12月ですよ。1年経っちゃいましたよ。早いなあ。
つーかもう3年ぐらいなんかバサラってる事になるんですかね? 長いなあ。
ゲームしたいなあ。なんか無性にゲームがしたい。
早く来ないかなあ。
以下、SFねこの8
あと4くらいかなぁ……
一つの妄想を形にしないと次に取り掛かれないのでちゃっちゃか書いてます。
もう少し同時進行で色々書ければいいと思うんですけど
そうすると止まっちゃったりして、止まるとへたすりゃ一生動かないんですよね……
つーかもう3年ぐらいなんかバサラってる事になるんですかね? 長いなあ。
ゲームしたいなあ。なんか無性にゲームがしたい。
早く来ないかなあ。
以下、SFねこの8
あと4くらいかなぁ……
一つの妄想を形にしないと次に取り掛かれないのでちゃっちゃか書いてます。
もう少し同時進行で色々書ければいいと思うんですけど
そうすると止まっちゃったりして、止まるとへたすりゃ一生動かないんですよね……
元就の暮らしは、大きくは変わらなかった。
猫が元親という名を持ち、喋り始めた。それは大きな変化だったが、それ以上ではなかった。元親はあまり喋らなかったし(猫達は心で交信が出来るわけだから、会話をするという事自体あまりしないらしい)、知能が有ると知られてからも、猫のように甘えて元就を困らせた。特に問題だったのは、元親がどんどん成長してしまった事だ。
曰く、猫達は環境に合わせて成長するそうだ。あんたを守るためにはこれぐらいの図体が必要だと思ったんだろ、と元親は言っている。それにしても立派だった。背は元就をとうに追い越したし、肩幅も立派、筋肉の付き方も違う。これでは猫というより、遥か昔に絶滅したという、ライオンやトラに例えた方が近い気がした。その大きな生き物に甘えられ、じゃれられて、元就はどうしようもなかった。
仕事中だろうとなんだろうとお構いなく、元親は甘えてくる。その度に元就はただ流された。体格差は歴然で、とても抵抗出来ないし、「こら」と言ったところでニコニコ笑うだけで、効果も無かった。元就はただ元親が満足して何処かへ行くまで、その銀糸や滑らかな肌を撫でるしかない。
ただし元親の言い分によれば、あんたの気持ちを汲み取っているのだとか。ようするに元就が小休止したいとか、少し甘えたいとか、そういう気持ちになると察して、元親が甘えに行くのだそうだ。それはそうなのかもしれない、と元就も思う。仕事の邪魔をされても、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
清水は再生し、少々新しい身体でまた面倒を見てくれた。私の不手際でご迷惑をかけまして、と清水は頭を下げたが、元就は彼を責める気にはならなかった。いつまでもクズの善良性を信じていた方が悪いのだ、と。
セキュリティシステムは強化され、家の入口には二重構造のエントランスが増築された。最初の扉が閉まった後、二回目のチェックを入れるシステムだ。おかげで非常に不便になったが、安全には変えられなかった。暴漢達は皆、猫がどうのと言ってますます警備隊からの不信感を煽り、それなりの罰を与えられたようだった。
ある日、元就は光秀に招かれていた。
二人は研究者として同じ物を目指しているから、意見、情報の交換は頻繁に行っていた。それでも文字列、数字の羅列では伝わらないニュアンスなどの伝達の為、定期的に対面する事にしていた。
光秀にも元就の家が襲撃されたという情報は伝わっていたので、光秀はわざわざ元就の家まで車で迎えに来てくれた。ありがたかったが、少々焦った。家の中にまで入られれば、元親の事がバレそうだったからだ。しかし光秀はあくまで外を望んだので、元就は安心して車に乗り込む。
車と言っても、コンピューターが勝手に運転をするから、二人はあれこれと研究データのホログラフを見せ合いながら答弁を繰り返した。やがて研究者専用のレストランに到着し、空いていた個室に入る。メニューを見てから光秀は紅茶と軽食を頼み、元就はしばらく考えて、紅茶だけを頼んだ。
「おや珍しい。貴方がメニューに悩むとは」
