そんなに長くはならないと思います。
下手すりゃあと2回ぐらいかなと。
先日、友人に自分の書いたとある作品を見せたところ
「何か足りないなー」と言われたので「面白くないって事?」
と率直に聞きましたれば、
「いや、美流特有の、なんだろう、さらっとどろっと感が無い」
と言われました。
たいした事ないみたいにさらーっと
ドロドロ設定吐き出すのが個性だそうです
いえい(褒められてるんだろうか)
以下昨日の続き
今京極読んでるせいか知らんけど文章がくどい気がする
下手すりゃあと2回ぐらいかなと。
先日、友人に自分の書いたとある作品を見せたところ
「何か足りないなー」と言われたので「面白くないって事?」
と率直に聞きましたれば、
「いや、美流特有の、なんだろう、さらっとどろっと感が無い」
と言われました。
たいした事ないみたいにさらーっと
ドロドロ設定吐き出すのが個性だそうです
いえい(褒められてるんだろうか)
以下昨日の続き
今京極読んでるせいか知らんけど文章がくどい気がする
長曾我部元親はこの小さな町の、小さな工場で一人、働いている。
元親は金を儲ける最良の手段を、一人で居る事だと解釈している。即ち、家族を作らず、社員を作らず、持家と工場を兼ねる。妥協点として、共働きの同居人は認めているが、例えば妻や子供、また社員などは自分の負担にしかならない、と考えてた。
そういう考えに到ってしまった明確な理由を元親は知らない。だが元親の人生にも色々有った。そもそも記憶にも全く無いのだが、どうやら生まれたばかりの頃、元親は実母に虐待をされていたようだった。虐待の理由は単純明快にして身勝手極まりない。つまり、彼女は寂しかったのだ。
結婚してすぐに長男が出来てしまった。夫は彼女らの面倒を見ようと必死で働いた。妻は貞淑を演じるしかなかった。その歪が、密かに、そして残酷に元親に集約されたのだ。母は元親を抓り、詰り、放り出し、食事を与えず、泣くならば叩き、そして最終的に、事故だったと見せかけて殺そうとした。やかんの湯をかけたのだ。
その時の元親の凄まじい鳴き声は、静まりかえった真夜中に近所中へと響き渡り、そして元親は近隣住民により救出された。母は泣いて、元親ごめんね、ごめんねと言っていたが、後に医師から虐待の事実を問われると、彼女はただ黙って頷いたという。
何故、と問うならば、彼女は恐らく不幸になりたかったのだ。そういう病気が有るという。自分が不幸でなくてはならないのだ。そういう、かわいそうな人間もこの世には居るのだ。成人する間際、自分の顔の火傷について、父が申し訳なさそうに語るのを、元親はそのように感じた。酷く客観的に事実を見る事が出来た。
元親は母を知らなかったし、不思議と知りたいとも思っていなかった。赤子なのに、本当は何もかも知っていたのかもしれない。女と寝たいとも一度も思わなかった。結果として寝た事は有ったが、寄り添うような相手は見つからなかった。女は誰しも、不幸のヒロインで居たがる。それが、元親には少々怖い。
現在は金に困っていないから、整形したらどうかと時々言われるが、元親はそうしたいと思った事もない。確かに顔の事で苦労はしたが、それはそれでいいと思っている。物心ついた時にはそうだったわけで、これよりいい暮らしというのを知らないのも有る。それに、人の事を外見で判断するような人間が、一目で見分けられて便利だと元親は思っている。尤も、殆どの人間は人を見かけで判断する。その後、人として評価を変えられる人間とだけ付き合えるのはいい事だと思った。いつまでも上辺だけでにこにこ暮らしているから、実子に湯をかけたりするのだ、と。
だから元親は今の暮らしに満足していた。一人の暮らし、建前の無い人生、小さな自分の会社、大好きな機械いじりの仕事、溢れるほどではないが十分な収入。元親は恵まれていた。満足していた。しているつもりだ。
だのに時折、一人の夜が寂しい。
その日、元親は仕事場で夜まで粘っていた。思いのほか、修理がはかどらない。
