ドラクエ6は……テリーさんは元気にしているんでしょうか
ちょっとは強くなれたんでしょうかテリーさん
どう考えても魔王にしこまれてるテリーさん
でもバーバラさんとの関係が強くなったそうなので
仲間になるまでが萌えピークのような気もします
個人的にドラクエの中では一番好きですけどね、6
以下、ヒモチカの3
まともなタイトル付けるよりこっちのが判りやすいわな、内容
ちょっとは強くなれたんでしょうかテリーさん
どう考えても魔王にしこまれてるテリーさん
でもバーバラさんとの関係が強くなったそうなので
仲間になるまでが萌えピークのような気もします
個人的にドラクエの中では一番好きですけどね、6
以下、ヒモチカの3
まともなタイトル付けるよりこっちのが判りやすいわな、内容
車で駅前に向かうと、元就が道端に立っていた。不安そうな様子だったので、そっと側に乗り付け、助手席の窓を開いてやる。
「元就、乗りな」
元就は一瞬戸惑い、辺りを見渡してから、のろのろと元親の車に乗り込んだ。元就の服装は以前見たものと随分違う。控えめなダメージジーンズや、シャツ、それにジャケット。元親が見せた雑誌のどれかと、瓜二つの姿だった。少々違うとすれば、元就が困ったようにジャケットの前を閉めていたりするところだ。自信が無いのだろう。
「よく似合ってるじゃねぇか」
運転しながらそう言ってやると、元就は待っていましたとばかり「そうだろうか、こんな格好をするのは初めてで、本当に変ではないのか、我にはこんな若い格好は似合わない気がするのだ」と弱音を吐いた。だから元親は小さく笑って、「大丈夫」と言う。
「あんたが思ってるより、ずっと似合ってるよ。変なんかじゃないし、普通にその辺に居そうだし。大体、実際若いんだから、若い格好をしていいんだぜ」
「だが……」
「そうだなあ……そのジャケット開いてみろよ。その方が締まって見えるから」
「……」
元就はしばらく悩んでいたが、のろのろとジャケットを開く。シャツは少々派手な物で(ただし、元親に言わせれば地味の部類である)それが恥ずかしいようだ。しかしそれを隠そうとするから、淡い色のジャケットのせいでボヤっとしてみえる。実際、開いてみれば随分とスッキリして見えた。
「そうそう。大丈夫。似合ってる」
「……今日は、その……店に行くのだろう? 馬鹿にされはしないだろうか……」
「心配無い。知り合いの店なんだ。それに、世の中は資本主義だぜ。金が有るなら、好きな店で好きな物を買う。それが当たり前だろ?」
「そ、そういうものか?」
元就が不安げな顔をするので、元親は笑って言う。
「楽しくなくても人生は終わるし、使ってないつもりでも金は無くなる。なら、自分の使いたい事に使わなきゃ、損じゃねえか。まして普通は労働の対価として、給料をもらうんだろ? 人生とか時間とか、そういうのを切り売りしてるんだから、せめて使う時は好きにしねえと。人間ってのは欲しい物が有るから、お小遣いの為に頑張るんだろ? だったら遠慮する事ない。今日だって俺の好きな店を紹介するけど、もし元就がの好きなファッションが有るなら、それに金払って堂々と着てりゃいいんだよ」
「しかし、周りが何と言うか……」
元親は一つ溜息を吐いて、「いいかぁ」と続ける。
「他人にとやかく言う奴ってのは、羨ましくて言ってんだ。例えばお前がサイバー系ファッションに目覚めたとする」
「さ、サイバー系?」
「まぁ簡単に言えばSFみてぇな服だよ。背中からホース生やしてたとする。それを周りの連中は、変だとか、まともな普通の格好しろって言う。そう言う奴らの根底には、『俺も嫌々フツーのファッションを頑張って研究してるのに、お前だけ自由にしてもいいなんてフェアじゃない』って気持ちが有るんだよ」
「……フェア、じゃない……」
「そう。他にも、お前がニートだと怒る奴も居るだろう。それは『自分が嫌々働いているのに、お前は働かなくてもいいなんてフェアじゃない』って言ってるんだ。仕事に誇りを持ってて、働く事が本当にいい事だと思ってる連中は、ニートに対してだって、可哀想にと思ったって怒りゃあしねえだろうよ。美食家が貧乏人を怒るか? んなわけない。だから、知ったこっちゃねぇんだよ。なら働かなけりゃいいって奴だ。だから他人が何と言おうと、好きにすりゃあいい。大体、相手だって自分の言った事に責任持つ訳じゃないし。もちろん俺の言う事だって真に受けなくても良いんだぜ」
