ちょいとこっちに掲載するのが遅くなりましたが。
郭淮×夏侯覇のエロ、張郃×夏侯覇含む、表現は有りませんが張郃×徐晃。
郭淮×夏侯覇のエロ、張郃×夏侯覇含む、表現は有りませんが張郃×徐晃。
これは参った。
郭淮は思い悩んでいた。またしても、例の青年の件である。
郭淮は彼の事が好きだった。それも、かなり。とても愛らしい事をしでかした時など、このまま抱きたいと思った事もしばしば。ただそれをしなかったのは、思いが叶わないと思っていた事と、それに体力的な問題だ。
大人になって幼少期のような病弱さからは解放された。それでも普通の成人男性に比べて、体力が少ないのは間違いない。抱こうと思っても、その勇気は出なかった。万が一、途中で力尽きたら、と考えてしまう。そうなれば夏侯覇は残念に思うだろうし、自分は情けなくてたまらないだろう。
だから、そのチャンスが訪れても、抱く事が出来なかった。
思いは一つだと確認出来たというのに。怖いのは郭淮の方も同じだ。もし途中で止めるような羽目になったら、と考えてしまう。だから郭淮は夏侯覇だけを満足させて、眠らせた。それ以上の手出しが、出来なかった。
それから夏侯覇の夜遊びは少々落ち着いた。きちんと門限に帰って来る事も増えた。ただよそよそしい事に変わりは無い。相思相愛だと確認はしたが、恋人関係になったのかと言えば、やはり自信が持てない。第一、恩師の愛息子に手を出すなど、本来有ってはならない事なのだ。だから郭淮はそれきり夏侯覇に手出しせず、いつも通り接した。
夏侯覇もそれについて何も言わなかったから、郭淮もそれ以上動かなかった。それでいいのだろうと、思っていた。
+
「貴方、夏侯覇殿を抱く気は有るのですか?」
珍しく張郃が家に来たので、コーヒーを呑みながら話していると、彼は突然そう言った。郭淮は面喰って、随分長い事コーヒーカップを手に持ったまま、ポカンとしていた。
「は……はい?」
ようやっと返事をすると、張郃は一度優雅にコーヒーを呑んで、郭淮を見て言う。
「夏侯覇殿とどういう関係になる事を、望んでいるのです?」
「……す、少し待っていただきたい。急に何を言い出すのですか」
郭淮も張郃に夏侯覇が好きだと言った事は有る。だからそれについて知っている事には驚かないが、急にこんな事を言い出すのには、本当に驚いた。酒を飲んだ時に一度明かしたきりで、それから張郃から話が出る事も無かったのだ。
「これはとても大切な話ですよ、郭淮殿」
張郃は一つ溜息を吐いて、静かに言う。
「少し前、夏侯覇殿は私の元へやって来て、貴方に想いが通じたと、それはそれは喜んでいました。ところが先日、彼は再び私の元へやって来て、それはもう落ち込んでいた。それが何故か判りますね? 郭淮殿」
「さ、さぁ、私にはさっぱり……」
「貴方がハッキリしてあげないから、ですよ。今までだって、あの子がどれ程貴方を好いていたか。長い間お互いすれ違っていたのに、まだそれを続けるおつもりです?」
いいですか。まるで子供を叱る母親のように、張郃は続ける。
「あの子ときたら、自分に魅力が無いから抱いてもらえないんだとか、そんな事を考えて悩み始めているんですよ。それは貴方があれっきり触ってあげないからです。あの子は本当はとても心の弱い子、貴方だってそれは知っているでしょう。このまま放っておいたら、あの子はまた一人で思い詰めてしまいますよ」
郭淮は困惑した。夏侯覇が恐らく洗い浚い張郃に話しているという事にも、そこまで夏侯覇を悩ませていたという事にも。何しろ夏侯覇は何も言わなかったし、そういうそぶりも見せなかったのだ。だが思い起こしてみれば、そうしてガマンする子だったようにも思う。知っていて気遣ってやれなかった事を、悔いた。が。いかんせん、郭淮も怖くてたまらないのだ。
「い、いや、しかし、その、私は……」
「なんです」
「……私は、……その、こんな事を言うのは恥ずかしいですが、不安なのです。彼に応えられないかもしない、と」
「つまり抱きたいのですね」
敢えて答えないまま、俯いた。確かに、自分はあの子の事を愛している。それ故に触れられないのだ。しかし、その事が彼を傷付けたというのなら本末転倒もいいところ。何とかしてやりたい。しかしその勇気が出ない。
そんな事を考えていると。
「抱きたい、けれど最後まで応えてやれるか判らない。いいでしょう」
私に、任せて下さい。張郃が微笑んだ。何が、いいでしょうなのか。嫌な予感しかしなかった。
+++
張郃には男の恋人が居る、というのは、随分前に知っていた。
美しいと思うなら性別など関係無い、と言っていた。夏侯覇もそのお相手と何度か会っているが、実直真面目そのもののサラリーマンで、随分驚いたものだ。見た目は少々地味なくらいで、張郃が何を以て美しいと言っているのかも判らない。
