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めでぃのくの日記
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2025-01-19 (Sun)
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2010-05-13 (Thu)
 あのアソパソマソカーに乗ってるような可愛い人は……
 愛すべきおばかキャラがどんどん増えて困ります
 とりあえずとっとと発売しろ どっちに走ったらいいのか判らん
 下手したら石田総受とかにも手を出しそうな勢いなんだ


 えーとなんだか勢いがついちゃったので、昨日の続き。
 斬撃のレギンレイヴのアレです。エロは入りませんでした。

 振り向きざま殴られて、視界が一瞬真っ白になった。バランスを崩して、階段から落ちそうになるのをなんとか堪える。ヴェルンドも狩人であるから、痛みや何かには耐性が無いわけでもない。それでも僅かな間、身体の動きが鈍る。続けざま身体を掴まれ、強く引かれると、ぐらりと膝を床に着く。

 休む暇も無く、今度は蹴りが入った。避けようとしたが、身体がまだ動かない。どす、と身体全体に響く痛みが、更に自由を奪った。せめて身を守ろうと手を翳したが、相手は5人、どうにもならなかった。

 しばらく殴られたり蹴られたりして、痛みに体力を奪われる。と、誰かがヴェルンドを床にうつぶせに押し付けてくる。その背中に乗られて、ぐぅと声が漏れた。止めろ、とか離せ、とか、色々と叫んだ気はするが、どれも痛みのせいで掠れてしまった。誰か、と僅かに思ったが、一人で出て来たのだから、助けが来るはずも無い。口の中に鉄の味が広がっていた。その口に布が強引に押し込まれる。うう、と身を捩ったが、乗っている男はびくともしなかった。

 ここまでくれば、ヴェルンドにも、これから何が起こるのかぐらい判る。そういう習慣が有るという事は知っているし、狩人達の間でも、長期の狩りになれば時折起こっている事だ。しかしそれは慈愛と相互扶助の下になりたっている。元来受け入れるようには出来ていないのだから、相手の配慮が無ければ、時には死んでしまう事も有ると知っている。

 それでももはやどうしようもなかった。ニヤニヤと見下してくる男達は、いよいよ楽しんでいる風だったし、もう止まりそうにも無い。上に乗っている男も動かない。暴れても、何も変わらない。もう、何もかも終わりなのだ。ヴェルンドは諦めるしかなかった。諦められようはずもない。それでも無駄な抵抗を続けては、時折、打たれた。

 空は霞んでいる。日が暮れる。闇が世界を覆い始める。ヴェルンドはぼんやりとそれを見つめていた。視界の端に、一羽の鷹が映ったが、彼は世界を睥睨するばかりで、そのまま飛び去って行った。







 ヘルギは子供の頃からシグムンドの側に居た。シグムンドと共に遊び、剣や弓の使い方を教わった。狩りの仕方も、民の統率の仕方も習った。けれど決定的な違いが有った。シグムンドはいずれ長になる身で、ヘルギはそうでなかったという事だ。境遇も、能力も、覚悟も違った。ヘルギはシグムンドより遥かに大きな身体を授かったが、常に彼の前には行かなかった。行けなかった、とも言える。ヘルギは表に出るのが好きではなかった。

 それはシグムンドが幼い頃から寄せられていた期待の重さと、それを背負いきった彼の力を目の当たりにしたからかもしれない。シグムンドには死んでも敵わない。そして敵いたいとも思わない。あんな世界に行くなら。ヘルギは心の何処かでそう思っていたから、誰かの背中に着いていく事を、もっと言うなら、シグムンドの背中を追うという生き方を好んでいた。

 出来るなら生涯、空気のような存在で居たかったとさえ思う。明るく、居ても気にならない、居ないと少しだけ寂しい、そんな村人の一人で居たかった。居なくては駄目だ、と期待されるのは怖い。期待されれば、それに応えなくてはいけない。自分はシグムンドのように、期待に逐一応えられる英雄にはなれそうにないと思っている。自分の能力が低いとは思っていない。狩人としての腕もそこそこだ。けれどそれを表に出したくない。そして期待される事が怖い。背負うものが怖い。最初から誰かの後ろに、影に隠されている方がマシだった。

