。いちいち考えるのも面倒だし、何より一つのミスで全てがバレたりもして、全く非効率この上無い。それにこれは本当に意外な事だが、嘘を吐くと良心が痛む。他人のせいでこちらが不快になる事を、わざわざ自分で作り出すなんて馬鹿げた事だ。だから、嘘を吐くのは、良くない。

 それでも正直なだけでは生きて行きにくいのが、人の世という奴だから、俺もまた、嘘は吐かず、かといって正直でもない生き方をする。それを人はペテンと言ったりもするようだが、それが一番楽だし、大体の人間はそうやって生きてるんだろうと思っている。

 嘘も吐かず、本気にもならず、人を嫌わず、人を愛さない。そうすれば、心も惑わされず、ゆったりとした人生を送り続けられるのだ。それを人は、不幸な生き方だ、と言ったりもするが、だがこれが一番楽なのだから仕方無い。

 少なくとも、俺はそう信じている。だから、一人でいる事にも、あまり何も感じないのだ。





 Bは今年で26になる。見た目は良い方だろう。身長は170cmと少し低めの部類かもしれない。真っ黒なストレートの髪も、涼しげな顔立ちも、人に好かれ、根拠の無い信頼を受けるのには向いていた。痩せているし、足もそれなりに長いからスーツも映えたし、作法を身につけたら誰が見ても優雅な容姿になった。

 一方で、Bは決して人に心を許さない。誰に対しても彼は基本的に「オン」の状態だった。友人と呼べる人物も、特に思いつかない(幾人かの知り合いは居るが)。そしてBは、1人である事に慣れきっていた。

 Bは小さなアクセサリー店に勤めている。立ち上がって見回せば、店の全てが見えるような、小さな店だ。女物も男物も、高級な指輪も、安い髪留めも置いてある。少々田舎の、さびれかけの商店街の中に、その店は有る。奥のカウンターの中でアクセサリー類の手入れをしていると、店の外を足早に通り過ぎる人々が見える。客は一日に数十人入るが、売れる事はそうはない。店員は、Bを含めて3人しかおらず、基本的には一人が店に出て、残りは裏で作業をしている。だからこの時、店に居たのは客を含めてもBだけだった。

 小さな小さな店の奥で、Bは何を考えるでもなく、指輪を磨いていた。アクセサリーの手入れをするのは、嫌いではない。無心になって作業するのは好きだ。何も考えなくていいから。尤も、客商売をしている以上、ずっとそのままでいるわけにもいかない。

 ふいに黒い人影が、店に入って来るのを感じた。Bはゆっくりと顔を上げて、そちらを見る。

 今日は12月5日。冬だ。だから人影は大体、男なら特に、黒い色をしていた。彼もそうだった。なんとも言えない、黒っぽいくすんだ色のウィンドブレイカーに、全く色の合っていないニット帽、くたびれきったジーンズ、汚れたスニーカー。図体は大きいのに、店の隅で縮こまって、おどおどしている。年は30代だろうか? 少し伸びた髪や髭が老けさせているな、とBは思う。

 だが、顔をよく見ると素地は悪くない。パッと見、身体が大きくて飾り気も無く、どちらかといえば近寄りにくい印象をうけるだろうが、眼が優しい。そんな男が、アクセサリーを見ていた。緊張しているのか、冬だというのに汗だくで、しきりにハンカチだかタオルだか判らない布で、額の汗を拭いている。

 こういう店に来るのは初めてなのだろうな、と思いつつ、Bは作業を続けた。今は放っておいたほうがいい。ああいう緊張した客は、まだ頭が回らないはずだ。こちらを横眼で時々チラチラ見ているのは、動きが無いか確認しているのだろう。こういう時に動くと、最悪の場合、逃げて行く。少し落ち着くまで、待っていたほうがいい。

 作業をしながらも、時折、男の様子を見る。彼は最初こそ目を泳がせていたが、やがて商品を眺めるようになった。女性物ばかりを見ているから、恐らくプレゼント用の物を探しているのだろう。色々な種類のアクセサリーを見ているから、何を買うかは決めていないようだ。

 見た目からして、女性との付き合いが多い方には見えない。何かプレゼントしようと思い、買いに来てみたものの、相場も何を贈れば良いのかも判らない、といったところだろうか。客の表情が困惑に変わったあたりで、Bはようやっと立ち上がった。とびっきりの微笑みを浮かべて、そっと声をかける。

「お客様、何かお困りでしょうか?」

 Bの物腰は柔らかい。笑顔も優しいと評判だ。大抵の客は、すぐに心を許す。彼もまた、そうだった。一瞬びくりとしたものの、Bの表情を見て、のろのろと答える。

「えっと……その……俺、ちょっと、こういうお店は初めてでして、その……」

 そんな事は見れば判る、と思いつつ、Bは「はい、大丈夫ですよ」と優しく頷いた。

「実はその……あの……お、女の人に、ですね、その、プレゼントを、しようと、思って……」

「贈り物ですか? そうですね……お客様には、何かご希望はございますか?」

「きっ、希望っ……て……」

「デザインや、アクセサリーの種類、それにお相手との関係も考慮する必要が有るでしょうし……ご予算も……」

 その辺りを気にしていそうだな、と思ったので尋ねてみると、案の定彼はおずおずと切り出した。

「それが、店員さん」

「Bと申します」

「うん、Bさん、その、俺ね、あんまりお金も無いし、そ、それに、女の人に贈り物とか、ホント、どうしていいか判んなくて……、……あっ! 相手はその……ちょっと、ちょっと知り合いっていうか、その程度で……でもちょっと、なんていうか、その……プレゼントがしたいなって、思って……」