なんにせよ、その大人しい人物を恋人にするまで、張郃もかなり苦労したようだし、夏侯覇は時々恋の相談を持ちかけていた。彼は親身になってよく話を聞いてくれたし、アドバイスもしてくれた。それを全て実践する事は出来なかったが、それでもヤケになりすぎなかったのは、彼のおかげだろう。
だから今回の事も、夏侯覇は報告したり相談したりしている。郭淮とキスした、という事やら、あれきり彼がよそよそしいという事やら。実際によそよそしくしているのは、どちらかと言えば夏侯覇の方だったが、彼にしてみればやっと結ばれたのに何も変化が無い事が、とてつもなく悲しく、寂しい事に思えたのだ。あるいは、優しい嘘を吐かれたのではないかと。
半ば泣きそうにさえなりながら、夏侯覇は張郃にあれこれ言った。自分に魅力が無いからだ、とか。郭淮の気持ちが判らず、何かに理由を付けて嘆いた。張郃はそれをじっと黙って聞いてくれて、そのうち夏侯覇が言う事を失うと、ようやっと口を開いた。
「ねぇ、夏侯覇殿。郭淮殿は身体があまり強くないのは、ご存知ですよね」
「? ……うん」
「郭淮殿は貴方を愛しているけれど、それに応える体力があまり無い、という可能性は有りませんか? 貴方はまだ若くて、郭淮殿よりきっと体力も有りますよね?」
「う、うーん、たぶん……」
「では、貴方が郭淮殿をリードしてあげては、いかがでしょう」
「……う、うぇ? 俺が!? い、いやいやいや……えっ、マジで?」
色々想像してしまい真っ赤になった夏侯覇を、張郃は優しく微笑んで撫でる。
「何も難しい事ではありませんよ。全てしてあげるのもいいですが、こういう事はお互いに開発し合うのが一番良いですしね。まず貴方が抱かれる事を望んでいるなら、多少は感じ易い身体になれば上手くいくでしょう」
「ちょ、ちょ、い、いやいやいや! 張郃落ち着いてっ!」
「私は落ち着いていますよ、夏侯覇殿」
確かに落ち着き払っている。むしろ混乱しているのは、夏侯覇の方だ。「感じ易い身体って、張郃何言ってんの」とあたふたしながら言うと、「これは大切な事ですよ」と張郃。
「貴方が郭淮殿を受け入れやすくなれば、当然彼の負担も減るでしょう? 貴方も気持ち良くなれて、一石二鳥じゃありませんか」
「そ、それは、そうかも、しれないけど」
「第一、今の貴方はまだ性行為を恐れているところが有ります。まずはリラックス出来る環境を作らないと。その為に大事なのは、慣れですよ」
大丈夫、最後までしたりなんか。それまでのプロセスを少し練習してみませんか、と言っているのですよ。
張郃に優しく言われて。夏侯覇は悩んだ末に、「す、少し、だけだよな?」と言った。
+++
数日後、土曜日。夏侯覇は朝から張郃の家を訪れた。デザイナーとしてそれなりに成功している彼は、一軒家を所有していて、二階建てのそこで一人暮らしをしているが、頻繁に知人友人を招いてパーティーなどを催している。訪れる度に思うが、張郃の家は夏侯覇から見ても優美だった。派手過ぎず質素過ぎず、そのくせ艶やかさの有る洒落たインテリアの数々。どれも高そうだったが、張郃によく似合っていた。
そんな彼の家の、二階に通される。二階は彼の寝室や仕事部屋になっていて、夏侯覇もあまり出入りした事が無い。曰く、下は結果的に美しい姿になっているけれど、上はそれまでの努力であるから、見せるものではない、とか。そうした二階の部屋の一つに案内された。
大きなベッドと、タンス、戸棚、布の掛けられた鏡、テーブル、それだけの部屋だった。寝室には違いないのだが、証明が少々薄暗く、なんというか生活感が無い。奥にはシャワールームも有って、そういう事の為の部屋なのかも、と思うとドキドキした。
「さ、どうぞ、ベッドへ」
促されて、おずおずベッドに腰掛ける。張郃はクスクス笑って、「ベッドは座るものではありませんよ」と夏侯覇の頭を撫でた。
「シャワーはしてきました?」
「う、うん」
「そうですか。ではこれに着替えて、準備が出来たらベッドにうつ伏せになって下さい。私も色々用意して来ますから」
「じゅ、準備って何?」
「ふふ、ただ裸になって、これを着るだけの事ですよ」
タンスからバスローブを取り出し、夏侯覇に手渡すと、張郃は部屋から出て行った。夏侯覇はしばらくバスローブを見つめて悩んでいたが、やがてのろのろと服を脱ぎ、とりあえずきちんと畳んで床に置くと、バスローブを羽織った。おずおずベッドに横になる。うつ伏せてシーツに耳を押し付けると、自分の少々早い鼓動が聞こえて、ますますドキドキした。
「もう少し暗くしましょうか」
いつの間にか戻って来た張郃が、何かいじって更に照明を落とした。それがなんともエロティックな雰囲気の暗さで、けれど少々怖い。思わず張郃の方を見ると、表情はまだ見える程度で、優しく微笑んでいるのが判った。
「大丈夫、怖い事なんて何も有りません。ね?」
優しく言われると少し安心した。いつの間にやら張郃もバスローブに着替えていて、同じ姿である事に少々気持ちが落ち着く。「まず」と静かに張郃が言う。
