公開されてましたねー。巫女さんとなんだかツイてなさそうな人か……
つーか肉体派クロカンって(笑) すげぇなあ、手首痛くなりそう……
というか地元なのに初めて知ったんだぜ、鶴姫 申し訳無い 今度行くよ
しかし坂の上の雲+りょーまで今年は四国ウハウハだな
どうせならアニキの大河やればいいのにね
年末にかけてどんどん見ている人も鬱になっていく感じで
以下、あきらめ、の7です
つーか肉体派クロカンって(笑) すげぇなあ、手首痛くなりそう……
というか地元なのに初めて知ったんだぜ、鶴姫 申し訳無い 今度行くよ
しかし坂の上の雲+りょーまで今年は四国ウハウハだな
どうせならアニキの大河やればいいのにね
年末にかけてどんどん見ている人も鬱になっていく感じで
以下、あきらめ、の7です
元親は沢山の傷を、のんびりとした時間の中で、徐々に癒していった。
夢が叶わなかった事も、職場から見放された事も、元親にとって辛い記憶ではあったが、乗り越えられないものではなかった。少なくとも、支えが有れば。元親は時間をかけてリハビリをした。両親がしている農業を、少しばかり手伝いもした。
元親がどうしていようと、どう考えていようと、泣いていようと笑っていようと、季節は巡る。花は咲き、虫は死ぬ。元親はそれらを感じて、溜息を吐いた。乗り越えるまでは、重大な問題なのだ。後になってみれば、笑うしかないような。元親はまだ笑えなかったが、次第に全てがどうでもよくなり始めた。
ただこうしてのんびり、愛する人達と何事も無く過ごす以上の幸せが、何処に有るというのか。元親は判らなかった。何を求めて、町に出たのか。それでも得た物は有った。そうして町に出なければ、きっとこの場所の素晴らしさに、気付く事は無かったのだ。
元就は相変わらず妙な生活をしていて、光秀は時折そこに顔を出して文明を与えていた。とても自由な日々だった。幸せだった。空は青く、雲は流れて、風は柔らかく頬を撫でるだけ。それだけの静かな世界の中で、元親は心身を癒していった。
だから元親は、何故その日が唐突に訪れたのか、理解出来なかった。
ある日元就の家に行くと、戸締りがしてあった。庭に光秀が立っていて、首を傾げている。元親もそこに向かい、戸や窓を触ったが、どれも鍵がかかっていた。
「なんだ? こんな事は一度も無かったはずだぜ。アイツ、外出したのか?」
「さあ……私もよく判りません。先日会った時には、何も言っていませんでしたが……」
二人で首を傾げていると、そこに数人の男達がやって来た。彼らはこの村の住人で、元親とは顔見知りだった。彼らは元親が居る事に気付くと、ばつが悪そうに何かを背後に隠した。
「おい、お前ら、何しに来たんだ?」
元親が眉を寄せると、彼らは顔を見合わせ、そしてそのうちの一人が言った。
「天罰を与えに来たんだよ」
「天罰、だあ?」
「……お前、知らないのか? アイツは罪を犯したんだ」
言われて、元親は光秀の顔を見た。彼もまた、「さあ」とばかり首を傾げる。それを見て、男が言う。
「隣村に女が居るんだ。まだ16歳の可愛い子さ。その子が、この間強姦された」
「……それが、……毛利と何の関係が、……」
彼らは何も言わない。だから元親も、彼らが言わんとしている事を悟った。光秀もまた深く眉を寄せる。元親は彼らを睨みつけて否定した。
「まさか! アイツがそんな事するわけねえだろ! アイツはここでひっそり暮らしてただけだ!」
「アイツならしかねないんだよ」
「何でだよ! アイツはそんな奴じゃあない! 馬鹿な言いがかりはよせ!」
「……お前、本当に何も知らないんだな」
彼は憐れむような顔で元親を見た。
「お前には悪いけど、アイツはまともじゃあないんだよ」
「なんだよ、この暮らしぶりは確かにまともじゃあないけど」
「そうじゃない。そうじゃないんだ。……アイツの親父、強姦魔なんだ」
あまりに突然言われたものだから、元親は眼を見開いて硬直してしまった。
「……な、に……」
「アイツの親父は都会で、女を脅して犯したんだ。だからここに逃げ込んできた。そんな親父に育てられてるんだ。アイツだって……そういう事したって、おかしくないだろ。20年近くこんな所に一人で居て、ムラっとこないはず無い。女を犯したいって、誰だって思う。それが制御出来なくなったんだろうよ。可哀想だが、もうこの村に居させる事は出来ない。追い出すしかないんだ。お前には悪いけどな」
