大変でした……きっつい仕事ですよ……今日もですけど
関口君は確かに愛すべき存在で当然ながら受けだと思いますが
僕はそれ以上に京極堂を泣かせたいと心から思います
二年ぐらい前に
アニキは確かに愛すべき存在で当然ながら受けだと思いますが
僕はそれ以上にオクラを泣かせたいと心から思います
と言ってた気がする
ハードルが高すぎるから創作には手をつけんと思いますがね
以下、昨日の続き。まだ小ネタでタイトルも無い。
いっそ無題というタイトルでいい気もしてきた
関口君は確かに愛すべき存在で当然ながら受けだと思いますが
僕はそれ以上に京極堂を泣かせたいと心から思います
二年ぐらい前に
アニキは確かに愛すべき存在で当然ながら受けだと思いますが
僕はそれ以上にオクラを泣かせたいと心から思います
と言ってた気がする
ハードルが高すぎるから創作には手をつけんと思いますがね
以下、昨日の続き。まだ小ネタでタイトルも無い。
いっそ無題というタイトルでいい気もしてきた
政宗が壊れた。
正確には、同じシーンの11回目のNGを出してカットし、12回目の本番が始まった直後、政宗は過呼吸を起こして倒れてしまった。
あんな無責任なプー野郎にも、緊張とか有ったのか、と元親は案ずるより先に感心したほどだった。それほど政宗は緊張感も責任感も持っているようには見えなかったのだ。しかしそういえば、元就は政宗も真剣に取り組んでいると言ったらしいから、そういう意味では元親の目線が間違っていた事になる。
幸い軽い過呼吸だったらしく、控え室に戻ってビニール袋でなんとか政宗は正常を取り戻したらしいが、その手当てに当たったマネージャーの片倉小十郎は、苦い顔をして現場に戻って来た。政宗はしばらく休ませて欲しい、とのことだ。
小十郎は元親のマネージャーでも有る。だが政宗ほどは親しくない。なんでも小十郎は政宗の父に多大な恩が有って云々らしいので、政宗にばかり入れ込んでいるのだ。
小十郎は監督や脚本の所に行って、まずは大層頭を下げて謝罪してから、本題に入った。
政宗は、日本語が出来ない、という事だった。
一時期、英才教育だといって、幼少時から詰め込み教育をするのが推奨された時期が有る。そのような塾や施設には当然、そこそこ金が有ってかつ本気の親しか子供を入れない。政宗はその一人だった。
幼い頃からネイティブな英語に触れ、英語を聞き英語を喋って育ったのだ。これで楽にバイリンガルが作れる、という構想だった。
どっこい、その教育によって作られた子供は、幼少時から英語ばかりを習うから、日本人として日本に居ながら、日本語が判らない子供になるという結果が待っていたのだった。
「政宗もその一人で、……英語は達者なのですが、どうにも日本語のほうは、同世代の子供に比べれば成長が遅くて、台本などの日本語を覚えるのは苦痛であり、かつ無理なようなのです」
小十郎はいつ殴られるか、というような顔で静かにそう監督達に説明している。そりゃそうだろ、そんな話は先にしとけよってところだ、と元親は思った。そのような話は、元親でさえ知らなかったのだ。
「無論政宗も、そのような環境である事を言い訳に、自分を甘やかす事を望まなかったからこの仕事を受けたのですが、なにしろ限界というものが有って、その……」
小十郎は一度言いよどんで、それから諦めたように言った。
「それでその、彼の役のセリフを、普段の彼のように、英語交じりにさせてやってはくれませんか」
無茶な注文ではあったが、無理な話ではなかった。
幸い、まだ撮影が始まって間も無い。政宗の撮影が本格的に行われるのはこれからで、故にこれからセリフが変更されてもおかしくはない。だが視聴者が政宗の喋り方をふざけた態度だと受け取らないか、そこが問題だった。
しかし試しに撮影してみると、これが面白い。政宗は慣れない日本語から解放されて、今までのつっかえつっかえの棒読みよりも断然活き活きと喋り始めた。彼にとって難しい日本語は簡単な英語にすりかわって、キャラクターに個性が生まれた。脚本はキャラクターに命が宿ったのだ、と呟いていたが、確かにそうかもしれない。政宗は無理難題だったセリフの暗唱を止めたおかげで、体も動くようになった。仕草や動きが自然で明るい。探偵の親類という設定だから、政宗のキャラクターが多少素っ頓狂で変でも不自然ではない。政宗はよく笑うようになった。代わりに小十郎は時折胃薬を飲むようになったが。
