5つのEDを埋めたので、真EDに入ろうと思います……
こんな事もあろうかとエクセル片手でやってた甲斐があったというもんだ
今日もニルスニルスと叫べるだろうな……
以下、SFねこの……13
もう次で終わろうと思います
こんな事もあろうかとエクセル片手でやってた甲斐があったというもんだ
今日もニルスニルスと叫べるだろうな……
以下、SFねこの……13
もう次で終わろうと思います
元親は元就の側を離れなかった。
光秀は長い間塞ぎこんでいた。自棄になって、研究も放り出し、一人きりでベッドに潜っているばかりで、実験用に捕まえていた猫も皆解放してしまった。元就という唯一の友人を失い、しかも研究の結果も惨憺たる有様。光秀にとって大事なものが、全て無くなってしまい、彼はなかなか立ち直れなかった。
その間も元親は元就の介護をした。元就はただ虚ろに眼を開くだけだったが、元親は愛情を持って接したし、元親が求めれば光秀も栄養剤や点滴などを用意してくれた。ただ光秀は疲れ果ててしまい、自律的に行動しないだけだった。
元親にはそれが一時的な物だと判っていたし、深い悲しみは時間でしか癒せないと知っていた。だからそれ以上の事は求めず、光秀が自分の足で立つ日を待っていた。
元親は元就に声をかけ、心に直接問いかけ、身体に触れて、色んな物を見せた。元就が帰って来る事を願って。けれど元就は何一つ、反応を返さなかった。
光秀が悲しみの淵から帰って来たのは、元就に実験を施してから数カ月後の事だった。彼はのろのろと元就のラボへと向かい、清水と元就の研究データを収めたコンピューターを回収して来た。
清水は元就がこん睡しているという事を理解しているのか、いないのか、いつも通りの笑顔で、いつも通り優しく元就に接した。元親にはそれがありがたくもあり、悲しくもあった。己のしている事を鏡で見ているようで、妙に悲しい。虚しい。それでも元親は諦めなかった。
光秀は研究データに侵入するパスワードを探さねばならなかった。元就は死んでいないので、遺書を閲覧する事が出来ないのだ。光秀はひたすらにパスワード探しに明け暮れた。そうしている事で、少々気がまぎれるようだ。光秀は自分の研究は棚に上げて、元就の研究データの解析をし続けた。
いくら時間が経っても、元就は帰って来なかった。その兆しも無い。元親も流石に色々な事を悟り始めていた。光秀はパスワードの解析に詰まり、最終的にはハッキングするためのシステムを作り始めた。違法だが、光秀は気にしなかった。
元親はある日、一つの決意をして光秀に切り出した。
「もうこうなりゃ、何かきっかけでも無いと、帰って来ないと思うんだ。……だから、元就を海に連れて行きたいんだ」
「海に、ですか?」
長時間コンピューターと向き合っている光秀は、疲れた顔で元親の提案に首を傾げた。元親は「うん」と頷いて続ける。
「元就は……意識が有った頃、「前の元就」についてかなり気にしてた。後悔してたし、たぶんそれは完全には消えなかった。「前の」が海に帰ったって話について、色々考えてたみたいなんだ。だから……もしかしたら、ってよ」
「……逆に言えば、それがダメなら可能性は無いですね」
光秀はため息を吐いて言う。ここ数カ月、光秀は辛そうに元就の脳派や健康状態を調べていたが、回復の兆しはまるで無い。きっかけを得ても動かないのならば、もはや希望は持てない状態だった。
「ダメだった時の事は、後で考えるよ。だから頼む、外に出させてくれよ」
「……判りました。ただですね、人間はコロニーへの出入りに許可が必要です。毛利殿に許可を出さなくてはならない。何日か頂けますか」
光秀は協力的だったが、その表情は暗かった。元親も、色々な事に気づいてはいる。それでも諦めきれなかった。こんなのは、間違っているのだから、正されるべきなのだと。
清水に車を運転させて、外へ出た。コロニー外に生活する野蛮な人間達を中に入れない為、外に出る時、人間はチップを入れたカードを所持する事になる。清水は始終ご機嫌の様子で(まぁ彼に心などは無いのだが)ぺらぺらと外についての解説をしながら、野原を車で走って行く。
