3になってから皆、何かしら病んでますよね 皆
これがいつものくそまじめな顔でバカやるテンションになるのか正直不安ですが
この全員病みっぷりはなんかクセになりそう
つうか石田と大谷の立ち位置とそれに対する皆の位置取りが気になり過ぎる
俄然楽しみになってきた 鈍感なんで人よりかなり遅れて反応したりします
オクラもあれでいて若干表情が出てきたというかなんというか
皆してやつれてて早く慶次君とかもう飛びぬけて元気な人が出てほしい
いえやっすはなんか、黒そうだから 判らんけど
実は全部誤解でしたとかしそうだけど、真っ黒ないえやっすでもいいとは思う
全部誤解でしたけど石田が自ら課した呪いは解けなくていつまでも殺しあう
落涙的状況で石田が死んだりして大谷が笑ってたりしたらもうヤバイ
大谷さんもこれで楽になれたなとかって言うそういう、もうね
あああ石田が気になる
以下、オリやおいの続き3です
これがいつものくそまじめな顔でバカやるテンションになるのか正直不安ですが
この全員病みっぷりはなんかクセになりそう
つうか石田と大谷の立ち位置とそれに対する皆の位置取りが気になり過ぎる
俄然楽しみになってきた 鈍感なんで人よりかなり遅れて反応したりします
オクラもあれでいて若干表情が出てきたというかなんというか
皆してやつれてて早く慶次君とかもう飛びぬけて元気な人が出てほしい
いえやっすはなんか、黒そうだから 判らんけど
実は全部誤解でしたとかしそうだけど、真っ黒ないえやっすでもいいとは思う
全部誤解でしたけど石田が自ら課した呪いは解けなくていつまでも殺しあう
落涙的状況で石田が死んだりして大谷が笑ってたりしたらもうヤバイ
大谷さんもこれで楽になれたなとかって言うそういう、もうね
あああ石田が気になる
以下、オリやおいの続き3です
二、勇慈という人
「ちわーッス! ……て、アレ? どうしたの先生」
「……腰、痛くて……」
笑顔で国語準備室に侵入して来た宇都宮聖は、ぐったりと机に突っ伏している勇慈に驚いたようだった。
家庭訪問に行った翌日。朝起きて、勇慈は全身の痛みに悲鳴を上げた。特に腰の痛みが尋常ではない。這いずるようにして部屋を出ると、両親が(ただし、三方一所家の義理の両親にあたる)これまた悲鳴を上げる。救急車を、とまで心配する彼らに、とりあえず湿布を貼ってくれとお願いし、そしてなんとか学校へやって来た。
今日は幸いにも現代文の授業が少ない。勇慈は出来る限り準備室で伸びていた。現在ここは勇慈しか使っていないので、好きに使える。そこへ聖がやって来たのだ。
聖は勇慈が担任の二年B組の隣、A組の生徒だ。二年の現代文は全て勇慈の担当になっているので、彼も教え子の一人になる。そこそこの容姿と、明るい性格がクラスメイトにも人気で、いつも誰かと一緒に居るような、和沙とは正反対の青年だ。勇慈と聖はお互い明るいほうなので、話が良く合った。尤も、聖がここを頻繁に訪れるには、国語準備室は常時エアコンがかかっているという事も有る。夏場は用も無いのにやって来て、酷い時には昼寝までした。
「腰ぃ? なに、ぎっくり腰?」
「昨日ちょっと、やっちゃってね……」
何を、とは言えない。聖は別に詮索するでもなく、「腰っていきなりグキっていうらしいもんなあ。お大事に!」程度の反応しかしない。今はその短慮さがありがたかった。下手に気遣われたら申し訳無い。
「いやーしかし、ここって本当に涼しいなー」
「涼んでいくのはいいけど、出来たら静かにしておいてくれよ。今ちょっと考え事をしてるんだ」
勇慈はそう言ったが、聖は「判った!」とハキハキ返事をして、「で、何考えてんの?」と聞いてくる。そうだこいつが静かにする訳が無い、と勇慈は思い直して、一つため息を吐く。
「ため息なんて吐いちゃって」
