我が家では余裕と選択権の奪取を第一課題としているので
つまり例えば何か締め切りが有ったとすると
遅くともその一週間前には完成させていなければならないという
ノルマなのですね。状況に追い込まれたら負け、という。
だから4月の締め切りがめちゃくちゃ近く感じますアハハ
どうしよう……(全然余裕が無いじゃないか)
以下、かけつき。ちょっと長め。
つまり例えば何か締め切りが有ったとすると
遅くともその一週間前には完成させていなければならないという
ノルマなのですね。状況に追い込まれたら負け、という。
だから4月の締め切りがめちゃくちゃ近く感じますアハハ
どうしよう……(全然余裕が無いじゃないか)
以下、かけつき。ちょっと長め。
元就の食事に薬を混ぜるのは簡単だった。女中に良い薬だが飲もうとしないから混ぜてくれと言うと、女中は特に疑いもせず混ぜてくれた。以前にも何度か同じような事は有ったらしい。元就は毒見の類を用意していないらしく、結果的に薬を全て飲ませる事に成功した。
毒で君主が二人も死んだ家にしては無防備なものだったが、全ては元就が己の命に何の重要性も感じていない事が原因だろう。元就が死んでも、跡目争いさえ起こらない安定したこの国で、誰が生きて誰が死のうと、誰も気にしないのだろう。
尤も、元就の家臣達はそうは思っていないようで、元親の挙動に対して厳しい目をしていた。が、元就が元親の事を信用している様子なので、彼らも元親の事を信じるしかないようだった。四国で起こった事を総合して、そう判断するしかなかったのだろう。即ち、二人は盟友のようなものになったのだろう、と。
夕餉の後、元親は布団に入った。しばらくして眠りに落ちると、黒々とした夢の海を彷徨う。元就の夢を見つけて覗き込むが、そこはいつもの部屋で、誰も居ない。来る様子も無い。それを確認して元親は部屋に降りた。
『夢を見ている時、他人が自分だったり、自分が他人だったり、めまぐるしく変わりましょう。夢を見ている本人は、夢を何処か離れた場所から見物しているのです。まずは本人を見つけなさい。夢を見ていなければ、彼らはどこかでじっとしています。根気良く話しかけて、名を呼んで下さい。反応を示せば後は簡単です。貴方が見せたい夢を、貴方自身が想像し、作ってやればいい』
陰陽師はそう言っていた。言うのは簡単だが、元親は始めての事でどうしていいか判らない。ふと部屋を見渡すと、障子が一枚開いていた。外は月夜のようで、真っ黒になっている。ふいにそこで元親は、元就の夢を見ている時には水音が響いていた事を思い出した。まさか、と元親は部屋の外を見る。
そこは何故だか厳島神社の一角で、そして手すりの向こうの暗い海に、少年が蹲っているのが見えた。顔だけ出して、彼はうつむいている。元親は飛び込もうとしたが、何故だか嫌な感じがして出来なかった。
「おい、毛利。毛利! ……元就! ……松寿丸!」
大きな声で名を呼ぶと、最後の声にぴくりと反応した。元親はもう一度「松寿丸!」と名を叫ぶ。すると少年は静かに顔を上げた。
「……ちょうそかべ」
少年は元就のようで、元親を認識出来たようだったが、動かない。
「松寿丸、出て来い。そんな所に居たら風邪引いちまうぜ」
努めて明るく言ったが、元就は悲しげな顔をして首を振る。
「いやだ、そこをみたくない」
「大丈夫。何も無ぇよ。心配するな」
「いやだ、こわい、こわい」
元就はただただ首を振る。元親はため息を吐いて、しゃがみこんだ。少しでも視線を近づけるためだ。
「何が恐いんだ?」
優しく尋ねれば、元就は静かに呟く。
「われは、ちちうえや、あにうえに、にくまれておるから、われが、わるいこだから、なぐられたり、けられたり、あにうえ、あにうえが、あにうえ、あにうえ……わ、われは、にくまれて、うらまれて、こわい、こわい……」
そう泣きそうな声で言う元就に、元親は手を差し出して言った。
「大丈夫、父上も兄上も、お前の事を憎んでたわけじゃないんだぜ。ほら、来い。良い物を見せてやるから」
「いやだ、みたくない、こわい」
