新年早々、かくかくうまうまのしかおじさんがかわいくてしかたない
なにあれもうかわいい
以下、こないだの続き そんなに続かない予定
なにあれもうかわいい
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元親が目を覚ますと、既に部屋は明るかった。二、三回と瞬きして、のろりと辺りを見渡す。元就はベッドに居なかった。床に座って、テレビを見ながら、パンを齧っている。既に元親の布団は片付けられていた。
「毛利」
声をかけると、元就は振り向いて、「起きたか」と言う。床にはちゃぶ台が置かれていて、そこに皿やカップが用意されている。元就はトーストと、コーヒーを朝食にしているようだった。
「そなたは、パンでいいか? 焼いた方がいいか」
元親はただ頷いて、元就は食べかけのパンを皿に置くと、キッチンのほうへと歩いて行った。元親はベッドから出て、布団を畳むと床に下りる。
テレビは相変わらず無闇に明るい話題を笑っては、急に暗いニュースを生真面目な顔で読んだりする。情緒不安定過ぎるぜ、と元親は思った。どんなに明るい馬鹿な話にも、今は笑う気がしなかった。元親は妙に不安になって、元就を見る。元就はトースターの前で、パンの様子を見ていた。
「コーヒーでいいか。砂糖や、ミルクは?」
元親はただ首を振る。ブラックでいいのか、と再度問われ、また頷いた。元就はカップに湯気の上がるコーヒーを注ぎ、またトースターへと戻って行く。
「……なんか、意外だな。毛利って、なんか和食のイメージが有るんだけど」
なんとなく居心地が悪くて、元親が言うと、元就は「そうだな」と頷く。
「我も朝は和食派だったのだがな。一人暮らしを初めて、何もかも面倒になってな。パンはいい。焼いて、マーガリンを塗るだけだ」
「そうだよな。一人暮らしって、なんか忙しいよな」
「うむ」
会話が途絶えた。元親は何故だか不安な気持ちになった。一晩が過ぎて、何故か空気が変わったような気がする。昨日はあれほどここに居たいと思ったのに、今は早くここから逃げ出したいと思った。何かしなければ、と思う。だがどうすればいいか判らない。
トーストが出来上がる。元就はそれにマーガリンを塗って、元親の所へ持って来た。「あんがと」と軽く言って、二人でちゃぶ台を囲い、朝食を摂る。
静かだった。二人して黙ってテレビを見て、もそもそとパンを齧る。テレビではアナウンサーが、各地の年末の様子を伝えている。酷く明るい。明る過ぎる。俺は泣きたい、と元親は静かに思った。
「長曾我部」
ふと元就が口を開く。
「悩み事でも有るのか」
昨日は何も聞かなかった元就が、急に問うてきた。元親はぎょっとして元就を見る。しかし元就は、テレビを見ていた。
「な、悩み事? 別に、無いけど……」
慌ててそう言うと、元就は「そうか」と頷いて。
「そんなに我に秘密にしたいか。……知っておる。破産したそうだな」
元親は、背筋が冷たくなるのを感じた。
「な、なん、なんで、」
元親はうろたえたが、元就は相変わらず、テレビを見たまま、まるで世間話でもするように言う。
「そなたの交流は大層広かったようだな。ゼミの連中がしきりに噂をしておった。長曾我部元親は破産したらしい、とな。……皆、他人の不幸の話は喜んでするものよ。当人の気も知らず、また、可哀相にと言いながら何もせぬものだ」
「……」
元親は頭が真っ白になってしまった。折角隠していたのに、全て元就に筒抜けだったのだ。しかし、と元親は思う。
なら、どうして毛利は、俺を受け入れた?