「大切なのは、貴方が心からリラックスするという事です。私は出来る限り優しく触れます。撫でるよりも更に優しく、です。いいですか? 脱がしますよ」
そっとバスローブを上半分脱がされ、張郃に優しく背中をなぞられる。産毛を撫でるような優しい感覚が、くすぐったいような、ぞわぞわするような。そのまま首筋や背骨のライン、わき腹をなぞられると、それが次第にぞくぞくして止まらなくなってきた。
「ちょ、張郃、あの……っ」
「はい?」
「な、なんか、その、ムズムズする」
「でしょうねぇ」
腕の内側や指の股、耳の側をかすめられて、なんだかもどかしくて暴れたいような気分にさえなってきた。自分で触ろうとすると「いい子にしていて」と制止されるし、どうしていいか判らない。張郃は手を止める事無く、しかしとてつもなくゆっくりとした動作で夏侯覇を撫で、時折背中に口づけを落とした。その度、身体がビクリと跳ねた。
「ちょ、張郃っ! な、なんてーか、あのっ」
「えぇ、えぇ判りますよ。そろそろ下も触ってあげましょうか」
そうして触れられたのは太股の内側や膝裏、足首などで、夏侯覇はますますたまらなくなった。ゾクゾクが止まらなくて、シーツを掴んで目を閉じる。時折意思とは関係無く、身体が跳ねた。
おまけにいつまで経っても、肝心な場所には触れてもらえない。
「張、こ……っも、いいから……っ」
「まだですよ、まだ」
「ま、まだって……も、もうやだって、こんな、なんてーか、なんてーかガマン出来ないって……!」
「まだこの良さが判らないんですねぇ。仕方有りません、少々手荒になりますが……」
「いっ、……え? ちょ、いや、いやいやいや、張郃何してんの!!」
ぐい、と両腕を背中側にねじり上げられ、次の瞬間にはガチャンと金属音がした。何が起こったのか見たくても見れないし、両手は引っ付いて離れやしない。
「な、何……っ怖い事しないって、言ったじゃん!」
「してませんよ、大丈夫。これはもう少しだけ大人しくしてもらう為に、付けただけですよ。私が貴方に危害を加えると思いますか? 心配しないで」
たっぷり可愛がってあげますから。張郃の言葉に、ようやっと夏侯覇は少し後悔した。
+
あれからどれぐらい経ったろう。夏侯覇は本格的に後悔していた。張郃はずっと肝心な場所を避けて、しつこい程に優しい愛撫を続けた。もどかしくてたまらず、夏侯覇はもう息も絶え絶えだ。顔も身体も熱くて仕方無い。恥ずかしい事だが、しっかり出来上がってしまっている。触ってほしい、と思うのに、触ってもらえない。
「ぅあ、っ……あ、ちょ、張郃、もうやだぁ」
悪い事には、もうすっかり身体が敏感になってしまっていて、少しわき腹を撫でられただけでもビクビクして止まらなかった。もういっそ犯して! と叫びそうにさえなる。色んな意味でどうにかなってしまいそうだった。
「良い具合になりましたね、夏侯覇殿」
「ぅ、う……っ、張郃の意地悪……っ」
「こんなに優しくしてさし上げてるのに。まあ、もうそろそろいいでしょう。仕上げは意中の方としたいですよね?」
「へ……?」
張郃が何を言っているのか判らず、顔を見ると、彼はニコニコして部屋の入り口を指差した。のろのろとそれを追うと、部屋の入り口に困ったような顔をした郭淮が立っていた。
「………………へっ!? えっ、あ、えええっ!?」
あまりの事に驚いて、夏侯覇は隠れようとしたが、張郃に押さえつけられてそれも出来なかった。「いやいやいや!」「えええっ」「張郃、郭淮、えっ、なんで」とかそんな事を繰り返していると、優しく微笑んだままの張郃が言う。
「郭淮殿も気にしていましたから、私がお手伝いしてあげようと思ったんです。幸い、夏侯覇殿も随分出来上がっていますし、そろそろ郭淮殿にお任せしますね。さあ、夏侯覇殿、可愛がってもらって下さいね」
「ちょ、張郃! えっ、ええ!?」
うろたえる夏侯覇を置いて、張郃は部屋を出て行ってしまった。郭淮は複雑そうな顔で張郃を見送って、それからおずおずと夏侯覇に近寄って来た。
「か、郭淮、あの、俺、あの」
夏侯覇は赤くなった。何しろもうバスローブも無くて、全裸で後ろ手に拘束されている状態で、おまけにすっかり出来上がっている。それを隠す事も出来ない。しどろもどろになっていると、郭淮が静かに言う。
「貴方を悲しませてしまって、申し訳無い」
「へ? あ、え、うん、え?」
「私は貴方を待たせ、傷付け、苦しめてしまった。それを深く反省しています」
「いや、それほどじゃないけど、え、って言うかいつから見てたの?」
「大体最初からです」
「マ、マジですか……」
「こうなってしまったのも全て私の責任です。全力を尽くしますので……」
「い、いや、なんてーか、郭淮ってそういう変なトコすごいマジメだよな……って、ちょ、ぅ、あっ!」