「松寿丸……な、俺を信じてくれないか? 大丈夫だから……ほら、俺はこんなにがたいもいいから、お前の事を守ってやれるだろ? 恐くないから……な? ほら……」
元親がそう言うと、元就は顔を上げた。元親が笑むと、元就は困ったような顔をして、そっと手を差し出す。
「こわくないのか?」
「恐くないよ、平気だ」
「そなたをしんじても、よいのか?」
「大丈夫。俺はあんたを傷付けない。……いつだってそうだったろ?」
「……」
そして元就は、元親の手をひしと握った。元親は元就をそっと引っ張り上げてやる。黒い海はどろりと元就に油のように纏わりついていた。が、意外なほど元就は簡単に出られた。子供のままの元就を抱き上げてやり、そっと部屋に戻る。
「ほら、何も居ない。何も起こらない」
父も己も兄も居ない部屋を見渡して、元就は「ほんとうだ」と呟いた。少し安心出来たようなので、元親はそこで一度息を吐き出して、意識を集中させる。
ここからは、元親が元就に幻想を見せなくてはならない。それは嘘だ。だがきっと本当だろう事を、作り上げて元就に与えるのだ。
元親は目を開いて、そして部屋を歩いた。閉まっていた障子をそっと開く。そこにはもう一つ部屋が有って、弘元と興元と、そしてまだ松寿丸の元就が座っている。
「あ……」
元就は一瞬怯えたような声を出したが、その部屋の三人が和気藹々としているのを見ると、呆けたような表情を浮かべた。それを撫でてやりながら、元親は言う。
「ほら、お前の事が憎い奴が、お前とあんなに楽しく喋れるか? お前にあんなに優しく話しかけれるか?」
「……ちちうえ、あにうえ……」
元就は呟いて、元親の腕をぎゅうと掴む。
「だが、われは、あにうえを……あにうえは、おぼれて、くるしんで、われを、うらんで、われを、うみに……」
「大丈夫、兄上はお前のせいで死んだんじゃない。……悪い奴が、居たんだ。あんたのせいじゃない」
「だが、あにうえは、われを、」
「兄上はあんたを助けようとしたんだよ。あんたが愛しい弟だって気付いてな。……助けようとした人を恨んだりなんかするもんか。それに兄上はな、肝が傷んでたんだ。苦しくはなかったはずだよ」
「だが、でも、われは、われは、われは……」
元就はそれでも認めきれないらしく、首を振っていた。そんな元就を、そっと部屋に入れてやる。
「あ……」
部屋に居た松寿丸はその瞬間消え失せ、代わりに元就がその部屋に入る。元就は逃げ出そうとしたが、そんな元就を優しく抱きとめて、「大丈夫だから」と元親は促した。
「松寿丸、おいで」
弘元が優しく元就を呼ぶ。元就は「ちちうえ」と名を呼んだが、動けない。
「松寿、おいで」
興元も元就を呼ぶ。元就は「あにうえ」と返して、そしてそろりと彼らに近寄った。
「おおよしよし、どうした松寿丸、悲しそうな顔をして。恐い夢でも見たのか?」
弘元がそう言って、元就を抱き上げる。そんな元就に興元は笑いかけた。
「それはかわいそうに、側に居てやれなくて悪かったな、松寿。だが大丈夫だぞ、ここには父上も兄上も居るじゃないか」
そして興元に頭を撫でられると、たまりかねたらしい、元就は子供のように泣き出して、弘元に縋りついた。
「ちちうえ、ちちうえ、ちちうえ、ちちうえ、あにうえ、あにうえ……」
そして元就は長い長い時間、父と兄に撫でられながら、泣きじゃくった。
そんな光景を、元親は静かに見守った。そしてそうっと、元就の夢から出ようとした。
と。
「弥三郎」
声がかかって、元親は驚いて振り返った。見れば、父と兄に抱かれたまま、元就が元親を見ている。
「弥三郎、ありがとう」
「な……」
なんで俺の幼名を呼ぶ、と元親は聞こうとして驚いた。今度は元親が、幼い頃の姿に変わっていたのだ。うろたえて夢から出ようとするのに、どういう事か目が覚めない。
「弥三郎、今度はそなたの番だ」
「な、なに、いってんだよ、もうり……」
そういう自分の声が酷く震えているのを感じて、元親はわけが判らなくなった。これは元就の見ている夢なのだ、何も気にする事はない……そう自分に言い聞かせても、震えが止まらない。
「弥三郎、待っておれ、いつか必ず、そこに助けにいってやるから、待っておれ、我が、我が助けてやるから」
