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めでぃのくの日記
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2008-06-10 (Tue)
 ノーパソにキーボードつなぎました
 エンターが近い。これなら小指でもいけるかもしれません。
 
 以下、鬼のー……8

「あいつですか? ……あいつは筋が良いです。良く励んでますしね」

 元春は嬉しそうにそう言った。元就も「ほう」と返事をし、笑む。

「強くなりそうか?」

「柔よく剛を制すといいますから、あいつも図体ばかり大きいうすのろかと思っていましたが、長年閉じ込められていたにしては動きが機敏で、鍛えてやれば相当な腕になるかと」

「それこそ鬼の名に相応しいというものよな。得物は何だ? まさか金棒ではあるまいな」

「槍を教えております。それと護身術を」

「そうか。しっかりきたえてやってくれ。ああそうだ、我の代わりに褒めておいてもらえるか。ようやっておるとな」

「はい」

 元春は頷くと頭を下げて、その場を足早に去って行った。残された元就は僅かに笑んで、彼とは反対の方向に歩き始める。その腰には刀が二本下げられていた。どちらも光秀からもらった物で、片方は件の妖刀だった。

 元就はとある国境に居た。国境と言っても柵と門番が数人居るだけの簡素なものだ。元就はここの増強を任せられており、ここ数日視察していたのだ。山の際に有るそれは傾斜などが有り、砦などを上手く建設する方法を考えるのに思いのほか時間がかかり、元春が屋敷での事などを報告しに来た。その折、元親の話しが出た。

 まるでいつぞの我だな、がむしゃらに努力しておるのであろう、愛らしい事よ。

 元就はそんなふうに考えながら、門番が控えている小屋へと歩いて行く。

 酷く暗い日だった。朝から曇っていたが、昼過ぎから更に雲が濃くなり、まるで夜のように暗い。まだ雨は降らないが、やがて落ち始めるだろう。この雲が梅雨の始まりなのかもしれない、と元就は思った。暗い空はごろごろと唸り声を上げ、時折僅かに光る。その光景に顔を顰めて、元就は立ち止まった。

 嫌なことを思い出す。やはり、日輪の見えぬ日は好かぬ。

 元就は深い溜息を吐き、首を振って嫌な気持ちを払うと、国境へと向かった。

 門番が誰かともめているような声が聞こえてきて、元就は足早にそこへ向かう。見ると、二人の門番と男が、なにやら言い合いをしている。男の右腕の中には子供と思わしき塊が抱えられていた。

「どうした」

 元就がそこへ向かうと、男は元就を見て言った。

「頼む、ほんの少しの時間でいいんだ、通してくれ」

「通行証は有るのか?」

「それが、持っていないんです」

 一人の門番が困ったように言う。

「なにやら、その子供を山に連れて行かなくてはならないらしいのですが」

「山へ? 山へ何をしに行く。見ての通りの天気だ、危険だ」

 元就がそう言うと、男は険しい顔をして答える。

「夏の始まりの日、空と地とが最も近くなる。その時に力を受け取らなくては、この子は死んでしまう。もうすぐなんだ。早く行かねぇと、間に合わない!」

「わけのわからない事ばっかり言うんです。どうしますか、毛利様」

「ふむ」

 元就は少し考えて、「待て」と言う。

「我が通行証を発行してはどうだ。本当に山まで行くなら害も無い。見た所、その子供は真に辛そうだ。通してやろう」

「しかし、」

「そんな時間は無ぇ! 今すぐここを通せ……!」

 男が怒鳴り、国境へと近付く。門番達が慌てて抑えたが、男は一度空を見上げて顔を顰めると、

「もう殺りたかなかったんだけどな」

 そう呟くと、腰の刀を抜いた。抜いたかと思えばその刀身が雷をまとって、門番達の身体を一瞬にして二つに切り裂いた。二人は呆然とした顔のまま死んで、地面に転がった。元就は何が起こったのか理解出来ないまま、その光景を見ていたが、やがて男は振り返ると、

「てめぇも、見たからには生かしちゃおけねえ。悪いな」

 そう言って刀を元就に向け、そして刀身から青い稲妻が走り、元就を襲った。




 元親は道場で真面目に足取りを練習していた。慣れない動きに時折躓きながらも、順調に戦い方を学んでいた。元親は一刻も早く元就に恩を返したい、と必死に努力していた。恐ろしいが道場の人間達とも言葉を交わした。彼らは最初は元親を警戒していたが、次第に恐れる事はなくなっていた。

 その日は朝から元春が居なかったが、顔馴染みになったから大丈夫だと師範が許してくれたので、元親は一人で道場にやって来て稽古をしていた。師範も元親の筋がいいのを褒めて、稽古に付き合ってくれた。

