一発書きなので誤字脱字矛盾などあります。
その後の毛利。あまり続いてない。
その後の毛利。あまり続いてない。
かけつき 2
「長曾我部元親に会わせろ、とうるさい平民が居る」
との連絡を元親が得たのは、秋のある日の事だった。
元々海賊から成り上がった元親は領主と言えど平民との間柄は親密だ。だからそういう要求が起こることも、またそれに応える事も元親には全く普通のことだった。
だから元親は素直にその海辺の集落に赴いた。俺に会いたいってのはどいつだ、と村人に尋ねると、案内されたのは一際粗末な掘っ立て小屋。中に入って元親は驚いた。
「あんた……毛利の」
布切れと藁を寒そうに体に巻きつけたその男はやつれ果てた顔をしていたので、元親には一瞬それが彼であると判らないほどだった。
それもそのはず、以前であった毛利元就は、しゃきりと背を伸ばし、こちらを睨みつけてくるような男であった。小柄ながらもその筋はしっかりしていた。豪華ではないにしろ、見苦しくない着物をまとって、快活とは言えないまでも不健康ではない体をしていた。
だのに目の前の毛利元就は酷く憔悴していて、今にも床に倒れそうなほどだったのだ。元親は慌てて元就を連れて帰った。
医者に見せて元親は安心した。元就は疲労しているだけだった。多少流感などにかかる疑いはあったが、それでも命に別状は無いだろうとの事だ。元親は元就を丁重に扱った。
その理由の一つは、「中国が落ちた」などという話はとんと聞かないからだ。ここに居るのが毛利元就であれば、なんらかの理由で元就は単身(それも船も衣類も無く)四国にやって来た事になる。一国の主がそのようなことを望んでするわけもなく、まず長曾我部には彼がここに居る理由さえも判らない。だから少なくとも事情がわかるまでは、出来る限り丁重に扱う事にした。
もう一つの理由はやはり元就の体調を考えてのことだ。最後の一つの理由は、ごく私的なことだった。……元親は元就に好意を抱いていた。
以前、元親は海賊稼業の一環で、厳島神社を襲った事が有る。包囲し、弓を向け、元親は大声で怒鳴った。「大人しくお宝を出せ」と。
そしてそれに答えたのが、元就だった。槍や矢を向けられても、彼は怖じもせず、はっきりと元親に答えた。
「そこから見る厳島の景観こそ、厳島の宝と言うべき物よ。真価を見出せぬ者にくれてやる宝は無い。早々に立ち去るがいい」
その時から元親は元就が好きになった。否、気になった、という程度が正しいかもしれない。元親はすぐに海賊行為の準備をやめ、素直に酒宴を開く事にした。その席に元就を呼んだ。彼は素直に来たが、一杯たりとも酒を飲まない。さて、と船にあった物を片っ端から持ってくれば、彼は餅ならば食べたので、宴はようやく盛り上がった。
「あんた、度胸が有る。度量も有る。氷の面なんて言われてるが、面白い奴だ。だがあんたの政策は気にいらねえなあ。そんなんじゃ、部下は着いてこないんじゃねぇのか?」
「着いてくる必要は無い。そこに在れば良いだけの事よ」
「判んねぇなあ。いつか謀反を起こされちまうかもしれねえんだぜ?」
「それで毛利がより強い国になるなら、それも良かろう」
そしてその言葉に元親はなんとも言えない気持ちになった。日が暮れると元親はおもむろに元就を寝所に連れ込んだ。元就は抵抗も恭順もせず、ただ元親の側に在った。
部下達に調べさせても、中国が落ちた様子は無かった。支配者が変わった様子も、国が荒れている様子も見受けられない。元親は困惑するよりほか無かった。
「長曾我部元親に会わせろ、とうるさい平民が居る」
との連絡を元親が得たのは、秋のある日の事だった。
元々海賊から成り上がった元親は領主と言えど平民との間柄は親密だ。だからそういう要求が起こることも、またそれに応える事も元親には全く普通のことだった。
だから元親は素直にその海辺の集落に赴いた。俺に会いたいってのはどいつだ、と村人に尋ねると、案内されたのは一際粗末な掘っ立て小屋。中に入って元親は驚いた。
「あんた……毛利の」
布切れと藁を寒そうに体に巻きつけたその男はやつれ果てた顔をしていたので、元親には一瞬それが彼であると判らないほどだった。
それもそのはず、以前であった毛利元就は、しゃきりと背を伸ばし、こちらを睨みつけてくるような男であった。小柄ながらもその筋はしっかりしていた。豪華ではないにしろ、見苦しくない着物をまとって、快活とは言えないまでも不健康ではない体をしていた。
だのに目の前の毛利元就は酷く憔悴していて、今にも床に倒れそうなほどだったのだ。元親は慌てて元就を連れて帰った。
医者に見せて元親は安心した。元就は疲労しているだけだった。多少流感などにかかる疑いはあったが、それでも命に別状は無いだろうとの事だ。元親は元就を丁重に扱った。
その理由の一つは、「中国が落ちた」などという話はとんと聞かないからだ。ここに居るのが毛利元就であれば、なんらかの理由で元就は単身(それも船も衣類も無く)四国にやって来た事になる。一国の主がそのようなことを望んでするわけもなく、まず長曾我部には彼がここに居る理由さえも判らない。だから少なくとも事情がわかるまでは、出来る限り丁重に扱う事にした。
もう一つの理由はやはり元就の体調を考えてのことだ。最後の一つの理由は、ごく私的なことだった。……元親は元就に好意を抱いていた。
以前、元親は海賊稼業の一環で、厳島神社を襲った事が有る。包囲し、弓を向け、元親は大声で怒鳴った。「大人しくお宝を出せ」と。
そしてそれに答えたのが、元就だった。槍や矢を向けられても、彼は怖じもせず、はっきりと元親に答えた。
「そこから見る厳島の景観こそ、厳島の宝と言うべき物よ。真価を見出せぬ者にくれてやる宝は無い。早々に立ち去るがいい」
その時から元親は元就が好きになった。否、気になった、という程度が正しいかもしれない。元親はすぐに海賊行為の準備をやめ、素直に酒宴を開く事にした。その席に元就を呼んだ。彼は素直に来たが、一杯たりとも酒を飲まない。さて、と船にあった物を片っ端から持ってくれば、彼は餅ならば食べたので、宴はようやく盛り上がった。
「あんた、度胸が有る。度量も有る。氷の面なんて言われてるが、面白い奴だ。だがあんたの政策は気にいらねえなあ。そんなんじゃ、部下は着いてこないんじゃねぇのか?」
「着いてくる必要は無い。そこに在れば良いだけの事よ」
「判んねぇなあ。いつか謀反を起こされちまうかもしれねえんだぜ?」
「それで毛利がより強い国になるなら、それも良かろう」
そしてその言葉に元親はなんとも言えない気持ちになった。日が暮れると元親はおもむろに元就を寝所に連れ込んだ。元就は抵抗も恭順もせず、ただ元親の側に在った。
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二人とも変態。永遠の中二病。
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