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めでぃのくの日記
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2025-01-19 (Sun)
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2009-12-24 (Thu)
 ほんともう、コレ……なんか……
 前半戦のテンションが高過ぎて、エロくならんかった
 本番描写が有るのにエロくない! 奇跡!
 なんかまだ続きそうですけど一応ここで区切っときます


 というわけで
 性生活支援センター松永の4

 そう言えば。大学時代に、先輩から言われた事が有る。

 あれはいつだったろうか? 長曾我部も、先輩も居た時期だから、大学3年の時だろうが。「貴方、随分仲がいいんですね」と言われ、元就は首を傾げた。

「何の事だ?」

「ほら、あの後輩の、大きな男とよく居るではありませんか」

 元就はしばらく考えて、元親の事だと理解した。しかし、それほど一緒に居たわけでもないので、「そうか?」とやはり首を傾げるしかなかった。

「アレは同級生でな。留年をしておるから後輩だが、長い付き合いではある。腐れ縁という奴だな」

「腐れ縁、ですか……まぁ貴方がそう思っているなら、それで私も構いませんが、毛利殿。貴方はもう少し物事をよく考えた方が良いですよ」

「何を、我を馬鹿だと申すか」

「いえいえ、馬鹿だと言っているわけではありません。ですが、貴方はあまりに無頓着過ぎる。こうして猟奇趣味の私と付き合っていたら、ある晩私に身体を切られてもおかしくないとは思いませんか」

「??? 何を言っておるのだ? そなたは猟奇趣味なだけであって、そんな事をするような人間ではないぞ。現に、我の良い先輩ではないか。何故そんな事を考えなければならん」

 彼は一瞬呆けたような顔をして、それから彼らしからぬ困った顔で頭を押さえた。「どうした」と問うと、「頭が痛いんです、貴方のせいで」と答えが返る。

「我は頭痛の神ではないぞ」

「ええ、ええええ、判っています。貴方は頭痛の種です。毛利殿。いいですか。これは忠告ではなく、警告ですよ。貴方は身の回りの人物について、良く考えなければなりません。もっと疑わないと。そして背後に気をつけないと。いつか貴方、とんでもない目に合いますよ」

「なんだ、占いか? 我はそんなものは信じぬぞ」

「占いじゃありません。毛利殿、貴方はもっと変態という人種に対して偏見を持つべきですよ。そして背後に気を配るべきです。でないと、後ろから襲われますよ」

「何を馬鹿な……大体そなたが変態云々言っても説得力が無い。心配するな。そなたは良識の有る変態だ。我は性癖を理由に差別、区別するほど心の狭い人間ではないから、そう卑下せずとも、我はそなたの友人だぞ」

 その時の彼の「本当にもうこの人は……」とでも言いたげな、呆れかえった顔を、ようやく思い出した。

 あれは占いではなく、予言だったのだと、元就は思った。





 嫌悪と怒りで身体が震えたのは最初の3分ぐらいまでで、それからの元就は絶えず色んな意味で身体が震えていた。無論、後ろから元親が指で体内をまさぐっているわけで、不安定な姿勢では少しの力を加えられても、身体が揺れるのも有った。しかし理由はそれだけではないと元就も判っているし、だからこそ元就は泣きたくて仕方無かった。

 あれから久秀による男性同士のセックス講座のような物がスタートしてしまい、久秀と元親は二人して元就の後ろを弄りまわして、ああでもないこうでもないと言っていた。元就は恥ずかしくてたまらなかったが、彼らはこんな事なのに真剣に取り組んでいて、もうどうしようもなかった。

 そんな所に入るわけない、馬鹿よせ我を殺すつもりかと叫んでいたが、何の事はない、すんなり指は入ってしまったし、その他諸々の何か良く判らない物も入ってしまった。最初こそ苦しいばかりで拷問のようだったが、久秀が何やら元親に第二関節がどうのこうのと説明して以来、それだけではなくなってしまった。

