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めでぃのくの日記
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2025-01-19 (Sun)
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2009-11-13 (Fri)
 キタ! と今朝がた思ったんで最初だけ書いてみたんですが
 なんだかテンションが低いのでどうなるか判りません
 SF的設定 惑星原住民猫アニキ×移民3世代目研究員元就
 になる予定

 研究日誌 No,23
 以下、筆者毛利元就
 パスワード無き場合は閲覧不可
 なお、この文章が遺品となった場合には、遺書に記すパスワードを入力すると研究データのみの閲覧を可能とする。
 

 12月25日(W) 気温28度 湿度16%
 研究日誌
 酵素N887の固定には失敗。原因不明。
 C36の効果は見受けられない。G51~G138までの被検体は死亡。
 午後15時より、明智のラボを視察。見るも無残。
 明日よりN887の実験は休止。C36の作業に戻る。

 個人日誌
 明智のラボは相変わらず酷いありさまだ。二度と行きたくないが、仕方ない。
 している事は奴と変わらぬのに、眼を反らしても仕方ない。
 明智より興味深い話を聞いた。
 西暦とは我々の母星である地球に発祥した物で、12月25日とは本来キリストとかいう男の誕生を祝う時期、しかも冬とかいう季節だそうだ。
 このコロニーは温度湿度共に完全管理されているから、冬というものがいかなものか見当もつかぬ。曰く、寒かったそうだ。水の結晶体が空から降って来ると言うが、恐ろしいことよ。
 当時人は神を複数持ち、争っていたと言うが、その点では今も変わらぬ。そして人の頂く神はいつも人の形をして人の言葉を喋る。馬鹿らしい。
 他に縋るものが無ければ神に縋ればいい。我は一生、縋らぬがな。


 
 12月26日(E) 気温28度 湿度15%
 研究日誌
 C36には効果が有るはずだ。しかし現れない。何が問題なのか。
 やはり人と奴らとでは、効果が異なるのではないか。確証は無いが、そう考えるより他にない。出来るなら人で試したいものだが、被検体は集まらないだろう。

 個人日誌
 明智のラボより大量の奴らが引き取られていった。哀れではあるが、仕方が無い。彼らが被検体にならねば、人が被検体になる事になる。尤も、我の研究が行き詰っている原因の一つには、人が被検体でない事が有ると思われる。
 クズ肉のような人間はいくらでも居るというのに、生きているというだけで人は尊いという。明智なども、よほどクズ人間どもを実験体にしたがっているが、そうもいかないようだ。政府も我らに泣きつくのなら、それなりの覚悟を決めればいいものを。
 いずれにせ、犠牲は必要だ。犠牲は尊い。実験の末に未来が開けるならば、人は命を差し出さねばならぬ。我は、嫌だがな。



 12月27日(C) 気温17度 湿度10%
 研究日誌
 この区画の空調システムが不調をきたしたらしい。なにやら隣の区画で事故が有ったそうだ。実験は全て中止。ラボを守る。早く回復してくれねば、酵素が死ぬ。問題だ。

 個人日誌
 寒い。

 こんな季節に祝い事をするなど、正気の沙汰ではない。やはり地球原人どもは狂っていたのだ。そうに違いない。手がかじかむ。

 猫を拾った。




 +++

 


 朝、目覚めた時、元就は寒いという感覚を知った。睡眠カプセル内でさえ冷えきっていたのだから、外はかなりの寒さだったろう。尤も、彼らは寒くて死にそうだと等しく思ったが、それは常春のコロニーに生まれ育った者達の感覚であり、実際には死ぬような者はおらず、服が飛ぶように売れただけだった。

 元就もまた、睡眠カプセルから出るなり身を縮こまらせ、なんとかクローゼットに入っていた服という服を着こみ、ラボへと向かった。ラボは厳重に作ってあったので、まだ寒さは到達していなかった。緊急用の空調機能を起動して、うろ覚えの操作を何度か繰り返し、部屋を28度に保つよう指示した。

 元就はラボを出て、何が起こっているのか様子を見に、外へ出た。このコロニーにあっては、全ての建築物は地下に存在している。床部分だけのエレベーターに乗り込み、少々待つと天井が開き、地上に出される。外は一層寒かった。ホログラフで描かれる空ばかりが蒼く輝いて、元就は不愉快な気持ちになった。馬鹿らしい。

 人口植物達が芝生のふりをしている道を歩いて行く。方々で同じように身を縮めた人間達が、右往左往していた。皆、しばらく互いに顔を見合わせて、そしてのろのろと区画の中心地である、コントロールセンターへと向かう。

 センターには既に人が群がっていて、なんだかんだと罵声を飛ばしていた。中心では信じられないぐらいの笑顔を浮かべた木偶人形が、「ただいま原因を解明中です、少々お待ち下さい」と馬鹿のように繰り返している。

 元就もしばらくその様子を見ていたが、どうにもなりそうにない。これなら家に帰って、ラボに隠れていたほうがましだろう。元就は諦めて、帰路に着いた。
 
 と、帰り道で明智光秀に遭遇した。

 光秀は元就の研究において先輩の立場にあたる。隣の区画でけっこうな規模のラボを持っているはずだ。どうしてここに居るのかと聞けば、「こっちのほうが温かいんです」との答え。

「私達のほうの区画でエラーが出たみたいで。向こうの方がもっと寒いんですよ。コンピューター達は「死ぬような温度じゃない」の一点張りで何もしてくれませんし」

「……我のラボに来るか? あそこなら温かいが」

「いえ、ありがたいですが、遠慮しておきます。信長公に呼び出されていますので」

 信長、というのは、光秀に対して研究を依頼している政府要人の一人である。光秀の研究に加担している元就にとっても大切な取引相手にあたる。元就は「そうか」と頷いて、それ以上は言わなかった。

 二人とも研究仲間というその程度で、特に親しく話す事も無い。一言二言、社交辞令的に言葉を交わして、元就は光秀と別れた。寒くて死にそうだ。早くラボに戻って、酵素達と仲良く温まろうと思った。

 こんな寒い思いをして、自分はとてつもなく不幸だ。

 そんな気分になっていたからだろう。普段の元就ならば、決してそんなことはしなかった。たとえどんなに恨めしそうな顔をされても、無視をしたはずだ。

 元就のラボのすぐ側に、一匹の子猫が座っていた。ぶるぶる震えていた。子猫は元就の顔を見て、そして元就に対し、柔らかく笑んだ。

 猫は粗末な服を着ているだけで、剥き出しの脚は細っていた。左目は怪我でもしたらしく、醜くつぶれていた。白い髪がもつれていて、元就は本来なら、その姿を見てただ「不潔」と感じただろう。

 ただその時は、寒かった。死にそうだと思っていた。眼の前に、自分より寒そうな猫が居た。なのに猫は、自分に向かって微笑んだ。

 たぶん、馬鹿なのだ。

 元就はそう思った。奴らは知能が低いと聞いている。餌がもらえるなら誰にでも笑いかけるというし、酷い目にあっても、性懲りも無く人間に近づく。馬鹿なのだ。だから人間達に好きなようにされている。こんな場所で座り込んでいれば、酷い目に合わされるだろう。にこにこ微笑んだまま、加害者に尻尾を振るのだ。

 元就は酷く嫌な気分になって、自分の家のエレベーターに駆けこんで。

 それから何気なく振り向いて。猫と目が合い。猫がまた笑ったものだから。

 元就は猫の腕を引っ掴んでしまった。

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