そろり、と背中を撫でられて、身体が跳ねる。そういう刺激はもううんざりだ。触るならちゃんと触ってよ、と考えただけか、うっかり口に出してしまったか。郭淮にやんわりと性器を握られて、思わず息を呑む。が、期待とは裏腹に、手はすぐに離れてしまった。
「夏侯覇殿、その、……力を抜いて下さい」
「なに……っひっ、わ、ぁ、な、何、なにして……っうあ!」
冷たいヌルヌルした液体が尻にかけられて驚いていると、今度はそのまま中に指を入れられた。のだと思う。何せそんな事をさせるのは初めてで、異物感や焦りや羞恥やらなにやら、とにかくなんともたまらない気持ちになった。
「か、郭淮っ、な、何して……っ」
「ずっとこうしたかったんです。でも、色々な勇気が出なかった」
ぐにぐにと中を指で擦られて、夏侯覇はむずがるような声を出して首を振る。苦しいのとも痛いのとも違うが、とにかく落ち着かない。それに、流石にこれからどうなるのかの予想はついたから、羞恥とか恐怖とかそういうものにかられて、身を捩る。と、ぐり、と中で何かが押されて、思わず「ひっ」と息を呑んだ。
「……ここ、ですか?」
「な、なに、なに知らな……っや、やだやだ郭淮、変、なんか変だって……うぁっ」
ぐりぐり指を動かされて、思わず声が漏れる。それが恥ずかしくて下唇を噛んで堪えた。それでも郭淮は止めてくれないし、もう自分が本当はどうしてほしいのかも、よく判らなかった。
早く解放されたい、と思う。前は熱を持って張りつめたままだ。いつの間にか内部を探る指が増やされていたが、やはり痛くはなくて、むしろ苦しくてもどかしくて、気持ち良くてたまらなかった。
「……そろそろ、大丈夫ですか? 夏侯覇殿」
「大、丈夫って、何が……っふあ、ぁ……っ」
ずるりと指が抜かれて、ゾクゾクした感覚にそれだけでイキそうにさえなる。が、前への直接的な刺激が無いので、達する事は出来なかった。もどかしくて郭淮の方を見て、眼を疑った。郭淮のソレが、意外なほど立派だったから。
おまけにそれを尻にあてがわれたものだから、夏侯覇は慌てて「待って」と声を上げた。が、もう手遅れだった。
「力を抜いていて下さい」
「や、ぃ……っう、……ぅ……っ」
「ほら、夏侯覇殿、力を」
「ひっ、ぃ、ぁ、だめ、だめだってぇ……っ」
指とは比べ物にならない苦しさに、力を抜く事など到底出来そうになかったが、ずっとお預けにされていた前を指で擦られ、身体がびくびく震えて力が抜ける。その隙にずるずると奥まで侵入され、夏侯覇はシーツに顔を埋めてふるふる首を振った。
「意外と入るものなんですね……」
「か、郭淮、郭淮……っ」
「ええ、判っています。動きますね」
「そ、そうじゃなくて、かくわ、っ、う、ぁ、あ! やだ、やだってなんか、なんかやだって、んん、う、ああぅ……っ」
小さく腰を動かされて、内部が擦れる感覚がなんとも言えず気持ち良く、夏侯覇はまた頭を振った。どうにかなってしまいそうだ。まだ少ししか動いていないというのにこんな状態では、この後どうなるか判らない。
「郭淮、郭淮、やだ、やだって……っ」
「ええ、判っています」
何が判ってるんだよ! と叫びたかったが、実際出たのは喘ぎ声ばかりでどうにもならない。そのままじわじわと腰を大きく動かされて、もう文句を言うどころの騒ぎではなくなってしまった。ひっきりなしに甲高い声が漏れてしまって、恥ずかしくて気持ち良くて、頭が真っ白になって、だからそれからの事を夏侯覇はあまり覚えていない。
ただただ、とにかく気持ち良くて、そして恐らく、とてつもなく幸せだった。
+
「いやいやいや! 張郃、意地悪過ぎるっしょ! なんでこんな事したんだよ!」
事が終わってすぐ、夏侯覇も郭淮も疲れ果てて寝てしまったわけで、結局事情を全て説明されるのは翌朝の事になった。優雅にリビングで紅茶を飲んでいた張郃に夏侯覇が詰め寄ると、彼は微笑んで答える。
「少しでも大好きな貴方達の助けになれればと思って」
「ほ、方向性おかしいだろ……」
「他にどんな方法が有ったと? 奥手過ぎる貴方達にはこれぐらいがいいんです」
「そ、そんなわけないだろ!」
夏侯覇はそう言ったが、張郃は取り合わない。味方を、と思って郭淮を見ても、彼は何故だか少し幸せそうにニコニコしていたので、助けてはくれそうになかった。
「良かったじゃないですか、ようやっと一つになれたのですし。郭淮殿も多少は自信を持てたでしょう」
「そりゃそうかもしれないけど……」
「これからの貴方達には改めて別の物が必要でしょうね。その時は私も協力します」
「別の物って何?」
よせばいいのに尋ねて、夏侯覇は張郃が小さな声で答えた言葉に、真っ赤になって「いらねえ!」と叫んだ。
それはそれで平和で幸せな朝だった。
+++
ちなみに張郃が用意してくれるのは、大人のおもちゃの類です。
わりと郭淮さんがくそまじめに有効活用してくれると信じてる。
郭淮は思い悩んでいた。またしても、例の青年の件である。