だから元親は、自分の生き方を否定する連中の事を「羨ましがっているのだ」と解釈している。そんな自堕落な生き方をしてどうするのか、人間は社会の為に真っ当に働いてこそだとか、そういう事を言う連中は大抵の場合、元親程の魅力と処世術、経済力を全て持っていなかった。自分が出来ないから否定しているのだ。それが心底馬鹿らしくて、元親は一度だって彼らの言う事を真に受けた事はなかった。
世の中は金じゃないとお幸せな事を言う連中も居た。元親は彼らに愛を振りまいた。彼らが貢いだ金の分だけ愛してやった。彼らは眼の色を変えて働いて、元親にブランド物の時計や靴やスーツを買った。馬鹿らしくて元親はもはや誰の意見も特に聞きはしなくなった。
「……そなたは、変わっているな」
元就がどう解釈したのかは判らなかったが、不快には思われていないようだった。流石に喋りすぎたと思った元親は苦笑して「俺は毎日、楽しく生きていたいんだ」と答える。
「そんで、俺はそれを一切我慢したりしない。それだけだよ。……よし、着いたぞ」
入り組んだ街の細道に進み、とある小さなビルの前に車を停める。その2階部分が、元親の親友の店だった。元親は元就の手を引いて階段を登る。元就は始終不安そうに、元親の背後に隠れるようにしていた。
ガラス張りのドアを開けて、店内に。狭い店内だったが、商品は沢山有る。「派手だな」と元就が呟いた。元親はあえて特に答えず、店の奥に進む。カウンターに座っていた若い男が、元親の姿を見て立ちあがった。
「よう、チカ。久しぶりじゃねえか。今日は何だ?」
「こいつに似合う服を一式揃えてほしくてさ。……元就、こいつは伊達政宗。俺の学生時代のダチって奴。伊達、こいつは毛利元就。俺の……まぁ、なんだ? ……恋人、でいいのか?」
「……」
元就は困ったように俯いて、「よろしくお願いします」と小さな声で言うだけだった。元親は笑って、「んじゃあ、よろしく」と政宗に言う。
「……なるほどねぇ。少し待ってろ。少しコンパクトな体型してるからなあ……なかなか難しいわこれは……」
政宗は何を納得したのか、大きく頷いてから服を探し始めた。元親は勝手にカウンターから椅子を引っ張り出して、元就を座らせる。元就は落ち着かない様子で元親や政宗を見ていた。
「一式、3着分ぐらい頼むわ。金は俺が払うから」
元親は気軽にそう言ったが、元就はぎょっとしたような顔で見上げてくる。
「な……っだ、ダメだ、そんな……!」
「なんでだよ。俺が払ってやるって言ってるのに」
「そ、そんなのは、申し訳無い、から……三着も、そんな……」
「……???」
元親は元就の反応の意味が判らなかった。買ってやる、と言われれば、「いいんですか、ありがとうございます」答えるのが正しい反応ではないのか。心の底から嬉しい顔をするのが。それなのに、元就は心の底から申し訳なさそうな顔をしている。
もしかして、と元親はふと思った。普通は、申し訳無いものなのだろうか。誰かに何かを買ってもらうという事は。しばらく考えたが、どうにも理解出来ない。自分で買わなくて済むという喜びに、申し訳無さが勝るとは思えない。だから元就も取り繕っているのだろうか、と考える。本当は嬉しくてたまらないが、申し訳無いようなふりをしているのかもしれない。
「……じゃあ、一着なら、受け取ってもらえるか?」
試しに探りを入れてみる。元就はやはり困った顔をしていたが、「……一着なら……だが、……だが本当に良いのか?」と不安げに了承の気配を見せた。元親はニッコリ笑って、大きく頷いた。どうやら元就は甘え方がまだ判らないらしい。元親はその初々しさが気に入った。
「ああ。俺がそうしたいから言ってるんだ。ここはありがとうって言えばそれでいいんだぜ」
そう言ってやると、元就は「あ、ありがとう」と困ったような微笑みを浮かべた。まだまだ教えてやる事は沢山有るな、と元親は思った。元就に何かを教えるのは好きだった。楽しい。元就の反応全てが意外で、幸せだった。元就にたくさん、この幸せを分けてやりたいと、元親は心からそう思った。
結局カジュアルな服を一式揃えて、二人はファミリーレストランや喫茶店をうろつきながら、楽しい時間を過ごした。その度に元親がカードをカウンターに置いて、支払いはそれで終わる。そのカードはなんとかという会社の御令嬢の名義になっていた。
別れ際になって、元親は元就に触れていいか聞いた。元就が了承したので、車の中で、元親は彼の髪に触れた。柔らかかった。
「……髪は……まぁいいか。ちょっと茶色がかってるし」