元親は作業機械の修理・販売をして生計を立てている。小さな町で、それなりに優秀な修理工だと元親は自負している。客の要求に合う商品を探し出せるし、故障をしてもすぐに直せる。だが時々だが、難題にぶつかる。
なんにしてもそうだが、最も可能性の高い順に作業を進めていくわけだから、当然滅多に無いような事が起こっているとしたら、それに気付く事に時間がかかってしまう。そして滅多に無いような事が起こっているのだから、対処もあまりした事が無い。元親は苦戦していた。焼きつきやすいモーターやエンジン、馬鹿になりやすい制御部のショートなど、順番に調べた後の残業はこたえる。元親はしばらく機械に頭を突っ込んでいたが、やがて大きな溜息を吐いて機械から離れた。息抜きが必要だ。
出来るエンジニアはオンとオフの切り替えが上手い、と元親は思っている。焦ったり、いらついたりするとろくな事がない。自分の気持ちや身体が疲れたと言うならば、少々でも休んだほうがいい。元親はしょっちゅう休んだ。それをサボりだと思われたくないのも、一人で仕事をしている理由でもある。とかく日本人は、病的に勤勉である事を美徳と呼んで推奨する。それはそれで素晴らしい事だが、元親にはそんな事は出来なかった。
好きな音楽を聴きながら、時折休みつつ仕事をする。それが元親の望む仕事の形だったし、それが元親が最も成績を上げる形だと彼は思っている。事実、一般企業に就職していた頃の彼の評価ときたら、惨憺たる有様だった。だからこのスタイルがいいのだ、と元親は信じている。
どっこらせ、と椅子に腰掛け、タバコに火をつける。飲みかけのコーヒーを一口飲んで、ふうと背もたれに身を任せる。あとざっと2時間はかかりそうだ。だが今はその事を頭から抜く。流れている音楽に耳を傾け、心を静かにする。焦らない、追い込まない、気負わない。それが大事なのだ。
と、玄関が開いた。アラームが鳴る。さて、こんな時間に客とは珍しい。元親は背もたれから離れ、入り口のほうに眼をやる。
スーツに身を包んだ、小柄な男が立っていた。真面目そうな男だ。眼鏡までかけている。勤勉を絵に描いたような男だったが、元親は相手を見かけで判断しないようにはしている。あんな姿でも、詐欺師だったり、土建業だったりするのだ。実際そういう客も居た。
「いらっしゃい。何か用か?」
閉店時間は過ぎていたが、元親は特に気にしない。田舎の開店時間と閉店時間はあてにならない。朝5時にだって客は来るし(特に朝から仕事をしようとして動かなかったとすぐに来る老人は多い)、夜でも客が来れば店は開いている事にしている。
「あ……」
彼は何故だか困ったように言葉を詰まらせる。元親は怪訝な顔をして、まじまじと男を見た。見覚えが有る。
「……あ! ……お前、いつぞの空き巣か?」
元親はピンときて言った。何年か前、店に空き巣が入った。その時に捕まえて、金を与えて見逃した小僧が居る。当時は高校生だと言っていたが、そういえば何年も立っているし、そろそろ大学も卒業して就職していてもおかしくは無い。思い出してみれば、顔立ちが良く似ている。それに、声や、口ごもる時の雰囲気も。
「……金を、返しに、来た」
彼はのろのろと言う。元親は溜息を吐いた。
「返さなくていいって言ったろ。二度と来るなって」
「だが……」
「俺は別にいいんだよ。大体、返って来ると思って貸す奴が居てたまるかよ……そもそも今無いってのに」
「用意、出来た」
「……工面できたってのか?」
「言ったろう、……不幸から脱したら、来いと」
さて、そんな事を言ったような、言っていないような。元親には良く思い出せなかった。やたら小さな空き巣を縛り上げて、からかって追い出した程度にしか覚えていない。
「……つまり、なんとかなったって事か?」
「兄も父も回復して、……家族のよりも戻った。協力して働いて、それなりの大学も出させてもらった。今は、保険の会社に就職しておる」
「そりゃあ、理に適った話だな」
