最初だけ書いてみました……舞台背景が判らないからどうするべきか。
まだ何も始まってない……というかこれから始まる……というか。短いです。
以下、斬撃 ヴェルンド受の短文 途中までです。相手はブルグント兵A~E
まだ何も始まってない……というかこれから始まる……というか。短いです。
以下、斬撃 ヴェルンド受の短文 途中までです。相手はブルグント兵A~E
女子供は泣き喚いて不安ばかりを叫ぶし、男達は何かにつけて決断を迫った。それこそどのベッドで誰が寝るか、まで決めるのは村長であるヴェルンドになった。
それは仕方の無い事なのだ。女は仕事を与えない限り不安がる。食事の準備を手伝うように指示して、それで何とか防ぐしかない。男は責任を負いたくない。だから全ての決断を誰かにさせたがる。それ自体は非難すべき事ではない。
ただヴェルンドは疲れ切っていた。ライン河を越えてこちらに来たのだから、体力の消耗も激しい。そこに加えて、何だかんだと村の者達に縋られて、流石に嫌になっていた。
シグムンドは優れた狩人であるし、その村の族長として上手くやっている。だがそれは平時の事だ。女達は異常が有れば煩くなる。男達を不安から救う事は、シグムンドにも出来る。だが女達は無理だ。恐れて泣くのが性分なのだから。彼女らの心の均衡を保つ仕事は、ヴェルンドがしなくてはいけない。彼女らを慰めたり励ましている間に、心もすっかり疲れてしまった。
ブルグントの小さな石の砦。その一角を北の民に分け与えられた。砦はとても窮屈で、村の民も不満をもらしていたが、ヴェルンドも大いにその建物が嫌いだった。ただでさえ巨神族が侵攻し、故郷を失った状況で、このあまりに変わった環境は辛すぎる。食事もまずい。空気も淀んでいる。そして皆の不安や苛立ちがピリピリとそこら中に溢れている。恐ろしく不快だった。
夜に今後の事を族長同士で話し合い、ブルグントとの調整を図ろう、とシグムンドには言われていた。まだそれまでには少々時間が有る。ヴェルンドは少し休もうと、一人宛がわれている部屋を出た。しばらく一人になりたかったし、何処かで外の空気を吸いたかった。
南は豊かな土地が多い。穀物などの栽培をして暮らしている。だから国が全体に上品だ。そして北の民を蛮族として嫌っている。彼らにしてみれば、毎日狩りに明け暮れるという行為が野蛮に思えるのだろう。そうでもしなければ、森の中では暮らせないのに。
ヴェルンドはしばらく砦の中をさまよった。なかなか外に通じている場所には出られなかった。今日初めて来たわけだし、これは迷うかもしれない、と外に出る事を諦めようとした時だ。階段が見えた。そこから空が見えている。外に出られるようだ。
のろのろとそこを登る。どうやら砦の屋上の一つのようだ。ヴェルンドはようやっと外に出られた事に安堵し、それから少々の希望を抱いた。ここから北の故郷が見えないだろうか。ゆっくりと歩き始めて、屋上の縁に向かおうとした。
ふいに物陰から人が飛び出す。ヴェルンドは驚いて振り返ったが、そのまま突き飛ばされ、押し倒されてしまった。流石に暴れていると、他に数人いる事が判った。
「なんだ、男じゃないか」
一人ががっかりしたような声を出す。皆男のようだ。ブルグントの兵だろう。見慣れない顔ばかりだった。
「獲物が来たと思ったのにな」
彼らは顔を見合わせて笑う。ヴェルンドは眉を寄せて、それから一つの推測を導き出した。男ではなかったら、どうだというのか。
「まぁでも蛮族の女なんてなぁ。気持ち悪いぜ」
「馬鹿、だからこそだろ。こっちの女を好きにした日にゃあお縄になるが、蛮族なら誰も文句言わない」
その言葉に推測が確信に変わる。北の女が迷い込むのを狙っていたのだ。そして無体を働こうと。ヴェルンドは怒りに任せて暴れた。大した力は出なかったが、なんとか振り解く事が出来た。
「俺達の一族を、北の民を貴様らに好きになど、させるものか!」
「なんだなんだ、どうするってんだ? 凶暴な奴だな。熊と付き合ってたら気性も荒くなるのか?」
「男がこれじゃあ、女もさぞかし酷いだろうな。肉ばかり食っているから、畜生の血が混ざってるのかもしれねぇぞ、気持ち悪い」
「……っ」
ヴェルンドは憤った。が、それを堪えた。ここで争っても何の意味も無い。彼らが北の民を見下しているのは、知らなかったわけではない。そしてそんなクズと言えども、この緊急事態において貴重な戦力である事も確かだ。戦ったところで互いに戦力を消耗するだけで、何の得も無い。むしろ、早くここから帰り、改めて北の民には許された場所から出ないように忠告するほうが有意義だ。こういう連中がこれだけしか居ないとは限らない。何が起こってもおかしくないのだ。
ヴェルンドは彼らを睨みつけたが、やがて彼らを押しのけて、階段へと向かう。彼らがニヤニヤとした顔で何か言っていたが、ヴェルンドは相手にしなかった。馬鹿の相手はしないに限るのだ。心を休めようと思って来て、ますます疲れたが、それでも怒りが芽生えた分ましだ。怒りは人に力を与える。辛いが、帰ってもう少し頑張らなくては。
ヴェルンドはそう考えながら、階段へ降りようとしていた。
「でもこいつ、男にしちゃあ、なかなかいいんじゃあないか」
小さな声が、耳に届いて。何か嫌な予感に振りむいた時には、もう、その肩を強く掴まれていた。
+++
とりあえずここまで。
