忙しそうです。ぎっしりです。仕事。
以下、かけつき。短めです。
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中国毛利が四国長曾我部と同盟を結んだ理由は、単に対松永戦のためだけではない。瀬戸内の利権を巡って小競り合いを繰り返してきた両国が不可侵の盟を結ぶ事は、時勢の進展を意味する。両国は漁夫の利にありつこうとするかもしれない他国に怯える事が無くなる。四国には本土の情報と物資が速やかに流通するであろうし、中国は地盤固めとからくりを手に入れられる。
元就は元親の趣味であるからくりを嘲笑はしたが、軽視はしていない。上手く使いこなせば相当の戦力に、あるいは労働力になるであろうと考えていた。ただ元親を笑う理由は、その損得を正確に把握出来ていないからだ。例え恐ろしく優秀なからくりであっても、国を傾けるような費用をかけておいて、一日もあれば破壊されるならばそれは趣味道楽の域を出ない。だからこそ笑うが、元就はからくりを評価はしている。
元親が国を傾ける理由は即ちそこが四国だから、である。土地も資源も乏しい四国では、からくりを作るのに十分な資材及び資金が無い。だから彼らのからくりは道楽の域を出られないが、それが中国毛利の石見銀山などと結びつくなら話は別だ。また本土の戦や情勢を知る事が出来るなら、より時代にあった兵器が開発出来るだろう。
いずれはそれを我が物に……とまで元就が考えているかは定かではない。ただ盟というのは双方に損得が有るものだ。資材の少ない四国が中国と結べば喜ぶだろうが、当然中国は四国を養わなければならなくなる。中国の方が損をする確率が高いのだ。
それなのに、詭計知将と呼ばれる元就が、あえて四国と同盟を結ぶという事は。
(覚えて、あるいは意識してるのかもしれねぇ。俺が夢で導いた事を……いやもしかしたらこれはあいつの言っていた「助けに行く」なのか? いずれにしても気味が悪いぜ。何か裏でもあるんじゃねぇのか……)
元親は元就の横顔を見ながら思う。
二人は毛利の国境線である砦にやって来ていた。二人揃って、物見台から領土の向こうを見ている。そこは山で、細い道が続くばかりだ。攻めてくるには少々辛い地形だろうが、前回、久秀達の軍はここを速攻で落とした。つまりここは元就が久秀に負けた場所だ。ここが守りきれれば、元就は久秀と会う事も無く、また神社を奪われることも無く、海に捨てられる事もなかっただろう。
元就は前回の反省を踏まえて、砦を改造していた。まずは破られた門を堅牢にし、弓櫓と物見台を高くした。砦の屋根裏部分には各種の武器をあらかじめ用意しておき、何時誰が攻め込んで来てもすぐ応戦出来るように。
そして元就はその上で、餌を用意したのだ。それは判りやすい餌だった。茶釜だ。
大内家を落とした際に手に入れた物で、なかなかの名品だ。これが中国に有るのに、見もせずに帰った久秀はたいそうな間抜けよ、と元就は噂を流させた。それは中国が久秀に一度落とされたという事を露見してしまう噂だったが、元就は気にしなかった。
「事実落ちたのだ。偽っても仕方なかろう。次が無ければ良い」
「そんなもんかぁ?」
「近隣諸国がこれ幸いと攻め込んでくるやもしれぬ。敵と味方と捨て置く者を見分ける良い機会ぞ」
「ふーん。……来るかねぇ、松永は」
「早ければ明日にも、遅ければ来世かも知れぬな」
元就がそう皮肉げに言うので、元親は苦笑して頭を掻く。
「そうまでして松永と決着をつけたかったくせに、冷めた面してやがって。俺は本当に機嫌を悪くしたんだぜ、下手すりゃあんたを殴ってたかもしれねぇ」
「それは面白い。そなたが我を初めて傷付けようとしたのだな。そうまでしてそなたは、何を欲しがったのだ? 松永の首か?」
「……あんた、覚えてるのか? 夢を」
少々話題をずらして尋ねれば、元就は首を傾げる。
「夢? ……我は夜毎、数多の夢を見るゆえ……忘れる夢も多いが」
「……俺の夢を、見たか?」
「さて。どうであろうな」
元就はあえて肯定も否定もせず、といった様子で、空を見上げる。日は既に傾いていた。
「……あんたは、俺が恐れていると言った。……俺が何を恐れてるって言うんだ?」
「まずは、我の言葉を」
そなたは我に何かを言われる事を恐れておる。
元就は元親の顔も見ないまま、そう言う。
「何をそんなに恐れるのだ? そなたは。……そなた、自分では信じろと言うておいて、……その実、誰も信じてはおらぬのであろう」
だからあの奇怪なからくりに、心身共に注いではがらくたにしてゆくのだ。
元就がそう言うと、流石に元親は抗議しようとした。が、次の言葉に元親は止まる。
「我の事は信じてみよ、長曾我部。我は大変な法螺吹きではあるが、我のそれは大変判りやすいと敵国でも評判であったのだぞ。だから我を信じてみよ。どうせ我がそなたを騙そうとしている時は、そなたもはっきりと、今騙そうとしていると判るはずぞ。……ふむ、来たな」
元就は山を見つめて小さく呟き、元親を見た。
「戦を始める。言っておくが、死人は出すな。雪辱戦ごときに使って駒は減らさぬ」