 妙に気持ち良い。妙に。それが情けなくて元就は死にたかった。だがどうしようもないので諦めた。話によれば、自分にもなんらかの薬が盛られているらしいから、それのせいだと思うように努めた。

 元親もだんだんコツを覚えてきて、しばらくすると久秀はレクチャーから離れ、元就の前に立つとじっと身体を上から下まで眺めて来た。「変態、消え去れ! 散れっ!」と呪文のように唱えたが、当然久秀が何処かに行く事はなかった。

 後ろは地味に気持ちいいし、恥ずかしいし、身体は熱いしで、元就はもう頭がおかしくなりそうだった。むしろなってしまいたかった。こんな現実は忘れて、何も気にせず生きていれば良いのだと。女性関係が持てないのがなんだ、気にする事はなかった、気にしたばかりにこんな目に合っているのだ。出来る事ならもう一度やり直すか、過去の自分に言ってやりたかった。女性関係が何だ、男の価値は仕事じゃないか。自分で考えて泣きたくなった。

 久秀はしばらくして元就に近寄って来た。「うー!」と暴れたが、そのせいで元親の指が奥まで届いてしまってかえってまずい事になった。久秀が「まぁまぁリラックスしたまえ」と到底無理な要求をしながら、元就の身体を撫でる。その後は久秀も何かしら元就を愛撫し始めてしまい、元就はどうしていいか判らなくなった。

 悪い夢なら覚めてほしい、とはこの事だ。後ろは真剣な顔をした元親に弄られ、前からは久秀があれこれ聞きたくもない事をレクチャーしながら触って来る。やれ「乳首は一度強い刺激を与えてから、可愛がってやるのが良い。つまり鞭から飴のバランスだよ」とかそんな説明をしながら実践してくる。それがまた気持ちよくてたまらないもので、元就は死にたくなった。なんでこんな目に合っているのか、理解出来ない。

 しかし先輩の言い分を信じるなら、自業自得なのだ。変態についてよく考えなかったから、……元親について、真剣に考えなかったから。元親は20年来、元就を好いていたと言った。元就はそれについて、今改めて考える。

 確かに元親の言動はおかしかったかもしれない。それは小学生の時から、そうだった。元就が元親の髪の事をからかわなかったからだろうか。それとも悪くしている左眼の事をからかわなかったからだろうか。要するに、元就は他の人間達がしていたような嫌がらせをしなかっただけだ。それが元親にとってどれほど大きかった事なのか、元就は知らないし、判りようもない。

 そう言えば、一緒に帰り道を歩いたり、おかしを食べながら延々と話したり、
あるいは日が暮れるまでじゃれ合った。しかしそれは小学生という無邪気な時期なら誰でもする事だと思っていた。中学になると疎遠になったが、それでも誕生日には何故だか机に何かしらのプレゼントを入れていた。例えば「風邪ひくなよ」と一言書かれた手紙とマフラーだとか。この時点で確かにおかしい、と元就は少し思った。

 高校時代は、元親の自転車に二人乗りをして(悪い事だと判っていたから、元就は気が気ではなかった)何処までも走った。体育祭や文化祭で暇な時間が出来ると、何故だか側に居て、喋った。大学では先に語った通り、ドライブなどに付き合わされた。

 確かに、特別扱いされていたとは思う。であれば、20年間それに気付かず無視し続けたツケが回って来ているのだ。もっと早くに気付いてやればよかった。尤も、気付いたところでどうすればいいのか、元就には判らない。

 受け入れてやればいいのか? 我を好きでいてくれてありがとうと? ……我もそなたが好きだ、とか?