「……いや、うちのクラスの生徒なんだけどね。一人、皆に馴染んでないのが居て……」
「和沙の事?」
いきなりその名を出されて、勇慈はぎょっとしたが、良く考えればA組とB組は体育で同じ授業になる。知っていてもおかしくはない。
「アイツね、幼稚園の時から知ってる」
「え? そうなの? 友達なのか?」
ずっと一人だと思っていた和沙に、知り合いが居た事に勇慈は驚いた。だが聖のほうは「うーん」と首を傾げる。
「友達……じゃないなあ。知り合いって程度。あいつ、前はもうちょっと明るかったんだけど、中学の時かな。急に静かになっちゃって。それから殆ど話してないし……」
「そうなんだ……いやね、俺は和沙君もクラスに馴染ませてやりたいんだけど、……どうも彼は、それを望んでいないみたいでさ」
二七のオッサンを犯してまで止めさせようとしてるんだもんなあ。心の中でそう呟く。やっぱり自分は無神経だったんだろうか、と今更思う。和沙はあの生活を気に入っているのかもしれない。特に友人も作らず、一人で居るのが好きなのかもしれない。それを一方的に引きずり出そうとするのは、自分のエゴでしかないのかも……と勇慈は考える。
「うーん……でもまぁ、一人ぼっちで居られる人間なんて居ないし。今はそういう、難しい時期なんじゃないの? そのうち別人みたいになっちゃうかもよ」
確かに、別人みたいだった。勇慈はますます落ち込んできた。今朝もHRで顔を合わせたが、別にこちらを見るでなく、窓の外に顔を向けていて、昨日の事などまるで忘れたふうだ。お前なんて眼中に無い、という事なのだろうか。普通あれだけの事をしておいて、平然としていられるものなんだろうか。
やっぱり自分は教師として、クラスの生徒を平等に、均一に、ただ見守るだけでいいんだろうか。
そんな事を考えていると、準備室に第二の客が現れた。
「おはよう、勇慈」
「あ、ドミニクさん」
英語の発音教育を担当しているドミニクが部屋に入って来る。スラリと背が高く、柔らかい茶髪は地毛で、僅かに顎鬚を生やしている。物腰は妙に優雅で、勇慈は外国人っていうのはそれだけで紳士なんだなぁ、と時々感じていた。
「今朝はどうした、遅かったから心配したぞ? おかげで日課が出来なかったじゃないか」
ニコニコと笑みを湛えて歩み寄って来るドミニク。勇慈ははっとしてそれを制した。
「ド、ドミニクさん、今日は勘弁願います!」
「どうした?」
「ちょっと、ぎっくり腰で、痛いんで……」
勇慈は苦笑して腰をさすってみせた。
ドミニクはどうした事か勇慈の尻を触りたがる。しかも揉んだりする。最初こそ「ぎゃあ」と悲鳴を上げていた勇慈も、毎朝の事にすっかり慣れてしまった。しかし今日だけは尻に触られたくなかった。ドミニクも「ああ」と頷いて、歩み寄るのを止める。
「四十八手のアレだな」
「四十八手じゃないですよ、ぎっくり腰は。それと生徒の前なんですから、四十八手とか言わないでください」
「?」
ドミニクは不思議そうに首を傾げる。どうやら彼は四十八手を忍者の必殺技か何かと勘違いしているらしく、聞き慣れない単語が有るととりあえず四十八手に組み入れていた。しかしそれが何なのか説明するのも若干恥ずかしいので、今のところ誰も訂正出来ていない。幸い聖も何の事か判っていないようだった。
「まぁ、それで今日は遅くなったって事です。二、三日したら治ると思いますから、心配は無いんですけど」
「そうか。早く治してくれよ、勇慈のお尻は本当に揉みがいがあって、好きなんだから」
曰く、勇慈はスポーツをしていただけに、尻に弾力が有るそうだ。それでやたらに揉みたがるらしい。勇慈のほうは少々迷惑している。が、恐らく文化の違いなのだろうと諦めていた。
「またそういう冗談ばっかり言って。揉むなら女の人のほうがいいでしょう。ま、やったら捕まっちゃいますけど」