郭淮は彼の事が好きだった。それも、かなり。とても愛らしい事をしでかした時など、このまま抱きたいと思った事もしばしば。ただそれをしなかったのは、思いが叶わないと思っていた事と、それに体力的な問題だ。
大人になって幼少期のような病弱さからは解放された。それでも普通の成人男性に比べて、体力が少ないのは間違いない。抱こうと思っても、その勇気は出なかった。万が一、途中で力尽きたら、と考えてしまう。そうなれば夏侯覇は残念に思うだろうし、自分は情けなくてたまらないだろう。
だから、そのチャンスが訪れても、抱く事が出来なかった。
思いは一つだと確認出来たというのに。怖いのは郭淮の方も同じだ。もし途中で止めるような羽目になったら、と考えてしまう。だから郭淮は夏侯覇だけを満足させて、眠らせた。それ以上の手出しが、出来なかった。
それから夏侯覇の夜遊びは少々落ち着いた。きちんと門限に帰って来る事も増えた。ただよそよそしい事に変わりは無い。相思相愛だと確認はしたが、恋人関係になったのかと言えば、やはり自信が持てない。第一、恩師の愛息子に手を出すなど、本来有ってはならない事なのだ。だから郭淮はそれきり夏侯覇に手出しせず、いつも通り接した。
夏侯覇もそれについて何も言わなかったから、郭淮もそれ以上動かなかった。それでいいのだろうと、思っていた。
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「貴方、夏侯覇殿を抱く気は有るのですか?」
珍しく張郃が家に来たので、コーヒーを呑みながら話していると、彼は突然そう言った。郭淮は面喰って、随分長い事コーヒーカップを手に持ったまま、ポカンとしていた。
「は……はい?」
ようやっと返事をすると、張郃は一度優雅にコーヒーを呑んで、郭淮を見て言う。
「夏侯覇殿とどういう関係になる事を、望んでいるのです?」
「……す、少し待っていただきたい。急に何を言い出すのですか」
郭淮も張郃に夏侯覇が好きだと言った事は有る。だからそれについて知っている事には驚かないが、急にこんな事を言い出すのには、本当に驚いた。酒を飲んだ時に一度明かしたきりで、それから張郃から話が出る事も無かったのだ。
「これはとても大切な話ですよ、郭淮殿」
張郃は一つ溜息を吐いて、静かに言う。
「少し前、夏侯覇殿は私の元へやって来て、貴方に想いが通じたと、それはそれは喜んでいました。ところが先日、彼は再び私の元へやって来て、それはもう落ち込んでいた。それが何故か判りますね? 郭淮殿」
「さ、さぁ、私にはさっぱり……」
「貴方がハッキリしてあげないから、ですよ。今までだって、あの子がどれ程貴方を好いていたか。長い間お互いすれ違っていたのに、まだそれを続けるおつもりです?」
いいですか。まるで子供を叱る母親のように、張郃は続ける。
「あの子ときたら、自分に魅力が無いから抱いてもらえないんだとか、そんな事を考えて悩み始めているんですよ。それは貴方があれっきり触ってあげないからです。あの子は本当はとても心の弱い子、貴方だってそれは知っているでしょう。このまま放っておいたら、あの子はまた一人で思い詰めてしまいますよ」
郭淮は困惑した。夏侯覇が恐らく洗い浚い張郃に話しているという事にも、そこまで夏侯覇を悩ませていたという事にも。何しろ夏侯覇は何も言わなかったし、そういうそぶりも見せなかったのだ。だが思い起こしてみれば、そうしてガマンする子だったようにも思う。知っていて気遣ってやれなかった事を、悔いた。が。いかんせん、郭淮も怖くてたまらないのだ。
「い、いや、しかし、その、私は……」
「なんです」
「……私は、……その、こんな事を言うのは恥ずかしいですが、不安なのです。彼に応えられないかもしない、と」
「つまり抱きたいのですね」
敢えて答えないまま、俯いた。確かに、自分はあの子の事を愛している。それ故に触れられないのだ。しかし、その事が彼を傷付けたというのなら本末転倒もいいところ。何とかしてやりたい。しかしその勇気が出ない。
そんな事を考えていると。
「抱きたい、けれど最後まで応えてやれるか判らない。いいでしょう」
私に、任せて下さい。張郃が微笑んだ。何が、いいでしょうなのか。嫌な予感しかしなかった。
+++
張郃には男の恋人が居る、というのは、随分前に知っていた。
美しいと思うなら性別など関係無い、と言っていた。夏侯覇もそのお相手と何度か会っているが、実直真面目そのもののサラリーマンで、随分驚いたものだ。見た目は少々地味なくらいで、張郃が何を以て美しいと言っているのかも判らない。
なんにせよ、その大人しい人物を恋人にするまで、張郃もかなり苦労したようだし、夏侯覇は時々恋の相談を持ちかけていた。彼は親身になってよく話を聞いてくれたし、アドバイスもしてくれた。それを全て実践する事は出来なかったが、それでもヤケになりすぎなかったのは、彼のおかげだろう。
