そんな気分になったんでこの間の奴の元就サイドを
途中までです。
途中までです。
父上は仰天して、母上も大層必死に我を説得なさっていたが、我の気持ちは変わらなかった。我はおまわりさんになるのだ。兄上のような、立派な。
我が毛利家はエリート中のエリート、父は議員で母も某という議員の妹だか姉だか娘だか。要するに我は興味が無いので良く知らぬ。兄上は父上の反対を押し切って、おまわりさんになられた。大層良いおまわりさんで、皆からの信頼も厚いという。流石は兄上。
だから我も兄上の後を追うのだ、とずっと以前から決めていた事を食卓で話したら、父上は仰天して飲んでいた酒を吹き出したほどだった。何を驚くのであろう。確かに父上の用意してくれた大学に入り、主席で卒業の予定だが、我はおまわりさんになりたいのだ。現場は足で回るものなのだ。それはエリート組になりたいという事か、と問われたので、地方で子供達やお年寄りの為にパトロールをするのです、と答えたら母が卒倒した。何故だ。
ともかく我は生まれて初めての親子喧嘩を経て、無事におまわりさんになれたのだ。が。
兄上の評判が良いらしく、配属先の先輩方(父上は彼らの事を捨て駒と呼ぶよう指導なさったので、心の中では捨て駒と呼んでおる)は大層優しくしてくれた。おかげで全く仕事が回ってこないではないか。
試しに我が書類の処理をするといっても「元就様はごゆるりと!」と椅子を差し出され座らされ茶と羊かんを出される。食べ物を粗末には出来ぬから、羊かんを食っている間に仕事は終わってしまう。これでは何も出来ないではないか。備え付けの冷蔵庫を空けたらギッチリ羊かんが詰まっておった。さては奴らめ、我に仕事をさせぬつもりだな。
我はこっそりとパトロールに出かけた。残念ながら我はチャリというのに乗れないので、のろのろとそこらへんを歩くという作業だ。だが街は平和そのもので、不謹慎ながら我は不服だった。しかも振り返ると捨て駒が居た。備考に気付かぬとはなんたる不覚。
我はそうしてのんびりとした生活を送っていたのだが。しかしこれではいけないと我は立ち上がった。事件を解決するのだ。そう、おまわりさんは現場に居るもので、こんな詰め所で延々と羊かんを食っているものではないのだ。
近頃対策本部が置かれた殺人事件に我は目をつけた。なにやら男がハッテンバとやらで殺されたらしい。目撃証言から犯人は男のようだが、それ以上の事は良く判らない。我はこれだ、と思った。ホモの殺人鬼なんて一目見れば判るというものだ。我は捨て駒達に「我はおとり捜査をするぞ!」と宣言し、意気揚々とハッテンバへと向かったのだった。
彼らが捨て駒なら我もまた捨て駒、父上はなんと偉大な方だろう。父上と母上は「しばらく待っていたらチャンスが訪れますからね」となにやらニコニコして言っていたが、チャンスは待っていても来ないのだ。我は、戦うぞ。
そんな事を考えながら現場近くの路地を歩いておったら、いきなり小道から大男が飛び出してきて、我は運悪くぶつかって転がってしまった。せっかく父上が買って下さった上等のスーツなのに、と我は不愉快な気持ちになって、そして男を見た。
とにかく巨大だ。巨漢だ。そのくせ髪は白いし、片目はふさがっておる。おまけに衣服は黒っぽい、しかも少し猫背だ。これは怪しい。我の勘がこやつは変態だと告げた。男は「大丈夫か」と手を差し出してきたが、我はそれを握らなかった。この男こそターゲットだ。
一言二言言葉を交わしたが、男はそっけなく、そそくさと何処かへ歩いていった。ますます怪しい。我は後を追う事にした。スーツに忍ばせた盗聴器と発信機に電源を入れ、我は町を歩いて行く。
やがて男がバーと思わしき店に入った。我も続く。入り口からすぐの席に腰掛ける。
やたらと男ばかりの店だった。何人かの客が我を見たが、我はそんなに浮いているだろうか? ウェイターが来たので、とりあえずカルーアミルクを頼む。酒は苦手だ。時折他の客が我に話しかけてきたが、仕事中なので、と丁重に断った。彼らは不思議そうな顔をして帰って行った。