 ただでさえ鬼と言う違う種族である元親が、入門して程なく師範の指導を直々に受けているという状況は他の門下生にはいい気持ちではなかったのだろう。その日、師範が用事で出かけてしばらくすると、三人の若い男が元親のところへやって来た。華美な着物を着ていて、元親は直感的に、こいつらとは反りが合わねぇな、と感じていた。そんな彼らはにやにやしながら、大声で話し始める。

「さすが、地獄に住んでいるというだけの事は有る、なんという図体だ、うどの大木とはこういうのを言うのだろうな」

「しょせん鬼は鬼、人には退治されるのが似合いよ」

「毛利のにどんな上手い餌をもらって尻尾を振っておるのだろうな」

 男達はそのような事を言っていたが、元親は見向きもしなかった。己を馬鹿にされるのは慣れていたし、そういう事をしてくる連中としてもその三人は程度が低く、相手にする価値も無いと思ったのだ。

 彼らにもそんな元親の考えが伝わったらしい。一度むっとした顔をすると、一人が笑って言った。

「そうか、毛利のの尻でも食わせてもらったのかもしれないぞ」

「おぉ、そうに違いない。あの悪食の淫売なら逆に鬼を食ったのかも知れぬなあ」

 その言葉には元親は顔を上げ、彼らを睨み付けた。

「元就を悪く言うのは許さねぇ」

 すると三人は顔を見合わせ、しめたとばかりに笑うと、尚も続ける。

「悪くなど言っていない、本当の事だぞ。お前は知らないかもしれぬが、奴が明智のに尻を差し出して成り上がった淫売だという事は有名なのだぞ」

「おまけに鬼を飼い慣らすとは、よほどあっちの具合が良いとみえる」

「いや本当だ。淫売の飼い鬼であるし、飼い犬は主人に似ると言うからには、こやつも御師匠様を誑かしたのかもしれないぞ。いやまこと薄汚い事よ」

 三人はそう言って笑った。元親は身体がかっと熱くなるのを感じた。どうしようもない怒りがこみ上げて来て、元親は思わず彼らに飛び掛った。





 元親は屋敷の自室に戻り、蹲っていた。

 彼は元就を悪く言われた事に怒り我を失い、道場で暴れ狂った。流石に門下生の殆どは、武術を学んだだけの事はあり、元親がめちゃくちゃに暴れたところで怪我もしなかった。だが悪く言った三人の事は殴り顔に傷を付けた。彼らは痛みに呻きながら元親を笑った。

 人間を傷つけたらどうなるのかを判っているのか、しょせん成金の家畜は頭が弱いとみえる――。

 元親はようやっと我に帰り、自分のした事に気付くと、逃げるように屋敷に走った。

 元就の信頼を裏切った、俺は規約を破った、消される、殺される、ああでも逃げるわけにはいかない、これ以上元就の面目を潰さないためにも、大人しく処刑されたほうがいい……。

 元親はそう考えて、部屋に戻ると大人しく元就の帰りを待っていた。もう既に話が耳に入っているかもしれない。元就が帰ったら何も言わずに殺されよう。元親はそう考えて待っていた。

 と、屋敷の中が騒がしくなった。元就が帰って来たにしては慌しく、元親はひとまず自室を出た。ちょうど廊下を可愛が走ってくる。顔色が悪かった。

「どうした、何かあったのか?」
 
 元親が尋ねると、可愛は泣きそうな顔で答えた。

「も、元就様が、賊に斬られ、じゅ、重傷を、き、傷が、血が、元就様が!」

 元親はその言葉にたまらず駆け出した。元就の寝室の入り口に従者達が集まっていた。元親はそれを押しのけて飛び込むと、布団に横たわった元就が眼に入った。

 彼は左肩から胸にかけてかなり出血していて、顔は青褪めている。元親がたまらず側に寄ると、気付いたらしく元就は微笑んだ。

「もとちかか? すこし、みみをかせ」

「なんだ……?」

「このようなこと、もうしても、そなたぐらいしか、しんじぬだろうから」

 元就がそう言って右手で手招くので、元親も耳を寄せた。すると元就は小さな声で、切れ切れに、

「われはな、りゅうを、りゅうが、てんにのぼるのを、みたぞ」

 と誇らしげに言った。

「りゅう? りゅうって……神仏の龍か?」

「そうだ、あおい、りゅうだった。まだほんのこどもなのに、てんのいなずまをくろうて、それでおおきくなって、そらをかけていった。なんとうつくしい、なんとこうごうしい、あのようないきものを、ひとごときがどうこうすべきではない。

 しんぶつはまことにそんざいするにちがいない、だがわれらのような、うすよごれたものたちに、そそぐあいなどないのだ、きっと。

 あぁそなたもおにだとしたら、きっとそのようなこうごうしい、われのごとき、あさはかなさもしいにんげんが、こうていいようなものではないのだ、そうだ……そうにちがいない」