元親は適当に相槌を打った。彼が空き巣に来た時もそうだったが、元親は基本的に他人に感情移入をしない、というか出来ない。人は主観でしか物を語れないのだから、誰かの感情に共感しても事実は判らないのだ。だから元親はしようとも思わないし、先天的になのか、出来ない。恐らくこれも、知りもしない母のせいだろうとは元親も思っている。が、誰のせいだとかそんな事がとてつもなくどうでもいい事も、元親は良く理解している。
元就もそれを判っているのやら、事実を簡潔に述べる。つまり、返済が可能になったから返済しに来た、と。感謝している、礼がしたい、というように続いて、元親は困ったように頭をかいた。
「まぁあんたが返したいってんなら、そりゃ受け取るけど、礼をされるような事はしてないし、恩に思う必要は無いんだぜ」
「だが、確かに恩は有る」
「そりゃまだ判らないだろうが。俺が金を貸したから起こった不幸も有ったかもしれない。俺は確かにあんたに金を貸した。ただそれだけだ。それだけの事に多くを考えるもんじゃないぜ」
「だが……」
まだ代価を払っていないし。
男の言葉に元親はきょとんとして、それから怪訝な顔をした。
「あんた、真に受けてたのか? 俺があんたを抱くって? 抱かれたいのか?」
「いや、だが、それが条件だったろう」
「チャラになったんだからいいじゃねぇか」
「いや、そういうわけには……」
彼はけじめが、などと繰り返して引かない。元親は困ってしまった。つまり、抱かれる代わりに金を貸す、という条件を呑んでいるのだ。なのに抱かれていない事が不服らしい。要するに、彼は金を返すついでに、抱かれに来たのだ。元親は呆れてしまった。こいつは見た目どおりのクソ真面目だ、と。
「……判った、じゃあとりあえず、返済は受けよう。でも抱くのはまた今度だ」
「今度?」
「つまりその……お前が本当に幸せになったと思った時だ」
「……?」
彼は首を傾げていたが、やがて何を理解したのやら、「判った」と素直に頷いた。
「だが、……だが少々納得出来ない」
「あんたなぁ……」
「だから、その……」
これから、一緒に食事でも、……どうだろうか。
男の提案は断るには小さな物で、元親は断れなかった。確かに残業に向けて小腹も空いていたし、それでこの押し問答が終わるなら、得かもしれないとそう思った。
「そうだな、……じゃあ、いい店知ってるからよ」
元親はそう言いながら、少しだけ、
こいつとはここで終わらないかもしれない、
と、本当に少しだけ、感じていた。
+++
色んなものに冷めてるアニキと色んなものを信じてる元就
元親は金を儲ける最良の手段を、一人で居る事だと解釈している。即ち、家族を作らず、社員を作らず、持家と工場を兼ねる。妥協点として、共働きの同居人は認めているが、例えば妻や子供、また社員などは自分の負担にしかならない、と考えてた。
そういう考えに到ってしまった明確な理由を元親は知らない。だが元親の人生にも色々有った。そもそも記憶にも全く無いのだが、どうやら生まれたばかりの頃、元親は実母に虐待をされていたようだった。虐待の理由は単純明快にして身勝手極まりない。つまり、彼女は寂しかったのだ。
結婚してすぐに長男が出来てしまった。夫は彼女らの面倒を見ようと必死で働いた。妻は貞淑を演じるしかなかった。その歪が、密かに、そして残酷に元親に集約されたのだ。母は元親を抓り、詰り、放り出し、食事を与えず、泣くならば叩き、そして最終的に、事故だったと見せかけて殺そうとした。やかんの湯をかけたのだ。
その時の元親の凄まじい鳴き声は、静まりかえった真夜中に近所中へと響き渡り、そして元親は近隣住民により救出された。母は泣いて、元親ごめんね、ごめんねと言っていたが、後に医師から虐待の事実を問われると、彼女はただ黙って頷いたという。
何故、と問うならば、彼女は恐らく不幸になりたかったのだ。そういう病気が有るという。自分が不幸でなくてはならないのだ。そういう、かわいそうな人間もこの世には居るのだ。成人する間際、自分の顔の火傷について、父が申し訳なさそうに語るのを、元親はそのように感じた。酷く客観的に事実を見る事が出来た。
