毛利は音痴だと思う、それを気にしているかどうかは別にして
サンデーと双子設定だと、毛利は低い方3音、サンデーは高い方3音しかない
双子設定は地味に色々考えてるんだけど、雑然とし過ぎてて話にはならないです
サンデーは親切心で何かしでかし、毛利は真剣に何かしでかす
そんな同棲生活なんですけどね
以下、あきらめの5 こっちも諦めた
サンデーと双子設定だと、毛利は低い方3音、サンデーは高い方3音しかない
双子設定は地味に色々考えてるんだけど、雑然とし過ぎてて話にはならないです
サンデーは親切心で何かしでかし、毛利は真剣に何かしでかす
そんな同棲生活なんですけどね
以下、あきらめの5 こっちも諦めた
眼が覚めた。既に日は高くなっている。隣では疲れ果てた元就が、大の字に近い形で寝ている。元親はそれをそっと布団に戻してやった。相変わらず寝相は最低だ。元親は元就の頬を撫でて、それから下の階へと降りた。
この家では、眼が覚めた時が朝だ。時計などは無いから、適当に時間を計る。冷蔵庫を開けて、何か食べ物は無いか、と探す。黒い麦茶、謎の果実、雑草の束、得体の知れない卵……元親は大いに悩んでいた。
と、じゃりじゃりと足音が聞こえた。振り返ると、庭にひょろ長い男が立っている。白い髪が、揺れていた。
「よう、光秀じゃねえか」
元親が声をかける。光秀も「おはようございます」と低い声で応じて、縁側に腰掛けた。元親もそこに行くと、光秀はおむすびを持っている。
「お、飯じゃあねえか」
「ええ。貴方が困っているだろうと思って。ここでは普通の食べ物にはありつけませんからね。どうぞ」
元親はありがたく受け取って、黒々した麦茶と共に、それを朝食にした。もぐもぐしながら、元親は改めて光秀を見る。不健康そうな見た目はそのままだが、異様に細長くなった。顔つきも端正になって、大人びている。元親はあの時の事を思い出した。危篤だ、と言われ、ベッドに沈んだ光秀を前に、皆で大泣きをした。今思えば、馬鹿らしい話だ。
「ったく。テメェは本当にどうなってやがるんだ? あれからすっかり元気になっちまって」
「どういう事でしょうねえ。私もよく判りません。毛利殿の不衛生療法が聞いたのか、あるいは毛利殿は神の子で、私はそのキスで救われたのかもしれない」
光秀はそう笑って、元親を見た。元親はガリガリと頭を書いて、おむすびを口に放り込む。
光秀は危篤になり、見舞いに駆け付けた元就は、彼にキスをした。それから光秀は三日三晩、生死の境をさまよって、それからすっかり健康体になってしまった。医者も驚く回復力で、光秀は以前の病弱ぶりが嘘のような元気さを手に入れる。
理由はさっぱり判らない。本当に元就が、そういう力を持っていたのかもしれないし、そうでないのかもしれない。何もかも判らないが、光秀が間近な死から逃れられた事は事実だ。彼もまた、元就と同じように、自由奔放に生き始めた。
「しかし、運がいいのやら、悪いのやら。お互い、まだ生きている事には感謝しなくてはいけませんが……随分酷い怪我らしいですね。流石の毛利殿でも、治す事は出来ないでしょう」
光秀は元親の顔を見ずに言う。元親も「ん」と気の無い返事をした。治る事にはもう、期待していなかった。失われた物が戻って来る筈がないのだ。まだ有るならまだしも。
「この村を飛び出して。毛利殿を捨てて。それで貴方は何を得ましたか?」
「んだよ。馬鹿にしたいのか?」
「いいえ。全ての経験には、学ぶものが有ってしかるべきです。たとえ貴方にそんな気が無くても。それが、貴方の逃避でしかなかったとしても。貴方は何かを得たはずだ」
「手厳しいな」
元親は苦笑して、空を見た。雲が僅かに流れている。あの時と変わらない。その空が、少し狭いという事以外は、何も。
+
光秀の入院騒ぎから、元親は元就に会わなくなった。失望したのも有るし、高校受験が迫ったからでもある。この村には高校が無い。どうしても、町の高校に通わなくてはいけない。それならせめて良い条件の高校を、と、皆受験勉強に勤しむ。元親も例外ではなかった。相変わらず勉強は嫌いだったし、学校には行きたくなかったが、そうするしかなかった。
