[PR] 賃貸住宅 オクラサラダボウル [美流]ルゼとトウマ3 忍者ブログ
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めでぃのくの日記
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2025-01-19 (Sun)
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2010-06-02 (Wed)
 ついでなので。ここで一区切り。ここまでしか書いてないので
 いったん終わります。はぁしかし作中時間が一日しか経ってない……
 いつになったらお前達はハグやキスをするんだい……
 いやハグは割りと初期からするけども……
 サブキャラは名前無しにしようかなとも思うので
 カタリナ様は名無しになるかも……どうしようかなあ
 とりあえずこれは下書きにあたるので、そのうち清書した時には
 随分変わってたりするかもしれませんね オリジナルにはよくある話

 塔から下りきった頃には、すっかり日が暮れていた。宿の部屋へと戻ると、ルゼはベッドに腰掛けて、ふぅと大きな溜息を吐く。

「今日は流石に疲れてしまったよ。私はここに居る事にするけど……トウマは退屈だろうね」

 ルゼはそう言うと、鞄の中から小さな袋を取り出し、トウマに差し出す。

「これで飲んでおいでよ。酒場も有った事だし」

 トウマが受け取って中を見ると、ちょっとした贅沢が出来るほどの金が入っていた。ぎょっとして、「しかし、こんな大金」と首を振ったが、ルゼは笑う。

「いいから。今日は迷惑をかけたし、これからもきっとかけるだろうし。好きに使っておくれ。私は少し休むよ。ああ疲れた」

 ごろん、とベッドに寝転がって、ルゼはすっかりくつろいだ様子だった。トウマはしばらく考えたが、確かに夜は長いし、ここに居てもやる事は無い。くれると言っているのだから、金はありがたく頂戴して、部屋を出る。

 宿のすぐ隣に、小さな酒場が有る。他に客は居ないようだ。木で出来た扉を開いて中に入る。カウンターの向こうには、懐かしい顔が有った。

「あら、トウマじゃないの。久しぶり」

 ここでオーナーをしているカタリナという女だった。王都を離れる時、西に向かう場合は必ずこの宿場町に泊る。だから顔を覚えられている。カタリナは真っ赤に染めた長い髪を優雅にまとめて、洒落たナイトドレスを着ていた。彼女はカクテルも作るし、軽い食事も用意してくれる。それにこんな小さな店のオーナーにしては、品も有って賢い女だから、トウマも彼女の事が嫌いではない。

 久しぶり、と返して、カウンターに腰掛ける。「アンタはこれだったわね」とすぐに出してくれたのは葡萄ジュースで、トウマは苦笑した。実はトウマは、酒が一切飲めない。どうも体に合わないらしく、一口飲んだだけでも顔が真っ赤になって、ボウッとしてしまうのだ。あまりに酔いやすい為に、気持ち良くもならないし、それ以上飲めば呆気無くつぶれて、記憶も無くす。だからトウマはジュースと、軽食ぐらいしか口にする事が出来ない。

 大の男が酒も飲めないと散々からかわれたものだったが、カタリナに関して言えば、「そういう人も居るわよ」とすぐに酒以外のメニューを用意してくれた。だからトウマは彼女にある程度気を許している。

「アンタ、今度は何の用で来たの? 今でもキャリバに?」

 トウマの前の主だったキャリバ家は、豪商でよく旅団を組んで方々を旅して回っていた。それ以前にもカタリナとは交流が有ったが、キャリバに居た頃は特に通う事になった。しかもこのキャリバの主が、小太りで煩く強欲で怠惰な男だったものだから、トウマは陰でクズ豚と呼んでいたほどだった。そういう愚痴にも似た事をカタリナにも沢山言ったものだった。それでも、トウマに自由を許したのだから、クズ豚とはいえ、恩人に当たってしまう。トウマはそれが少々気にくわなかった。

「いや。今はイルを捨てて、……リフィトルという店のオーナーに仕えている」

「リフィトルってアレでしょ。服とかの。いいわねぇ」

 カタリナが店の名を知っていた事に、トウマが眼を丸くすると、彼女はけらけらと笑う。

「いやだ、リフィトルって有名なのよ。貴族用のそれは高ぁい服から、私達庶民にも手が届く品まで、色々でね。色合いが落ち着いてるのになんでか綺麗だし、それに生地がいいね! 普通見た目がいいと、実用性に欠けるものだけど、あの店のは見た目もいいし、長持ちするし。良い店だと思うわ。……オーナーはどんな人? 相変わらず嫌な奴なの? アンタったら運が無いものね」

「……まだよく判らない……。そうだ。シャニアという家を知っているか?」

 カタリナは仕事柄色んな事を見聞きしているはずだ。ならトウマの知らない、シャニア家の事も知っているはずだろう。トウマが尋ねると、カタリナは首を傾げる。

「シャニア? シャニア……あぁ、王都の没落貴族の一つね。確か……戦争関連の……ああ、そうそう。銃の商売で成功していた家だったはずよ。平和協定を結んで以来、すっかり売れなくなっちゃったけどね。おまけに今の代の……名前忘れたけど、このオッサン、これが色情狂いって奴でね。女を沢山囲って、それでますますお金が流れだしてるって。……まぁあくまで噂だけど」

