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めでぃのくの日記
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2025-01-19 (Sun)
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2009-11-16 (Mon)
 なんかすごい風邪を持ってたみたいなんですけど、
 父さんにうつったらしく、お父さんがえれぇ目にあってます
 ひたすらしんどい+不調 だけど熱、咳などの風邪らしき症状は一つも出ない
 私はどうやら10月の初めぐらいから未だにそれを保有しているらしい
 長持ちする風邪だね 免疫抑制かかってるから私は症状が半減してるみたい
 これにかかってたら新型にはかからないかもしれない
 二重で効いたりしたらほんとシャレにならんけど。お父さんが。

 以下、SF設定の奴の続き
 どうしようかなといろいろ考えてます。色々。

 追記

 空調システムの不調は続いている。仕方なくラボに隠れている。酵素達は無事だ。我々もここで寝る事にする。しかし、猫というものはこう人懐こいものなのだろうか?



 毛利元就はこの惑星に作られた、コロニーへの移住民の子孫である。正確には三世代目にあたる。母星地球の事はお伽話のように感じている。昔、地球という酷い星に、人間達は縋りつくようにして生きていた、と元就は聞いた。

 文明が無いから、彼らは地表にへばりつき、天候に振り回されて生きたそうだ。時に生きる場所を奪い合い、時に神の名を掲げて殺し合ったという。元就にはそんな生き物が自分達の先祖だとは、とても信じられなかった。

 元就は物心ついた時から、保育用のカプセルの中に居て、適度に運動をし、そして毎日知識を貪った。それが存在価値だった。一定以上の品質にならなければ、親元に返還されない。元就はほかに5人居たが、その中でもこの元就が一番の品質を保ったので他の5人はタンパク質に還元されたという。

 元就は両親の元に返され、それからも英才教育を受けた。特に研究面に優れたため、彼は研究者としての立場を確保出来た。とはいえ、両親は二人とも男で、しかも片方は「元就」そのものであったから、元就は彼らに心を開く事は出来なかったし、彼らもまたそれを期待していなかった。元就が16歳になると、両親達は彼に研究ラボを与えて、楽園に行ってしまった。

 楽園とは起床予定を設定しない睡眠カプセルだ。歳をとった者達は、皆そのカプセルの中で、気持ちのいい夢を見ながら死んでいく。多くの人間がその死を選んだ。老い衰え病んで死ぬより、よほど気持ちが良かったからだ。

 元就はそうした環境に生きていたから、他に生き方が有るという事をそもそも知らない。コロニーが発達する過程で、クーデターなどが起きて、一部の移民達はコロニーから出て外で暮らしているというが、そこは恐らく地獄だろうと元就は考えている。このコロニーそのものが楽園で、自分は何も不満はない、と元就は思ってた。

 


 だから元就は、眼の前の猫が不思議でならない。

 猫、というのはこの星の原住民の通称だ。正式名称はハイブリオンとかそういう名前で、外見は人間にかなり近いのだが、耳やら尻尾やらが動物めいている。個体差が有って、猫の他にも犬やウサギやそれによく判らないものも居た。それを総称して猫と移民達は呼んでいる。

 彼らは移民達を快く受け入れ(ただし、彼らに知能は無いとされていたので、移民達に侵略されたという事も理解出来なかっただけと思われる)この星で共存していた。時に家畜にされ、ペットにされ、虐げられ、実験動物として扱われても、彼らは変わらず、ほほ笑みを絶やさなかった。

 だからその猫も、にこにこと笑ったまま、元就を見ている。元就は彼を引っ張って、シャワールームに押し込んだ。とにかく汚れていた。奇麗にしてやる、と服を無理やり脱がせても、猫は首を傾げるばかりで何もしない。

 裸にさせて、奥の狭い空間に押し込む。スイッチを押すと、壁から天井から湯が噴き出して、身体を無理やり洗浄する。それには流石に驚いたらしく、猫は奇声を上げて嫌がった。「大丈夫だ、大人しくしていろ」と言い聞かせても暴れるものだから、元就は服を着たまま、猫と一緒に洗われる事になった。

 ぎゅうと抱きしめておいてやると、猫は妙に大人しくなった。しばらくすると、湯が身体を洗う感覚が気持ち良くなってきたらしい。嬉しそうに微笑んで元就を見てくる。元就はどうしていいか判らず、ただ一緒に洗われていた。

 猫達は基本的に、コロニーの外に住んでいる。コロニーへの出入りはある程度自由になっているらしい。外には季節というものが有って、天候が有って、そして必要な物は何も無い。広大な大地を前に、自分が何をするべきなのか判らない。時には風が吹き、水が滴り、氷が降り注ぐ土地で、どうやって生きていくのか判らない。恐らくそこは地獄のような場所だろう、と元就は思っている。つまりこの猫は、地獄からやって来たのだ。

 薄汚い格好をした猫の髪を撫でてやる。顔は整っているのに、眼の傷のせいで台無しだ。それでも柔らかく微笑む顔は妙に可愛いらしくて、元就は困惑する。子供も猫も好きではない。どうしていいか判らない。

 しばらくするとシャワーが止まる。髪に洗剤を擦りつけ、身体もごしごし擦ってやる。何か判らなかったらしくし、しばらくするとナァナァと妙な声を上げ始めた。眼に入ったらしい。「眼を閉じていろ」と素っ気なく指示をしても、猫はナァナァと元就の服を掴んで何か訴える。言葉などは通じないのだ。馬鹿だから。