元就は、草や鳥の名は沢山知っていたけれど、もう代数の事はあまり判っていないようだった。自然の摂理は知っていたけれど、確立計算をする事はしなかった。そうして元親は、急速に元就への興味を失った。それはある日、何でもできる魔法使いのような祖父母が、ただの老人へと変わってしまうような、そんな瞬間だった。元親はあるジャンルで、元就を大きく越えた。その時、彼は元就の全てを越えたと錯覚してしまった。もう元就に価値が無いと、思ってしまったのだ。
それは手に入らない物をつまらない物とみなす、防衛機制の一つだと、元親はまだ知らなかった。そういう物が有ると知っていても、それを自分がしているとは思わなかった。元親は元就を酸っぱい葡萄とみなして、もう見なかった。
だから元親は、元就を好きだった理由や、元就を支えたいと思っていた事実を忘れ、放り出した。その結果、元親はそのチャンスを失ってしまった。取り返しのつかない時間が流れた事が、ますます二人の溝を深くした。
ある日曜日、元親が机に向かって参考書を睨んでいると、救急車が走った。元就の家の方へ走って行く。元親は真っ青になって、元就の家へと走って行った。元就に何か有ったのかもしれない。それは不思議な事ではなかった。奔放に暮らしすぎていた。毒キノコなどを食べて死んでもおかしくはない。元親は走って、それからもし元就が死んだらと考える。寒気がした。それを振り払って、救急車と所へ。
担架に乗せられていたのは、痩せ細った大人の男だった。見た事が無い。後で元親は、それが元就の父親だと気付いた。あれほど遊んだのに、一度も見た事がなかった、元就の父、弘元。彼が土色の顔で、担架に乗せられていた。
救急車に担架が乗せられる。その後を追って、元就が救急車に乗ろうとやって来た。その表情に元親は驚いた。疲れ果てた、憔悴しきった顔だった。そんな顔は見た事がない。いつも楽しそうで、いつも飄々としていたのに。元就は泣いていた。俯いて、虚空を見つめていた。
やがて元就が元親に気付いた。彼は無理に笑みを作ろうとしたから、とても変な表情を浮かべた。元親はそれを笑えなかった。今すぐ駆け寄って、抱きしめてやらなくてはと思った。
――出来なかった。
足を止めたのは、プライドとか、失望とか、とてつもなくどうでもいい、その時の元親にとっては重大な問題だった。後で振り返れば、笑ってしまうほど下らない物が、元親を縛っていた。元就はやがて救急車の中に消えた。元親はそれを茫然と見送る事しか出来なかった。
元就の父は死んだらしい。
村では、彼が都会に引き取られると、まことしやかに噂された。誰も弘元の死を悲しんではいなかった。むしろ喜んでいた。これで厄介者がいなくなる、と。
弘元が、元就が何をしたというのだろう。どんな厄介事を招いたというのだろう。ただこの森の中で、ひっそりと暮らしていたというそれだけで、どうしてこれほど憎まれるのだろう。
元親には判らなかった。
やがて元就は帰って来た。見慣れぬ車が元就の家に走ったので、元親も行ってみた。着いた頃には車は居なくなっていて、元就の家の前に、黒い服に身を包んだ彼が立っていた。
茫然と、ただその庭に立ち尽くしていた。こちらに背を向けていたから、表情は見えない。それでも元親には、判った。彼が泣いている事ぐらい。彼が嘆いている事ぐらい。彼が苦しんでいる事ぐらい。
誰か、支えないと乗り越えられない事ぐらい。
気付くと元親は元就の側に居た。元就は泣きはらした顔で、元親を見る。元就は何も言わなかった。元親もまた、何も言わないで、彼をただ抱きしめた。
言うべき事など何も無かった。ただお互い抱きしめあって、分かち合った。元就の眼からぽろぽろ涙が零れて止まらなかった。彼は声も上げず、ただ涙を溢れさせた。元親はその背を撫でて、いつまでもそうして抱きしめていた。
それでも、元親は元就と復縁しようという気にはなれなかった。目下、彼は試験の過去問題を解かねばならず、また元就には自分で無くとも、光秀が居た。元親はそうして、自分が元就と復縁する理由をかき消した。そうして自分を守ったのだと、その時の元親には判らなかった。
高校に受かり。寮生活が始まるという時に、元親の心は少々揺らいだ。だから元親は卑怯にも、光秀に言った。
「あいつに、悪かったって、身体に気をつけてくれって、伝えてくれねえか」
「ご自分で言えばいいじゃあないですか」
「……頼むよ。あいつに……悪い事した。あいつには世話になったのに。……頼む」