だから今回の事も、夏侯覇は報告したり相談したりしている。郭淮とキスした、という事やら、あれきり彼がよそよそしいという事やら。実際によそよそしくしているのは、どちらかと言えば夏侯覇の方だったが、彼にしてみればやっと結ばれたのに何も変化が無い事が、とてつもなく悲しく、寂しい事に思えたのだ。あるいは、優しい嘘を吐かれたのではないかと。
半ば泣きそうにさえなりながら、夏侯覇は張郃にあれこれ言った。自分に魅力が無いからだ、とか。郭淮の気持ちが判らず、何かに理由を付けて嘆いた。張郃はそれをじっと黙って聞いてくれて、そのうち夏侯覇が言う事を失うと、ようやっと口を開いた。
「ねぇ、夏侯覇殿。郭淮殿は身体があまり強くないのは、ご存知ですよね」
「? ……うん」
「郭淮殿は貴方を愛しているけれど、それに応える体力があまり無い、という可能性は有りませんか? 貴方はまだ若くて、郭淮殿よりきっと体力も有りますよね?」
「う、うーん、たぶん……」
「では、貴方が郭淮殿をリードしてあげては、いかがでしょう」
「……う、うぇ? 俺が!? い、いやいやいや……えっ、マジで?」
色々想像してしまい真っ赤になった夏侯覇を、張郃は優しく微笑んで撫でる。
「何も難しい事ではありませんよ。全てしてあげるのもいいですが、こういう事はお互いに開発し合うのが一番良いですしね。まず貴方が抱かれる事を望んでいるなら、多少は感じ易い身体になれば上手くいくでしょう」
「ちょ、ちょ、い、いやいやいや! 張郃落ち着いてっ!」
「私は落ち着いていますよ、夏侯覇殿」
確かに落ち着き払っている。むしろ混乱しているのは、夏侯覇の方だ。「感じ易い身体って、張郃何言ってんの」とあたふたしながら言うと、「これは大切な事ですよ」と張郃。
「貴方が郭淮殿を受け入れやすくなれば、当然彼の負担も減るでしょう? 貴方も気持ち良くなれて、一石二鳥じゃありませんか」
「そ、それは、そうかも、しれないけど」
「第一、今の貴方はまだ性行為を恐れているところが有ります。まずはリラックス出来る環境を作らないと。その為に大事なのは、慣れですよ」
大丈夫、最後までしたりなんか。それまでのプロセスを少し練習してみませんか、と言っているのですよ。
張郃に優しく言われて。夏侯覇は悩んだ末に、「す、少し、だけだよな?」と言った。
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数日後、土曜日。夏侯覇は朝から張郃の家を訪れた。デザイナーとしてそれなりに成功している彼は、一軒家を所有していて、二階建てのそこで一人暮らしをしているが、頻繁に知人友人を招いてパーティーなどを催している。訪れる度に思うが、張郃の家は夏侯覇から見ても優美だった。派手過ぎず質素過ぎず、そのくせ艶やかさの有る洒落たインテリアの数々。どれも高そうだったが、張郃によく似合っていた。
そんな彼の家の、二階に通される。二階は彼の寝室や仕事部屋になっていて、夏侯覇もあまり出入りした事が無い。曰く、下は結果的に美しい姿になっているけれど、上はそれまでの努力であるから、見せるものではない、とか。そうした二階の部屋の一つに案内された。
大きなベッドと、タンス、戸棚、布の掛けられた鏡、テーブル、それだけの部屋だった。寝室には違いないのだが、証明が少々薄暗く、なんというか生活感が無い。奥にはシャワールームも有って、そういう事の為の部屋なのかも、と思うとドキドキした。
「さ、どうぞ、ベッドへ」
促されて、おずおずベッドに腰掛ける。張郃はクスクス笑って、「ベッドは座るものではありませんよ」と夏侯覇の頭を撫でた。
「シャワーはしてきました?」
「う、うん」
「そうですか。ではこれに着替えて、準備が出来たらベッドにうつ伏せになって下さい。私も色々用意して来ますから」
「じゅ、準備って何?」
「ふふ、ただ裸になって、これを着るだけの事ですよ」
タンスからバスローブを取り出し、夏侯覇に手渡すと、張郃は部屋から出て行った。夏侯覇はしばらくバスローブを見つめて悩んでいたが、やがてのろのろと服を脱ぎ、とりあえずきちんと畳んで床に置くと、バスローブを羽織った。おずおずベッドに横になる。うつ伏せてシーツに耳を押し付けると、自分の少々早い鼓動が聞こえて、ますますドキドキした。
「もう少し暗くしましょうか」
いつの間にか戻って来た張郃が、何かいじって更に照明を落とした。それがなんともエロティックな雰囲気の暗さで、けれど少々怖い。思わず張郃の方を見ると、表情はまだ見える程度で、優しく微笑んでいるのが判った。
「大丈夫、怖い事なんて何も有りません。ね?」
優しく言われると少し安心した。いつの間にやら張郃もバスローブに着替えていて、同じ姿である事に少々気持ちが落ち着く。「まず」と静かに張郃が言う。
「大切なのは、貴方が心からリラックスするという事です。私は出来る限り優しく触れます。撫でるよりも更に優しく、です。いいですか? 脱がしますよ」
