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めでぃのくの日記
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2025-01-20 (Mon)
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2009-03-05 (Thu)
 とりあえずガチの9 

 いつものように落ち合い。レストランで食事をして。

 他愛の無い話をしながら家に戻り。先にシャワーを浴びて。

 裸のまま二人、ベッドに潜り込んで抱き合う。対格差が有るので、いつも元就は元親の胸に顔を埋めるような形になってしまった。それでは息苦しいだろうと、寝る時には枕の位置まで移動させるのに、今日の元親にはそんな配慮をする余裕が無い。

 元親は元就を抱いたまま、特に意味の無い話を続けた。その間もずっと、聞かなくては、切り出さなくてはと考えていたが、そのタイミングが判らない。場繋ぎにつらつらと話し続けたが、遂に途切れてしまう。静寂だけが部屋を満たして、元親はたまらなく恐くなってしまった。

 その上。

「……長曾我部……鼓動が、早いぞ……?」

 元就が不思議そうに呟いた直後、「まさか」と顔を顰めたものだから、元親は慌てて首を振る。

「い、いや、誤解だ。ちょっと、緊張しちまって……」

「緊張? 何を?」

「ええっと……」

「……」

 元就が怪訝な顔をしている。このまま誤魔化そうとあぁだこうだと理屈を捏ねたら、不信感を持たれそうだった。元親は一つ溜息を吐いて、意を決した。

「聞きたい事が、有って」

「……なんだ?」

「毛利……養子だって、言ってたろ? ……その……実は、俺も……で、さ……」

 元親の言葉に元就は驚いたらしい。「そなたも?」と目を見開いている。どうやら、興元は話していないようだ。

「うん……お前とは立場が違うんだけどな。うちは俺が長男で、……弟が、両親の実子でさ……」

「……そう、か……」

「それでさ、……あの……こう言っちゃなんだけど……家族の事、本当に愛してて……本当に愛されてると……思うか?」

「……何故、そのような事を考える?」

 元就はすぐには答えなかった。元親も時折言葉に悩みながら、己の思いを口にする。

「その……うちでは……俺は大事にしてもらえたとは、思うんだけど……でもなんか、やっぱり違うって言うか……なんだろ……本当の親に、会いたいとか、思ったりしてよ……」

「……」

「素直に、あの人達の事、家族だって認められないのは……俺がダメなのかなぁ……て、……さ……」

 元親は不安げに元就を見る。彼もまた、何か考えるように、言葉を選びながら答えてくれた。

「……長曾我部。我も、会いたいとは思うぞ? 本当の両親に。……確かに今の家族には感謝してもし足りぬ。愛しておるつもりだ。それでも……やはり時折、暗い気持ちで考える。本当の親は今、何処で何をしていて……何故、我は捨てられたのか、と」

「……毛利も……?」

「そう、我もだ。……愛しているし、愛されていて、彼らは家族だと思う。だが名も知らぬ二人もまた家族で、……出来る事なら会いたい、話がしたい。その結果、悲しい事だけが増えたとしても、それでも……」

 元就は僅かに目を伏せる。元親はその手をぎゅっと握った。元就もそっと握り返してくれて、元親は酷く安心した。

 毛利は、俺を受け入れてくれるのだ。

「だから、そなたの不安は、判らなくもない……。……それと、これは推測でしかないのだが……」

「だが?」

「……区別だとか、好き嫌いと言うのは、双方で作るもので、しかもお互いに維持してしまうものだ。……例えば、……こう言っては悪いが、……そなたは家族からの愛を疑うに足る区別をされたろうか……?」

「……」

「あるいは……それを恐れるあまりに、自ら……区別と思わしき何かを見つけ出して……事実にしてしまったという、可能性は無いだろうか? その……我も人の事を偉そうに言える程、社交的ではないが……例えば、嫌われていると思えば、相手も嫌ってくるものだろう? どちらが先かはさして重要な事ではないが、双方の疑いや望みが、自然と事態を動かしたが最後、その形は双方で維持するから、修復するのは極めて難しいのだ」

「……要は……俺は区別されていると思うあまりに、されてもない区別に苦しんで、その結果、家族も区別し始めたって事か?」

「あくまで可能性の話だ。……酷い事を言っておるな……すまぬ。我はそなたの事を知らぬが……ただ、我もまた陥りかけたので、もしかしてと思うて……」

「お前も、家族を疑ってた時期なんかが有るのか?」

「有る。……養子だと聞かされてしばらくは、我も辛くてな……些細な事を理由に仕立て上げ、実子ではないからだと考えたものだ。……良く話し合って、確認し合って、時間が解決してくれたのだが……」

 だから、そなたの事が心配なのだ。自ら、自分を傷つけているのではないかと……。

 元就はそう呟いて、元親の手を強く握る。元親はたまらなくなって、元就を抱き寄せ、その頬に何度も口付けを落とした。

「親父もおふくろもいい人だよ。こんなドラ息子を愛して、面倒見て、学校に行かせてくれた。本当の子供も居るのに、……楽じゃなかったろうに……」

「そう、だろうな……」

「……愛されてたんだな。……たぶん、俺も愛してる。でも恐いんだ。何もかも嘘じゃないかって。だって俺は、……実の親にも捨てられるような、存在、だから」

「そなたは素晴らしい男だ」

「そんな事。だって、嫌な奴だぜ。遊んでばっかりだし。ダメな奴なんだ」

「心の汚い人間に、あんな綺麗な色は作れぬ」

「……色? ……服の事か?」

 元親が問うと、元就は小さく頷いて、そっと手を伸ばし、元親の頬を撫でた。

「そなたの持つ色はいつも綺麗だ。静かで、穏やかで、……悲しい事も有るのだろうが、それでも笑う事を忘れない。渡り歩くのは辛いからだ。そのはけ口にしていると判っているから、そなたは尚傷付いてしまう……。……そなたの色、我は好きだぞ。そなたはそれを作り出せる人間だ。……我は、好きだ。きっと他の者達も同じだ。そなたには魅力が有る。惹き付けられずにはいられないのだ」

「……」

 元親は気恥ずかしくなって、それからたまらなく嬉しくなった。

「俺も、毛利の事、大好きだ」

「いや、我は、そなたの……」

「俺、お前が好きだ。大好きだ」

 そう言ってぎゅうぎゅう抱きしめる。元就は困ったような顔で、されるがままになっている。

「なぁ……名前でさ……元就、って、呼んで良い?」

「……構わぬ、ぞ……」

「元就。元就。……じゃあ俺の事は、元親って呼んでくれるか?」

「……それは、構わぬが。……我は、人の名を呼んだ事が無いから……慣れるまで、待ってくれるか?」

「うん、待つ。俺、待つよ。……元就、元就……」

 嬉しくて仕方がなかった。元親はいつまでも元就を抱いて、名を呼び続ける。

 呼ばれている元就の表情は、何故だか、険しい。

 +++

 絵的に裸の多い話だなしかし

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