 説明の間にも、青くなったり、モジモジしたりのろけたりと忙しい。ただ、Bはそんな彼を微笑ましいと思った。きっと今まであまり悲しい思いをしていないのだろう。特に、女性経験では。

「初めての贈り物、という事ですね……、でしたら、お相手の方も、あまり高価な物では恐縮してしまうかもしれませんし……、カジュアルなアクセサリー類がいいかも知れませんね。髪の長い方であれば髪留め等も良いかも知れませんが……」

「ああ、彼女、いつも髪留めをしてるよ。その、髪の綺麗な人でね、うん」

「でしたら、……このあたりの商品はいかがでしょう? 女性らしいモチーフの物はいくつかございますし、……シンプルな物でしたら洋服にも合わせやすいですよ」

「うーん……どれも同じみたいで……どれにしたら良いのかな……」

 彼は真剣に、髪留めを見ている。値札にも目をやったようだが、特に反応が無かったので、予算的にも合うのだろうと踏んだ。後は好みを合わせるだけだ。

「そうですね……お相手の方のイメージに合わせてはいかがでしょう? 例えば、お好きな色、ご趣味、気に入っているモチーフなどが有れば、それに近い物を選ぶという方法も有りますし……」

 そう言うと、彼は困った顔をして、キョロキョロと店内を見回した。そして他に誰も居ないのを確認すると、「実はね」と小声で切り出す。

「彼女の事、良く知らないんだ。……長い話になるけど、えっと……」

「Bです」

「Bさん、時間大丈夫です?」

「ええ、それはもちろん」

 ニッコリと渾身の笑顔を浮かべると、彼も「じゃあ」と笑ってから、また真剣な表情に戻って言う。

 彼は話している間中、青くなったりのろけたり、丁寧語になったりタメ口になったりと、忙しかった。要約すると、彼は農家らしい。

 詳しくは判らないが、今は一人で農業をしている。一応大学は出たが、農学部でそれなりに真面目に勉強しているうちに、女性との付き合いなどロクにないままこの年になってしまった(何歳なのかは言わなかったし、聞かなかった)

 田舎の山奥で1人、農業をしていると、当然出会い等もない。ところがこのところ、頻繁に家に女性が会いに来てくれる。彼女はいつも、彼の知らない神様の話をしに来るが、もちろんただの宗教勧誘ではない。自分のつまらない話を楽しそうに聞いてくれるし、その時はすごく盛り上がる。もしかしたら彼女は、自分に好意を持ってくれているのかもしれない。自分も彼女の事がそれなりに好きだ。だから少し、プレゼントをしたいと思った、と。

 Bはそれが100%、ただの宗教勧誘だと判っていたし、彼の憶測が完全に勘違いで有る事も判っていた。それでもBは笑顔で「そうですか」と興味深げに頷くだけだ。やっている事は件の女とあまり変わらないと自覚しているので、忠告する気も無い。しいて言えば、ダメージが少ないように誘導してやる事ぐらいだ。

「そうですね……その方のご趣味が判らないのであれば、シンプルなもので、判りやすいモチーフがいいかもしれませんね。例えばクローバーや馬の蹄など、相手の幸運を祈る気持ちは伝わりやすいですし、まず外れないかと……」

「クローバーかあ。クローバーいいね、俺さ、よく畑に種を蒔くんですよ。土を肥やすのに良くてね。おかげで今年は良いキャベツが出来たんです。……そうかぁ、クローバーか……」
 
 彼はしばらくいくつかの髪留めを見比べた後、小さな緑の石がはめ込まれたクローバーモチーフの髪留めを選んだ。値段も大した額では無かったので、Bとしても後味の悪い思いをする事も無い。

 プレゼント用だと言うから、包装をしていると、その間も彼は嬉しそうに自分の話をしてきた。ずっと一人暮らしをしていたから、話し相手は彼女と畑の生き物ぐらいで、会話できるという事が嬉しかったのだと。

 人は誰しも孤独を抱えていて、本当は話がしたくてたまらない。厳密にいえば、自分の話が。だからそれを聞いてやるだけで、大抵の人間は勝手に心を開く。Bはそれを便利に思っていたし、少々羨ましいと思っていた。そんなに簡単に心が開けるなんて、お幸せだと。人は人、自分は自分。Bは心を開かない。だから彼は、精一杯その性質を利用するだけだ。彼の話ににこやかに相槌を打ちながら、髪留めに包装を施す。彼の話自体には微塵の興味も無いが、記憶する。万が一にもまた来た時、相手を覚えている事が伝われば、相手はますます自分に信頼を寄せるからだ。

「色々ありがとう、店員さん、えっと……」

「Bです」

「Bさん、ありがとう、長い時間お世話になっちゃって……」

「いいえ、とんでもございません。お客様の力になれたなら、幸いです」

 包装した髪留めを紙袋に入れて、彼に手渡す。ニッコリと笑顔を作ると、彼もはにかむように笑顔を浮かべる。その表情が何処となく愛らしくて、微笑ましいと思うと同時に、少々良心に似たものが痛んだ。

 彼はきっと、これから悲しい思いをするのだ。

 判っていても、止める義理も権利も無い。店から出て、見えなくなるまで見送る。彼の大きな身体が、商店街の人ごみに完全に消えて、それからBは小さくため息を吐いた。

 そういう商売をしたのは初めてではない。なのに心が痛むのは、Bが優しいから、ではない。

 きっと、彼が少しだけ、兄に似ていたからだ。

 Bはもう一度ため息を吐くと、それで気持ちを切り替えて、店内に戻った。夕方になると、冷やかしの客も増える。彼は一見客だし、状況から考えて、もうこの店には来ないだろう。忘れよう、と思う。仕事のことだけを考えよう、と。

 12月5日。商店街が、クリスマス一色に変わり始めた頃の事だった。

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