元親は無茶苦茶に暴れて、彼らを追い返し、光秀に支えられるようにしながら帰宅した。悔しくて涙が止まらなかった。どうしてそんな事を言われなくてはいけないのか、判らなかった。元就の顔が、浮かんでは消えた。そんな奴じゃあない、そんな奴じゃあ。そう呟き続けたが、誰も肯定はしてくれなかった。
帰宅すると、父が迎えてくれた。光秀は帰宅し、元親は居間で塞ぎこんだ。心配そうな母はキッチンに追いやられ、代わりに父が、側にやって来た。
「……元親。お前に話が有る。たぶん、その様子じゃあ、知っちまったんだろう」
父がそう言うので、元親はがばりと顔を上げる。
「……親父も、知ってるのか」
「この村の奴は、殆どが知ってるよ。お前や明智のには可哀想だから、伝えなかった。この話は微妙なんでなあ」
「親父も、……親父も、毛利がやったと思ってるのか?」
元親の問いに、父は「ううん」と唸って、胡坐をかく。
「いいか、元親。この話は、微妙なんだ。静かに聞け」
「待てよ。いいから答えてくれ。親父は毛利がやったって、そう思ってるのか」
「……」
父はしばらく黙ってから、「いいや」と答える。
「わしはお前の事を信じとる。だから、お前が信じとる相手の事もまた、信じる」
「……」
「それでな。いいか。最初から話そう。彼の父……弘元が引っ越してきた所からだ。村の連中は、奴を不審がって、最終的に探偵なんかを雇って、奴の素性を調べたんだ。不幸中の幸いというか、なんというか……その結果が出揃ったのは、弘元が死んだ後だったがな」
弘元はこの村に来るまで、とある都会の一角に暮らしていた。バブルで大層儲けた、成り金の一種だった。マンション等の不動産を手に入れ、家賃収入で働かなくても質素になら暮らしていけるだけの収入は有った。妻と、子供が2人。幸せな家庭だった。
そして弘元はある時、3件の強姦事件の容疑者になった。何が理由だったのかは判らない。顔が似ていた、という程度の事だったという話も有る。弘元は否定した。否定しきった。証拠はまるで無かったから、弘元はやがて解放された。
しかし、告訴されなかったからといって、無実だとは限らない。上手く乗りきっただけかもしれない。世間の眼は冷たかった。残酷だった。家の庭にゴミが投げ入れられ、壁には落書きが施された。窓ガラスは割られ、電話はひっきりなしになった。ポストには脅迫や中傷の手紙が入れられ、出歩けば噂され、罵声を浴びせられ、時には生ごみを投げられた。
元就は学校で苛められるようになった。陰湿極まりなかった。その苛めは元就の友人や知人にまで及んだ。やがて彼は、それらの友人達を守るためにも、不登校になる。兄も同様になった。もうこの場所には居られない、と判っていた。弘元は逃げる事を決意していたが、それが間に合わなかった。
妻が、首を吊って死んだ。
葬儀は妻の実家が上げ、弘元達は近寄る事も出来なかった。その後、長男である興元をよこせと言われる。妻の実家には、嫡男が居なかったから、その子を養子に、と。それがその子の幸せだ、と、妻を死なせたのだから、報いろと。弘元には断る術が無かった。興元を妻の実家へ養子に出し、そして弘元は元就だけを連れて、この村にやって来た。
結局、強姦事件の犯人は捕まらなかった。だから、弘元がそうだったのかもしれないし、そうでなかったのかもしれない。何もかも判らないまま、弘元は病死してしまった。だが、元就が村に残った。村人達は相談したが、やがて子供には罪は無いだろう、と結論を出した。迫害し、追い出す事はしないでやろうと。元就が大人しくしているなら、こちらも放っておいてやろう、と。
「だから村の連中は、わしらの厚意を裏切ったと息巻いているわけだ。ついにやった、とな」
「……で、でも……その話じゃあ、親父さんが犯罪者だったって事自体、決めつけじゃねえか! それで元就もやりかねないなんて……そんな、そんなの馬鹿げてる!」
「そうだな、馬鹿げとる。だがな、元親。どんなに馬鹿げとる事でも、皆で口を揃えればそれが正しくなるのが世の中なんだ」
父にそう言われて、元親はカッと熱くなるのを感じた。
「皆が、皆でアイツを犯人だって言えば、アイツはやったって言うわけか!? 順序が逆だろうがよ! やったかやってないか判らないのに、結論は皆で出しちまうってか!? 何のために警察や裁判所が有るってんだ、そんなの……そんなの意味が無ぇだろうがよ! 俺は、俺は絶対に信じねえ! 毛利はそんな奴じゃない、絶対だ!」
「元親」
「アイツら親子は、あの森でひっそり暮らしてたじゃねえか! 原始人みてぇな暮らしで、皆から冷たい眼で見られるのにも、何にも仕返ししなかったじゃねえか! なのになんで勝手にアイツを敵視するんだよ、アイツが何をしたってんだ、何を、何を、……ちくしょう、……っ」