全然関係無いですけど、フリムの戦場で血まみれで死んでいるヴェルンドは
きっと仰向けで虚ろな眼をして空を見ているんじゃないかと、思うんだ
それは仕方の無い事なのだ。女は仕事を与えない限り不安がる。食事の準備を手伝うように指示して、それで何とか防ぐしかない。男は責任を負いたくない。だから全ての決断を誰かにさせたがる。それ自体は非難すべき事ではない。
ただヴェルンドは疲れ切っていた。ライン河を越えてこちらに来たのだから、体力の消耗も激しい。そこに加えて、何だかんだと村の者達に縋られて、流石に嫌になっていた。
シグムンドは優れた狩人であるし、その村の族長として上手くやっている。だがそれは平時の事だ。女達は異常が有れば煩くなる。男達を不安から救う事は、シグムンドにも出来る。だが女達は無理だ。恐れて泣くのが性分なのだから。彼女らの心の均衡を保つ仕事は、ヴェルンドがしなくてはいけない。彼女らを慰めたり励ましている間に、心もすっかり疲れてしまった。
ブルグントの小さな石の砦。その一角を北の民に分け与えられた。砦はとても窮屈で、村の民も不満をもらしていたが、ヴェルンドも大いにその建物が嫌いだった。ただでさえ巨神族が侵攻し、故郷を失った状況で、このあまりに変わった環境は辛すぎる。食事もまずい。空気も淀んでいる。そして皆の不安や苛立ちがピリピリとそこら中に溢れている。恐ろしく不快だった。
夜に今後の事を族長同士で話し合い、ブルグントとの調整を図ろう、とシグムンドには言われていた。まだそれまでには少々時間が有る。ヴェルンドは少し休もうと、一人宛がわれている部屋を出た。しばらく一人になりたかったし、何処かで外の空気を吸いたかった。
南は豊かな土地が多い。穀物などの栽培をして暮らしている。だから国が全体に上品だ。そして北の民を蛮族として嫌っている。彼らにしてみれば、毎日狩りに明け暮れるという行為が野蛮に思えるのだろう。そうでもしなければ、森の中では暮らせないのに。
ヴェルンドはしばらく砦の中をさまよった。なかなか外に通じている場所には出られなかった。今日初めて来たわけだし、これは迷うかもしれない、と外に出る事を諦めようとした時だ。階段が見えた。そこから空が見えている。外に出られるようだ。
のろのろとそこを登る。どうやら砦の屋上の一つのようだ。ヴェルンドはようやっと外に出られた事に安堵し、それから少々の希望を抱いた。ここから北の故郷が見えないだろうか。ゆっくりと歩き始めて、屋上の縁に向かおうとした。
ふいに物陰から人が飛び出す。ヴェルンドは驚いて振り返ったが、そのまま突き飛ばされ、押し倒されてしまった。流石に暴れていると、他に数人いる事が判った。
「なんだ、男じゃないか」
一人ががっかりしたような声を出す。皆男のようだ。ブルグントの兵だろう。見慣れない顔ばかりだった。
「獲物が来たと思ったのにな」
彼らは顔を見合わせて笑う。ヴェルンドは眉を寄せて、それから一つの推測を導き出した。男ではなかったら、どうだというのか。
「まぁでも蛮族の女なんてなぁ。気持ち悪いぜ」
「馬鹿、だからこそだろ。こっちの女を好きにした日にゃあお縄になるが、蛮族なら誰も文句言わない」
その言葉に推測が確信に変わる。北の女が迷い込むのを狙っていたのだ。そして無体を働こうと。ヴェルンドは怒りに任せて暴れた。大した力は出なかったが、なんとか振り解く事が出来た。
「俺達の一族を、北の民を貴様らに好きになど、させるものか!」
「なんだなんだ、どうするってんだ? 凶暴な奴だな。熊と付き合ってたら気性も荒くなるのか?」
「男がこれじゃあ、女もさぞかし酷いだろうな。肉ばかり食っているから、畜生の血が混ざってるのかもしれねぇぞ、気持ち悪い」
「……っ」
ヴェルンドは憤った。が、それを堪えた。ここで争っても何の意味も無い。彼らが北の民を見下しているのは、知らなかったわけではない。そしてそんなクズと言えども、この緊急事態において貴重な戦力である事も確かだ。戦ったところで互いに戦力を消耗するだけで、何の得も無い。むしろ、早くここから帰り、改めて北の民には許された場所から出ないように忠告するほうが有意義だ。こういう連中がこれだけしか居ないとは限らない。何が起こってもおかしくないのだ。
ヴェルンドは彼らを睨みつけたが、やがて彼らを押しのけて、階段へと向かう。彼らがニヤニヤとした顔で何か言っていたが、ヴェルンドは相手にしなかった。馬鹿の相手はしないに限るのだ。心を休めようと思って来て、ますます疲れたが、それでも怒りが芽生えた分ましだ。怒りは人に力を与える。辛いが、帰ってもう少し頑張らなくては。
ヴェルンドはそう考えながら、階段へ降りようとしていた。
「でもこいつ、男にしちゃあ、なかなかいいんじゃあないか」
小さな声が、耳に届いて。何か嫌な予感に振りむいた時には、もう、その肩を強く掴まれていた。
+++
とりあえずここまで。
全然関係無いですけど、フリムの戦場で血まみれで死んでいるヴェルンドは
きっと仰向けで虚ろな眼をして空を見ているんじゃないかと、思うんだ
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二人とも変態。永遠の中二病。
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