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めでぃのくの日記
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2025-03-14 (Fri)
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2009-03-13 (Fri)
 ガチというタイトルでいくわけにもいかないから
 掲載時にはなんてタイトルつけましょうか
 でもなんか変なシリアス感出ても仕方ないから
 やっぱりガチはガチのままで行こうかな

 というわけで ガチの最終話です

「あっ!」

 元就が急に声を上げる。何事かと元親が顔を上げると、元就がなにやら冷蔵庫を覗き込んでいる。

「お茶請けが無い」

「お茶請け?」

 元親が首を傾げると、元就は冷蔵庫を閉めながら頷く。

「うむ。新居を得たと言うたら、是非来たいと言ったのだ。今日、来る予定なのだが、お茶請けが無い。買って来る」

「……えっ? ちょ、今日誰か来るのか!?」

 二人揃っての休みをのんびりするはずだったのに。元親は慌てて部屋を片付け始めた。元就の方もいそいそと財布を用意し、「少し行って来る。来たら入れておいてくれ」と言い残して行ってしまった。

「ちょ……勝手だなあ、あいつ!」

 元親は呆れながらも、部屋の掃除を急いだ。



 二人の同棲は毎日が発見と失敗とそして幸せでいっぱいだった。元就は箱入り息子らしく驚くほどの役立たずだった。仕方なく元親が色々と教える。呑みこみ自体は早いので、今は多少なら家事もしてくれるようになった。

 ただ困っているのは元就の突拍子の無さだ。思いついた事は全て勝手にやってしまうため、急に出かけるとか、車を出せとか言うのはしょっちゅうだった。元親はその度に振り回されたが、悪い気はしなかった。元就はそういう奴なんだ、と納得していた。

 とはいえは今回は酷い。来客が有るというのに、直前まで知らされていないばかりか、準備もしていないのだ。元親は手早く部屋に掃除機をかけ、クッションやカップなどを用意していた。

 と。チャイムが鳴る。

 おいおい待ってくれよ、早いよ、つか早く帰って来いよ、元就。

 元親はハァと溜息を吐いて、玄関に向かう。覗き穴から外を見ると、扉の前には全体的に白く長い男が立っていた。元親は一目でピンとくる。

 こいつは、変態だ。



 その明智光秀という名の変態に会ったら、一発殴ってやろうと思っていたのに、結局元親には出来なかった。相手が自分よりはるかに細かったのもあるし、良く考えれば元就が性にトラウマを抱えていなかったら、二人はここまでの仲には成れなかったのだから、そういう意味では感謝してもいいぐらいだった。

 リビングに迎え、紅茶を出して。元親と光秀は向かい合って座り、そしてずっと黙っていた。

 普通、昔の相手と今の相手を二人っきりにしたりするか、と元親は流石に怒りたくなってきた。話そうにも、何を話せばいいか判らない。

 しばらくして、光秀のほうが口を開いた。

「毛利殿は、本当に可愛らしい方ですよね」

「えっ、……あ、う、うん、まぁ……」

「あの方を見ていると、粉々に壊してやりたくなります」

 光秀が笑顔でそう言ったものだから、元親はあやうくカップを倒すところだった。

「な、な……」

「慈愛と幸せに満たされて育ったあの人を、ボロボロに壊してやりたいと思うのですよ。汚い物など、暗い物など知らずに育ったあの人に、この世の苦しみを全て与えて、粉々にしたい。でもそこに残るのはあの人ではないから、私は仕方無く、あのくらいで我慢したのですが……」

 あのくらいって、本当にアンタ、元就に何をしたんだよ。

 元親が引いていると、光秀は彼を見て微笑む。

「貴方も判るでしょう? 判っているはずですよ」

「何……」

「あの人を汚したいと、壊したいと、歪ませたいと思うでしょう? そしてあの人は本質的にそれを願っているのです。有体に言えば、彼はマゾヒストなのですよ。自覚は有りませんがね。ただ私は少々急ぎ過ぎてしまった。開発をする前にあれ程怖がられては、出来る事も出来ない。……その点、貴方は毛利殿にとても信頼されているし、どうぞじっくり時間をかけて、調教するといいでしょう」

「……あのな」

 元親は溜息を吐いて言う。

「俺をアンタと一緒にしないでくれ」

「おや、私と貴方に、何か違いが有りますか?」

「大いに有る。いいか、俺はアイツと一緒に居たい、アイツを幸せにしてやりたいんだ。アンタのやった事は、アイツを怖がらせて、痛めつけて、泣かせた事だけだ。俺はそんな事を望んじゃいねぇ。だから違う」

「そうですか。まぁ、それもいいでしょう」

 光秀は意外なほどアッサリと引き下がった。それがかえって怖い。まだ論戦になれば、相手の言う事を突っ撥ねるのは簡単だが、引かれてしまうとこちらは一人でつんのめる事になって、自分の意見に自信が持てなくなってくる。

 本当に思った事は無いか? 彼を傷付けたいと、思うままに蹂躙したいと。嫌がるのを無理やり押さえ付けて犯したいと、本当に思った事は無いのか。自分のモノに、自分だけのモノに……何もかも変えて、手に入れて、そして自分と同じモノにしようとした事は無いか。