「俺はいたって真面目なんだがね」
「嫌ですね、本当にドミニクさんったらそういうのが好きなんだから」
けらけら笑うと、笑みを浮かべたままのドミニクは「じゃあまた、腰が治ったら」と出て行った。本当に揉むためだけに来たらしい。勇慈が「本当に楽しい人だなあ」と言っていると、今まで黙っていた聖が恐る恐る尋ねる。
「……先生」
「ん?」
「……アレ、マジなんじゃないの?」
聖の言葉に、勇慈は一瞬きょとんとしてから、「まさか」と笑った。
「何言ってるの、アレはあの、アメリカンなスキンシップって奴だよ。多文化理解をしなくちゃあいけないよ」
「そ、そうかな?」
「そうだよ。あぁだって、俺、元気をもらえたよ。くよくよしてても始まらない。生徒を理解するためには、なんでもしなくちゃね。あれぐらいの事でヘコたれてちゃあダメだ。見てろよ、和沙君! 先生が絶対に心を開かせてやるから!」
そして勇慈は、脅しにも実力行使にも負けず、和沙に付きまとう事に決めた。およそ深刻に悩むという事を、勇慈は知らなかった。
「……先生って本当に、ポジティブだよね」
聖が呆れているのか感心しているのか判らない顔で呟いた。
勇慈は子供の頃から、相手の気持ちを考えるという事が苦手だった。もちろん、傷付けたりする事はあまり無かったと思う。あけすけに物を言うとか、そういうタイプではなくて、要するに当たって砕けろ、と何事も行動に移した。友達を怒らせたかもしれない、だったら今すぐ謝る。友達が泣きそうかもしれない、だったら抱きしめて一緒に泣く。そんな生き方をしてきた。
だから和沙の事も、彼がどうしてあんな事をしたのか、そんなにも人を遠ざけようとするのか、さっぱり判らなかったが、判らないなら当たって砕けるしかないと思っていた。ひたすら語り合って、本音を知るしかない。勇慈はそういう意味で、コミュニケーション能力を大きく欠いていたが、奇跡的に嫌われる事は無かった。
和沙君も、きっと心を開いてくれる。それまでは、どんな事が有っても耐えなくてはいけない。
勇慈はそう決意して、和沙の元へ向かった。
既に放課後になっていた。帰宅しようと一人で廊下を歩いている和沙を見つける。辺りに人が居ない事を確認すると、勇慈は声をかけた。
「和沙君」
和沙は立ち止まって、それからややして振り返った。既に表情は不快そうだ。
「……なんですか、先生」
低い声。苛立っているのは判ったが、ここで引くわけにはいかなかった。
「和沙君、先生は確かに強引だし、ちょっと理解力も足りない。和沙君が言うとおり、偽善者なのかもしれない。でもな、これだけは判ってほしい。俺は本当に、和沙君の事が心配だし、理解したい。どんなに時間がかかってもいい。俺は君の味方だって事を、判ってほしい。信じてほしいんだ」
「……馬鹿じゃないの、本当に。先生、俺は写真を持ってるんだよ、忘れたのか?」
和沙は小さな声でそう言う。証拠を握られている事は百も承知だ。もしかしたら、それを公開されるかもしれない。だが勇慈はそれでも言う。
「脅したって無駄だ。先生は本当に、君の事を考えてる。君の脅しに負けたら、何も出来ない。ばら撒きたいなら、撒けばいい。それで先生の人生は終わるかもしれないけど、それでもいい。少しでも君が向き合ってくれるなら、それでも……」
本当はとてつもなく怖かった。まだ教師になって三年だ。未来が有る。そんな物をばら撒かれるのは御免だった。それでも、ここは戦わなくてはいけないと思った。和沙の避け方は異常だ。そうする何かが有るのだ。そしてそれをどうにか出来るのは、簡単に首を突っ込んでしまう自分だけだと思っていた。
それに、よほど上手くやっていなければ、その写真は諸刃の剣だ。和沙の身元も割れてしまう危険性が有る。あくまで脅す為の物なのだから、簡単には流出させないだろう、というもくろみも有った。