美容室を紹介するべきかどうか考えながら言うと、元就は何処か恥ずかしそうに自分の髪に触れる。
「あまり綺麗ではないがな……学生時代は苦労した」
「だよなー。大人になると便利だけどよ」
「……地毛、なのか……?」
元就が驚いたような顔をしたので、元親は笑って自分の髪を引っ張ってみせた。
「ああ、そうそう。変わってるだろ? もしかしたらハーフなのかもしれないけど、良く判んねえんだ、正直。昔は染めてるって言いがかりつけられて、大変だったぜ。染めるの禁止だから、黒染めもダメだし……」
「……」
「……ん?」
妙な沈黙が続いて、元親は何か変な事を言ったろうか、と首を傾げる。元就は「いや」と首を振って、それからまた黙る。
「……その、……いや、……その……。そうだ。大型書店を知っているか? 引き籠っていると、とにかく試し読みが出来なくて困る」
何か誤魔化されたような気はしたが、あえて突っ込む事はしなかった。「いい所知ってるから、今度行こう」と微笑んでやりながら、元親は元就を改めて愛しく思った。
「今日は素敵な服をありがとうございます。いつも貴方からいろんな事を教えてもらえて、私は幸せ者です。そんな権利なんて、無いのですが……。ともかく、いつもお世話になってばかりで、申し訳ありません。何かお礼がしたいのですが、正直言ってどうすれば貴方に、バリスタさんに喜んでもらえるのか、見当もつきません。ですから、何でも言って下さい。お願いします。
P.S.ハーフかもしれない、というのは、どういう事なのでしょうか。もし聞かれたくない事なのでしたら、これについての御返答は結構です。書店、楽しみにしています」
メールボックスを開いて、元親は納得した。元親の事情に踏み込むべきか否か、悩んでいたのだ。だから黙った。こうしてメールでなら饒舌に話せるのに。元親は苦笑して、キーボードを叩く。
「別にきにしなくていいけど、そうだな。いい店を知ってるんだ。一緒に夜景でも見ながら、飲まないか? 俺は09Sの事が好きだから、一緒に過ごして居たい。
P.S.別に俺は気にしてないから、09Sも気にしないでほしいんだけど、俺は孤児だから自分の生まれが判らないんだ。でもまぁ幸せに楽しく生きてるし、本当に気にしてないから、心配しないでくれ」
いい店というのが、ホテルだという事は、敢えて書かなかった。
+++
頑張って元親の下衆度を下げないように努力しています
サイバー系まだ生き残ってるのかな
当時すんごく憧れててマジでタンスあれだけに出来たら幸せだろうなって思った
たぶんサイバーのコスしたのが原因だと思う
「元就、乗りな」
元就は一瞬戸惑い、辺りを見渡してから、のろのろと元親の車に乗り込んだ。元就の服装は以前見たものと随分違う。控えめなダメージジーンズや、シャツ、それにジャケット。元親が見せた雑誌のどれかと、瓜二つの姿だった。少々違うとすれば、元就が困ったようにジャケットの前を閉めていたりするところだ。自信が無いのだろう。
「よく似合ってるじゃねぇか」
運転しながらそう言ってやると、元就は待っていましたとばかり「そうだろうか、こんな格好をするのは初めてで、本当に変ではないのか、我にはこんな若い格好は似合わない気がするのだ」と弱音を吐いた。だから元親は小さく笑って、「大丈夫」と言う。
「あんたが思ってるより、ずっと似合ってるよ。変なんかじゃないし、普通にその辺に居そうだし。大体、実際若いんだから、若い格好をしていいんだぜ」
「だが……」
「そうだなあ……そのジャケット開いてみろよ。その方が締まって見えるから」
「……」
元就はしばらく悩んでいたが、のろのろとジャケットを開く。シャツは少々派手な物で(ただし、元親に言わせれば地味の部類である)それが恥ずかしいようだ。しかしそれを隠そうとするから、淡い色のジャケットのせいでボヤっとしてみえる。実際、開いてみれば随分とスッキリして見えた。
「そうそう。大丈夫。似合ってる」
「……今日は、その……店に行くのだろう? 馬鹿にされはしないだろうか……」
「心配無い。知り合いの店なんだ。それに、世の中は資本主義だぜ。金が有るなら、好きな店で好きな物を買う。それが当たり前だろ?」
「そ、そういうものか?」
元就が不安げな顔をするので、元親は笑って言う。