「悪い事をしたと思うなら、面と向かってお言いなさい。私は何も伝えません」
光秀は素っ気なく断り。そして元親はその勇気が出ず。
結局、元親は何も言わないまま、村を後にした。
+++
死亡フラグと思いきや、ピンピンしてたみったん。むしろ治っちゃったみったん。
セリフの書き忘れとかでちょっと通らない部分有りますが、後で修正します。
この家では、眼が覚めた時が朝だ。時計などは無いから、適当に時間を計る。冷蔵庫を開けて、何か食べ物は無いか、と探す。黒い麦茶、謎の果実、雑草の束、得体の知れない卵……元親は大いに悩んでいた。
と、じゃりじゃりと足音が聞こえた。振り返ると、庭にひょろ長い男が立っている。白い髪が、揺れていた。
「よう、光秀じゃねえか」
元親が声をかける。光秀も「おはようございます」と低い声で応じて、縁側に腰掛けた。元親もそこに行くと、光秀はおむすびを持っている。
「お、飯じゃあねえか」
「ええ。貴方が困っているだろうと思って。ここでは普通の食べ物にはありつけませんからね。どうぞ」
元親はありがたく受け取って、黒々した麦茶と共に、それを朝食にした。もぐもぐしながら、元親は改めて光秀を見る。不健康そうな見た目はそのままだが、異様に細長くなった。顔つきも端正になって、大人びている。元親はあの時の事を思い出した。危篤だ、と言われ、ベッドに沈んだ光秀を前に、皆で大泣きをした。今思えば、馬鹿らしい話だ。
「ったく。テメェは本当にどうなってやがるんだ? あれからすっかり元気になっちまって」
「どういう事でしょうねえ。私もよく判りません。毛利殿の不衛生療法が聞いたのか、あるいは毛利殿は神の子で、私はそのキスで救われたのかもしれない」
光秀はそう笑って、元親を見た。元親はガリガリと頭を書いて、おむすびを口に放り込む。
光秀は危篤になり、見舞いに駆け付けた元就は、彼にキスをした。それから光秀は三日三晩、生死の境をさまよって、それからすっかり健康体になってしまった。医者も驚く回復力で、光秀は以前の病弱ぶりが嘘のような元気さを手に入れる。
理由はさっぱり判らない。本当に元就が、そういう力を持っていたのかもしれないし、そうでないのかもしれない。何もかも判らないが、光秀が間近な死から逃れられた事は事実だ。彼もまた、元就と同じように、自由奔放に生き始めた。
「しかし、運がいいのやら、悪いのやら。お互い、まだ生きている事には感謝しなくてはいけませんが……随分酷い怪我らしいですね。流石の毛利殿でも、治す事は出来ないでしょう」
光秀は元親の顔を見ずに言う。元親も「ん」と気の無い返事をした。治る事にはもう、期待していなかった。失われた物が戻って来る筈がないのだ。まだ有るならまだしも。
「この村を飛び出して。毛利殿を捨てて。それで貴方は何を得ましたか?」
「んだよ。馬鹿にしたいのか?」
「いいえ。全ての経験には、学ぶものが有ってしかるべきです。たとえ貴方にそんな気が無くても。それが、貴方の逃避でしかなかったとしても。貴方は何かを得たはずだ」
「手厳しいな」
元親は苦笑して、空を見た。雲が僅かに流れている。あの時と変わらない。その空が、少し狭いという事以外は、何も。
+
光秀の入院騒ぎから、元親は元就に会わなくなった。失望したのも有るし、高校受験が迫ったからでもある。この村には高校が無い。どうしても、町の高校に通わなくてはいけない。それならせめて良い条件の高校を、と、皆受験勉強に勤しむ。元親も例外ではなかった。相変わらず勉強は嫌いだったし、学校には行きたくなかったが、そうするしかなかった。
元就は、草や鳥の名は沢山知っていたけれど、もう代数の事はあまり判っていないようだった。自然の摂理は知っていたけれど、確立計算をする事はしなかった。そうして元親は、急速に元就への興味を失った。それはある日、何でもできる魔法使いのような祖父母が、ただの老人へと変わってしまうような、そんな瞬間だった。元親はあるジャンルで、元就を大きく越えた。その時、彼は元就の全てを越えたと錯覚してしまった。もう元就に価値が無いと、思ってしまったのだ。
それは手に入らない物をつまらない物とみなす、防衛機制の一つだと、元親はまだ知らなかった。そういう物が有ると知っていても、それを自分がしているとは思わなかった。元親は元就を酸っぱい葡萄とみなして、もう見なかった。
