本を読んでいたら、日本語の通じない奴が多いという話が出て、
「ありがとうの過去形が有ってたまるか、じゃあ未来形があんのか」
との事、ありがとうございました、は誤りと書いてあって
びっくりしました。
おめでとうございました、は使ってないと思うんですが……
ありがとうございましたはむしろ学校で教えられたような気が……
と思って調べてみたらなんだか諸説分かれるようで。
結局ありがとうございました、は誤用なのかそうじゃないのか。
確信犯とかね。まぁ言葉も変わっていくと言ってしまえば全て終わる。
以下、かけつき。
「ありがとうの過去形が有ってたまるか、じゃあ未来形があんのか」
との事、ありがとうございました、は誤りと書いてあって
びっくりしました。
おめでとうございました、は使ってないと思うんですが……
ありがとうございましたはむしろ学校で教えられたような気が……
と思って調べてみたらなんだか諸説分かれるようで。
結局ありがとうございました、は誤用なのかそうじゃないのか。
確信犯とかね。まぁ言葉も変わっていくと言ってしまえば全て終わる。
以下、かけつき。
かけつき 6
「毛利、来いよ。いい湯だぜ」
「……」
「いつまでもそうしてたら寒いだろ」
「……」
「毛利」
「……」
湯に浸かり、一息吐いたところで、元親は離れて立っている元就を手招いた。だが元就は動かない。白衣を着たまま元親ごと湯を睨みつけている状態だ。
「毛利」
「……少し待て」
「少しって、どれくらいだ」
「我の足が進むまでだ」
「……」
元親は一向進めそうにもない元就に呆れたため息を吐いて、のろりと湯から上がった。ざば、と水の滴る音を聞いて、元就がびくりとする。
「毛利」
「く、来るな」
「毛利、な、恐くない。ただの湯だ」
「来るな、……っ、は、放せ!」
素早く元就の左手を取り、湯のほうへと軽く引っ張った。それを元就は強く振り払う。それが少々気に食わなかった元親は、おもむろに元就をかき抱いた。
「!」
身を引きつらせる元就を、そのままずるずると運んで行こうとする。元就は暴れたが、体格差が災いして逃げられない。そのまま抱えて、湯の中に入ってしまおうと、元親が湯に足をつける。
ぴちゃり。
水をかき分ける音がした途端、元就は激しく叫び始めた。ぎょっとして元親が手を放すと、元就は恥も外聞も無いといった様子で、湯の入り口まで走って行った。戸は元就が逃げ出せないよう、外から部下達が押えているので開かない。元就も知っているはずなのに、彼は懸命に引き戸を叩き、子供のように繰り返す。
「あにうえ、あにうえ、たすけてください、あにうえ、あにうえ……」
あにうえ、と何度も何度も早口で繰り返している。まるで何か、経でも読んでるみてぇだな、と元親は思った。「あにうえ」は「兄上」ではなく、「あにうえ」という言葉なのかもしれない、と元親はその時初めて考えた。
これ以上怯えさせてはいけないので、元親はそうっと近寄った。あと数歩という所まで近づくと、元就が振り返る。先ほどまで子供が泣くような様子だったのに、元就はいつもと変わらぬ顔でこちらを見る。
「毛利」
「……」
「毛利、悪かった。……なぁ一つ提案があるんだ」
「なんだ」
「その、……俺は図体もでかいし、力も有るし、しかも泳げる。俺にしがみついてりゃあ、あんたは水の中に引き込まれたりしない。そうだろ?」
「……」
「だから俺によ、嫌だろうけど、子供みてぇに引っ付いてたら、……安心だ。絶対あんたは溺れない。……どうだ、その……な、……つまりあれだ、俺を信じてくれねえか」
「……」
「絶対に意地悪で手を放したりしないし、あんたを沈めようとかしないから。な、大丈夫だから」