「楽しくなくても人生は終わるし、使ってないつもりでも金は無くなる。なら、自分の使いたい事に使わなきゃ、損じゃねえか。まして普通は労働の対価として、給料をもらうんだろ? 人生とか時間とか、そういうのを切り売りしてるんだから、せめて使う時は好きにしねえと。人間ってのは欲しい物が有るから、お小遣いの為に頑張るんだろ? だったら遠慮する事ない。今日だって俺の好きな店を紹介するけど、もし元就がの好きなファッションが有るなら、それに金払って堂々と着てりゃいいんだよ」
「しかし、周りが何と言うか……」
元親は一つ溜息を吐いて、「いいかぁ」と続ける。
「他人にとやかく言う奴ってのは、羨ましくて言ってんだ。例えばお前がサイバー系ファッションに目覚めたとする」
「さ、サイバー系?」
「まぁ簡単に言えばSFみてぇな服だよ。背中からホース生やしてたとする。それを周りの連中は、変だとか、まともな普通の格好しろって言う。そう言う奴らの根底には、『俺も嫌々フツーのファッションを頑張って研究してるのに、お前だけ自由にしてもいいなんてフェアじゃない』って気持ちが有るんだよ」
「……フェア、じゃない……」
「そう。他にも、お前がニートだと怒る奴も居るだろう。それは『自分が嫌々働いているのに、お前は働かなくてもいいなんてフェアじゃない』って言ってるんだ。仕事に誇りを持ってて、働く事が本当にいい事だと思ってる連中は、ニートに対してだって、可哀想にと思ったって怒りゃあしねえだろうよ。美食家が貧乏人を怒るか? んなわけない。だから、知ったこっちゃねぇんだよ。なら働かなけりゃいいって奴だ。だから他人が何と言おうと、好きにすりゃあいい。大体、相手だって自分の言った事に責任持つ訳じゃないし。もちろん俺の言う事だって真に受けなくても良いんだぜ」
だから元親は、自分の生き方を否定する連中の事を「羨ましがっているのだ」と解釈している。そんな自堕落な生き方をしてどうするのか、人間は社会の為に真っ当に働いてこそだとか、そういう事を言う連中は大抵の場合、元親程の魅力と処世術、経済力を全て持っていなかった。自分が出来ないから否定しているのだ。それが心底馬鹿らしくて、元親は一度だって彼らの言う事を真に受けた事はなかった。
世の中は金じゃないとお幸せな事を言う連中も居た。元親は彼らに愛を振りまいた。彼らが貢いだ金の分だけ愛してやった。彼らは眼の色を変えて働いて、元親にブランド物の時計や靴やスーツを買った。馬鹿らしくて元親はもはや誰の意見も特に聞きはしなくなった。
「……そなたは、変わっているな」
元就がどう解釈したのかは判らなかったが、不快には思われていないようだった。流石に喋りすぎたと思った元親は苦笑して「俺は毎日、楽しく生きていたいんだ」と答える。
「そんで、俺はそれを一切我慢したりしない。それだけだよ。……よし、着いたぞ」
入り組んだ街の細道に進み、とある小さなビルの前に車を停める。その2階部分が、元親の親友の店だった。元親は元就の手を引いて階段を登る。元就は始終不安そうに、元親の背後に隠れるようにしていた。
ガラス張りのドアを開けて、店内に。狭い店内だったが、商品は沢山有る。「派手だな」と元就が呟いた。元親はあえて特に答えず、店の奥に進む。カウンターに座っていた若い男が、元親の姿を見て立ちあがった。
「よう、チカ。久しぶりじゃねえか。今日は何だ?」
「こいつに似合う服を一式揃えてほしくてさ。……元就、こいつは伊達政宗。俺の学生時代のダチって奴。伊達、こいつは毛利元就。俺の……まぁ、なんだ? ……恋人、でいいのか?」
「……」
元就は困ったように俯いて、「よろしくお願いします」と小さな声で言うだけだった。元親は笑って、「んじゃあ、よろしく」と政宗に言う。
「……なるほどねぇ。少し待ってろ。少しコンパクトな体型してるからなあ……なかなか難しいわこれは……」
政宗は何を納得したのか、大きく頷いてから服を探し始めた。元親は勝手にカウンターから椅子を引っ張り出して、元就を座らせる。元就は落ち着かない様子で元親や政宗を見ていた。
「一式、3着分ぐらい頼むわ。金は俺が払うから」
元親は気軽にそう言ったが、元就はぎょっとしたような顔で見上げてくる。
「な……っだ、ダメだ、そんな……!」
「なんでだよ。俺が払ってやるって言ってるのに」
「そ、そんなのは、申し訳無い、から……三着も、そんな……」
「……???」
元親は元就の反応の意味が判らなかった。買ってやる、と言われれば、「いいんですか、ありがとうございます」答えるのが正しい反応ではないのか。心の底から嬉しい顔をするのが。それなのに、元就は心の底から申し訳なさそうな顔をしている。