「お、おれは、たすけなんて、もとめてない……!」
思わずそう叫べば、元就は悲しげな顔をして言った。
「そなた、自分で気付いていないのか? ……大丈夫、我を信じろ、必ずそなたに手を差し伸べてやる」
だから、今は帰れ、まだその時ではないのだ、すまぬな、必ず助けてやるゆえ、もうしばらく我慢してくれ、すまぬ、すまぬ、弥三郎。
元就がそう言った時、元親は元就の夢からはじき出された。
毒で君主が二人も死んだ家にしては無防備なものだったが、全ては元就が己の命に何の重要性も感じていない事が原因だろう。元就が死んでも、跡目争いさえ起こらない安定したこの国で、誰が生きて誰が死のうと、誰も気にしないのだろう。
尤も、元就の家臣達はそうは思っていないようで、元親の挙動に対して厳しい目をしていた。が、元就が元親の事を信用している様子なので、彼らも元親の事を信じるしかないようだった。四国で起こった事を総合して、そう判断するしかなかったのだろう。即ち、二人は盟友のようなものになったのだろう、と。
夕餉の後、元親は布団に入った。しばらくして眠りに落ちると、黒々とした夢の海を彷徨う。元就の夢を見つけて覗き込むが、そこはいつもの部屋で、誰も居ない。来る様子も無い。それを確認して元親は部屋に降りた。
『夢を見ている時、他人が自分だったり、自分が他人だったり、めまぐるしく変わりましょう。夢を見ている本人は、夢を何処か離れた場所から見物しているのです。まずは本人を見つけなさい。夢を見ていなければ、彼らはどこかでじっとしています。根気良く話しかけて、名を呼んで下さい。反応を示せば後は簡単です。貴方が見せたい夢を、貴方自身が想像し、作ってやればいい』
陰陽師はそう言っていた。言うのは簡単だが、元親は始めての事でどうしていいか判らない。ふと部屋を見渡すと、障子が一枚開いていた。外は月夜のようで、真っ黒になっている。ふいにそこで元親は、元就の夢を見ている時には水音が響いていた事を思い出した。まさか、と元親は部屋の外を見る。
そこは何故だか厳島神社の一角で、そして手すりの向こうの暗い海に、少年が蹲っているのが見えた。顔だけ出して、彼はうつむいている。元親は飛び込もうとしたが、何故だか嫌な感じがして出来なかった。
「おい、毛利。毛利! ……元就! ……松寿丸!」
大きな声で名を呼ぶと、最後の声にぴくりと反応した。元親はもう一度「松寿丸!」と名を叫ぶ。すると少年は静かに顔を上げた。
「……ちょうそかべ」
少年は元就のようで、元親を認識出来たようだったが、動かない。
「松寿丸、出て来い。そんな所に居たら風邪引いちまうぜ」
努めて明るく言ったが、元就は悲しげな顔をして首を振る。
「いやだ、そこをみたくない」
「大丈夫。何も無ぇよ。心配するな」
「いやだ、こわい、こわい」
元就はただただ首を振る。元親はため息を吐いて、しゃがみこんだ。少しでも視線を近づけるためだ。
「何が恐いんだ?」
優しく尋ねれば、元就は静かに呟く。
「われは、ちちうえや、あにうえに、にくまれておるから、われが、わるいこだから、なぐられたり、けられたり、あにうえ、あにうえが、あにうえ、あにうえ……わ、われは、にくまれて、うらまれて、こわい、こわい……」
そう泣きそうな声で言う元就に、元親は手を差し出して言った。
「大丈夫、父上も兄上も、お前の事を憎んでたわけじゃないんだぜ。ほら、来い。良い物を見せてやるから」
「いやだ、みたくない、こわい」
「松寿丸……な、俺を信じてくれないか? 大丈夫だから……ほら、俺はこんなにがたいもいいから、お前の事を守ってやれるだろ? 恐くないから……な? ほら……」
元親がそう言うと、元就は顔を上げた。元親が笑むと、元就は困ったような顔をして、そっと手を差し出す。
「こわくないのか?」
「恐くないよ、平気だ」
「そなたをしんじても、よいのか?」
「大丈夫。俺はあんたを傷付けない。……いつだってそうだったろ?」
「……」
そして元就は、元親の手をひしと握った。元親は元就をそっと引っ張り上げてやる。黒い海はどろりと元就に油のように纏わりついていた。が、意外なほど元就は簡単に出られた。子供のままの元就を抱き上げてやり、そっと部屋に戻る。