「元親、落ち着け」
「これが落ち着けるか! もし元就がそれで……それで居場所を失ったり……っ、アイツのおふくろみたいに死んじまったら……俺は絶対にこの村の連中を許さない! 皆殺しにしてやる……っ!」
「落ち着け」
もう一度言われて、元親は何とか黙る。身体が怒りに震えて止まらなかった。村の連中の浅はかさや、汚さにどす黒い感情が胸のあたりを駆け巡る。そんな元親に、父は静かに言う。
「警察が疑って、調べているんだ。それで何かが出るなら、お前も諦めねばならない。だが何も出なかったか、あるいは彼が無実だと証明された時に、帰ってくる場所を守ってやらねばならない。……お前には悪いが、わしらにはこの村の一員として、この村全体の意思に従わなくてはならない。もちろん、この村全体の意思とは、犯罪者である彼を許してはならない、というものであって、それ以上ではない。彼に嫌がらせをし、彼を傷付ける事や、まして無実の彼から居場所を奪う事じゃあない。判るか?」
「……」
「彼が弘元や、その妻と同じ道を辿らないように、お前が守るんだ。皆本当は判っているんだ。決めつける事は良くないとね。それでも結論を出さないと、いけない事が有る。間違った結論を信じる事も有る。そんな皆の目を覚まさせてやってくれ。攻撃は彼本人が居ない以上、彼にまつわる物に集中する。しかしお前や明智のは、村の一員だ。彼らはお前達を攻撃したいとは思っていない。辛いだろうが、苦しいだろうが……守ってやれ。人は一人でも支えが有れば、持ち直す事は出来る。……すまん」
父はそう言って、頭を垂れた。元親は、何も答えれなかった。
+++
一人でも、居てくれれば、耐えれる事も有るんですけど
その一人さえ、見つからない事も多くて
ましてその一人さえ、時には憎く思うものです……
夢が叶わなかった事も、職場から見放された事も、元親にとって辛い記憶ではあったが、乗り越えられないものではなかった。少なくとも、支えが有れば。元親は時間をかけてリハビリをした。両親がしている農業を、少しばかり手伝いもした。
元親がどうしていようと、どう考えていようと、泣いていようと笑っていようと、季節は巡る。花は咲き、虫は死ぬ。元親はそれらを感じて、溜息を吐いた。乗り越えるまでは、重大な問題なのだ。後になってみれば、笑うしかないような。元親はまだ笑えなかったが、次第に全てがどうでもよくなり始めた。
ただこうしてのんびり、愛する人達と何事も無く過ごす以上の幸せが、何処に有るというのか。元親は判らなかった。何を求めて、町に出たのか。それでも得た物は有った。そうして町に出なければ、きっとこの場所の素晴らしさに、気付く事は無かったのだ。
元就は相変わらず妙な生活をしていて、光秀は時折そこに顔を出して文明を与えていた。とても自由な日々だった。幸せだった。空は青く、雲は流れて、風は柔らかく頬を撫でるだけ。それだけの静かな世界の中で、元親は心身を癒していった。
だから元親は、何故その日が唐突に訪れたのか、理解出来なかった。
ある日元就の家に行くと、戸締りがしてあった。庭に光秀が立っていて、首を傾げている。元親もそこに向かい、戸や窓を触ったが、どれも鍵がかかっていた。
「なんだ? こんな事は一度も無かったはずだぜ。アイツ、外出したのか?」
「さあ……私もよく判りません。先日会った時には、何も言っていませんでしたが……」
二人で首を傾げていると、そこに数人の男達がやって来た。彼らはこの村の住人で、元親とは顔見知りだった。彼らは元親が居る事に気付くと、ばつが悪そうに何かを背後に隠した。
「おい、お前ら、何しに来たんだ?」
元親が眉を寄せると、彼らは顔を見合わせ、そしてそのうちの一人が言った。
「天罰を与えに来たんだよ」
「天罰、だあ?」
「……お前、知らないのか? アイツは罪を犯したんだ」
言われて、元親は光秀の顔を見た。彼もまた、「さあ」とばかり首を傾げる。それを見て、男が言う。
「隣村に女が居るんだ。まだ16歳の可愛い子さ。その子が、この間強姦された」
「……それが、……毛利と何の関係が、……」
彼らは何も言わない。だから元親も、彼らが言わんとしている事を悟った。光秀もまた深く眉を寄せる。元親は彼らを睨みつけて否定した。
「まさか! アイツがそんな事するわけねえだろ! アイツはここでひっそり暮らしてただけだ!」
「アイツならしかねないんだよ」