これじゃあ本当に、幼子を水に慣れさせる父親か何かだ。元親は心の中で苦笑した。大の男同士が抱き合って湯に浸かるなんて、正気の沙汰ではない。
けれどこの気色の悪い提案は、最終手段であり、そして彼らにはもうそれしか残されていないのも確かだった。元就はしばらく顔をしかめていたが、おずおずと、元親に右手を差し出した。その手を取ってやり、赤子をそうするように抱き上げると、元親は静かに歩き始める。
元就も赤子のように元親にぎゅうとしがみついて離さない。かた、と僅かに震えているようなので、「大丈夫だから」と元親は何度も言い聞かせ、何度も立ち止まった。そのたびに元就は「わかっている、早うせぬか」と理不尽極まりない事を冷たく言う。
強がりだけは一人前な子供に、痛いほどしがみつかれながら、元親はそろりと湯に足を着けた。まだ元就は湯に届かない。ゆっくりと体を沈めていく。「爪先が着くぞ、大丈夫か?」と念押しに尋ねて、元就がうなづいたのを確かめると、元親は少しだけ元就を湯に入れた。くるぶしまで来たところで、元就が震えたので、元親は一度止まる。
「大丈夫か?」
やっぱりだめか、という意味をこめて問うと、元就はぎゅっと目を閉じたまま、小さく、
「ぬくい」
とだけ呟いた。
「湯なんだから当たり前だろ」
元親は笑って、そして元就と共に湯に浸かった。元就は湯に浸かることができた。しばらくすると元就は目を開け、そして周りを見渡し、最後に元親の顔を見上げると、そろりと手を離す。
「……ぬくい」
もう一度繰り返した言葉に元親は思わず笑む。
「あんたがそういう言葉を使うとは思わなかったぜ」
言ってやれば、元就はようやく気付いたというような顔をして、元親から目をそらした。
「温かいゆえ」
「あん?」
「溶けるものも有るのだろう」
そう言う元就に笑い声を返して、元親はようやく体の力を抜いた。湯は心身に効くものだ、となおも呟く元就に「そうだなあ」と軽く返す。
「これできっと、あんたの水嫌いも治るよ」
言ってやれば、元就も静かに「そうだな」と答えて、揺れる水面を見た。そろりと手で湯を掬い、手の平から滴り落ちるのをまじまじと見ている。その子供のような様子を元親がぼうっと見ていると、
「あにうえ」
と元就はまた呟いた。無意識の事らしく、元就はそのまま手を湯につけると、何事も無かったかのように温泉を楽しんだ。
「毛利、来いよ。いい湯だぜ」
「……」
「いつまでもそうしてたら寒いだろ」
「……」
「毛利」
「……」
湯に浸かり、一息吐いたところで、元親は離れて立っている元就を手招いた。だが元就は動かない。白衣を着たまま元親ごと湯を睨みつけている状態だ。
「毛利」
「……少し待て」
「少しって、どれくらいだ」
「我の足が進むまでだ」
「……」
元親は一向進めそうにもない元就に呆れたため息を吐いて、のろりと湯から上がった。ざば、と水の滴る音を聞いて、元就がびくりとする。
「毛利」
「く、来るな」
「毛利、な、恐くない。ただの湯だ」
「来るな、……っ、は、放せ!」
素早く元就の左手を取り、湯のほうへと軽く引っ張った。それを元就は強く振り払う。それが少々気に食わなかった元親は、おもむろに元就をかき抱いた。
「!」
身を引きつらせる元就を、そのままずるずると運んで行こうとする。元就は暴れたが、体格差が災いして逃げられない。そのまま抱えて、湯の中に入ってしまおうと、元親が湯に足をつける。
ぴちゃり。
水をかき分ける音がした途端、元就は激しく叫び始めた。ぎょっとして元親が手を放すと、元就は恥も外聞も無いといった様子で、湯の入り口まで走って行った。戸は元就が逃げ出せないよう、外から部下達が押えているので開かない。元就も知っているはずなのに、彼は懸命に引き戸を叩き、子供のように繰り返す。