山間の道を走り、海へと向かう。それほど時間はかからなかった。コロニーはこの惑星で一番の立地に有る。小高い山に囲まれ、災害から守られながらも、谷間である故水に困らない。そして少し行けば、海に辿りつく。
あいにくその日は少々曇っていた。海は鮮やかな青や深い緑ではなく、黒々として波打っている。清水は車を砂浜に入れず、道の途中で止まった。元親は「ちょっと行ってくるよ」と元就を抱きあげ、車から出る。清水は「ごゆっくり」と微笑んだ。
元就を抱きかかえて、海へと向かう。まずは砂浜に座り込んで、元就に海を見せてやった。
「ほら、元就。これが海だぞ。今日は生憎の天気で、あんまり綺麗じゃないけどよ、でもほら、すごいだろ。見える限り海、海、海だ。こんなの見た事無いだろ? ん? ほら、何でもいい、感想持てよ。それこそ、不潔でもいいからさ……」
元親は元就の頭を撫でながら、そう言い聞かせる。元就からの反応は無い。どんよりと曇った天気、虚空を見つめる元就の瞳。元親は自然と悲しい気持ちになった。動かない。
きっかけが有れば、きっと目覚める。でもそのきっかけとなりそうな事を、元親は他に知らない。これでダメなら、本当にダメなのだ。元親は焦り始めていた。
「……なぁ、元就。……触ってみるか。冷たいんだぜ、海って」
再び元就を抱きあげて、波打ち際へ向かう。水は少し冷たくて、元親でも少し息を吸い込んだ。元就のつま先を、そっと波に触れさせる。やはり反応が無い。そのままザブザブと海の中に進んでみる。元親も肌寒いと思うほど冷たかった。元就の身体も海に浸かっている。かなりひんやりとしているはずなのに、やはり元就に反応は無い。
「……元就……」
ぱちゃりと濡れた手で頬に触れる。元就は何も見ていない。何も感じていない。何も、何も。
……本当は。本当は、最初から判っていた。
元親は元就の髪を撫でながら、静かに諦めた。
彼らは心と心で通じ合う。死んで行く人間達の心とも向き合う。もちろん、身体だけが死んで眠ってしまう人間の心とも。蘇生する者とそうでない者の差は、ハッキリと判っている。心が死んだわけでなく、眠った者には、その心の奥に僅かな反応が有る。弱弱しくても、確かに。だが心が死んだ者には、それが無い。それが無いのに意識が回復したという例を元親は知らないし、そんな者が居たという話も聞かない。彼らの一族は、そうなった者達の事を死んだと解釈していた。
だから、元就はもうとっくに、死んでいるのだ。ただ、それを認めたくなかった。可能性に掛けたかった。元就に言いたい事が有る、まだまだいっぱい笑っていたい、愛し合いたい、幸せになりたい。なのにその全てが叶わない。それが辛くてたまらないから、元親は己に嘘を吐いた。可能性は有る、と。
しかしそれは結局、嘘以外の何物にもならなかった。元就は、死んだのだ。そしてきっかけを与えても、戻って来ない以上、それは生きる事を望んでいない。死ぬのを待っている存在なのだ。
元親ぎゅうと元就を抱きしめる。
「元就……心配すんな、後で俺もアイツも行くから……無理に引き止めた俺達が悪かったんだ……辛かったろ。もういいよ、もう、もう、俺達のエゴに振り回させやしないよ……あんたも、海に帰りな。あんたそれを信じてたんだろ……?」
本当は判っていた。判っているのに認められなかった。だがもう、ここまで来た以上、無理なのだ。ならば、結論を出し、袂を分かつしかない。結論とは、……元就が完全に死んでしまう事だ。
元親はそっと、元就から手を離した。元就は静かに、海の中へと沈んでいく。こぽこぽと衣服から空気が抜けて、無数の泡が溢れた。どんよりとした海に、元就がゆっくりと沈んでいく。浅いからその姿は見えた。虚ろな眼のまま、元就は暴れもしない。元親はそれをただじっと見ていた。涙が零れて、止まらなかった。
――と。
「……っ!」
ぴり、と。確かに。確かに感じた。確かに。
元親は慌てて元就を引き上げる。元就に意識は無いのだから、当然酷く溺れるわけでなし、水も殆ど飲んでいない状態だった。冷え切った体を抱きしめて、元親は彼の頬に触れ、確かめる。
無い。無いが、確かにさっきは有った。
心が揺れた。僅かに。ほんの僅かに。
「元就、……元就、元就、元就!!」
名前を呼んで。身体を抱きしめて。元親は泣き叫んだ。
まだ、生きているのだ。