言われて元就も「そうだな」と頷いた。元親は美味しそうに食事を食べ、時々少しだけ食事を分けてきた。元就にしてみれば気持ち悪い物だったが、苦労して口に入れればそれなりの味だった。光秀も普通に食事を摂っているし、もしかしたら平気なのかもしれないと思い、頼むかどうか悩んだのだ。
「……新しい事に挑戦しなければ、見えぬ物も有るかと思ってな」
そう言い訳すれば、「貴方らしいですね」と光秀は微笑む。ボタンを操作して、個室の壁面に風景を映し出した。海の映像だ。床や壁、天井が全て映像になり、まるで砂浜に居るかのようになる。元就は眉を寄せて海を見た。
「この間、外に出ましてね」
「外に? それはまた奇特な事だ」
「少々、探し物が有りましてね。その折に、本物の海を見ました。やはり違いますね。海というのは特別な存在です」
「海。無限に水が溢れ、揺れておるそうだな。中には無数の魚やバクテリア、菌類が生息している。恐ろしく不潔だ。そういう意味では特別かもしれぬが」
「貴方は物を知らないのに、知識だけで知ったような気になるのが難点ですね。貴方の言う事は確かですが、人間の感覚、感想、感情はそれだけで決定される物ではないのですよ。ホログラフの海に比べて、本物の海への畏怖は素晴らしいものです。いつか貴方も見ればいいですよ。なかなか面白い物です」
光秀はそう言って、それ以上海の話を出さなかった。光秀はいつも、元就に対して一定の距離を置く。それは元就も同じだったから、二人はただ仕事の話をして、一段落すれば黙り込むを繰り返した。
「やはり本物の人間との誤差を知りたいものです。実験のうちいくつかは猫に対し一定の効力を発すると判明していますが、人が相手となればやはり少々違うでしょう」
「我もクズ共を生かしておく理由は無いと悟った。彼らを使いたいというそなたの意見には賛同する」
先日の事件で思い知った。クズは何処までもクズだ。それに比べて猫達のなんと善良な事か。死んでもいいような人間は幾らでも居るのに、何の罪もない猫達が無駄に死んでいく。元就にとってもそれは不愉快な事になっていた。
「そうでしょう、そうでしょう。そこで私も考えたのです。クズに研究者の認定を受けさせればどうでしょう」
研究者は研究者同士の研究のため、相互に関係を持つ事が出来る。ある実験をするために、研究者がその実験体となる事を自己責任としている。つまり、研究者であれば実験体にする事が出来る、というわけだ。
「しかし、研究者認定資格を得られるほどの知能を有するなら、それは人材であってクズではないぞ」
「そこなんですよね。ああ忌々しい。上手くいかないものです」
光秀が溜息を吐く。元就はその顔をしばらく見てから、静かに尋ねた。
「……仮に、仮にだが。我を実験に使おうとは、考えぬのか」
そう言った直後、光秀が酷い顔をしたもので、元就は驚いた。なんとも言えない表情だった。怒っているような、驚いているような、嫌悪しているような。
「なんて事を言うんですか、貴方」
「いや、そなたの普段の性格からして、それぐらいは考えるのではないかと……」
「馬鹿な事を。私が貴方を実験に使うなど。愚かな事です」
「何故だ?」
「……貴方が私の……友人だからです。これ以上私の口から言わせるつもりなら、怒りますよ」
怒りますよ、と言っている割に、口調は明らかに怒っていた。元就は何故彼がそれほど怒るのか理解出来なかったが、これ以上話を続けるべきではないと判断した。
またしばらく実験の話をして。会話が途切れ、二人で紅茶を飲んだ後で、元就はおずおずと切り出した。
「……明智。オリジナル達は、幸せだったと思うか?」
「……どうでしょうね」
光秀はその質問に付き合うつもりはなさそうだったが、元就が見詰めている事に気づくと、一つため息を吐いて答える。
「遥か昔から結論が出されていたように、幸せとは本人達以外に全く関与出来ないものです。私達がいくら考えても、どのような事実が有ったとしても、彼らは幸せだったかもしれないし、でなかったかもしれない。考えるだけ無駄なのです」
ですが、と光秀は海を見る。波が揺れていた。静かに、ただただ静かに。