だがそうして自分だけが楽なほうに解放されたことを、後ろめたくは思っていたらしい。ある日、休憩時間に政宗は元就のところに行って頭を下げた。
「毛利サン、悪い。頑張ろうと思ってたんだけど、やっぱ俺、まだ早かったみたいで」
その雑な喋り方が外人の片言日本語が少し成長した程度のものなのか、と元親は不思議な気持ちになった。どう見ても日本人であるし、日本語が苦手で、と言ったらそこらの馬鹿な連中と同じじゃないかと思いたくもなる。だが政宗にとっては日本語は最も難解な学問なのだろう。体で覚えたのが英語のほうだったのだから。
政宗は自分のやった事が元就の機嫌を損ねていないか不安だったらしい。不安に思う、という感覚が有るのだ、という事にまた元親は感心した。元親にとって友人であるはずの政宗は、何処までも馬鹿で無頓着で飄々としていたから、こういう人間らしい部分を知って少々困っていた。
俺は友人の事を何も知らないのだ。
「……構わぬ。誰にとて、限界はあるし、その限界が全て同じ場所に有るわけではない。ど素人にハリウッドスターの演技をしろと言うても無理だ」
元就は特に表情を変えずに、政宗に言う。
「お前のセリフも妙なものだが、以前より不思議と自然だ。だから良いのではないか? 関東人は関西人の役をしにくいと言うし、それと同じだ。用は、お前がお前なりに精一杯努力をしていれば、ひとまずはそれでいい。お前は頑張っているし、真剣だ。我に気を使う必要は無い」
これからも、無理をせず頑張るが良い。
元就がそういうと、政宗は目を輝かして彼に抱きついた。元就は困ったような顔をしていたが、政宗は「あんた、いい人だよ、大好きだ!」と大仰にジェスチャーして、あげく頬にキスまでして「ひゃほーう!」と飛びながら何処かに行ってしまった。なるほど、これは外人らしい、と元親は冷静に思った。ロシア人のクォーターである元親より、政宗はよほど外人らしかった。
キスをされた元就を見ると、彼は困ったように顔を撫でていたが、それは拭うとか言う感じではなかったので、本気で嫌がっているわけではないようだった。それゆえ、先ほどの発言が元就の本心であるだろう事がわかって、元親は笑いながら元就の側に歩いて行った。
「あんた、いい奴なんだな。プロなんだからもっと、いやみったらしいかと思ったのに」
元親がそう言うと元就は小さく笑って「そうだな」と頷く。
「そのような大人と長い間付き合ってきたから、我はしたくないのかもしれぬ」
「反面教師って奴か?」
「うむ。それに、……結局このようなことは、好きか嫌いか、真剣かそうでないかの問題だと思うのだ。どのような大根役者も、普段は生きておる人間だ。人間なのに人間になれぬとはおかしいではないか。それはつまり、特殊な環境に触れて人間は人間である事を忘れてしまうという事であろう。だから真剣に、心から演技をするという事は逆に言って自然体に戻るという事でもある。……好きで、やりたいと、頑張りたいと思うならすればいい、それだけの事なのだ、結局」
「随分極論するんだなあ。才能が有るから、とかじゃないのか?」
「才能……才能は、有るのだとしたらそれは後からついてくるものだ。最初に有るのは、やる気と、好きだという感情、あるいはやむをえない事情だ。……我も、小さい頃は父の言うとおりに喋り動けば後でケーキを買ってくれるからと思うて頑張ったものよ」
「へぇ、子供らしい子供だったんだなあ。そうだよな、親に褒められたりするのって、嬉しいもんなあ」
元親はただ感心して言っただけだった。だが元就は途端に表情を凍りつかせて、黙ってしまった。その事に元親は困惑して、「どうした?」と尋ねる。元就はしばらく黙っていたが、やがて首を振って言った。
「いや、……つまり動機や事情はどうでもいいのだ、その後、自発的な感情が生まれるか生まれないか、それだけが大切なのだ。結果はともかくな。その結果、ダメなのならばダメなのだ。それだけの話なのかもしれぬ」