「あにうえ、あにうえ、たすけてください、あにうえ、あにうえ……」
あにうえ、と何度も何度も早口で繰り返している。まるで何か、経でも読んでるみてぇだな、と元親は思った。「あにうえ」は「兄上」ではなく、「あにうえ」という言葉なのかもしれない、と元親はその時初めて考えた。
これ以上怯えさせてはいけないので、元親はそうっと近寄った。あと数歩という所まで近づくと、元就が振り返る。先ほどまで子供が泣くような様子だったのに、元就はいつもと変わらぬ顔でこちらを見る。
「毛利」
「……」
「毛利、悪かった。……なぁ一つ提案があるんだ」
「なんだ」
「その、……俺は図体もでかいし、力も有るし、しかも泳げる。俺にしがみついてりゃあ、あんたは水の中に引き込まれたりしない。そうだろ?」
「……」
「だから俺によ、嫌だろうけど、子供みてぇに引っ付いてたら、……安心だ。絶対あんたは溺れない。……どうだ、その……な、……つまりあれだ、俺を信じてくれねえか」
「……」
「絶対に意地悪で手を放したりしないし、あんたを沈めようとかしないから。な、大丈夫だから」
これじゃあ本当に、幼子を水に慣れさせる父親か何かだ。元親は心の中で苦笑した。大の男同士が抱き合って湯に浸かるなんて、正気の沙汰ではない。
けれどこの気色の悪い提案は、最終手段であり、そして彼らにはもうそれしか残されていないのも確かだった。元就はしばらく顔をしかめていたが、おずおずと、元親に右手を差し出した。その手を取ってやり、赤子をそうするように抱き上げると、元親は静かに歩き始める。
元就も赤子のように元親にぎゅうとしがみついて離さない。かた、と僅かに震えているようなので、「大丈夫だから」と元親は何度も言い聞かせ、何度も立ち止まった。そのたびに元就は「わかっている、早うせぬか」と理不尽極まりない事を冷たく言う。
強がりだけは一人前な子供に、痛いほどしがみつかれながら、元親はそろりと湯に足を着けた。まだ元就は湯に届かない。ゆっくりと体を沈めていく。「爪先が着くぞ、大丈夫か?」と念押しに尋ねて、元就がうなづいたのを確かめると、元親は少しだけ元就を湯に入れた。くるぶしまで来たところで、元就が震えたので、元親は一度止まる。
「大丈夫か?」
やっぱりだめか、という意味をこめて問うと、元就はぎゅっと目を閉じたまま、小さく、
「ぬくい」
とだけ呟いた。
「湯なんだから当たり前だろ」
元親は笑って、そして元就と共に湯に浸かった。元就は湯に浸かることができた。しばらくすると元就は目を開け、そして周りを見渡し、最後に元親の顔を見上げると、そろりと手を離す。
「……ぬくい」
もう一度繰り返した言葉に元親は思わず笑む。
「あんたがそういう言葉を使うとは思わなかったぜ」
言ってやれば、元就はようやく気付いたというような顔をして、元親から目をそらした。
「温かいゆえ」
「あん?」
「溶けるものも有るのだろう」
そう言う元就に笑い声を返して、元親はようやく体の力を抜いた。湯は心身に効くものだ、となおも呟く元就に「そうだなあ」と軽く返す。
「これできっと、あんたの水嫌いも治るよ」
言ってやれば、元就も静かに「そうだな」と答えて、揺れる水面を見た。そろりと手で湯を掬い、手の平から滴り落ちるのをまじまじと見ている。その子供のような様子を元親がぼうっと見ていると、
「あにうえ」
と元就はまた呟いた。無意識の事らしく、元就はそのまま手を湯につけると、何事も無かったかのように温泉を楽しんだ。
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