死にたくないと、訴えたのだ。ぴり、と。確かに、確かに。
もうそこにその意識は残っていないけれど、確かに、確かに。
この身体は生きていて、生き続ける事を願っているのだ。
光秀は長い間塞ぎこんでいた。自棄になって、研究も放り出し、一人きりでベッドに潜っているばかりで、実験用に捕まえていた猫も皆解放してしまった。元就という唯一の友人を失い、しかも研究の結果も惨憺たる有様。光秀にとって大事なものが、全て無くなってしまい、彼はなかなか立ち直れなかった。
その間も元親は元就の介護をした。元就はただ虚ろに眼を開くだけだったが、元親は愛情を持って接したし、元親が求めれば光秀も栄養剤や点滴などを用意してくれた。ただ光秀は疲れ果ててしまい、自律的に行動しないだけだった。
元親にはそれが一時的な物だと判っていたし、深い悲しみは時間でしか癒せないと知っていた。だからそれ以上の事は求めず、光秀が自分の足で立つ日を待っていた。
元親は元就に声をかけ、心に直接問いかけ、身体に触れて、色んな物を見せた。元就が帰って来る事を願って。けれど元就は何一つ、反応を返さなかった。
光秀が悲しみの淵から帰って来たのは、元就に実験を施してから数カ月後の事だった。彼はのろのろと元就のラボへと向かい、清水と元就の研究データを収めたコンピューターを回収して来た。
清水は元就がこん睡しているという事を理解しているのか、いないのか、いつも通りの笑顔で、いつも通り優しく元就に接した。元親にはそれがありがたくもあり、悲しくもあった。己のしている事を鏡で見ているようで、妙に悲しい。虚しい。それでも元親は諦めなかった。
光秀は研究データに侵入するパスワードを探さねばならなかった。元就は死んでいないので、遺書を閲覧する事が出来ないのだ。光秀はひたすらにパスワード探しに明け暮れた。そうしている事で、少々気がまぎれるようだ。光秀は自分の研究は棚に上げて、元就の研究データの解析をし続けた。
いくら時間が経っても、元就は帰って来なかった。その兆しも無い。元親も流石に色々な事を悟り始めていた。光秀はパスワードの解析に詰まり、最終的にはハッキングするためのシステムを作り始めた。違法だが、光秀は気にしなかった。
元親はある日、一つの決意をして光秀に切り出した。
「もうこうなりゃ、何かきっかけでも無いと、帰って来ないと思うんだ。……だから、元就を海に連れて行きたいんだ」
「海に、ですか?」
長時間コンピューターと向き合っている光秀は、疲れた顔で元親の提案に首を傾げた。元親は「うん」と頷いて続ける。
「元就は……意識が有った頃、「前の元就」についてかなり気にしてた。後悔してたし、たぶんそれは完全には消えなかった。「前の」が海に帰ったって話について、色々考えてたみたいなんだ。だから……もしかしたら、ってよ」
「……逆に言えば、それがダメなら可能性は無いですね」
光秀はため息を吐いて言う。ここ数カ月、光秀は辛そうに元就の脳派や健康状態を調べていたが、回復の兆しはまるで無い。きっかけを得ても動かないのならば、もはや希望は持てない状態だった。
「ダメだった時の事は、後で考えるよ。だから頼む、外に出させてくれよ」
「……判りました。ただですね、人間はコロニーへの出入りに許可が必要です。毛利殿に許可を出さなくてはならない。何日か頂けますか」
光秀は協力的だったが、その表情は暗かった。元親も、色々な事に気づいてはいる。それでも諦めきれなかった。こんなのは、間違っているのだから、正されるべきなのだと。
清水に車を運転させて、外へ出た。コロニー外に生活する野蛮な人間達を中に入れない為、外に出る時、人間はチップを入れたカードを所持する事になる。清水は始終ご機嫌の様子で(まぁ彼に心などは無いのだが)ぺらぺらと外についての解説をしながら、野原を車で走って行く。
山間の道を走り、海へと向かう。それほど時間はかからなかった。コロニーはこの惑星で一番の立地に有る。小高い山に囲まれ、災害から守られながらも、谷間である故水に困らない。そして少し行けば、海に辿りつく。
あいにくその日は少々曇っていた。海は鮮やかな青や深い緑ではなく、黒々として波打っている。清水は車を砂浜に入れず、道の途中で止まった。元親は「ちょっと行ってくるよ」と元就を抱きあげ、車から出る。清水は「ごゆっくり」と微笑んだ。