「なんで、なんで毛利は、それを知ってて、俺を、部屋に?」
「……」
元就はしばらく答えなかった。やがてパンを置くと、そろりと机の方に向かう。何事か、と元親が見ていると、元就は封筒を持って戻って来た。
「長曾我部、これをそなたにやる」
元就は手に持っていた封筒を、元親に差し出す。
「これが有れば、田舎に帰れるだろう。帰るのだ」
元親はそれを恐る恐る受け取って、中身を見た。紙幣が入っている。結構な量だった。少なくとも、今の元親にとっては。
「も、」
「少ないだろうが、我に出来る事はそれぐらいだ。正月の間は不便だろうから、明けたら田舎に帰るが良い。それまで、ここに居たいなら居てもいい」
「毛利、」
「その上で、もしそなたが困るような事が有れば、またその時に、」
「毛利、どうして、どうしてこんなにしてくれるんだ? 変だよ」
元親は元就に封筒を突き返しながら言う。
「俺、毛利とそんな、友達でもないし、こんな、金をもらえるような、」
「要らないのか」
「そ、そうじゃねぇけど、」
「なら受け取れ。それはそなたが使うべき金だ」
「だから!」
元親は思わず声を荒げる。
「俺はお前にこんなにされるような男じゃねぇ。皆、俺の事、見捨てたのに、なんで、なんでお前が、お前だけが、こんな、判んねぇよ、意味が判んねぇ!」
その言葉に、元就は静かに、
「そなたは我が全てを捧げても守るべき存在だ」
と、はっきり答えた。
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「毛利」
声をかけると、元就は振り向いて、「起きたか」と言う。床にはちゃぶ台が置かれていて、そこに皿やカップが用意されている。元就はトーストと、コーヒーを朝食にしているようだった。
「そなたは、パンでいいか? 焼いた方がいいか」
元親はただ頷いて、元就は食べかけのパンを皿に置くと、キッチンのほうへと歩いて行った。元親はベッドから出て、布団を畳むと床に下りる。
テレビは相変わらず無闇に明るい話題を笑っては、急に暗いニュースを生真面目な顔で読んだりする。情緒不安定過ぎるぜ、と元親は思った。どんなに明るい馬鹿な話にも、今は笑う気がしなかった。元親は妙に不安になって、元就を見る。元就はトースターの前で、パンの様子を見ていた。
「コーヒーでいいか。砂糖や、ミルクは?」
元親はただ首を振る。ブラックでいいのか、と再度問われ、また頷いた。元就はカップに湯気の上がるコーヒーを注ぎ、またトースターへと戻って行く。
「……なんか、意外だな。毛利って、なんか和食のイメージが有るんだけど」
なんとなく居心地が悪くて、元親が言うと、元就は「そうだな」と頷く。
「我も朝は和食派だったのだがな。一人暮らしを初めて、何もかも面倒になってな。パンはいい。焼いて、マーガリンを塗るだけだ」
「そうだよな。一人暮らしって、なんか忙しいよな」
「うむ」
会話が途絶えた。元親は何故だか不安な気持ちになった。一晩が過ぎて、何故か空気が変わったような気がする。昨日はあれほどここに居たいと思ったのに、今は早くここから逃げ出したいと思った。何かしなければ、と思う。だがどうすればいいか判らない。
トーストが出来上がる。元就はそれにマーガリンを塗って、元親の所へ持って来た。「あんがと」と軽く言って、二人でちゃぶ台を囲い、朝食を摂る。
静かだった。二人して黙ってテレビを見て、もそもそとパンを齧る。テレビではアナウンサーが、各地の年末の様子を伝えている。酷く明るい。明る過ぎる。俺は泣きたい、と元親は静かに思った。
「長曾我部」
ふと元就が口を開く。
「悩み事でも有るのか」
昨日は何も聞かなかった元就が、急に問うてきた。元親はぎょっとして元就を見る。しかし元就は、テレビを見ていた。
「な、悩み事? 別に、無いけど……」
慌ててそう言うと、元就は「そうか」と頷いて。
「そんなに我に秘密にしたいか。……知っておる。破産したそうだな」
元親は、背筋が冷たくなるのを感じた。
「な、なん、なんで、」
元親はうろたえたが、元就は相変わらず、テレビを見たまま、まるで世間話でもするように言う。
「そなたの交流は大層広かったようだな。ゼミの連中がしきりに噂をしておった。長曾我部元親は破産したらしい、とな。……皆、他人の不幸の話は喜んでするものよ。当人の気も知らず、また、可哀相にと言いながら何もせぬものだ」
「……」
元親は頭が真っ白になってしまった。折角隠していたのに、全て元就に筒抜けだったのだ。しかし、と元親は思う。
なら、どうして毛利は、俺を受け入れた?
「なんで、なんで毛利は、それを知ってて、俺を、部屋に?」
「……」
元就はしばらく答えなかった。やがてパンを置くと、そろりと机の方に向かう。何事か、と元親が見ていると、元就は封筒を持って戻って来た。
「長曾我部、これをそなたにやる」
元就は手に持っていた封筒を、元親に差し出す。
「これが有れば、田舎に帰れるだろう。帰るのだ」
元親はそれを恐る恐る受け取って、中身を見た。紙幣が入っている。結構な量だった。少なくとも、今の元親にとっては。
「も、」
「少ないだろうが、我に出来る事はそれぐらいだ。正月の間は不便だろうから、明けたら田舎に帰るが良い。それまで、ここに居たいなら居てもいい」
「毛利、」
「その上で、もしそなたが困るような事が有れば、またその時に、」
「毛利、どうして、どうしてこんなにしてくれるんだ? 変だよ」
元親は元就に封筒を突き返しながら言う。
「俺、毛利とそんな、友達でもないし、こんな、金をもらえるような、」
「要らないのか」
「そ、そうじゃねぇけど、」
「なら受け取れ。それはそなたが使うべき金だ」
「だから!」
元親は思わず声を荒げる。
「俺はお前にこんなにされるような男じゃねぇ。皆、俺の事、見捨てたのに、なんで、なんでお前が、お前だけが、こんな、判んねぇよ、意味が判んねぇ!」
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「そなたは我が全てを捧げても守るべき存在だ」
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二人とも変態。永遠の中二病。
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