 そこまで考えて元就は何か妙な気持ちになってしまった。訳が判らないでいると、「長曾我部君」と久秀が口を開く。

「彼が何か別の事を考えているようだ。刺激が足りないのではないのかね」

「え……そ、そっか、慣れちゃったかな……じゃあもっと他の……」

 おおおい待て待てこれ以上変な物を入れるな、と元就が喚くと、久秀が「そうだね」と頷く。

「そろそろ、慣らしはいいだろう。卿が愉しませてやりなさい。もう手足には力が入らないと思うから、ベッドに連れて行ってやるといい」

 



 釣りあげられていた腕にも、つま先で辛うじて立っていた脚にも、確かに力が入らなかった。鎖を外され、拘束を解かれても元就はどうにも出来ない。口の布も取られたが、何故だか何も言えなかった。

 ベッドにそっと運ばれて。仰向けに転がされ。そしてその上に、元親が乗って来る。逆光で表情は良く見えなかった。ただ何故か元親の鍛えられた筋肉だとか、光を吸って輝く髪が随分と綺麗に見えた。

「ちょ、ちょうそかべ……」

「毛利……毛利、好きだ、好きだ、大好きだ」

 元親は元就を抱きしめて、耳元で囁く。

「ずっとずっと好きだった。好きだった。でも怖かったんだ、それでお前が俺の事を嫌うんじゃないかって、でももういいんだ、待ち疲れたから……もうお前に嫌われたっていい、お前が欲しい、一度だけでもいい、お前を俺の物にしたい、それで二度とお前が、俺を見てくれなくても同じだ、同じだから、だから、……だから」

「ぅ……っ、う、あ、ぁ、あ……っ」
 
 だから、許してくれ。そんな事を小さく呟いて、元親は元就の中に侵入し始める。今までのどんな物よりも熱い物が、身体に押し入る感覚に元就は震えた。元親の熱心な開発と、久秀の的確なレクチャーのせいかは知らないが、痛みはあまりない。ただ、ただ今まさに犯されているのだという確かな感覚が身体を満たして、元就はたまらず元親の身体にしがみ付いた。

 いや違う、ここは引っぱたいて、殴り飛ばして、逃げるところだ。そうに決まっている。そう考えるのに、元就の手は勝手に動いて、背中を引っ掻き、助けを求める。元親も「いい子だ」と髪を撫でたりしながら、ゆっくりと全てを収める。

「あ、ぅ、う……」

 奥まで押し入られ、元就が呻くと、「元就、愛してる」と元親が頬や額に口づけを落とす。好きだ、愛してる、大好きだ、ずっとずっとそうだった、俺のもんだ、と何やら呪文のように耳元で繰り返されると、なんだかそうだったような気がしてくる。つまり、自分もそうだったような気が。

 本当に気付いてなかったのだろうか。本当にそんな気はなかったのだろうか。例えばあの日、二人きりでドライブに行く事に、何の疑問も持たなかったのだろうか。プレゼントを受け取って、嬉しくはなかったのか。同じ会社にまでなった時に、何処か納得してはいなかったか。

「あ、ぁ、あ……っ」

 元親が小さく身体を動かす。最初は揺さぶるだけにしておきたまえ、という久秀の忠告通りの行動だ。小刻みに体内を抉られ、元就は背を反らせて声を上げた。どうにもたまらない。熱が身体中に満ちて、しかもそれが元親によって腰から背骨、脊髄から脳にまで叩きつけられる。どうしようもない。もうどうしようもないほど気持ちが良い。

 女を抱けないと悩んで、ここに来て、20年来の知り合いに犯され、これほどに感じている。その事実を元就は受け入れる事にした。否定しても仕方が無いのだ。否定していたから、上手くいかなかったのだ。現に、こんなにも気持ちが良い。こんなにも心地が良い。こんなにも、元親が温かく、熱い。

「ちょ、……そかべ……っ!」

 ぎゅうと元親の身体に顔を押しつけ、消え入るような声で、「すきだ」と呟いた。聞こえても、聞こえなくてもいい。そう思って口にしたのに、した途端にその気持ちが爆ぜてしまった。ぞくぞくと背筋に痺れが走って、たまらない気持ちになる。そして、その言葉は元親にも届いていたようだ。