元就はそれだけ言うと、「すまぬ」と言って席を離れて、何処かに行ってしまった。なにか悪い事を言ってしまったのだろうか、と元親は不安に思ったが、その後も元就は普通に接してくれたので、元親はますます元就という人間がわからなくなった。
++++++
伊達語は気を抜くとルー語になりかねないので省いてます申し訳ない
正確には、同じシーンの11回目のNGを出してカットし、12回目の本番が始まった直後、政宗は過呼吸を起こして倒れてしまった。
あんな無責任なプー野郎にも、緊張とか有ったのか、と元親は案ずるより先に感心したほどだった。それほど政宗は緊張感も責任感も持っているようには見えなかったのだ。しかしそういえば、元就は政宗も真剣に取り組んでいると言ったらしいから、そういう意味では元親の目線が間違っていた事になる。
幸い軽い過呼吸だったらしく、控え室に戻ってビニール袋でなんとか政宗は正常を取り戻したらしいが、その手当てに当たったマネージャーの片倉小十郎は、苦い顔をして現場に戻って来た。政宗はしばらく休ませて欲しい、とのことだ。
小十郎は元親のマネージャーでも有る。だが政宗ほどは親しくない。なんでも小十郎は政宗の父に多大な恩が有って云々らしいので、政宗にばかり入れ込んでいるのだ。
小十郎は監督や脚本の所に行って、まずは大層頭を下げて謝罪してから、本題に入った。
政宗は、日本語が出来ない、という事だった。
一時期、英才教育だといって、幼少時から詰め込み教育をするのが推奨された時期が有る。そのような塾や施設には当然、そこそこ金が有ってかつ本気の親しか子供を入れない。政宗はその一人だった。
幼い頃からネイティブな英語に触れ、英語を聞き英語を喋って育ったのだ。これで楽にバイリンガルが作れる、という構想だった。
どっこい、その教育によって作られた子供は、幼少時から英語ばかりを習うから、日本人として日本に居ながら、日本語が判らない子供になるという結果が待っていたのだった。
「政宗もその一人で、……英語は達者なのですが、どうにも日本語のほうは、同世代の子供に比べれば成長が遅くて、台本などの日本語を覚えるのは苦痛であり、かつ無理なようなのです」
小十郎はいつ殴られるか、というような顔で静かにそう監督達に説明している。そりゃそうだろ、そんな話は先にしとけよってところだ、と元親は思った。そのような話は、元親でさえ知らなかったのだ。
「無論政宗も、そのような環境である事を言い訳に、自分を甘やかす事を望まなかったからこの仕事を受けたのですが、なにしろ限界というものが有って、その……」
小十郎は一度言いよどんで、それから諦めたように言った。
「それでその、彼の役のセリフを、普段の彼のように、英語交じりにさせてやってはくれませんか」
無茶な注文ではあったが、無理な話ではなかった。
幸い、まだ撮影が始まって間も無い。政宗の撮影が本格的に行われるのはこれからで、故にこれからセリフが変更されてもおかしくはない。だが視聴者が政宗の喋り方をふざけた態度だと受け取らないか、そこが問題だった。
しかし試しに撮影してみると、これが面白い。政宗は慣れない日本語から解放されて、今までのつっかえつっかえの棒読みよりも断然活き活きと喋り始めた。彼にとって難しい日本語は簡単な英語にすりかわって、キャラクターに個性が生まれた。脚本はキャラクターに命が宿ったのだ、と呟いていたが、確かにそうかもしれない。政宗は無理難題だったセリフの暗唱を止めたおかげで、体も動くようになった。仕草や動きが自然で明るい。探偵の親類という設定だから、政宗のキャラクターが多少素っ頓狂で変でも不自然ではない。政宗はよく笑うようになった。代わりに小十郎は時折胃薬を飲むようになったが。
だがそうして自分だけが楽なほうに解放されたことを、後ろめたくは思っていたらしい。ある日、休憩時間に政宗は元就のところに行って頭を下げた。
「毛利サン、悪い。頑張ろうと思ってたんだけど、やっぱ俺、まだ早かったみたいで」