「何でだよ! アイツはそんな奴じゃあない! 馬鹿な言いがかりはよせ!」
「……お前、本当に何も知らないんだな」
彼は憐れむような顔で元親を見た。
「お前には悪いけど、アイツはまともじゃあないんだよ」
「なんだよ、この暮らしぶりは確かにまともじゃあないけど」
「そうじゃない。そうじゃないんだ。……アイツの親父、強姦魔なんだ」
あまりに突然言われたものだから、元親は眼を見開いて硬直してしまった。
「……な、に……」
「アイツの親父は都会で、女を脅して犯したんだ。だからここに逃げ込んできた。そんな親父に育てられてるんだ。アイツだって……そういう事したって、おかしくないだろ。20年近くこんな所に一人で居て、ムラっとこないはず無い。女を犯したいって、誰だって思う。それが制御出来なくなったんだろうよ。可哀想だが、もうこの村に居させる事は出来ない。追い出すしかないんだ。お前には悪いけどな」
元親は無茶苦茶に暴れて、彼らを追い返し、光秀に支えられるようにしながら帰宅した。悔しくて涙が止まらなかった。どうしてそんな事を言われなくてはいけないのか、判らなかった。元就の顔が、浮かんでは消えた。そんな奴じゃあない、そんな奴じゃあ。そう呟き続けたが、誰も肯定はしてくれなかった。
帰宅すると、父が迎えてくれた。光秀は帰宅し、元親は居間で塞ぎこんだ。心配そうな母はキッチンに追いやられ、代わりに父が、側にやって来た。
「……元親。お前に話が有る。たぶん、その様子じゃあ、知っちまったんだろう」
父がそう言うので、元親はがばりと顔を上げる。
「……親父も、知ってるのか」
「この村の奴は、殆どが知ってるよ。お前や明智のには可哀想だから、伝えなかった。この話は微妙なんでなあ」
「親父も、……親父も、毛利がやったと思ってるのか?」
元親の問いに、父は「ううん」と唸って、胡坐をかく。
「いいか、元親。この話は、微妙なんだ。静かに聞け」
「待てよ。いいから答えてくれ。親父は毛利がやったって、そう思ってるのか」
「……」
父はしばらく黙ってから、「いいや」と答える。
「わしはお前の事を信じとる。だから、お前が信じとる相手の事もまた、信じる」
「……」
「それでな。いいか。最初から話そう。彼の父……弘元が引っ越してきた所からだ。村の連中は、奴を不審がって、最終的に探偵なんかを雇って、奴の素性を調べたんだ。不幸中の幸いというか、なんというか……その結果が出揃ったのは、弘元が死んだ後だったがな」
弘元はこの村に来るまで、とある都会の一角に暮らしていた。バブルで大層儲けた、成り金の一種だった。マンション等の不動産を手に入れ、家賃収入で働かなくても質素になら暮らしていけるだけの収入は有った。妻と、子供が2人。幸せな家庭だった。
そして弘元はある時、3件の強姦事件の容疑者になった。何が理由だったのかは判らない。顔が似ていた、という程度の事だったという話も有る。弘元は否定した。否定しきった。証拠はまるで無かったから、弘元はやがて解放された。
しかし、告訴されなかったからといって、無実だとは限らない。上手く乗りきっただけかもしれない。世間の眼は冷たかった。残酷だった。家の庭にゴミが投げ入れられ、壁には落書きが施された。窓ガラスは割られ、電話はひっきりなしになった。ポストには脅迫や中傷の手紙が入れられ、出歩けば噂され、罵声を浴びせられ、時には生ごみを投げられた。
元就は学校で苛められるようになった。陰湿極まりなかった。その苛めは元就の友人や知人にまで及んだ。やがて彼は、それらの友人達を守るためにも、不登校になる。兄も同様になった。もうこの場所には居られない、と判っていた。弘元は逃げる事を決意していたが、それが間に合わなかった。
妻が、首を吊って死んだ。
葬儀は妻の実家が上げ、弘元達は近寄る事も出来なかった。その後、長男である興元をよこせと言われる。妻の実家には、嫡男が居なかったから、その子を養子に、と。それがその子の幸せだ、と、妻を死なせたのだから、報いろと。弘元には断る術が無かった。興元を妻の実家へ養子に出し、そして弘元は元就だけを連れて、この村にやって来た。
結局、強姦事件の犯人は捕まらなかった。だから、弘元がそうだったのかもしれないし、そうでなかったのかもしれない。何もかも判らないまま、弘元は病死してしまった。だが、元就が村に残った。村人達は相談したが、やがて子供には罪は無いだろう、と結論を出した。迫害し、追い出す事はしないでやろうと。元就が大人しくしているなら、こちらも放っておいてやろう、と。