元就を抱きかかえて、海へと向かう。まずは砂浜に座り込んで、元就に海を見せてやった。
「ほら、元就。これが海だぞ。今日は生憎の天気で、あんまり綺麗じゃないけどよ、でもほら、すごいだろ。見える限り海、海、海だ。こんなの見た事無いだろ? ん? ほら、何でもいい、感想持てよ。それこそ、不潔でもいいからさ……」
元親は元就の頭を撫でながら、そう言い聞かせる。元就からの反応は無い。どんよりと曇った天気、虚空を見つめる元就の瞳。元親は自然と悲しい気持ちになった。動かない。
きっかけが有れば、きっと目覚める。でもそのきっかけとなりそうな事を、元親は他に知らない。これでダメなら、本当にダメなのだ。元親は焦り始めていた。
「……なぁ、元就。……触ってみるか。冷たいんだぜ、海って」
再び元就を抱きあげて、波打ち際へ向かう。水は少し冷たくて、元親でも少し息を吸い込んだ。元就のつま先を、そっと波に触れさせる。やはり反応が無い。そのままザブザブと海の中に進んでみる。元親も肌寒いと思うほど冷たかった。元就の身体も海に浸かっている。かなりひんやりとしているはずなのに、やはり元就に反応は無い。
「……元就……」
ぱちゃりと濡れた手で頬に触れる。元就は何も見ていない。何も感じていない。何も、何も。
……本当は。本当は、最初から判っていた。
元親は元就の髪を撫でながら、静かに諦めた。
彼らは心と心で通じ合う。死んで行く人間達の心とも向き合う。もちろん、身体だけが死んで眠ってしまう人間の心とも。蘇生する者とそうでない者の差は、ハッキリと判っている。心が死んだわけでなく、眠った者には、その心の奥に僅かな反応が有る。弱弱しくても、確かに。だが心が死んだ者には、それが無い。それが無いのに意識が回復したという例を元親は知らないし、そんな者が居たという話も聞かない。彼らの一族は、そうなった者達の事を死んだと解釈していた。
だから、元就はもうとっくに、死んでいるのだ。ただ、それを認めたくなかった。可能性に掛けたかった。元就に言いたい事が有る、まだまだいっぱい笑っていたい、愛し合いたい、幸せになりたい。なのにその全てが叶わない。それが辛くてたまらないから、元親は己に嘘を吐いた。可能性は有る、と。
しかしそれは結局、嘘以外の何物にもならなかった。元就は、死んだのだ。そしてきっかけを与えても、戻って来ない以上、それは生きる事を望んでいない。死ぬのを待っている存在なのだ。
元親ぎゅうと元就を抱きしめる。
「元就……心配すんな、後で俺もアイツも行くから……無理に引き止めた俺達が悪かったんだ……辛かったろ。もういいよ、もう、もう、俺達のエゴに振り回させやしないよ……あんたも、海に帰りな。あんたそれを信じてたんだろ……?」
本当は判っていた。判っているのに認められなかった。だがもう、ここまで来た以上、無理なのだ。ならば、結論を出し、袂を分かつしかない。結論とは、……元就が完全に死んでしまう事だ。
元親はそっと、元就から手を離した。元就は静かに、海の中へと沈んでいく。こぽこぽと衣服から空気が抜けて、無数の泡が溢れた。どんよりとした海に、元就がゆっくりと沈んでいく。浅いからその姿は見えた。虚ろな眼のまま、元就は暴れもしない。元親はそれをただじっと見ていた。涙が零れて、止まらなかった。
――と。
「……っ!」
ぴり、と。確かに。確かに感じた。確かに。
元親は慌てて元就を引き上げる。元就に意識は無いのだから、当然酷く溺れるわけでなし、水も殆ど飲んでいない状態だった。冷え切った体を抱きしめて、元親は彼の頬に触れ、確かめる。
無い。無いが、確かにさっきは有った。
心が揺れた。僅かに。ほんの僅かに。
「元就、……元就、元就、元就!!」
名前を呼んで。身体を抱きしめて。元親は泣き叫んだ。
まだ、生きているのだ。
死にたくないと、訴えたのだ。ぴり、と。確かに、確かに。
もうそこにその意識は残っていないけれど、確かに、確かに。
この身体は生きていて、生き続ける事を願っているのだ。
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