だから元親は、元就を好きだった理由や、元就を支えたいと思っていた事実を忘れ、放り出した。その結果、元親はそのチャンスを失ってしまった。取り返しのつかない時間が流れた事が、ますます二人の溝を深くした。
ある日曜日、元親が机に向かって参考書を睨んでいると、救急車が走った。元就の家の方へ走って行く。元親は真っ青になって、元就の家へと走って行った。元就に何か有ったのかもしれない。それは不思議な事ではなかった。奔放に暮らしすぎていた。毒キノコなどを食べて死んでもおかしくはない。元親は走って、それからもし元就が死んだらと考える。寒気がした。それを振り払って、救急車と所へ。
担架に乗せられていたのは、痩せ細った大人の男だった。見た事が無い。後で元親は、それが元就の父親だと気付いた。あれほど遊んだのに、一度も見た事がなかった、元就の父、弘元。彼が土色の顔で、担架に乗せられていた。
救急車に担架が乗せられる。その後を追って、元就が救急車に乗ろうとやって来た。その表情に元親は驚いた。疲れ果てた、憔悴しきった顔だった。そんな顔は見た事がない。いつも楽しそうで、いつも飄々としていたのに。元就は泣いていた。俯いて、虚空を見つめていた。
やがて元就が元親に気付いた。彼は無理に笑みを作ろうとしたから、とても変な表情を浮かべた。元親はそれを笑えなかった。今すぐ駆け寄って、抱きしめてやらなくてはと思った。
――出来なかった。
足を止めたのは、プライドとか、失望とか、とてつもなくどうでもいい、その時の元親にとっては重大な問題だった。後で振り返れば、笑ってしまうほど下らない物が、元親を縛っていた。元就はやがて救急車の中に消えた。元親はそれを茫然と見送る事しか出来なかった。
元就の父は死んだらしい。
村では、彼が都会に引き取られると、まことしやかに噂された。誰も弘元の死を悲しんではいなかった。むしろ喜んでいた。これで厄介者がいなくなる、と。
弘元が、元就が何をしたというのだろう。どんな厄介事を招いたというのだろう。ただこの森の中で、ひっそりと暮らしていたというそれだけで、どうしてこれほど憎まれるのだろう。
元親には判らなかった。
やがて元就は帰って来た。見慣れぬ車が元就の家に走ったので、元親も行ってみた。着いた頃には車は居なくなっていて、元就の家の前に、黒い服に身を包んだ彼が立っていた。
茫然と、ただその庭に立ち尽くしていた。こちらに背を向けていたから、表情は見えない。それでも元親には、判った。彼が泣いている事ぐらい。彼が嘆いている事ぐらい。彼が苦しんでいる事ぐらい。
誰か、支えないと乗り越えられない事ぐらい。
気付くと元親は元就の側に居た。元就は泣きはらした顔で、元親を見る。元就は何も言わなかった。元親もまた、何も言わないで、彼をただ抱きしめた。
言うべき事など何も無かった。ただお互い抱きしめあって、分かち合った。元就の眼からぽろぽろ涙が零れて止まらなかった。彼は声も上げず、ただ涙を溢れさせた。元親はその背を撫でて、いつまでもそうして抱きしめていた。
それでも、元親は元就と復縁しようという気にはなれなかった。目下、彼は試験の過去問題を解かねばならず、また元就には自分で無くとも、光秀が居た。元親はそうして、自分が元就と復縁する理由をかき消した。そうして自分を守ったのだと、その時の元親には判らなかった。
高校に受かり。寮生活が始まるという時に、元親の心は少々揺らいだ。だから元親は卑怯にも、光秀に言った。
「あいつに、悪かったって、身体に気をつけてくれって、伝えてくれねえか」
「ご自分で言えばいいじゃあないですか」
「……頼むよ。あいつに……悪い事した。あいつには世話になったのに。……頼む」
「悪い事をしたと思うなら、面と向かってお言いなさい。私は何も伝えません」
光秀は素っ気なく断り。そして元親はその勇気が出ず。
結局、元親は何も言わないまま、村を後にした。
+++
死亡フラグと思いきや、ピンピンしてたみったん。むしろ治っちゃったみったん。
セリフの書き忘れとかでちょっと通らない部分有りますが、後で修正します。
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