カウンターに腰掛けた男はやがて何故か我のところにやって来た。しまった、と思ったが、男は何故だか我の事が気に入ったらしい。付き合うように言って来た。これはチャンスだ。上手くすれば現行犯逮捕できるかも知れぬ。これでも我は柔道の演習では一番強かったのだ、取っ組み合いになれば我はこの巨漢に負けたりはせぬ。3秒で落としてくれる、と我は意気込んで、その誘いを了承した。
我らはそれから何故かホテルに向かう事になった。付き合うとはなかなか大変な事だな、と思う。我もホテルの内装を見て、判っていた。この男はホモだ。ホモの変態の殺人鬼。逮捕以前にこの場で絞め殺しても良いような人間だ。だがまだ証拠が無い。奴が手を出してくるまで待たねば成るまい。
そうしろというから先にシャワーを浴びる。スーツの盗聴器をどうしたものか、悩んだ。それに、どのタイミングで奴を締め上げるか。ここは奴が我を拘束、あるいは手にかけようとした時点だろう。手にかけるとは首に手を近づけた時、あるいは奴が凶器となるものを手にした瞬間と定義しようではないか。よし、その時が決戦だ……と我はため息を吐いて、そしてバスルームを出た。
ハンガーにスーツをかけ、部屋の音が拾えるように盗聴器を調整する。いざと言う時は応援を頼む、と小声で呟き、そして我はベッドに向かった。
だが我はそもそも、その、夜の手続きの作法を知らぬ。どうしたものか、こういう事も勉強しておくべきなのだな、と我は反省した。何も公式ばかりが生活の役に立つわけではない。たとえ低俗なものでも知っていれば我の助けとなるのだ。ううむ、昔兄上の部屋で見つけたAVは、やたら女があんあん言っておったが、あんな事になるのだろうか? そもそも男同士のアレとはどうするものなのだ? あの男は上がどうのこうのと言っていたが、ふむ、上とは何の事だろう。もしやあの男にはホモのアレ用の穴でも開いているのだろうか……。
ふと気付くと男がシャワーから出て、笑っていた。どうやら我の行動に笑っているらしい。何がおかしいのだろうか。だがこちらも引き下がるわけにはいかぬ。この間に捨て駒達に彼の情報をより多く伝えねば。万が一我が殺された場合にも、情報が役立つであろう。
彼はちょうそかべもとちかというらしい。なんという名前だ。覚えにくい。四国くんだりの田舎者のようだ。エンジニアだと言っておるが、ふむ、解体する喜びでも持っておるのか?
休憩
我が毛利家はエリート中のエリート、父は議員で母も某という議員の妹だか姉だか娘だか。要するに我は興味が無いので良く知らぬ。兄上は父上の反対を押し切って、おまわりさんになられた。大層良いおまわりさんで、皆からの信頼も厚いという。流石は兄上。
だから我も兄上の後を追うのだ、とずっと以前から決めていた事を食卓で話したら、父上は仰天して飲んでいた酒を吹き出したほどだった。何を驚くのであろう。確かに父上の用意してくれた大学に入り、主席で卒業の予定だが、我はおまわりさんになりたいのだ。現場は足で回るものなのだ。それはエリート組になりたいという事か、と問われたので、地方で子供達やお年寄りの為にパトロールをするのです、と答えたら母が卒倒した。何故だ。
ともかく我は生まれて初めての親子喧嘩を経て、無事におまわりさんになれたのだ。が。
兄上の評判が良いらしく、配属先の先輩方(父上は彼らの事を捨て駒と呼ぶよう指導なさったので、心の中では捨て駒と呼んでおる)は大層優しくしてくれた。おかげで全く仕事が回ってこないではないか。
試しに我が書類の処理をするといっても「元就様はごゆるりと!」と椅子を差し出され座らされ茶と羊かんを出される。食べ物を粗末には出来ぬから、羊かんを食っている間に仕事は終わってしまう。これでは何も出来ないではないか。備え付けの冷蔵庫を空けたらギッチリ羊かんが詰まっておった。さては奴らめ、我に仕事をさせぬつもりだな。
我はこっそりとパトロールに出かけた。残念ながら我はチャリというのに乗れないので、のろのろとそこらへんを歩くという作業だ。だが街は平和そのもので、不謹慎ながら我は不服だった。しかも振り返ると捨て駒が居た。備考に気付かぬとはなんたる不覚。
我はそうしてのんびりとした生活を送っていたのだが。しかしこれではいけないと我は立ち上がった。事件を解決するのだ。そう、おまわりさんは現場に居るもので、こんな詰め所で延々と羊かんを食っているものではないのだ。