 それが自分の怠慢だとかそういう類の物だという事も、ヘルギは重々承知している。この劇的な状況の変化の中で、自分だけが誰かの陰に隠れているという事は、もはや許される事ではないと知っていた。だからヘルギは仕方なく、シグムンドの横にでも出て、子供達の世話をしたり、好戦的過ぎるシグムンドと、消極的な連中との緩衝材になるしかなかった。

 シグムンドは優れた戦士で、狩人でもあるが、村を失った今、大切なのは民を不安から守る事だ。戦い続けろと言って誤魔化すには限度というものがある。ヘルギは極めて楽天的、あるいは希望的な事を村人達に言って、笑ったりしょぼくれたりしながら彼らを勇気付ける事をした。とても疲れる作業だったが、自分にはそちらのほうが向いていると、思っている。自分がより落ち込めば、周りの人間はそれより落ち込む訳にはいかず、ヘルギを慰めようとする。そうすると彼らは元気を出す。そうやって人を鼓舞するのが、ヘルギの形だ。そうして駄目な奴を演じている方がよほど楽だったし、何故だか周りの連中も、ヘルギが演じているだけだと気付いているらしく、馬鹿にはしてこなかった。

 石の砦は窮屈で、ヘルギは皆の苛立ちを感じると、とにかく巨神族に対する悪態を吐きまくり、皆の怒りの矛先を巨神族に向ける事に努力した。皆ブルグントの対応にも怒っていたが、何より全て巨神のせいだという事は判っていたから、皆で悪態を吐いて、それでしっかり食べて寝て、改めて彼らと戦おうという形で一丸になる事が出来た。これは上手くいった、とヘルギが喜んでいると、ふいに廊下からシグムンドが呼ぶ。

 皆を置いて廊下に出ると、シグムンドは神妙な面持ちで、「ヴェルンドを知らないか」と聞く。

「ヴェルンド? さあ見てねぇけど。あいつの村の部屋に居ないのか?」

 ヘルギはヴェルンドの事をよく知らない。シグムンドとは族長同士という事で交流が有るようだが、ヘルギ自身は彼の事をあまりよくは思っていない。頭を使うタイプの人間はどうも苦手だ。特に彼はヘルギ達狩人とは違う意味で口が悪い。嫌味たらしい、というべきか。それに見た目もそこそこ綺麗だし、なのに狩りの腕も上手いし。早い話が、少々妬ましいのだ。

「部屋に行ったら、しばらく前から居ないそうだ。逆に何処にいるのか聞かれた。どの布団を誰に渡すかとか馬鹿な事を聞いてきたから、それぐらい勝手に決めろと言っていたが。あいつの村の奴らは気骨が無いな。ヴェルンド一人に任せるのは大変そうだ。いずれ北の民は北の民でまとまったほうがいいかもしれない。……とにかく、姿が見えない。夜になったら話し合いをしようと言っていたんだが……」

「……うろうろしてるんじゃねぇのか? ここは何だか入り組んでるし、迷子になってる、とか……」

「かもな。森で迷う気はしないが、この石の建物はどうも……何処を見ても同じに見える。……少し探してみるか」

「お、なら俺も行く。ちいと外の空気が吸いたいしなぁ。ここは何だか臭くて嫌だぜ」

 ヘルギはおどけた様子でそう言う。そうやっていつも軽く物を言うのが癖になっている。シグムンドがいつも真面くさっているから、尚更そうしてしまう。それが時折疲れるから、本当に今は、少しでいいから新鮮な空気を吸いたい気分だった。