「ほら、何も居ない。何も起こらない」
父も己も兄も居ない部屋を見渡して、元就は「ほんとうだ」と呟いた。少し安心出来たようなので、元親はそこで一度息を吐き出して、意識を集中させる。
ここからは、元親が元就に幻想を見せなくてはならない。それは嘘だ。だがきっと本当だろう事を、作り上げて元就に与えるのだ。
元親は目を開いて、そして部屋を歩いた。閉まっていた障子をそっと開く。そこにはもう一つ部屋が有って、弘元と興元と、そしてまだ松寿丸の元就が座っている。
「あ……」
元就は一瞬怯えたような声を出したが、その部屋の三人が和気藹々としているのを見ると、呆けたような表情を浮かべた。それを撫でてやりながら、元親は言う。
「ほら、お前の事が憎い奴が、お前とあんなに楽しく喋れるか? お前にあんなに優しく話しかけれるか?」
「……ちちうえ、あにうえ……」
元就は呟いて、元親の腕をぎゅうと掴む。
「だが、われは、あにうえを……あにうえは、おぼれて、くるしんで、われを、うらんで、われを、うみに……」
「大丈夫、兄上はお前のせいで死んだんじゃない。……悪い奴が、居たんだ。あんたのせいじゃない」
「だが、あにうえは、われを、」
「兄上はあんたを助けようとしたんだよ。あんたが愛しい弟だって気付いてな。……助けようとした人を恨んだりなんかするもんか。それに兄上はな、肝が傷んでたんだ。苦しくはなかったはずだよ」
「だが、でも、われは、われは、われは……」
元就はそれでも認めきれないらしく、首を振っていた。そんな元就を、そっと部屋に入れてやる。
「あ……」
部屋に居た松寿丸はその瞬間消え失せ、代わりに元就がその部屋に入る。元就は逃げ出そうとしたが、そんな元就を優しく抱きとめて、「大丈夫だから」と元親は促した。
「松寿丸、おいで」
弘元が優しく元就を呼ぶ。元就は「ちちうえ」と名を呼んだが、動けない。
「松寿、おいで」
興元も元就を呼ぶ。元就は「あにうえ」と返して、そしてそろりと彼らに近寄った。
「おおよしよし、どうした松寿丸、悲しそうな顔をして。恐い夢でも見たのか?」
弘元がそう言って、元就を抱き上げる。そんな元就に興元は笑いかけた。
「それはかわいそうに、側に居てやれなくて悪かったな、松寿。だが大丈夫だぞ、ここには父上も兄上も居るじゃないか」
そして興元に頭を撫でられると、たまりかねたらしい、元就は子供のように泣き出して、弘元に縋りついた。
「ちちうえ、ちちうえ、ちちうえ、ちちうえ、あにうえ、あにうえ……」
そして元就は長い長い時間、父と兄に撫でられながら、泣きじゃくった。
そんな光景を、元親は静かに見守った。そしてそうっと、元就の夢から出ようとした。
と。
「弥三郎」
声がかかって、元親は驚いて振り返った。見れば、父と兄に抱かれたまま、元就が元親を見ている。
「弥三郎、ありがとう」
「な……」
なんで俺の幼名を呼ぶ、と元親は聞こうとして驚いた。今度は元親が、幼い頃の姿に変わっていたのだ。うろたえて夢から出ようとするのに、どういう事か目が覚めない。
「弥三郎、今度はそなたの番だ」
「な、なに、いってんだよ、もうり……」
そういう自分の声が酷く震えているのを感じて、元親はわけが判らなくなった。これは元就の見ている夢なのだ、何も気にする事はない……そう自分に言い聞かせても、震えが止まらない。
「弥三郎、待っておれ、いつか必ず、そこに助けにいってやるから、待っておれ、我が、我が助けてやるから」
「お、おれは、たすけなんて、もとめてない……!」
思わずそう叫べば、元就は悲しげな顔をして言った。
「そなた、自分で気付いていないのか? ……大丈夫、我を信じろ、必ずそなたに手を差し伸べてやる」
だから、今は帰れ、まだその時ではないのだ、すまぬな、必ず助けてやるゆえ、もうしばらく我慢してくれ、すまぬ、すまぬ、弥三郎。
元就がそう言った時、元親は元就の夢からはじき出された。
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