元親は母を知らなかったし、不思議と知りたいとも思っていなかった。赤子なのに、本当は何もかも知っていたのかもしれない。女と寝たいとも一度も思わなかった。結果として寝た事は有ったが、寄り添うような相手は見つからなかった。女は誰しも、不幸のヒロインで居たがる。それが、元親には少々怖い。
現在は金に困っていないから、整形したらどうかと時々言われるが、元親はそうしたいと思った事もない。確かに顔の事で苦労はしたが、それはそれでいいと思っている。物心ついた時にはそうだったわけで、これよりいい暮らしというのを知らないのも有る。それに、人の事を外見で判断するような人間が、一目で見分けられて便利だと元親は思っている。尤も、殆どの人間は人を見かけで判断する。その後、人として評価を変えられる人間とだけ付き合えるのはいい事だと思った。いつまでも上辺だけでにこにこ暮らしているから、実子に湯をかけたりするのだ、と。
だから元親は今の暮らしに満足していた。一人の暮らし、建前の無い人生、小さな自分の会社、大好きな機械いじりの仕事、溢れるほどではないが十分な収入。元親は恵まれていた。満足していた。しているつもりだ。
だのに時折、一人の夜が寂しい。
その日、元親は仕事場で夜まで粘っていた。思いのほか、修理がはかどらない。
元親は作業機械の修理・販売をして生計を立てている。小さな町で、それなりに優秀な修理工だと元親は自負している。客の要求に合う商品を探し出せるし、故障をしてもすぐに直せる。だが時々だが、難題にぶつかる。
なんにしてもそうだが、最も可能性の高い順に作業を進めていくわけだから、当然滅多に無いような事が起こっているとしたら、それに気付く事に時間がかかってしまう。そして滅多に無いような事が起こっているのだから、対処もあまりした事が無い。元親は苦戦していた。焼きつきやすいモーターやエンジン、馬鹿になりやすい制御部のショートなど、順番に調べた後の残業はこたえる。元親はしばらく機械に頭を突っ込んでいたが、やがて大きな溜息を吐いて機械から離れた。息抜きが必要だ。
出来るエンジニアはオンとオフの切り替えが上手い、と元親は思っている。焦ったり、いらついたりするとろくな事がない。自分の気持ちや身体が疲れたと言うならば、少々でも休んだほうがいい。元親はしょっちゅう休んだ。それをサボりだと思われたくないのも、一人で仕事をしている理由でもある。とかく日本人は、病的に勤勉である事を美徳と呼んで推奨する。それはそれで素晴らしい事だが、元親にはそんな事は出来なかった。
好きな音楽を聴きながら、時折休みつつ仕事をする。それが元親の望む仕事の形だったし、それが元親が最も成績を上げる形だと彼は思っている。事実、一般企業に就職していた頃の彼の評価ときたら、惨憺たる有様だった。だからこのスタイルがいいのだ、と元親は信じている。
どっこらせ、と椅子に腰掛け、タバコに火をつける。飲みかけのコーヒーを一口飲んで、ふうと背もたれに身を任せる。あとざっと2時間はかかりそうだ。だが今はその事を頭から抜く。流れている音楽に耳を傾け、心を静かにする。焦らない、追い込まない、気負わない。それが大事なのだ。
と、玄関が開いた。アラームが鳴る。さて、こんな時間に客とは珍しい。元親は背もたれから離れ、入り口のほうに眼をやる。
スーツに身を包んだ、小柄な男が立っていた。真面目そうな男だ。眼鏡までかけている。勤勉を絵に描いたような男だったが、元親は相手を見かけで判断しないようにはしている。あんな姿でも、詐欺師だったり、土建業だったりするのだ。実際そういう客も居た。
「いらっしゃい。何か用か?」
閉店時間は過ぎていたが、元親は特に気にしない。田舎の開店時間と閉店時間はあてにならない。朝5時にだって客は来るし(特に朝から仕事をしようとして動かなかったとすぐに来る老人は多い)、夜でも客が来れば店は開いている事にしている。
「あ……」