「だから村の連中は、わしらの厚意を裏切ったと息巻いているわけだ。ついにやった、とな」
「……で、でも……その話じゃあ、親父さんが犯罪者だったって事自体、決めつけじゃねえか! それで元就もやりかねないなんて……そんな、そんなの馬鹿げてる!」
「そうだな、馬鹿げとる。だがな、元親。どんなに馬鹿げとる事でも、皆で口を揃えればそれが正しくなるのが世の中なんだ」
父にそう言われて、元親はカッと熱くなるのを感じた。
「皆が、皆でアイツを犯人だって言えば、アイツはやったって言うわけか!? 順序が逆だろうがよ! やったかやってないか判らないのに、結論は皆で出しちまうってか!? 何のために警察や裁判所が有るってんだ、そんなの……そんなの意味が無ぇだろうがよ! 俺は、俺は絶対に信じねえ! 毛利はそんな奴じゃない、絶対だ!」
「元親」
「アイツら親子は、あの森でひっそり暮らしてたじゃねえか! 原始人みてぇな暮らしで、皆から冷たい眼で見られるのにも、何にも仕返ししなかったじゃねえか! なのになんで勝手にアイツを敵視するんだよ、アイツが何をしたってんだ、何を、何を、……ちくしょう、……っ」
「元親、落ち着け」
「これが落ち着けるか! もし元就がそれで……それで居場所を失ったり……っ、アイツのおふくろみたいに死んじまったら……俺は絶対にこの村の連中を許さない! 皆殺しにしてやる……っ!」
「落ち着け」
もう一度言われて、元親は何とか黙る。身体が怒りに震えて止まらなかった。村の連中の浅はかさや、汚さにどす黒い感情が胸のあたりを駆け巡る。そんな元親に、父は静かに言う。
「警察が疑って、調べているんだ。それで何かが出るなら、お前も諦めねばならない。だが何も出なかったか、あるいは彼が無実だと証明された時に、帰ってくる場所を守ってやらねばならない。……お前には悪いが、わしらにはこの村の一員として、この村全体の意思に従わなくてはならない。もちろん、この村全体の意思とは、犯罪者である彼を許してはならない、というものであって、それ以上ではない。彼に嫌がらせをし、彼を傷付ける事や、まして無実の彼から居場所を奪う事じゃあない。判るか?」
「……」
「彼が弘元や、その妻と同じ道を辿らないように、お前が守るんだ。皆本当は判っているんだ。決めつける事は良くないとね。それでも結論を出さないと、いけない事が有る。間違った結論を信じる事も有る。そんな皆の目を覚まさせてやってくれ。攻撃は彼本人が居ない以上、彼にまつわる物に集中する。しかしお前や明智のは、村の一員だ。彼らはお前達を攻撃したいとは思っていない。辛いだろうが、苦しいだろうが……守ってやれ。人は一人でも支えが有れば、持ち直す事は出来る。……すまん」
父はそう言って、頭を垂れた。元親は、何も答えれなかった。
+++
一人でも、居てくれれば、耐えれる事も有るんですけど
その一人さえ、見つからない事も多くて
ましてその一人さえ、時には憎く思うものです……
PR
■ この記事にコメントする
プロフィール
Google Earthで秘密基地を探しています
HN:
メディアノクス
性別:
非公開
趣味:
妄想と堕落
自己紹介:
浦崎谺叉琉と美流=イワフジがてんやわんや。
二人とも変態。永遠の中二病。
二人とも変態。永遠の中二病。
カレンダー
12 | 2025/01 | 02 |
S | M | T | W | T | F | S |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 2 | 3 | 4 | |||
5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 | 11 |
12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 | 18 |
19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 | 25 |
26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
カテゴリー
メロメロパーク
ひつじです。
ブログ内検索
最新コメント
[02/11 美流]
[02/10 通りすがリィ]
[02/10 通りすがリィ]
[07/28 谷中初音町]
[07/02 美流]
最新記事
(04/26)
(04/26)
(04/23)
(04/21)
(04/20)
カウンター
"オクラサラダボウル"