 そこまで考えて、元親は何か妙な感じがして首を傾げた。アレは本当に自分の記憶だろうか? あるいは夢か、妄想ではないのか。言う事を聞かないアイツを、ブチのめしてでも、捕まえてでも何とかしようと、俺は、俺は……。

「ただいま帰った。……あ、明智。もう来ておったか、すまぬな」

 と、元就が慌しく帰って来て、元親の思考はひとまず止まった。元就はビニール袋から和菓子を取り出し、テーブルに並べていく。異様に多かった。

「ちょうど、毛利殿の話をしていたのですよ」

「そうなのか?」

「えぇ。それにしても貴方の表現は的確ですね。ピーマンのような男とはよく言ったものです」

「あ、明智、ピーマンではない、パプリカだ」

「どちらでも一緒じゃあありませんか。中身は無いのですから」

 元就も元親も、しばらくきょとんとして。

 それから、

「あ、明智っ!!!」

 と、元就は顔を真っ赤にして、怒鳴った。




「誤解だったのだからな」

「判ってるって」

「我はパプリカと言ったのだ」

「それも聞いたよ。それで、じゃあどういう意味だったんだ?」

 光秀は散々元親達を翻弄して帰った。二人はどっと疲れた様子で夕食を摂り、風呂に入って、そしていつものように裸でベッドに潜る。しばらくして、元就は不安げな表情で口を開いたのだ。元親は気にしてないよと笑ったが、元就は納得出来ないらしい。

「我は、そなたが、何処に居ても華やかで、いつも必要だからと……」

「へへへ、嬉しいなぁ」

 元親はたまらなく愛しい気持ちになって、元就を撫でたが、彼は不安そうだ。顔を覗き込んで、元親は「じゃあさ」と髪を撫でる。

「お前は?」

「我?」

「お前はなんなの?」

「我は、小松菜だ」

「へぇ?」

「地味で、クセが有って、食べ難いから……」

 元親はぎゅうと元就を抱きしめ、額に口付けを落とす。

「俺、小松菜好きだぜ」

「う……」

「な、元就。大丈夫だから。もうそんな顔、すんなよ。アイツはお前の言うとおり、悪い奴じゃねぇけど、ちぃと酷い奴なんだ。お前にそういう顔をさせたくて言ったんだぜ? 手に乗ったら癪だろ?」

「……」

「な。寝ようぜ、元就」

 元親がそう言って背を撫でると、元就はまだ不安そうな顔をしていたものの、素直に頷いて目を閉じた。





「――っ、は、」

 元就が飛び起きたものだから、元親も目を覚ましてしまった。ん、と目を擦りながら元就の方を見ると、彼は酷く青褪めていて、元親は驚く。

「どうした? 怖い夢でも見たのか?」

 声をかけると、元就はびくりと元親を見て、そして強く抱きついてきた。

「お、おい……元就、どうした、ん?」

 抱きしめ、撫でてやる。元就の方も強くしがみ付いてくる。こりゃあ、相当怖い夢を見たんだな、と元親は溜息を吐いた。「言ってみな、楽になるから」と囁くと、元就は途切れ途切れに。

「そ、そなたを、殺した」

 と言った。

「俺を?」

「そうだ、そなたは、我を助けようと、愛そうとしていたのに、馬鹿な我は、愚かな我は、その気持ちに目を背けて、そして、そして……元親、元親……」

 元就は泣きそうな声で名を呼ぶ。元親は微笑みを浮かべて、その顔を覗き込んだ。

「大丈夫、ただの夢だ。俺はここに居るだろ?」

「だ、だが、確かに……感触も有った、我は、我はそなたを……」

「確かに、もしかしたら、お前が俺を殺したかもしれねぇし、殺すかもしれねぇよ。世の中、何が有るか判らないからな。……でもな、元就。俺は今、ここに居て、お前とこうしていちゃついてる。今はそれでいいじゃねぇか」

「だが……」

「それに、俺は殺されてまでお前を助けようとしていたんだろ? だとしたら、無念だろうけどお前を恨んだりはしねぇよ。ただお前の幸せを願うだろうさ。それに、今のお前は俺から目を背けたりしないじゃねぇか。な。ただの悪夢だったんだよ。な……」

 そう、ただの悪夢だったのだ。何もかも。

 元親に撫でられ、元就は「元親」と名を呼んだ。それ以上、何も言わなかった。

「……その悪夢の中で苦しんだお前の分も、幸せになろうぜ、元就。俺達、今は通じ合って、こうして一緒に寝てるんだから……な?」

「幸せに?」

「そう。幸せになろう、元就。な」

 元親がそう言って笑むと、元就もぎこちなく笑って、そっとキスをした。



 拙い愛は実ったばかり。誰かの求めた幸せを探して、彼らは手を繋ぎ、そして二人で、道を歩んで行く。

 おわり

 +++

 一目で変態と見破られる明智にまんまと引っかかった毛利って

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浦崎谺叉琉と美流=イワフジがてんやわんや。


二人とも変態。永遠の中二病。
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