彼は何故だか困ったように言葉を詰まらせる。元親は怪訝な顔をして、まじまじと男を見た。見覚えが有る。
「……あ! ……お前、いつぞの空き巣か?」
元親はピンときて言った。何年か前、店に空き巣が入った。その時に捕まえて、金を与えて見逃した小僧が居る。当時は高校生だと言っていたが、そういえば何年も立っているし、そろそろ大学も卒業して就職していてもおかしくは無い。思い出してみれば、顔立ちが良く似ている。それに、声や、口ごもる時の雰囲気も。
「……金を、返しに、来た」
彼はのろのろと言う。元親は溜息を吐いた。
「返さなくていいって言ったろ。二度と来るなって」
「だが……」
「俺は別にいいんだよ。大体、返って来ると思って貸す奴が居てたまるかよ……そもそも今無いってのに」
「用意、出来た」
「……工面できたってのか?」
「言ったろう、……不幸から脱したら、来いと」
さて、そんな事を言ったような、言っていないような。元親には良く思い出せなかった。やたら小さな空き巣を縛り上げて、からかって追い出した程度にしか覚えていない。
「……つまり、なんとかなったって事か?」
「兄も父も回復して、……家族のよりも戻った。協力して働いて、それなりの大学も出させてもらった。今は、保険の会社に就職しておる」
「そりゃあ、理に適った話だな」
元親は適当に相槌を打った。彼が空き巣に来た時もそうだったが、元親は基本的に他人に感情移入をしない、というか出来ない。人は主観でしか物を語れないのだから、誰かの感情に共感しても事実は判らないのだ。だから元親はしようとも思わないし、先天的になのか、出来ない。恐らくこれも、知りもしない母のせいだろうとは元親も思っている。が、誰のせいだとかそんな事がとてつもなくどうでもいい事も、元親は良く理解している。
元就もそれを判っているのやら、事実を簡潔に述べる。つまり、返済が可能になったから返済しに来た、と。感謝している、礼がしたい、というように続いて、元親は困ったように頭をかいた。
「まぁあんたが返したいってんなら、そりゃ受け取るけど、礼をされるような事はしてないし、恩に思う必要は無いんだぜ」
「だが、確かに恩は有る」
「そりゃまだ判らないだろうが。俺が金を貸したから起こった不幸も有ったかもしれない。俺は確かにあんたに金を貸した。ただそれだけだ。それだけの事に多くを考えるもんじゃないぜ」
「だが……」
まだ代価を払っていないし。
男の言葉に元親はきょとんとして、それから怪訝な顔をした。
「あんた、真に受けてたのか? 俺があんたを抱くって? 抱かれたいのか?」
「いや、だが、それが条件だったろう」
「チャラになったんだからいいじゃねぇか」
「いや、そういうわけには……」
彼はけじめが、などと繰り返して引かない。元親は困ってしまった。つまり、抱かれる代わりに金を貸す、という条件を呑んでいるのだ。なのに抱かれていない事が不服らしい。要するに、彼は金を返すついでに、抱かれに来たのだ。元親は呆れてしまった。こいつは見た目どおりのクソ真面目だ、と。
「……判った、じゃあとりあえず、返済は受けよう。でも抱くのはまた今度だ」
「今度?」
「つまりその……お前が本当に幸せになったと思った時だ」
「……?」
彼は首を傾げていたが、やがて何を理解したのやら、「判った」と素直に頷いた。
「だが、……だが少々納得出来ない」
「あんたなぁ……」
「だから、その……」
これから、一緒に食事でも、……どうだろうか。
男の提案は断るには小さな物で、元親は断れなかった。確かに残業に向けて小腹も空いていたし、それでこの押し問答が終わるなら、得かもしれないとそう思った。
「そうだな、……じゃあ、いい店知ってるからよ」
元親はそう言いながら、少しだけ、
こいつとはここで終わらないかもしれない、
と、本当に少しだけ、感じていた。
+++
色んなものに冷めてるアニキと色んなものを信じてる元就
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