「ただ、私のオリジナルは貴方のオリジナルと心中しました。私には理解出来ません。自らは正常なのに、壊れた毛利殿と死を選ぶなど。でも彼はそうした。そうするだけの理由が有り、そうするだけの価値がそこに有ったのでしょう。それが私には判らない」
残念ですが、私は貴方を追って死んだりなどしませんよ。
光秀がポツリと付け足したのに、元就は頷いた。
自分達とオリジナルとでは、歩む道が違う、考え方が違う。お互いがそれを意識しているから、お互い、それ以上近づけないし、かといって離れる事も出来なかった。
不器用なのだ、と元就も思う。オリジナルの陰に怯えているのだと。決して理想的とは言えない終焉を迎えた二人と、同じ道を辿るのではないのかと恐れているのだ。そして連れ添わなければ異なる道を歩めるとも限らないのに、二人して距離を取りあっていた。それは酷く馬鹿らしい事なのに、元就はそれ以上、光秀に手を伸ばす事がどうしても、出来ない。
家に帰ると、元親がコンピューターを触っていた。「楽しいか」と問えば、「うん」と素直に答え。
元親の知能は高く、元就の研究の事も半分程は理解しているようだった。知らない言葉をコンピューターで調べては、元親は楽しそうな顔をしている。
「俺は色んな事を知るのが好きだ。外に居た頃は方々旅をしてさ。色々見たよ。面白い物が沢山有った。ここなんかよりずっと素晴らしい場所がいくつも有ったさ」
「……海を見た事が有るか?」
何気なく聞けば、元親は「ああ」と大きく頷く。
「海は良いぜ。風が強くてな、波が寄せては散って、ざぁあ、って引いちゃあ、砂浜が洗われて。水平線まで波のうねりだ。世界の広大さに目眩がするぜ、自分のちっぽけさを思い知って、大地のありがたさに涙が出てくるよ。海の中では命が自由に暮らしていて、中は静かで、透き通って、綺麗で、穏やかで……ああ、言葉なんかじゃ伝わらねぇよ。元就にも見せてやりたい。俺の知ってる色んな物。あんたは気持ち悪いって、不潔って言うかもしれないけど、でもそれは確かに美しいんだ」
あんたに俺の知っている物を、教えてやりたい。
元親はそう呟いてから、元就の顔を見て、そしてずいずいと元就に近寄ると、むぎゅうと抱きしめてきた。「いたい」と静かに訴えても、元親は黙ったまま元就に抱きついて、撫でていた。
何故か心が痛んでいて、それを感じ取られたようだ。妙に寂しい気持ちがいっぱいで、悲しくて。
オリジナルは最後に、海へ帰ろうと言っていた。あの場所に彼は居ないはずなのに、何故だか海というものが、悲しい。
猫が元親という名を持ち、喋り始めた。それは大きな変化だったが、それ以上ではなかった。元親はあまり喋らなかったし(猫達は心で交信が出来るわけだから、会話をするという事自体あまりしないらしい)、知能が有ると知られてからも、猫のように甘えて元就を困らせた。特に問題だったのは、元親がどんどん成長してしまった事だ。
曰く、猫達は環境に合わせて成長するそうだ。あんたを守るためにはこれぐらいの図体が必要だと思ったんだろ、と元親は言っている。それにしても立派だった。背は元就をとうに追い越したし、肩幅も立派、筋肉の付き方も違う。これでは猫というより、遥か昔に絶滅したという、ライオンやトラに例えた方が近い気がした。その大きな生き物に甘えられ、じゃれられて、元就はどうしようもなかった。
仕事中だろうとなんだろうとお構いなく、元親は甘えてくる。その度に元就はただ流された。体格差は歴然で、とても抵抗出来ないし、「こら」と言ったところでニコニコ笑うだけで、効果も無かった。元就はただ元親が満足して何処かへ行くまで、その銀糸や滑らかな肌を撫でるしかない。
ただし元親の言い分によれば、あんたの気持ちを汲み取っているのだとか。ようするに元就が小休止したいとか、少し甘えたいとか、そういう気持ちになると察して、元親が甘えに行くのだそうだ。それはそうなのかもしれない、と元就も思う。仕事の邪魔をされても、不思議と嫌な気持ちにはならなかった。