元就はそう言うと、さっさと物見台から降りてしまった。元親は困惑したが、確かに山の向こうで動きが有るのを認めると、のろのろと降りた。
元就は元親の趣味であるからくりを嘲笑はしたが、軽視はしていない。上手く使いこなせば相当の戦力に、あるいは労働力になるであろうと考えていた。ただ元親を笑う理由は、その損得を正確に把握出来ていないからだ。例え恐ろしく優秀なからくりであっても、国を傾けるような費用をかけておいて、一日もあれば破壊されるならばそれは趣味道楽の域を出ない。だからこそ笑うが、元就はからくりを評価はしている。
元親が国を傾ける理由は即ちそこが四国だから、である。土地も資源も乏しい四国では、からくりを作るのに十分な資材及び資金が無い。だから彼らのからくりは道楽の域を出られないが、それが中国毛利の石見銀山などと結びつくなら話は別だ。また本土の戦や情勢を知る事が出来るなら、より時代にあった兵器が開発出来るだろう。
いずれはそれを我が物に……とまで元就が考えているかは定かではない。ただ盟というのは双方に損得が有るものだ。資材の少ない四国が中国と結べば喜ぶだろうが、当然中国は四国を養わなければならなくなる。中国の方が損をする確率が高いのだ。
それなのに、詭計知将と呼ばれる元就が、あえて四国と同盟を結ぶという事は。
(覚えて、あるいは意識してるのかもしれねぇ。俺が夢で導いた事を……いやもしかしたらこれはあいつの言っていた「助けに行く」なのか? いずれにしても気味が悪いぜ。何か裏でもあるんじゃねぇのか……)
元親は元就の横顔を見ながら思う。
二人は毛利の国境線である砦にやって来ていた。二人揃って、物見台から領土の向こうを見ている。そこは山で、細い道が続くばかりだ。攻めてくるには少々辛い地形だろうが、前回、久秀達の軍はここを速攻で落とした。つまりここは元就が久秀に負けた場所だ。ここが守りきれれば、元就は久秀と会う事も無く、また神社を奪われることも無く、海に捨てられる事もなかっただろう。
元就は前回の反省を踏まえて、砦を改造していた。まずは破られた門を堅牢にし、弓櫓と物見台を高くした。砦の屋根裏部分には各種の武器をあらかじめ用意しておき、何時誰が攻め込んで来てもすぐ応戦出来るように。
そして元就はその上で、餌を用意したのだ。それは判りやすい餌だった。茶釜だ。
大内家を落とした際に手に入れた物で、なかなかの名品だ。これが中国に有るのに、見もせずに帰った久秀はたいそうな間抜けよ、と元就は噂を流させた。それは中国が久秀に一度落とされたという事を露見してしまう噂だったが、元就は気にしなかった。
「事実落ちたのだ。偽っても仕方なかろう。次が無ければ良い」
「そんなもんかぁ?」
「近隣諸国がこれ幸いと攻め込んでくるやもしれぬ。敵と味方と捨て置く者を見分ける良い機会ぞ」
「ふーん。……来るかねぇ、松永は」
「早ければ明日にも、遅ければ来世かも知れぬな」
元就がそう皮肉げに言うので、元親は苦笑して頭を掻く。
「そうまでして松永と決着をつけたかったくせに、冷めた面してやがって。俺は本当に機嫌を悪くしたんだぜ、下手すりゃあんたを殴ってたかもしれねぇ」
「それは面白い。そなたが我を初めて傷付けようとしたのだな。そうまでしてそなたは、何を欲しがったのだ? 松永の首か?」
「……あんた、覚えてるのか? 夢を」
少々話題をずらして尋ねれば、元就は首を傾げる。
「夢? ……我は夜毎、数多の夢を見るゆえ……忘れる夢も多いが」
「……俺の夢を、見たか?」
「さて。どうであろうな」
元就はあえて肯定も否定もせず、といった様子で、空を見上げる。日は既に傾いていた。
「……あんたは、俺が恐れていると言った。……俺が何を恐れてるって言うんだ?」
「まずは、我の言葉を」
そなたは我に何かを言われる事を恐れておる。
元就は元親の顔も見ないまま、そう言う。
「何をそんなに恐れるのだ? そなたは。……そなた、自分では信じろと言うておいて、……その実、誰も信じてはおらぬのであろう」
だからあの奇怪なからくりに、心身共に注いではがらくたにしてゆくのだ。
元就がそう言うと、流石に元親は抗議しようとした。が、次の言葉に元親は止まる。
「我の事は信じてみよ、長曾我部。我は大変な法螺吹きではあるが、我のそれは大変判りやすいと敵国でも評判であったのだぞ。だから我を信じてみよ。どうせ我がそなたを騙そうとしている時は、そなたもはっきりと、今騙そうとしていると判るはずぞ。……ふむ、来たな」
元就は山を見つめて小さく呟き、元親を見た。
「戦を始める。言っておくが、死人は出すな。雪辱戦ごときに使って駒は減らさぬ」
元就はそう言うと、さっさと物見台から降りてしまった。元親は困惑したが、確かに山の向こうで動きが有るのを認めると、のろのろと降りた。
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二人とも変態。永遠の中二病。
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