そっとバスローブを上半分脱がされ、張郃に優しく背中をなぞられる。産毛を撫でるような優しい感覚が、くすぐったいような、ぞわぞわするような。そのまま首筋や背骨のライン、わき腹をなぞられると、それが次第にぞくぞくして止まらなくなってきた。
「ちょ、張郃、あの……っ」
「はい?」
「な、なんか、その、ムズムズする」
「でしょうねぇ」
腕の内側や指の股、耳の側をかすめられて、なんだかもどかしくて暴れたいような気分にさえなってきた。自分で触ろうとすると「いい子にしていて」と制止されるし、どうしていいか判らない。張郃は手を止める事無く、しかしとてつもなくゆっくりとした動作で夏侯覇を撫で、時折背中に口づけを落とした。その度、身体がビクリと跳ねた。
「ちょ、張郃っ! な、なんてーか、あのっ」
「えぇ、えぇ判りますよ。そろそろ下も触ってあげましょうか」
そうして触れられたのは太股の内側や膝裏、足首などで、夏侯覇はますますたまらなくなった。ゾクゾクが止まらなくて、シーツを掴んで目を閉じる。時折意思とは関係無く、身体が跳ねた。
おまけにいつまで経っても、肝心な場所には触れてもらえない。
「張、こ……っも、いいから……っ」
「まだですよ、まだ」
「ま、まだって……も、もうやだって、こんな、なんてーか、なんてーかガマン出来ないって……!」
「まだこの良さが判らないんですねぇ。仕方有りません、少々手荒になりますが……」
「いっ、……え? ちょ、いや、いやいやいや、張郃何してんの!!」
ぐい、と両腕を背中側にねじり上げられ、次の瞬間にはガチャンと金属音がした。何が起こったのか見たくても見れないし、両手は引っ付いて離れやしない。
「な、何……っ怖い事しないって、言ったじゃん!」
「してませんよ、大丈夫。これはもう少しだけ大人しくしてもらう為に、付けただけですよ。私が貴方に危害を加えると思いますか? 心配しないで」
たっぷり可愛がってあげますから。張郃の言葉に、ようやっと夏侯覇は少し後悔した。
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あれからどれぐらい経ったろう。夏侯覇は本格的に後悔していた。張郃はずっと肝心な場所を避けて、しつこい程に優しい愛撫を続けた。もどかしくてたまらず、夏侯覇はもう息も絶え絶えだ。顔も身体も熱くて仕方無い。恥ずかしい事だが、しっかり出来上がってしまっている。触ってほしい、と思うのに、触ってもらえない。
「ぅあ、っ……あ、ちょ、張郃、もうやだぁ」
悪い事には、もうすっかり身体が敏感になってしまっていて、少しわき腹を撫でられただけでもビクビクして止まらなかった。もういっそ犯して! と叫びそうにさえなる。色んな意味でどうにかなってしまいそうだった。
「良い具合になりましたね、夏侯覇殿」
「ぅ、う……っ、張郃の意地悪……っ」
「こんなに優しくしてさし上げてるのに。まあ、もうそろそろいいでしょう。仕上げは意中の方としたいですよね?」
「へ……?」
張郃が何を言っているのか判らず、顔を見ると、彼はニコニコして部屋の入り口を指差した。のろのろとそれを追うと、部屋の入り口に困ったような顔をした郭淮が立っていた。
「………………へっ!? えっ、あ、えええっ!?」
あまりの事に驚いて、夏侯覇は隠れようとしたが、張郃に押さえつけられてそれも出来なかった。「いやいやいや!」「えええっ」「張郃、郭淮、えっ、なんで」とかそんな事を繰り返していると、優しく微笑んだままの張郃が言う。
「郭淮殿も気にしていましたから、私がお手伝いしてあげようと思ったんです。幸い、夏侯覇殿も随分出来上がっていますし、そろそろ郭淮殿にお任せしますね。さあ、夏侯覇殿、可愛がってもらって下さいね」
「ちょ、張郃! えっ、ええ!?」
うろたえる夏侯覇を置いて、張郃は部屋を出て行ってしまった。郭淮は複雑そうな顔で張郃を見送って、それからおずおずと夏侯覇に近寄って来た。
「か、郭淮、あの、俺、あの」
夏侯覇は赤くなった。何しろもうバスローブも無くて、全裸で後ろ手に拘束されている状態で、おまけにすっかり出来上がっている。それを隠す事も出来ない。しどろもどろになっていると、郭淮が静かに言う。
「貴方を悲しませてしまって、申し訳無い」
「へ? あ、え、うん、え?」
「私は貴方を待たせ、傷付け、苦しめてしまった。それを深く反省しています」
「いや、それほどじゃないけど、え、って言うかいつから見てたの?」
「大体最初からです」
「マ、マジですか……」
「こうなってしまったのも全て私の責任です。全力を尽くしますので……」
「い、いや、なんてーか、郭淮ってそういう変なトコすごいマジメだよな……って、ちょ、ぅ、あっ!」