「も、毛利?」

 元親は驚いて動きを止めてしまう。それがもどかしくて、苦しくて、元就は元親の身体に縋りついたまま、「好きだ!」と大声で言った。

「我も、我も好きだ! 馬鹿者! 何故こんな、……こんな変態の前で、こんな、……馬鹿者!」

「私が変態だと? 失礼な。人前で性行為に没頭している人間の方がよほど変態だ」

 久秀が喋っていたが、既に二人には全く届いていなかった。

「も、毛利、毛利本当に、え、本当に、え、ええ? 本当に!?」

「本当だ、そうだそなたが好きだ、ずっとずっと好きだった、たぶん、そんな気がする! でなければこんな事になんてなるはずがない、そうではないか! もういい、なんでもいい、なんでもいいから責任を取って我をどうにかしろ、熱くて辛くて苦しくて、たまらぬ!」

 そうだ、白い髪が輝くのが綺麗だった。瞳が自分を見つめるのが好きだった。白い手の滑らかさが好きだった。肩甲骨の優雅なラインが好きだった。何を着ても様になるところや、ゆったりと歩くところ、明るく笑うところ、毛利、と呼ばれる事、何もかも、何もかもが大事で、好きで、心地良かった。

 元就はぎゅうぎゅうと元親に抱きついていたし、元親は最初こそ困惑していたものの、「そ、そういう事なら!」と涙まで流しながら腰を揺すり始めた。それがあまりに気持ちいいもので、元就は訳も判らず元親の名を呼んだ。






「診療料金は6万8千円だよ」

 何もかも終わって。まず元親が何処かへ行き。元就も身体を清められ、服を着て、最初の診察室に行った頃にはもう朝の4時で、身も心もフラフラになっている所に、久秀がそう請求した。

「た、高い……!」

「高いよ、保険が効かないし、時間はかかったし、客は来ないし。まぁツケでもいいが、その場合は書類を書いてもらうがね」

「ひ、人に薬を盛って、散々しておいて金を取るとは……!」

「卿の悩み事に対する回答は出したつもりだが? 私の力無しで出来た事かね? 自分がゲイのマゾだと知り得たと思うか?」

「わ、我はゲイでも、マゾでもない!」

 元就は反論したが、久秀は呆れたような顔をするだけだ。

「何を言うのも勝手だがね、現に彼とはセックスが出来たじゃあないか。それに私が見ているというのに、あんなに盛り上がって。いいかね、レイプされれば普通人は委縮し、快感は減退し絶頂に至れない。それが出来たならマゾヒストの要素は有るという事だよ」

「だ、黙れ、あれは薬を使われたから……!」

「あれはただの酒だ。酒で酔ったらレイプされても楽しいか? まぁ卿が認めるまで付き合ってもいいがね」

「こ、こんな所! 2度と来ぬ!」

「なら、現金即決払いで頼むよ」

 久秀はあくまで取り合わなかった。元就はブツブツと文句を言いながらも財布を出して、なんとか有った現金を久秀に差し出した。

「こんな事までして、あの受付には何か意味が有るのか?」

「有るとも。まぁ卿に判らないのは仕方ない。こういう仕事をしてみなければ、見えない世界も有るのだよ」

 見たくもない。元就はため息を吐いて、診察室を出た。「お大事に」と久秀の声がしたが、振り返らなかった。

 受付は相変わらずただ座っているだけで、元就は呆れた。「取り込み中」と書かれた札を立てていて、妙に恥ずかしくなってさっさとエレベーターに乗り込んだ。

 ホールに降りると、元親が待っていた。どちらともなく顔を反らして、その後で、どちらともなく顔を合わせて、苦笑いを浮かべた。


 +++

 浦崎さんに、「こいつらその後も通うんだろ?」と言われているので
 たぶん常連になるんじゃないかと思います
 毛利の好き≒長曾我部の好き なのに毛利が騙されています
 まぁでも結果的に幸せなら過程はどうでもいいんじゃないかと思う

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