その雑な喋り方が外人の片言日本語が少し成長した程度のものなのか、と元親は不思議な気持ちになった。どう見ても日本人であるし、日本語が苦手で、と言ったらそこらの馬鹿な連中と同じじゃないかと思いたくもなる。だが政宗にとっては日本語は最も難解な学問なのだろう。体で覚えたのが英語のほうだったのだから。
政宗は自分のやった事が元就の機嫌を損ねていないか不安だったらしい。不安に思う、という感覚が有るのだ、という事にまた元親は感心した。元親にとって友人であるはずの政宗は、何処までも馬鹿で無頓着で飄々としていたから、こういう人間らしい部分を知って少々困っていた。
俺は友人の事を何も知らないのだ。
「……構わぬ。誰にとて、限界はあるし、その限界が全て同じ場所に有るわけではない。ど素人にハリウッドスターの演技をしろと言うても無理だ」
元就は特に表情を変えずに、政宗に言う。
「お前のセリフも妙なものだが、以前より不思議と自然だ。だから良いのではないか? 関東人は関西人の役をしにくいと言うし、それと同じだ。用は、お前がお前なりに精一杯努力をしていれば、ひとまずはそれでいい。お前は頑張っているし、真剣だ。我に気を使う必要は無い」
これからも、無理をせず頑張るが良い。
元就がそういうと、政宗は目を輝かして彼に抱きついた。元就は困ったような顔をしていたが、政宗は「あんた、いい人だよ、大好きだ!」と大仰にジェスチャーして、あげく頬にキスまでして「ひゃほーう!」と飛びながら何処かに行ってしまった。なるほど、これは外人らしい、と元親は冷静に思った。ロシア人のクォーターである元親より、政宗はよほど外人らしかった。
キスをされた元就を見ると、彼は困ったように顔を撫でていたが、それは拭うとか言う感じではなかったので、本気で嫌がっているわけではないようだった。それゆえ、先ほどの発言が元就の本心であるだろう事がわかって、元親は笑いながら元就の側に歩いて行った。
「あんた、いい奴なんだな。プロなんだからもっと、いやみったらしいかと思ったのに」
元親がそう言うと元就は小さく笑って「そうだな」と頷く。
「そのような大人と長い間付き合ってきたから、我はしたくないのかもしれぬ」
「反面教師って奴か?」
「うむ。それに、……結局このようなことは、好きか嫌いか、真剣かそうでないかの問題だと思うのだ。どのような大根役者も、普段は生きておる人間だ。人間なのに人間になれぬとはおかしいではないか。それはつまり、特殊な環境に触れて人間は人間である事を忘れてしまうという事であろう。だから真剣に、心から演技をするという事は逆に言って自然体に戻るという事でもある。……好きで、やりたいと、頑張りたいと思うならすればいい、それだけの事なのだ、結局」
「随分極論するんだなあ。才能が有るから、とかじゃないのか?」
「才能……才能は、有るのだとしたらそれは後からついてくるものだ。最初に有るのは、やる気と、好きだという感情、あるいはやむをえない事情だ。……我も、小さい頃は父の言うとおりに喋り動けば後でケーキを買ってくれるからと思うて頑張ったものよ」
「へぇ、子供らしい子供だったんだなあ。そうだよな、親に褒められたりするのって、嬉しいもんなあ」
元親はただ感心して言っただけだった。だが元就は途端に表情を凍りつかせて、黙ってしまった。その事に元親は困惑して、「どうした?」と尋ねる。元就はしばらく黙っていたが、やがて首を振って言った。
「いや、……つまり動機や事情はどうでもいいのだ、その後、自発的な感情が生まれるか生まれないか、それだけが大切なのだ。結果はともかくな。その結果、ダメなのならばダメなのだ。それだけの話なのかもしれぬ」
元就はそれだけ言うと、「すまぬ」と言って席を離れて、何処かに行ってしまった。なにか悪い事を言ってしまったのだろうか、と元親は不安に思ったが、その後も元就は普通に接してくれたので、元親はますます元就という人間がわからなくなった。
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伊達語は気を抜くとルー語になりかねないので省いてます申し訳ない
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