清水は再生し、少々新しい身体でまた面倒を見てくれた。私の不手際でご迷惑をかけまして、と清水は頭を下げたが、元就は彼を責める気にはならなかった。いつまでもクズの善良性を信じていた方が悪いのだ、と。
セキュリティシステムは強化され、家の入口には二重構造のエントランスが増築された。最初の扉が閉まった後、二回目のチェックを入れるシステムだ。おかげで非常に不便になったが、安全には変えられなかった。暴漢達は皆、猫がどうのと言ってますます警備隊からの不信感を煽り、それなりの罰を与えられたようだった。
ある日、元就は光秀に招かれていた。
二人は研究者として同じ物を目指しているから、意見、情報の交換は頻繁に行っていた。それでも文字列、数字の羅列では伝わらないニュアンスなどの伝達の為、定期的に対面する事にしていた。
光秀にも元就の家が襲撃されたという情報は伝わっていたので、光秀はわざわざ元就の家まで車で迎えに来てくれた。ありがたかったが、少々焦った。家の中にまで入られれば、元親の事がバレそうだったからだ。しかし光秀はあくまで外を望んだので、元就は安心して車に乗り込む。
車と言っても、コンピューターが勝手に運転をするから、二人はあれこれと研究データのホログラフを見せ合いながら答弁を繰り返した。やがて研究者専用のレストランに到着し、空いていた個室に入る。メニューを見てから光秀は紅茶と軽食を頼み、元就はしばらく考えて、紅茶だけを頼んだ。
「おや珍しい。貴方がメニューに悩むとは」
言われて元就も「そうだな」と頷いた。元親は美味しそうに食事を食べ、時々少しだけ食事を分けてきた。元就にしてみれば気持ち悪い物だったが、苦労して口に入れればそれなりの味だった。光秀も普通に食事を摂っているし、もしかしたら平気なのかもしれないと思い、頼むかどうか悩んだのだ。
「……新しい事に挑戦しなければ、見えぬ物も有るかと思ってな」
そう言い訳すれば、「貴方らしいですね」と光秀は微笑む。ボタンを操作して、個室の壁面に風景を映し出した。海の映像だ。床や壁、天井が全て映像になり、まるで砂浜に居るかのようになる。元就は眉を寄せて海を見た。
「この間、外に出ましてね」
「外に? それはまた奇特な事だ」
「少々、探し物が有りましてね。その折に、本物の海を見ました。やはり違いますね。海というのは特別な存在です」
「海。無限に水が溢れ、揺れておるそうだな。中には無数の魚やバクテリア、菌類が生息している。恐ろしく不潔だ。そういう意味では特別かもしれぬが」
「貴方は物を知らないのに、知識だけで知ったような気になるのが難点ですね。貴方の言う事は確かですが、人間の感覚、感想、感情はそれだけで決定される物ではないのですよ。ホログラフの海に比べて、本物の海への畏怖は素晴らしいものです。いつか貴方も見ればいいですよ。なかなか面白い物です」
光秀はそう言って、それ以上海の話を出さなかった。光秀はいつも、元就に対して一定の距離を置く。それは元就も同じだったから、二人はただ仕事の話をして、一段落すれば黙り込むを繰り返した。
「やはり本物の人間との誤差を知りたいものです。実験のうちいくつかは猫に対し一定の効力を発すると判明していますが、人が相手となればやはり少々違うでしょう」
「我もクズ共を生かしておく理由は無いと悟った。彼らを使いたいというそなたの意見には賛同する」
先日の事件で思い知った。クズは何処までもクズだ。それに比べて猫達のなんと善良な事か。死んでもいいような人間は幾らでも居るのに、何の罪もない猫達が無駄に死んでいく。元就にとってもそれは不愉快な事になっていた。
「そうでしょう、そうでしょう。そこで私も考えたのです。クズに研究者の認定を受けさせればどうでしょう」
研究者は研究者同士の研究のため、相互に関係を持つ事が出来る。ある実験をするために、研究者がその実験体となる事を自己責任としている。つまり、研究者であれば実験体にする事が出来る、というわけだ。
「しかし、研究者認定資格を得られるほどの知能を有するなら、それは人材であってクズではないぞ」
「そこなんですよね。ああ忌々しい。上手くいかないものです」
光秀が溜息を吐く。元就はその顔をしばらく見てから、静かに尋ねた。