和沙はしばらく何も言わなかった。ただ勇慈を睨みつけている。勇慈も負けてはいけない、と、その視線を真っ向から受け止めた。
先に眼を反らしたのは、和沙だった。
「……後悔させてやる」
「え……」
和沙は僅かに笑んで、勇慈に言う。
「良い教師ぶっても、ろくな事が無いって、教え込んでやる。……今週末も家庭訪問に来いよ、先生。ゆっくり時間をかけて、話す。それがあんたの望みだろ?」
「和沙君」
「その代わり……何をされても良いって事だよな。……楽しみにしてるよ、先生」
和沙はそのまま踵を返し、歩き始める。勇慈は引きとめる事も出来ずに、ただその背中を見送った。
+++
脅されてるのにポジティブシンキンな先生 コンセプトはウゼェ受
「ちわーッス! ……て、アレ? どうしたの先生」
「……腰、痛くて……」
笑顔で国語準備室に侵入して来た宇都宮聖は、ぐったりと机に突っ伏している勇慈に驚いたようだった。
家庭訪問に行った翌日。朝起きて、勇慈は全身の痛みに悲鳴を上げた。特に腰の痛みが尋常ではない。這いずるようにして部屋を出ると、両親が(ただし、三方一所家の義理の両親にあたる)これまた悲鳴を上げる。救急車を、とまで心配する彼らに、とりあえず湿布を貼ってくれとお願いし、そしてなんとか学校へやって来た。
今日は幸いにも現代文の授業が少ない。勇慈は出来る限り準備室で伸びていた。現在ここは勇慈しか使っていないので、好きに使える。そこへ聖がやって来たのだ。
聖は勇慈が担任の二年B組の隣、A組の生徒だ。二年の現代文は全て勇慈の担当になっているので、彼も教え子の一人になる。そこそこの容姿と、明るい性格がクラスメイトにも人気で、いつも誰かと一緒に居るような、和沙とは正反対の青年だ。勇慈と聖はお互い明るいほうなので、話が良く合った。尤も、聖がここを頻繁に訪れるには、国語準備室は常時エアコンがかかっているという事も有る。夏場は用も無いのにやって来て、酷い時には昼寝までした。
「腰ぃ? なに、ぎっくり腰?」
「昨日ちょっと、やっちゃってね……」
何を、とは言えない。聖は別に詮索するでもなく、「腰っていきなりグキっていうらしいもんなあ。お大事に!」程度の反応しかしない。今はその短慮さがありがたかった。下手に気遣われたら申し訳無い。
「いやーしかし、ここって本当に涼しいなー」
「涼んでいくのはいいけど、出来たら静かにしておいてくれよ。今ちょっと考え事をしてるんだ」
勇慈はそう言ったが、聖は「判った!」とハキハキ返事をして、「で、何考えてんの?」と聞いてくる。そうだこいつが静かにする訳が無い、と勇慈は思い直して、一つため息を吐く。
「ため息なんて吐いちゃって」
「……いや、うちのクラスの生徒なんだけどね。一人、皆に馴染んでないのが居て……」
「和沙の事?」
いきなりその名を出されて、勇慈はぎょっとしたが、良く考えればA組とB組は体育で同じ授業になる。知っていてもおかしくはない。
「アイツね、幼稚園の時から知ってる」
「え? そうなの? 友達なのか?」
ずっと一人だと思っていた和沙に、知り合いが居た事に勇慈は驚いた。だが聖のほうは「うーん」と首を傾げる。
「友達……じゃないなあ。知り合いって程度。あいつ、前はもうちょっと明るかったんだけど、中学の時かな。急に静かになっちゃって。それから殆ど話してないし……」
「そうなんだ……いやね、俺は和沙君もクラスに馴染ませてやりたいんだけど、……どうも彼は、それを望んでいないみたいでさ」
二七のオッサンを犯してまで止めさせようとしてるんだもんなあ。心の中でそう呟く。やっぱり自分は無神経だったんだろうか、と今更思う。和沙はあの生活を気に入っているのかもしれない。特に友人も作らず、一人で居るのが好きなのかもしれない。それを一方的に引きずり出そうとするのは、自分のエゴでしかないのかも……と勇慈は考える。