「……女、だけか?」

「? 男色趣味って事? さぁ、無いとは言い切れないけど……それがどうかしたの?」

 トウマは自分の知っている事を要約して話した。つまり、ルゼは元々シャニア家の「イル」だったという事。今は「イル」を失い、ルゼ=リヴァーインという名を得ているのに、まだ「ルゼ=イル=シャニア」という名を名乗っているというのは、よほどひけらかしたいのだろう、と思った事。

 カタリナは時折相槌を打ちながら、一通り話を聞いて、それから「うーん」と首を傾げる。

「トウマ、それはひけらかしているのとは、少し違うと思うわ」

「……何故だ?」

「だってシャニアは傾いている家よ。その家名を名乗ったからって、メリットなんて無いわよ。勢いが有ってこそ、力が有ってこそ、名乗る事で威を借る事が出来るんだから。今時シャニアと名乗ったところで、バカにされるだけじゃないかしら」

「……じゃあ、……何なんだ?」

 トウマの問いに、カタリナは苦笑して、「アンタには縁が無いかもね」と呟いた。





 部屋に戻ると、ルゼはベッドにうつ伏せに寝そべったまま、何かしていた。よく見ると、白紙のノートに色鉛筆で、何かを描いているようだった。仕事だろうか、と思いながら、「戻りました」と告げる。

「おかえり、早かったね」

 ルゼは身体を起こして、トウマのほうを見る。部下と話すのに、手を止める必要はないのに、と思いながら、ルゼに近寄る。

「俺は、……あまり酒が好きではないので」

「えぇ? それは意外だ。じゃあかえって迷惑だったかな?」

「いえ、知人に会えましたので……」

「そう、なら良かった。……あ、お金は返さなくていいから。アレも給金の一部だと思って、好きに使っていいからね」

 トウマは「はぁ」と気の無い返事をするしかなかった。ルゼは一通りの会話が終わったと思ったらしく、またノートに色鉛筆を滑らせる。部屋には紙に何かを描く音が響いた。トウマは一度自分のベッドに腰掛けていたが、少々居たたまれなくなって、ルゼに声をかける。

「……何を、描いておられるのですか?」

「今日見た物をね。色々。あんまり絵は上手くないんだけど、残しておきたくて。……見せたい人が、居るんだ」

 ルゼは恥ずかしそうに笑いながら、そろりと描きかけの絵を見せてくれた。それは確かに風景画と言えるほど、芸術的ではない。けれど、それがあの塔の上から見た、夕焼けの景色だという事は判る。

『忠義立てしてるんじゃないかしらね。アンタはついに、いい主人には巡り合えなかったけど……その人には居るんじゃない? お世話になりました、って自己紹介したいほど、素晴らしい人が』

 ふとカタリナの言葉を思い出す。ルゼはトウマが見たのを確認すると、また色鉛筆を滑らせ始めた。トウマには理解出来ない。自由になってまで、自分を支配していた人間に忠義を感じるなど、正気の沙汰では無いと思う。少なくとも、自分はそんな素晴らしい主などには出会えなかった。皆自己中心的で、トウマを物か家畜にしか思わない人間ばかりで、思い出したくもない。

 なのにルゼは、妙に嬉しそうな顔をして絵を描いている。トウマは困惑して、それから思ったままを尋ねる。

「……失礼ですが、見せたい方というのは……シャニアの方ですか?」

「……そうだよ」

 ルゼは一度手を止めて、トウマを見る。柔らかい微笑みは、本当に嬉しそうな表情で、トウマはそれが少々、怖かった。

「私の主人はね……ああ今は、そうじゃあないんだけれど。とても忙しいし、色々有って、お屋敷からあまり出られないんだ。たぶん生涯、あの国から出られないだろう。だから、見せて差し上げたいんだ。沢山の景色を。あの方に……」

「……その為の、旅ですか」

「アハハ、それも有るってだけだよ。あくまで文化の見聞が目的。独立する前に世話になっていた人がね、こうして旅をしていたんだ。とても素晴らしいデザイナーでね。だから私も、それを真似してみたいと思ったんだ。それでどうせなら、お土産を用意して帰りたいと、そう思っているだけさ」

「……」

「あぁ、でも今日はなんだか本当に疲れたよ。慣れるまでは苦労しそうだ。今日はもう寝る事にする。これ以上頑張っても、いい絵にはなりそうもないし」

 ルゼはそう言ってノートを閉じると、ベッドに潜りこむ。おやすみ、トウマ、と言われては、トウマも慌てて寝支度をするしかなかった。

 ベッドに潜り、灯りを消す。しばらくすると、ルゼは眠ったらしく、呼吸が深くなった。その僅かな音を聞きながら、トウマは眉を寄せた。

(今日会ったばかりの、ろくに知りもしない男の前で、ちゃんと寝ている。馬鹿か、お人好しか、能天気か……何と呼ぶべきか。疲れているだけかもしれないが……)

 トウマは体勢を変えて、ルゼを見た。暗闇の中でも、うっすらと姿は見える。今なら殺せる。いや、恐らくこの警戒心の欠片も無い男は、いつだって殺せるだろう。トウマは溜息を吐いて、眼を閉じる。

(信用されている、のか? ……だとしたら悪い気はしないが。どうもよく判らない奴だ)

 これ以上は考えても仕方ない。トウマは判っていたから、眠る事にした。明日も長い。よく判らない男のお守をしなくてはいけないのだから、しっかり寝るに越した事は無かった。

 +++

 今後も大活躍のトウマ下戸設定の予定
 また続き書けたら、もぞもぞ上げてみます……迷惑かもしれませんが

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