 元就がそう言っていると、医者がやって来た。元親は他の従者達と共に外に出された。「何と?」と隆元に尋ねられたので、素直に答えると従者は皆、

「賊に斬られたせいで幻を見られたのだ。今日は山の方で沢山雷が光ったから、それを見間違えたのだろう」
 
 と口を揃えて、元就の言う事を信じる者は居なかった。






 翌日、光秀が元就の見舞いに来た時には、元就も手当てが終わり、楽にしていた。光秀は訪れて従者達から事情を聞いたが、「龍」の話が出ると、元親の事を見た。元親はきょとんとしていたが、光秀はそのまま従者達には仕事に戻るよう言い、元親に一緒に元就と会うように言った。光秀は元就の上司で有るから、元親も命令には逆らえないので、大人しくついて行く事になった。

 元就は光秀に気付くと上体を起こして、なんとも無い、と意外なほど元気な姿を見せた。出血は酷かったが、傷自体は浅く綺麗だったのですぐ治るだろうとは医者も言っていた。そんな元就に光秀は挨拶をし、「元気そうでなによりです」と呟いてから、経緯を尋ねた。元就も頷いて、昨日の事を話し始める。

 国境の視察に行っていた元就は、そこで子連れの男に襲われた。二人の門番と同じように切り裂かれると身構えた元就に衝撃が走る。しかし彼の左胸から肩にかけてが僅かに切れ、吹っ飛んだだけで死にはしなかった。

 男は元就が生き延びた事に驚愕していたが、やがて何か急いでいるらしく、子供を抱え上げて国境を越え、山の中へ入って行った。元就も左肩を庇いながら、後を追う。

 男は子供を大きな岩の上に寝かせ、そして天に祈りを捧げた。すると辺りを真っ白にしてしまうほどの強い雷が走り、子供に落ちた。元就は思わず眼を閉じ、そして開いた時には岩の上に子供の姿は無く代わりに青い龍がうねりながら空に昇っていくのが見えた。

 次々と稲光が起こり、その度に龍は喜ぶように身をくねらせ、高く高く昇りついに雲の中に消えた。途端に雫がぽつりぽつりと注ぎだし、たちまち大雨となった。

 元就は呆然とその光景を見ていたが、やがて男が振り返り、元就に刀を向けた。今度こそ殺されると思った元就は刀を抜いたのだが、それは運悪く光秀のよこした、刀身の無い妖刀だった。ところがそれは淡い光を放つそれは長い刀になっていて、抜いた当人がぎょっとすることになった。驚いたのは男も同じだったが、彼は苦い顔をして刀をしまった。

「どうせてめぇ一人が何を言ったって変わらねぇな……見たところ同類のようだ。俺を見逃すなら、俺もお前を見逃してやる。どうする」

 男に言われ、元就は訳も判らないまま頷いた。男は刀をしまえと要求してきたので、大人しくしまう。その時に己の左半身が酷く出血している事に気付いた、元就は全身から血の気が引いて動けなくなってしまった。男は元就に近付き、顔を青くさせている元就を抱え上げると、国境付近まで連れ帰った。門番達の死体の側に元就を転がすと、男は去って行った。元就は助かった事に安堵するとそのまま気を失い、次に目覚めた時には側に元親が居たので、思わず自分の見た物を自慢げに報告したのだ、という事だった。



「いやしかし、明智からもらった刀が有って助かった。無かったら今頃、屍になっていただろう。明智はいつだって我に良い物をくれる。ありがとう」

 元就はそう嬉しそうにいい、件の刀を撫でながら言う。それはもう、引き抜いてもただの刀身も刃も無い刀に戻っていた。光秀もそれを見ながら、笑って言う。

「いえいえ、例には及びません。私もまさか、本当に妖刀だとは思わなかったのです」

「……は?」

 元就がきょとんとしていると、光秀は「いえね」と続ける。

「怪しげな南蛮の商人が来て何か買えとうるさかったものですから、一番安かったそれを買って追い払ったんです。でも私も別に必要ではなかったし、誰かに贈れば感謝され蔵も開いて一石二鳥かと思っていただけなのですよ。いや、良かったですねえ、本当に」

「……」

 元就はしばらく呆然としていたが、やがて、

「明智っ!」

 と大声を上げて光秀に枕を投げた。光秀はそれを受け止め、「怒ると体に良くないですよ」と優しく諌めた。元就は不満そうな顔をしていたが、「我はもう寝る! 傷と頭が痛いわ!」と怒鳴ると布団を引っかぶった。そんな様子が愛らしくて元親が笑っていると、同じように笑っていた光秀が手招いたので、静かに二人で部屋を出た。

 ++++

 つまり龍の子供は政宗様で、賊の方が小十郎という事で。

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