もしかして、と元親はふと思った。普通は、申し訳無いものなのだろうか。誰かに何かを買ってもらうという事は。しばらく考えたが、どうにも理解出来ない。自分で買わなくて済むという喜びに、申し訳無さが勝るとは思えない。だから元就も取り繕っているのだろうか、と考える。本当は嬉しくてたまらないが、申し訳無いようなふりをしているのかもしれない。
「……じゃあ、一着なら、受け取ってもらえるか?」
試しに探りを入れてみる。元就はやはり困った顔をしていたが、「……一着なら……だが、……だが本当に良いのか?」と不安げに了承の気配を見せた。元親はニッコリ笑って、大きく頷いた。どうやら元就は甘え方がまだ判らないらしい。元親はその初々しさが気に入った。
「ああ。俺がそうしたいから言ってるんだ。ここはありがとうって言えばそれでいいんだぜ」
そう言ってやると、元就は「あ、ありがとう」と困ったような微笑みを浮かべた。まだまだ教えてやる事は沢山有るな、と元親は思った。元就に何かを教えるのは好きだった。楽しい。元就の反応全てが意外で、幸せだった。元就にたくさん、この幸せを分けてやりたいと、元親は心からそう思った。
結局カジュアルな服を一式揃えて、二人はファミリーレストランや喫茶店をうろつきながら、楽しい時間を過ごした。その度に元親がカードをカウンターに置いて、支払いはそれで終わる。そのカードはなんとかという会社の御令嬢の名義になっていた。
別れ際になって、元親は元就に触れていいか聞いた。元就が了承したので、車の中で、元親は彼の髪に触れた。柔らかかった。
「……髪は……まぁいいか。ちょっと茶色がかってるし」
美容室を紹介するべきかどうか考えながら言うと、元就は何処か恥ずかしそうに自分の髪に触れる。
「あまり綺麗ではないがな……学生時代は苦労した」
「だよなー。大人になると便利だけどよ」
「……地毛、なのか……?」
元就が驚いたような顔をしたので、元親は笑って自分の髪を引っ張ってみせた。
「ああ、そうそう。変わってるだろ? もしかしたらハーフなのかもしれないけど、良く判んねえんだ、正直。昔は染めてるって言いがかりつけられて、大変だったぜ。染めるの禁止だから、黒染めもダメだし……」
「……」
「……ん?」
妙な沈黙が続いて、元親は何か変な事を言ったろうか、と首を傾げる。元就は「いや」と首を振って、それからまた黙る。
「……その、……いや、……その……。そうだ。大型書店を知っているか? 引き籠っていると、とにかく試し読みが出来なくて困る」
何か誤魔化されたような気はしたが、あえて突っ込む事はしなかった。「いい所知ってるから、今度行こう」と微笑んでやりながら、元親は元就を改めて愛しく思った。
「今日は素敵な服をありがとうございます。いつも貴方からいろんな事を教えてもらえて、私は幸せ者です。そんな権利なんて、無いのですが……。ともかく、いつもお世話になってばかりで、申し訳ありません。何かお礼がしたいのですが、正直言ってどうすれば貴方に、バリスタさんに喜んでもらえるのか、見当もつきません。ですから、何でも言って下さい。お願いします。
P.S.ハーフかもしれない、というのは、どういう事なのでしょうか。もし聞かれたくない事なのでしたら、これについての御返答は結構です。書店、楽しみにしています」
メールボックスを開いて、元親は納得した。元親の事情に踏み込むべきか否か、悩んでいたのだ。だから黙った。こうしてメールでなら饒舌に話せるのに。元親は苦笑して、キーボードを叩く。
「別にきにしなくていいけど、そうだな。いい店を知ってるんだ。一緒に夜景でも見ながら、飲まないか? 俺は09Sの事が好きだから、一緒に過ごして居たい。
P.S.別に俺は気にしてないから、09Sも気にしないでほしいんだけど、俺は孤児だから自分の生まれが判らないんだ。でもまぁ幸せに楽しく生きてるし、本当に気にしてないから、心配しないでくれ」
いい店というのが、ホテルだという事は、敢えて書かなかった。
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頑張って元親の下衆度を下げないように努力しています
サイバー系まだ生き残ってるのかな
当時すんごく憧れててマジでタンスあれだけに出来たら幸せだろうなって思った
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