ちょっと色々あってへこんでいるので何を書いても
L4ぐらいの大バッドエンド元就しか書けそうにない
けどとりあえず書いてみる。
まだ終わりそうにもないし。
L4ぐらいの大バッドエンド元就しか書けそうにない
けどとりあえず書いてみる。
まだ終わりそうにもないし。
かけつき 4
翌日、元就は目を覚ますと、元親も驚くほどの勢いで粥を食べた。あんた意外に食うんだな、というと、元就は不愉快そうな顔をして、早く体調を戻さねばなるまい、と答えてまた食べた。
昼過ぎには気持ち悪そうにしてずっと寝転んでいた。どうやら食べ過ぎたらしい。そんな姿に呆れながらも、元親は元就の背を擦ってやっていた。元就も特に抵抗しなかった。
元就に関して妙な部分を見出したのは、元就が目覚めてから三日経過した時の事だった。
元就はまだ本調子でなく、よく午睡をした。元親はそんな元就を起こさぬようにと、時々様子を見に行くのにも忍び足で行った。
そうっと障子を開くと、元就は元親に背を向ける形で眠っているようだった。しばらく見て、障子を閉めようとした時、元就が顔を上げてこちらを見る。そしてその次に、彼は安心したようなため息を吐いたのだ。
(……?)
それは元就も無意識のうちにした事のようで、彼は自分の見せてしまった表情にも気付かず、元親から顔をそらすと、また眠り始めた。元親は静かに障子を閉じて、首を傾げた。
その所以を元親が知ったのはまもなくの事だ。
「毛利公はどうやら取引をしたようです」
情報収集を主にしている部下が、世間話の途中に言い出した。
「取引?」
「貴方様にお会いになるために、取引を」
「どういう意味だ?」
元親が顔をしかめても、彼はにこやかな顔のまま続けた。
「海から流れ着いた裸の男など、誰が丁重に扱いましょう。小屋を与えられただけでも幸福なもので、そんな得体の知れない男のいう事を誰が真に受けて、貴方様に告げたりなどしましょうか」
「……つまり?」
「中国で毛利公が松永公に敗れてもう一月以上経つそうです。逆算してみるとどうにも話が合わない。どうやら毛利公が捕虜として公式に囚われていた時間は10日程度、そこから流されて、運良く伊予に着いたとは思えませんから、漁船にでも拾われたとして、順調に伊予に来てまぁ5日ほどでしょう。毛利公をこちらで世話をして6日ですから、10日ほど空白になります」
「……」
「10日ほどで得体の知れない男に信頼関係が築けたはずも無く、しかし毛利公にはなんとしても中国へ帰ろうという意思があり、かつ我々が発見した時、毛利公は正体を明かしていたとは思えない扱いを受けていました。村人は親切でしたがあくまで度を越えませんでした。度を越えた要求を通すには金子に報酬、最後の手段は色目です」
「……」
元親は最後の言葉に眉を寄せ、そして彼を睨んだ。彼はやはりにこやかに笑んでいる。
「……毛利に無体を働いた奴が見つけられるか?」
「簡単でしょうが、するべきではありません」
「なんでだ?」
「毛利公は取引をしたのです。対価を払ったという事です。ここで貴方様が彼らを討つのは容易いですが、それによって毛利公は余計にその気高いお心を傷つけられる事でしょう。放っておくのが一番よろしい。我々に出来る事は毛利公が安全無事に中国にお帰りになる事の手助けのみです。……まずは童にするが如く、水に慣らせませんと」
それをして差し上げられるのは、国主として同等の貴方様だけでございましょう。
そう言われても、元親は苦い顔をしてため息を吐くばかりだった。
毛利が抱く水への恐怖心は生半可なものではなかった。
海でよほど恐ろしい目にあったのだろう、慣らせようにも、手桶に顔をつける事さえ出来ない。ようやっと桶に手を入れる事は出来たが、足は入れられない。
まさか元々こうだったわけではないだろうから、元親は懸命に付き添って練習させたが、元就は一向に水に近づけなかった。そのくせ口を開けば、やれ「中国が」「兄上の国が」「早く戻らねば」と意志は固い。けれども船に乗るどころか近寄る事も出来そうにない。
「なぁ、どうして、あんたの国じゃなくて、お兄さんの国なんだ?」
元親が戯れに尋ねてみても、返事はそっけなく、
「毛利は兄上のものだからだ」
と妙に筋違いな答えしか与えられない。
「でもお兄さんはもうとっくに死んでいるんだろ? 今はあんたの国じゃねぇか」
「兄上は我の中にもある。故に我は兄上のもの、毛利は兄上のもの、国は兄上のもの。我に有るのは兄上だけで、そして兄上は毛利の全てなのだ」
その少し狂気を感じる答えに、元親は顔をしかめるが、それ以上元就がなにを言う事も無く、元親がなにを言えるでもない。とにかく、早く中国に返してやろうと、あれこれ克服法を画策するぐらいしか出来なかった。
翌日、元就は目を覚ますと、元親も驚くほどの勢いで粥を食べた。あんた意外に食うんだな、というと、元就は不愉快そうな顔をして、早く体調を戻さねばなるまい、と答えてまた食べた。
昼過ぎには気持ち悪そうにしてずっと寝転んでいた。どうやら食べ過ぎたらしい。そんな姿に呆れながらも、元親は元就の背を擦ってやっていた。元就も特に抵抗しなかった。
元就に関して妙な部分を見出したのは、元就が目覚めてから三日経過した時の事だった。
元就はまだ本調子でなく、よく午睡をした。元親はそんな元就を起こさぬようにと、時々様子を見に行くのにも忍び足で行った。
そうっと障子を開くと、元就は元親に背を向ける形で眠っているようだった。しばらく見て、障子を閉めようとした時、元就が顔を上げてこちらを見る。そしてその次に、彼は安心したようなため息を吐いたのだ。
(……?)