近頃対策本部が置かれた殺人事件に我は目をつけた。なにやら男がハッテンバとやらで殺されたらしい。目撃証言から犯人は男のようだが、それ以上の事は良く判らない。我はこれだ、と思った。ホモの殺人鬼なんて一目見れば判るというものだ。我は捨て駒達に「我はおとり捜査をするぞ!」と宣言し、意気揚々とハッテンバへと向かったのだった。
彼らが捨て駒なら我もまた捨て駒、父上はなんと偉大な方だろう。父上と母上は「しばらく待っていたらチャンスが訪れますからね」となにやらニコニコして言っていたが、チャンスは待っていても来ないのだ。我は、戦うぞ。
そんな事を考えながら現場近くの路地を歩いておったら、いきなり小道から大男が飛び出してきて、我は運悪くぶつかって転がってしまった。せっかく父上が買って下さった上等のスーツなのに、と我は不愉快な気持ちになって、そして男を見た。
とにかく巨大だ。巨漢だ。そのくせ髪は白いし、片目はふさがっておる。おまけに衣服は黒っぽい、しかも少し猫背だ。これは怪しい。我の勘がこやつは変態だと告げた。男は「大丈夫か」と手を差し出してきたが、我はそれを握らなかった。この男こそターゲットだ。
一言二言言葉を交わしたが、男はそっけなく、そそくさと何処かへ歩いていった。ますます怪しい。我は後を追う事にした。スーツに忍ばせた盗聴器と発信機に電源を入れ、我は町を歩いて行く。
やがて男がバーと思わしき店に入った。我も続く。入り口からすぐの席に腰掛ける。
やたらと男ばかりの店だった。何人かの客が我を見たが、我はそんなに浮いているだろうか? ウェイターが来たので、とりあえずカルーアミルクを頼む。酒は苦手だ。時折他の客が我に話しかけてきたが、仕事中なので、と丁重に断った。彼らは不思議そうな顔をして帰って行った。
カウンターに腰掛けた男はやがて何故か我のところにやって来た。しまった、と思ったが、男は何故だか我の事が気に入ったらしい。付き合うように言って来た。これはチャンスだ。上手くすれば現行犯逮捕できるかも知れぬ。これでも我は柔道の演習では一番強かったのだ、取っ組み合いになれば我はこの巨漢に負けたりはせぬ。3秒で落としてくれる、と我は意気込んで、その誘いを了承した。
我らはそれから何故かホテルに向かう事になった。付き合うとはなかなか大変な事だな、と思う。我もホテルの内装を見て、判っていた。この男はホモだ。ホモの変態の殺人鬼。逮捕以前にこの場で絞め殺しても良いような人間だ。だがまだ証拠が無い。奴が手を出してくるまで待たねば成るまい。
そうしろというから先にシャワーを浴びる。スーツの盗聴器をどうしたものか、悩んだ。それに、どのタイミングで奴を締め上げるか。ここは奴が我を拘束、あるいは手にかけようとした時点だろう。手にかけるとは首に手を近づけた時、あるいは奴が凶器となるものを手にした瞬間と定義しようではないか。よし、その時が決戦だ……と我はため息を吐いて、そしてバスルームを出た。
ハンガーにスーツをかけ、部屋の音が拾えるように盗聴器を調整する。いざと言う時は応援を頼む、と小声で呟き、そして我はベッドに向かった。
だが我はそもそも、その、夜の手続きの作法を知らぬ。どうしたものか、こういう事も勉強しておくべきなのだな、と我は反省した。何も公式ばかりが生活の役に立つわけではない。たとえ低俗なものでも知っていれば我の助けとなるのだ。ううむ、昔兄上の部屋で見つけたAVは、やたら女があんあん言っておったが、あんな事になるのだろうか? そもそも男同士のアレとはどうするものなのだ? あの男は上がどうのこうのと言っていたが、ふむ、上とは何の事だろう。もしやあの男にはホモのアレ用の穴でも開いているのだろうか……。
ふと気付くと男がシャワーから出て、笑っていた。どうやら我の行動に笑っているらしい。何がおかしいのだろうか。だがこちらも引き下がるわけにはいかぬ。この間に捨て駒達に彼の情報をより多く伝えねば。万が一我が殺された場合にも、情報が役立つであろう。
彼はちょうそかべもとちかというらしい。なんという名前だ。覚えにくい。四国くんだりの田舎者のようだ。エンジニアだと言っておるが、ふむ、解体する喜びでも持っておるのか?
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