 村の者達に断りを入れて、二人で廊下を歩いて行く。石の廊下は何処までも伸びて、しかも何処も同じようで、本当に迷いそうだった。曲がる度に帰り道を確認していると、フレイが歩いているのを見つけた。

「フレイ、帰ったのか」

 フレイはシグムンドの声に振りかえり、ああと透き通った声で返事をする。彼は巨神族の動向を見るために、単身北方に飛び、偵察に行っていた。話を聞くと、巨神族もライン川を越えているが、その辺りで止まっている。まだ2、3日は本隊は来ないだろう、と。一通り報告を聞いた後に、シグムンドはふと思い出したように、彼に尋ねる。

「ところで、ヴェルンドを知らないか。しばらく前から見えないんだが」

 偵察に行っていたのに、知るわけないじゃあないか。ヘルギがそう言う前に、フレイが「見た」と即答していた。

「見たのか。何処にいる? 話が有るんだ」

「屋上で、ブルグントの兵に殴られていた」

「……何? ……どういう事だ、詳しく説明しろ」

 シグムンドの顔が険しくなる。ヘルギも思わず不安げな顔をした。ここはブルグントの砦だ。そこで殴られているというのは、とてつもなく穏やかではない。

「帰りに屋上で、ブルグント兵5人に囲まれているヴェルンドは見た。暴行されているようだったな」

「……それで、……それでお前は、見捨てて来たと言うのか」

 シグムンドの低い声。フレイは僅かに首を傾げて、不思議そうに言う。

「見捨てる? 人間というのは暴力によって親睦を深める事も有る。人に暴力はつきものだ。神が手を出すような事ではない。人と人との事には、神は関わらないし、関わるべきではない。まして彼らもこの非常時であるから、貴重な戦力を減らすような愚かな真似はしないだろう」

「……人は時に想像を絶する程、愚かになる。神ならばそれぐらい知っていよう。……何処だ。神は関わらない、それはそれで構わないが、俺達は仲間を守らなくてはならない」

「……」

 フレイはしばらく不思議そうな顔をしていた。シグムンドが「言え!」と詰め寄ると、彼は廊下の先を指差す。シグムンドは何も言わずに、そちらに走り始めた。ヘルギは一度フレイの顔を見て、それからシグムンドを追った。フレイはやはり、不思議そうな顔をしていた。

 シグムンドと共に廊下を駆ける。そうしながらシグムンドは、小さく呟いていた。ああそうだろう、神には関係の無い事だ、人同士の争いに神は決して手を出さなかったのだから。怒っているようだ。怒ると言う事は、何か期待したという事だ。ヘルギは何か複雑な気持ちになった。そしてフレイには、シグムンドが何故怒っているのかが、判らない。何か、少しだけ悲しかった。

 しばらくすると階段が眼に入った。シグムンドは迷いもせず、それを駆け上がる。ヘルギもそれを追って、そして息を呑んだ。

 床に崩れ落ちているのは間違いなくヴェルンドだ。髪も服も乱れて、埃や何かに汚されていたが、間違い無く。ただその事実は、尚更悲しい思いを増やしただけだった。彼はブルグントの兵に足蹴にされて、見下され、笑われている。何が有ったのかぐらい、一目で判った。殴られたのか、蹴られたのか、白い身体に幾つか痛々しい痣が浮かんでいる。……そう、肌が露出しているのだ。

 ヘルギはかぁと顔が赤くなるのを感じた。理由は色々だ。信じられないほどの憤りを感じたのも理由の一つだった。ヴェルンドとは親しくない。彼の事はあまり好きでもない。それでも、あまりの事に怒る気持ちが止まらなかった。彼がブルグントの男達に何をしたと言うのか。5人もの男に、好き勝手にされるほどの、何を。

 ヘルギより先に、シグムンドが動いた。いつも先を行くのは彼だった。彼はヴェルンドに歩み寄ると、側にいた無法者を殴り飛ばし、そのまま乱闘に持ち込んだ。彼らはヴェルンドの事で油断しきっていたらしく、シグムンド一人でも何とかなりそうだった。ヘルギは少し悩んで、それからヴェルンドに駆け寄る。