それは元就も無意識のうちにした事のようで、彼は自分の見せてしまった表情にも気付かず、元親から顔をそらすと、また眠り始めた。元親は静かに障子を閉じて、首を傾げた。
その所以を元親が知ったのはまもなくの事だ。
「毛利公はどうやら取引をしたようです」
情報収集を主にしている部下が、世間話の途中に言い出した。
「取引?」
「貴方様にお会いになるために、取引を」
「どういう意味だ?」
元親が顔をしかめても、彼はにこやかな顔のまま続けた。
「海から流れ着いた裸の男など、誰が丁重に扱いましょう。小屋を与えられただけでも幸福なもので、そんな得体の知れない男のいう事を誰が真に受けて、貴方様に告げたりなどしましょうか」
「……つまり?」
「中国で毛利公が松永公に敗れてもう一月以上経つそうです。逆算してみるとどうにも話が合わない。どうやら毛利公が捕虜として公式に囚われていた時間は10日程度、そこから流されて、運良く伊予に着いたとは思えませんから、漁船にでも拾われたとして、順調に伊予に来てまぁ5日ほどでしょう。毛利公をこちらで世話をして6日ですから、10日ほど空白になります」
「……」
「10日ほどで得体の知れない男に信頼関係が築けたはずも無く、しかし毛利公にはなんとしても中国へ帰ろうという意思があり、かつ我々が発見した時、毛利公は正体を明かしていたとは思えない扱いを受けていました。村人は親切でしたがあくまで度を越えませんでした。度を越えた要求を通すには金子に報酬、最後の手段は色目です」
「……」
元親は最後の言葉に眉を寄せ、そして彼を睨んだ。彼はやはりにこやかに笑んでいる。
「……毛利に無体を働いた奴が見つけられるか?」
「簡単でしょうが、するべきではありません」
「なんでだ?」
「毛利公は取引をしたのです。対価を払ったという事です。ここで貴方様が彼らを討つのは容易いですが、それによって毛利公は余計にその気高いお心を傷つけられる事でしょう。放っておくのが一番よろしい。我々に出来る事は毛利公が安全無事に中国にお帰りになる事の手助けのみです。……まずは童にするが如く、水に慣らせませんと」
それをして差し上げられるのは、国主として同等の貴方様だけでございましょう。
そう言われても、元親は苦い顔をしてため息を吐くばかりだった。
毛利が抱く水への恐怖心は生半可なものではなかった。
海でよほど恐ろしい目にあったのだろう、慣らせようにも、手桶に顔をつける事さえ出来ない。ようやっと桶に手を入れる事は出来たが、足は入れられない。
まさか元々こうだったわけではないだろうから、元親は懸命に付き添って練習させたが、元就は一向に水に近づけなかった。そのくせ口を開けば、やれ「中国が」「兄上の国が」「早く戻らねば」と意志は固い。けれども船に乗るどころか近寄る事も出来そうにない。
「なぁ、どうして、あんたの国じゃなくて、お兄さんの国なんだ?」
元親が戯れに尋ねてみても、返事はそっけなく、
「毛利は兄上のものだからだ」
と妙に筋違いな答えしか与えられない。
「でもお兄さんはもうとっくに死んでいるんだろ? 今はあんたの国じゃねぇか」
「兄上は我の中にもある。故に我は兄上のもの、毛利は兄上のもの、国は兄上のもの。我に有るのは兄上だけで、そして兄上は毛利の全てなのだ」
その少し狂気を感じる答えに、元親は顔をしかめるが、それ以上元就がなにを言う事も無く、元親がなにを言えるでもない。とにかく、早く中国に返してやろうと、あれこれ克服法を画策するぐらいしか出来なかった。
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二人とも変態。永遠の中二病。
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