 元就はため息を吐いて、もう一度スイッチを入れる。再びシャワーが全身を洗い流す。元就自身もびしょ濡れだったが、もうどうでもよかった。元々あまりこだわらない方だ。顔も拭ってやる。右眼は赤くなっているが、すぐに治るだろう。シャワーが止まると、タオルを取り出し、手渡す。猫はきょとんとしてタオルを引っ張ったり回したりしていたが、元就が自分の身体を拭いているのを見ると、見まねて身体を拭き始めた。

 元就は濡れた服を脱ぎ捨てて、代えの服を用意する。猫にも、と振り返って、少年程度のサイズの服は無い事に気づいた。しばらく考えて、ルームウェアを与える事にする。だぶだぶになってしまうだろうが、無いよりはましだ。少なくとも、冷え切った部屋を突っ切ってラボに入るまでは必要である。

 タオルで身体を拭いているというよりは、絡まれている猫に再び近寄り、身体を乱雑に拭いてやる。髪にタオルを押しつけ、ごしごし擦ってやると、ナァナァとまた鳴く。無視して擦り続け、あらかた水気が取れたところで、ルームウェアを着せてやった。案の定、服は大き過ぎたが、仕方ない。

 元就は猫の手を引いて、急ぎ足でラボへと向かう。ラボの中は相変わらず温かく、元就は思わず安堵のため息を吐いた。あの様子では夜まで治りそうにないから、今日はここで実験体と寝泊まりだな、と考え、猫を見る。

 猫はきょろきょろとあたりを見回していた。怖がっているふうではない。元就は何か嫌な感じがして、猫の顔を見て言った。

「何も、触るな」

「ナァ」

「いいか、何も触るな。何も、だぞ。大人しくしていろ。いいな」

 猫は返事をするように、満面の笑みを浮かべた。




「触るなと言っているだろう!」

 何度言っても、猫はそろりと手を伸ばした。その度に叱れば、大人しく手をひっこめるものの、またしばらくすると手を伸ばす。元就はこんなに怒鳴ったのは初めてで、頭が痛くなってきた。いっそ追い出してやろうか、と思うが、外の寒さを考えると、とてもそんな事は出来なかった。

 いや、と元就は首を傾げる。出来るはずだ。猫はただの原住民、実験動物であり、守るべきものではない。コロニーの外で暮らしているというのだから、この寒さでも平気だろう。何故出来ないのだろう、と考えたが、結局判らない。

「ナァ」

 気づくと猫が横に居た。何やら見上げてくる。元就はしばらく考えて、それから戸棚から乾燥食料を取り出し、手渡す。猫はそれをまじまじと見てから、元就がかじるのを真似てかじった。あまりおいしそうではなかったが、元就は気にしなかった。

「……今日はここで寝る事になる……寝具を用意しなくてはな。確かエアベッドが有った気がする……」

「ナァ?」

「そなたは良い子で待っていろ。いいな、何も触るな。………………いやもういい、いい、何でも触れ。困るものはロックしてあるから……」

 元就はため息を吐いて、ラボを出る。相変わらず寒い。ゴソゴソと収納庫をあさりながら、元就は酷く疲れていた。寒いのも、こうして誰かと時間を過ごすのも、怒鳴るのも、初めての事だ。カプセル以外で寝るのも久しぶりで、とにかく元就はこの特殊な環境に疲れ果てていた。

 おまけに収納庫から引っ張り出したエアベッドと布団が意外とかさばる。ずるずると引きずっていると、「ナァ」と声がした。ふと見ると猫がラボから顔を出して、こちらを見ている。

「良い子にしておれと言うたのに。……おい、手伝え。判るか、これを持て」

 布団の方を見せると、猫は嬉しそうに近寄って来て、布団を抱えて歩きだした。言葉はある程度理解しているようだ、と元就は感心する。なら何故、触るなと言うのに触るのか。やはり馬鹿だからか。元就は訳が判らなくなりつつ、ベッドを引きずってラボに戻る。

 ラボの床に寝床を作り、「猫、お前の寝床だ」と指差す。猫は布団に包まって遊んでいたが、強引に引っ張ってベッドの上に乗せる。猫はきょとんとしていた。

「いいか、そなたはここで寝る。いいな。我はあちらで寝る」
 
 側の長椅子を指差す。猫は判っているのかいないのか、首を傾げている。

「ここが、そなたの寝る場所だ。いいな」

 もう一度言い聞かせる。猫はまた笑顔を浮かべて、頷いた。元就も頷いて、布団を片方受け取ると長椅子に向かう。

 ごろんと横になると、眼の前に猫が居た。

「ナァ」

「……貴様、一つも理解していないな」

「ナァ」

「うう、お、重い、止めろ、止めぬか!」

 横になっている元就の上に乗ろうとまでする。元就は怒鳴って、猫を突き飛ばす。猫は「ナァ」と妙に悲しそうな声を出した。

「そなたは、そっちだ」

 もう一度指差す。猫は一度ベッドを見てから、「ナァ」と鳴いた。元就がまた横になると、また腹の上に乗ろうとする。

「あああ、もう、もういい!」

 元就は布団を跳ね上げて、猫の手を引っ張る。ベッドに乗せて、布団を被せ、寝かせる。

「こうだ、こう。ここで寝るのだ。判るか」

 一緒に横になってやると、猫は嬉しそうに顔をすり寄せてくる。元就はため息を吐いて、そして諦めた。

 結局、二人で寝る事になった。夜中元就は猫に擦り寄られたり、のっかられたりしてまともに眠れなかった。温かくなったら、即刻追い出してやる、と元就は決意しながらも、その温かな存在を適当に撫でて、浅い眠りに流されていた。

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