 近くで見れば尚更悲しい思いをする事になった。ただヴェルンドは意識を保っていて、それが救いだった。しっかりしろ、と声をかければ、大丈夫だ、と返事。

「大した事じゃあ、ない。狼に噛まれるよりは、マシだ……」

 そういう声が酷く嗄れている。ヘルギは眉を寄せて、彼の乱れた髪を直してやった。暴れたらしい。叫んだらしい。顔は唇が切れている程度だったが、身体は痣や血や、それに考えたくもないもので汚されている。ヘルギはいたたまれなくなって、彼の服を何とか回収すると、急いで着せてやった。手が震えて、なかなか上手くいかなかった。ヴェルンドはただぼんやりとヘルギに身を任せていて、それでも時折は、大丈夫だ、とうわごとのように繰り返した。

 そうこうするうちにシグムンドの気も収まったらしい。5人を気が済むまで殴ったようで、ヴェルンドの側に来ると「帰ろう」と言った。息が荒い。顔にはまだ怒りが張り付いていたが、これ以上争っても仕方ないという事は理解しているようだ。「奴らには、次にこんな事が有ったら殺すと言っておいた」とシグムンドは静かに言い、ヴェルンドに触れる。

「大丈夫か。もう一人で出歩くな」

「……お前にだけは、こういう姿は見られたくなかったものだな……」

 ヴェルンドは静かに苦笑して、そして立ち上がろうとした。脚に上手く力が入らないらしい。ヘルギはそれに肩を貸して、支えてやった。小さく「すまない」という声が聞こえる。

「……この状態で帰るわけにはいかないな。フレイに話をつけさせて、医者に見てもらおう。何かは居るだろう。それに身体を綺麗にしてやらないと」

 シグムンドはそう言って、先に階段を下りて行った。ラーンとか言う女戦士に話をつけさせるつもりなのだろう。彼女はフレイの言葉によく従い、北の民にも嫌々ながらよくしてくれている。それでも女が居るのだ。ならヴェルンドでなくても、女にすればいいのに。ヘルギは静かに悲しんだ。

 ああ違う、女だと思える者には、酷い事はしたくないんだ。ヴェルンドの事は、人間だとは思わないから、こんなに残酷になれるんだ。

 ふと振り返る。ブルグントの兵達は、呻きもがいていた。彼らはどうするんだろうか、北の民にやられたと、被害者面をするのだろうか。そうして人間同士憎み合い、殺し合うのが性なのかもしれない。だからこそ神々は人に触れようとしない。下らない事に手を貸したりしないのだ。フレイとフレイヤがやって来たのも、人間が巨神族に襲われたからだ。それ以上の理由は、きっと無い。

 たぶんシグムンドは、フレイとフレイヤが人間の味方だと思ってたんだな。ヘルギはそう思いながら、ヴェルンドを支えて、運んでやった。そして人間の、いや自分達の味方なら、皆を守ってくれると、そう思っていたのだ。期待していたのだ。そしてそれが勘違いであった事に、静かに怒っている。悲しんでいる。

 ふとヴェルンドを見た。彼は始終俯いて、何も言わなかった。何か考えているらしい。ヘルギも何と声をかけていいか判らず、黙っていた。ただ、ヴェルンドの痛々しい身体が、自分よりも遥かに小さく、華奢である事を感じながら、静かに彼を支えていた。

 +++

 勝手な想像ばかりです。
 フレイは最初は無機質な感じなので、今後じりじり人間に近付いてくる感じ。
 常識的な事も判らないし、感情というものがなんなのかも判らない感じ。
 だからシグムンドを怒らせた事は判るんだけど、何で怒ったのかも判らないし、
 どうしてこんなにしょぼーんって気持ちになるのかも判らない。

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