「うーん……でもまぁ、一人ぼっちで居られる人間なんて居ないし。今はそういう、難しい時期なんじゃないの? そのうち別人みたいになっちゃうかもよ」
確かに、別人みたいだった。勇慈はますます落ち込んできた。今朝もHRで顔を合わせたが、別にこちらを見るでなく、窓の外に顔を向けていて、昨日の事などまるで忘れたふうだ。お前なんて眼中に無い、という事なのだろうか。普通あれだけの事をしておいて、平然としていられるものなんだろうか。
やっぱり自分は教師として、クラスの生徒を平等に、均一に、ただ見守るだけでいいんだろうか。
そんな事を考えていると、準備室に第二の客が現れた。
「おはよう、勇慈」
「あ、ドミニクさん」
英語の発音教育を担当しているドミニクが部屋に入って来る。スラリと背が高く、柔らかい茶髪は地毛で、僅かに顎鬚を生やしている。物腰は妙に優雅で、勇慈は外国人っていうのはそれだけで紳士なんだなぁ、と時々感じていた。
「今朝はどうした、遅かったから心配したぞ? おかげで日課が出来なかったじゃないか」
ニコニコと笑みを湛えて歩み寄って来るドミニク。勇慈ははっとしてそれを制した。
「ド、ドミニクさん、今日は勘弁願います!」
「どうした?」
「ちょっと、ぎっくり腰で、痛いんで……」
勇慈は苦笑して腰をさすってみせた。
ドミニクはどうした事か勇慈の尻を触りたがる。しかも揉んだりする。最初こそ「ぎゃあ」と悲鳴を上げていた勇慈も、毎朝の事にすっかり慣れてしまった。しかし今日だけは尻に触られたくなかった。ドミニクも「ああ」と頷いて、歩み寄るのを止める。
「四十八手のアレだな」
「四十八手じゃないですよ、ぎっくり腰は。それと生徒の前なんですから、四十八手とか言わないでください」
「?」
ドミニクは不思議そうに首を傾げる。どうやら彼は四十八手を忍者の必殺技か何かと勘違いしているらしく、聞き慣れない単語が有るととりあえず四十八手に組み入れていた。しかしそれが何なのか説明するのも若干恥ずかしいので、今のところ誰も訂正出来ていない。幸い聖も何の事か判っていないようだった。
「まぁ、それで今日は遅くなったって事です。二、三日したら治ると思いますから、心配は無いんですけど」
「そうか。早く治してくれよ、勇慈のお尻は本当に揉みがいがあって、好きなんだから」
曰く、勇慈はスポーツをしていただけに、尻に弾力が有るそうだ。それでやたらに揉みたがるらしい。勇慈のほうは少々迷惑している。が、恐らく文化の違いなのだろうと諦めていた。
「またそういう冗談ばっかり言って。揉むなら女の人のほうがいいでしょう。ま、やったら捕まっちゃいますけど」
「俺はいたって真面目なんだがね」
「嫌ですね、本当にドミニクさんったらそういうのが好きなんだから」
けらけら笑うと、笑みを浮かべたままのドミニクは「じゃあまた、腰が治ったら」と出て行った。本当に揉むためだけに来たらしい。勇慈が「本当に楽しい人だなあ」と言っていると、今まで黙っていた聖が恐る恐る尋ねる。
「……先生」
「ん?」
「……アレ、マジなんじゃないの?」
聖の言葉に、勇慈は一瞬きょとんとしてから、「まさか」と笑った。
「何言ってるの、アレはあの、アメリカンなスキンシップって奴だよ。多文化理解をしなくちゃあいけないよ」
「そ、そうかな?」
「そうだよ。あぁだって、俺、元気をもらえたよ。くよくよしてても始まらない。生徒を理解するためには、なんでもしなくちゃね。あれぐらいの事でヘコたれてちゃあダメだ。見てろよ、和沙君! 先生が絶対に心を開かせてやるから!」
そして勇慈は、脅しにも実力行使にも負けず、和沙に付きまとう事に決めた。およそ深刻に悩むという事を、勇慈は知らなかった。