そろり、と背中を撫でられて、身体が跳ねる。そういう刺激はもううんざりだ。触るならちゃんと触ってよ、と考えただけか、うっかり口に出してしまったか。郭淮にやんわりと性器を握られて、思わず息を呑む。が、期待とは裏腹に、手はすぐに離れてしまった。
「夏侯覇殿、その、……力を抜いて下さい」
「なに……っひっ、わ、ぁ、な、何、なにして……っうあ!」
冷たいヌルヌルした液体が尻にかけられて驚いていると、今度はそのまま中に指を入れられた。のだと思う。何せそんな事をさせるのは初めてで、異物感や焦りや羞恥やらなにやら、とにかくなんともたまらない気持ちになった。
「か、郭淮っ、な、何して……っ」
「ずっとこうしたかったんです。でも、色々な勇気が出なかった」
ぐにぐにと中を指で擦られて、夏侯覇はむずがるような声を出して首を振る。苦しいのとも痛いのとも違うが、とにかく落ち着かない。それに、流石にこれからどうなるのかの予想はついたから、羞恥とか恐怖とかそういうものにかられて、身を捩る。と、ぐり、と中で何かが押されて、思わず「ひっ」と息を呑んだ。
「……ここ、ですか?」
「な、なに、なに知らな……っや、やだやだ郭淮、変、なんか変だって……うぁっ」
ぐりぐり指を動かされて、思わず声が漏れる。それが恥ずかしくて下唇を噛んで堪えた。それでも郭淮は止めてくれないし、もう自分が本当はどうしてほしいのかも、よく判らなかった。
早く解放されたい、と思う。前は熱を持って張りつめたままだ。いつの間にか内部を探る指が増やされていたが、やはり痛くはなくて、むしろ苦しくてもどかしくて、気持ち良くてたまらなかった。
「……そろそろ、大丈夫ですか? 夏侯覇殿」
「大、丈夫って、何が……っふあ、ぁ……っ」
ずるりと指が抜かれて、ゾクゾクした感覚にそれだけでイキそうにさえなる。が、前への直接的な刺激が無いので、達する事は出来なかった。もどかしくて郭淮の方を見て、眼を疑った。郭淮のソレが、意外なほど立派だったから。
おまけにそれを尻にあてがわれたものだから、夏侯覇は慌てて「待って」と声を上げた。が、もう手遅れだった。
「力を抜いていて下さい」
「や、ぃ……っう、……ぅ……っ」
「ほら、夏侯覇殿、力を」
「ひっ、ぃ、ぁ、だめ、だめだってぇ……っ」
指とは比べ物にならない苦しさに、力を抜く事など到底出来そうになかったが、ずっとお預けにされていた前を指で擦られ、身体がびくびく震えて力が抜ける。その隙にずるずると奥まで侵入され、夏侯覇はシーツに顔を埋めてふるふる首を振った。
「意外と入るものなんですね……」
「か、郭淮、郭淮……っ」
「ええ、判っています。動きますね」
「そ、そうじゃなくて、かくわ、っ、う、ぁ、あ! やだ、やだってなんか、なんかやだって、んん、う、ああぅ……っ」
小さく腰を動かされて、内部が擦れる感覚がなんとも言えず気持ち良く、夏侯覇はまた頭を振った。どうにかなってしまいそうだ。まだ少ししか動いていないというのにこんな状態では、この後どうなるか判らない。
「郭淮、郭淮、やだ、やだって……っ」
「ええ、判っています」
何が判ってるんだよ! と叫びたかったが、実際出たのは喘ぎ声ばかりでどうにもならない。そのままじわじわと腰を大きく動かされて、もう文句を言うどころの騒ぎではなくなってしまった。ひっきりなしに甲高い声が漏れてしまって、恥ずかしくて気持ち良くて、頭が真っ白になって、だからそれからの事を夏侯覇はあまり覚えていない。
ただただ、とにかく気持ち良くて、そして恐らく、とてつもなく幸せだった。
+
「いやいやいや! 張郃、意地悪過ぎるっしょ! なんでこんな事したんだよ!」
事が終わってすぐ、夏侯覇も郭淮も疲れ果てて寝てしまったわけで、結局事情を全て説明されるのは翌朝の事になった。優雅にリビングで紅茶を飲んでいた張郃に夏侯覇が詰め寄ると、彼は微笑んで答える。
「少しでも大好きな貴方達の助けになれればと思って」
「ほ、方向性おかしいだろ……」
「他にどんな方法が有ったと? 奥手過ぎる貴方達にはこれぐらいがいいんです」
「そ、そんなわけないだろ!」
夏侯覇はそう言ったが、張郃は取り合わない。味方を、と思って郭淮を見ても、彼は何故だか少し幸せそうにニコニコしていたので、助けてはくれそうになかった。
「良かったじゃないですか、ようやっと一つになれたのですし。郭淮殿も多少は自信を持てたでしょう」
「そりゃそうかもしれないけど……」
「これからの貴方達には改めて別の物が必要でしょうね。その時は私も協力します」
「別の物って何?」
よせばいいのに尋ねて、夏侯覇は張郃が小さな声で答えた言葉に、真っ赤になって「いらねえ!」と叫んだ。
それはそれで平和で幸せな朝だった。
+++
ちなみに張郃が用意してくれるのは、大人のおもちゃの類です。
わりと郭淮さんがくそまじめに有効活用してくれると信じてる。
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