「……仮に、仮にだが。我を実験に使おうとは、考えぬのか」
そう言った直後、光秀が酷い顔をしたもので、元就は驚いた。なんとも言えない表情だった。怒っているような、驚いているような、嫌悪しているような。
「なんて事を言うんですか、貴方」
「いや、そなたの普段の性格からして、それぐらいは考えるのではないかと……」
「馬鹿な事を。私が貴方を実験に使うなど。愚かな事です」
「何故だ?」
「……貴方が私の……友人だからです。これ以上私の口から言わせるつもりなら、怒りますよ」
怒りますよ、と言っている割に、口調は明らかに怒っていた。元就は何故彼がそれほど怒るのか理解出来なかったが、これ以上話を続けるべきではないと判断した。
またしばらく実験の話をして。会話が途切れ、二人で紅茶を飲んだ後で、元就はおずおずと切り出した。
「……明智。オリジナル達は、幸せだったと思うか?」
「……どうでしょうね」
光秀はその質問に付き合うつもりはなさそうだったが、元就が見詰めている事に気づくと、一つため息を吐いて答える。
「遥か昔から結論が出されていたように、幸せとは本人達以外に全く関与出来ないものです。私達がいくら考えても、どのような事実が有ったとしても、彼らは幸せだったかもしれないし、でなかったかもしれない。考えるだけ無駄なのです」
ですが、と光秀は海を見る。波が揺れていた。静かに、ただただ静かに。
「ただ、私のオリジナルは貴方のオリジナルと心中しました。私には理解出来ません。自らは正常なのに、壊れた毛利殿と死を選ぶなど。でも彼はそうした。そうするだけの理由が有り、そうするだけの価値がそこに有ったのでしょう。それが私には判らない」
残念ですが、私は貴方を追って死んだりなどしませんよ。
光秀がポツリと付け足したのに、元就は頷いた。
自分達とオリジナルとでは、歩む道が違う、考え方が違う。お互いがそれを意識しているから、お互い、それ以上近づけないし、かといって離れる事も出来なかった。
不器用なのだ、と元就も思う。オリジナルの陰に怯えているのだと。決して理想的とは言えない終焉を迎えた二人と、同じ道を辿るのではないのかと恐れているのだ。そして連れ添わなければ異なる道を歩めるとも限らないのに、二人して距離を取りあっていた。それは酷く馬鹿らしい事なのに、元就はそれ以上、光秀に手を伸ばす事がどうしても、出来ない。
家に帰ると、元親がコンピューターを触っていた。「楽しいか」と問えば、「うん」と素直に答え。
元親の知能は高く、元就の研究の事も半分程は理解しているようだった。知らない言葉をコンピューターで調べては、元親は楽しそうな顔をしている。
「俺は色んな事を知るのが好きだ。外に居た頃は方々旅をしてさ。色々見たよ。面白い物が沢山有った。ここなんかよりずっと素晴らしい場所がいくつも有ったさ」
「……海を見た事が有るか?」
何気なく聞けば、元親は「ああ」と大きく頷く。
「海は良いぜ。風が強くてな、波が寄せては散って、ざぁあ、って引いちゃあ、砂浜が洗われて。水平線まで波のうねりだ。世界の広大さに目眩がするぜ、自分のちっぽけさを思い知って、大地のありがたさに涙が出てくるよ。海の中では命が自由に暮らしていて、中は静かで、透き通って、綺麗で、穏やかで……ああ、言葉なんかじゃ伝わらねぇよ。元就にも見せてやりたい。俺の知ってる色んな物。あんたは気持ち悪いって、不潔って言うかもしれないけど、でもそれは確かに美しいんだ」
あんたに俺の知っている物を、教えてやりたい。
元親はそう呟いてから、元就の顔を見て、そしてずいずいと元就に近寄ると、むぎゅうと抱きしめてきた。「いたい」と静かに訴えても、元親は黙ったまま元就に抱きついて、撫でていた。
何故か心が痛んでいて、それを感じ取られたようだ。妙に寂しい気持ちがいっぱいで、悲しくて。
オリジナルは最後に、海へ帰ろうと言っていた。あの場所に彼は居ないはずなのに、何故だか海というものが、悲しい。
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