「……先生って本当に、ポジティブだよね」
聖が呆れているのか感心しているのか判らない顔で呟いた。
勇慈は子供の頃から、相手の気持ちを考えるという事が苦手だった。もちろん、傷付けたりする事はあまり無かったと思う。あけすけに物を言うとか、そういうタイプではなくて、要するに当たって砕けろ、と何事も行動に移した。友達を怒らせたかもしれない、だったら今すぐ謝る。友達が泣きそうかもしれない、だったら抱きしめて一緒に泣く。そんな生き方をしてきた。
だから和沙の事も、彼がどうしてあんな事をしたのか、そんなにも人を遠ざけようとするのか、さっぱり判らなかったが、判らないなら当たって砕けるしかないと思っていた。ひたすら語り合って、本音を知るしかない。勇慈はそういう意味で、コミュニケーション能力を大きく欠いていたが、奇跡的に嫌われる事は無かった。
和沙君も、きっと心を開いてくれる。それまでは、どんな事が有っても耐えなくてはいけない。
勇慈はそう決意して、和沙の元へ向かった。
既に放課後になっていた。帰宅しようと一人で廊下を歩いている和沙を見つける。辺りに人が居ない事を確認すると、勇慈は声をかけた。
「和沙君」
和沙は立ち止まって、それからややして振り返った。既に表情は不快そうだ。
「……なんですか、先生」
低い声。苛立っているのは判ったが、ここで引くわけにはいかなかった。
「和沙君、先生は確かに強引だし、ちょっと理解力も足りない。和沙君が言うとおり、偽善者なのかもしれない。でもな、これだけは判ってほしい。俺は本当に、和沙君の事が心配だし、理解したい。どんなに時間がかかってもいい。俺は君の味方だって事を、判ってほしい。信じてほしいんだ」
「……馬鹿じゃないの、本当に。先生、俺は写真を持ってるんだよ、忘れたのか?」
和沙は小さな声でそう言う。証拠を握られている事は百も承知だ。もしかしたら、それを公開されるかもしれない。だが勇慈はそれでも言う。
「脅したって無駄だ。先生は本当に、君の事を考えてる。君の脅しに負けたら、何も出来ない。ばら撒きたいなら、撒けばいい。それで先生の人生は終わるかもしれないけど、それでもいい。少しでも君が向き合ってくれるなら、それでも……」
本当はとてつもなく怖かった。まだ教師になって三年だ。未来が有る。そんな物をばら撒かれるのは御免だった。それでも、ここは戦わなくてはいけないと思った。和沙の避け方は異常だ。そうする何かが有るのだ。そしてそれをどうにか出来るのは、簡単に首を突っ込んでしまう自分だけだと思っていた。
それに、よほど上手くやっていなければ、その写真は諸刃の剣だ。和沙の身元も割れてしまう危険性が有る。あくまで脅す為の物なのだから、簡単には流出させないだろう、というもくろみも有った。
和沙はしばらく何も言わなかった。ただ勇慈を睨みつけている。勇慈も負けてはいけない、と、その視線を真っ向から受け止めた。
先に眼を反らしたのは、和沙だった。
「……後悔させてやる」
「え……」
和沙は僅かに笑んで、勇慈に言う。
「良い教師ぶっても、ろくな事が無いって、教え込んでやる。……今週末も家庭訪問に来いよ、先生。ゆっくり時間をかけて、話す。それがあんたの望みだろ?」
「和沙君」
「その代わり……何をされても良いって事だよな。……楽しみにしてるよ、先生」
和沙はそのまま踵を返し、歩き始める。勇慈は引きとめる事も出来ずに、ただその背中を見送った。
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脅されてるのにポジティブシンキンな先生 コンセプトはウゼェ受
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