彼らがやってるゲームが何なのかという事を考えた時に出た答え
どらごんはんたーせかんどE
続きはまた アレしてます
どらごんはんたーせかんどE
続きはまた アレしてます
翌日からもカイは全く態度を変えなかった。あんな事が有ったとはとても思えない素っ気無さ。あれは悪い夢だったのではないか、とさえ思う。
しかし皆でテキストチャットをしている時、紅が『カイちゃんは例のアレ、クリアしたの?』と尋ねた。そしてカイは『まだですよ』と答える。
『珍しいね、カイちゃんならもうクリアしてるかと思った』
そういう事言って煽るの止めれ、被害受けるのは俺だぞ。遊馬は叫びたかった。カイはその事について何の反応もせず、ただ黙っていた。嫌な予感しかしなかった。
「明日会いますよね?」
あれから一週間が経とうという時、ボイスチャット中にカイが突然そう言った。
「えっ」
「明日、会いますよね?」
繰り返された。聞こえないフリはさせてもらえそうにない。
「ど、どうすっかな~」と言えば、「すっぽかしたら呪いますよ」と冗談とも本気ともつかない言葉。
「……カイちゃん、まだクリア出来そうにないの……」
「じゃないと会うとか言わないでしょ」
もう何か言うのも面倒になってきた。溜息を吐くと、どう思ったのやら「僕だって努力してるんです」と的外れな言葉。
「会ってくれますよね」
「あー、はいはい。会うよ会うよ」
「前回体の関係になりましたけど、まだ足りないみたいなんです。だからもっと、恋愛っぽい事をしたほうが良いかもしれません」
「はあ……」
「デートしませんか」
遊馬はもう一度溜息を吐いて、「何処に?」と尋ねる。もう知った事ではない。どうにでもなれ、だ。
「恋人っぽいところが良いですね。食事もしたいですし……」
「あー、んー、カラオケとか?」
「僕、歌いません」
「あ、そう……あー、じゃあ……水族館とかは?」
何気なく言ってしまった事を、遊馬は激しく後悔していた。
それなりに歳のいった男が二人、平日の昼間から水族館。あまりに異様だ。しかし平日の昼間から男が一人でも、十分悲惨でどうやってもいい気分にはなれない。しかも、やはり会話の一つも無かった。困り果てて遊馬はずっとミズクラゲの水槽を見ている。
ふわふわ、ゆらゆら、ぷかぷか。あぁお前らは気楽そうでいいな……。遊馬は溜息を吐いて、そしてカイが居ない事に気付いた。
慌てて探しに行くと、カイはフードコートで一人、変な色のソフトクリームを食べている。
「……カイちゃん、何それ……」
「アボカドマンゴーミント風味ソフトです。こいつはなかなかいけますよ」
「ホントかよ……」
「遊馬さんもいかがですか? 投げ捨てたくなるような味ですよ」
「要らないよ、そんなの! 不味いんじゃん!」
全く、何を考えているのかサッパリ判らない。判りたいとも思わないが。遊馬はまた溜息を吐いた。
別に悪い奴ではないと思っている。少しプライドが高過ぎて、口が悪くて、自分勝手で、言動に脈絡が無くて、悪ふざけが過ぎるぐらいだ。そう考えていると、良い奴にもとても思えない。遊馬はますますげんなりしてきた。
そんなのに、いいように振り回されてる自分。そう考えるとなんだかアホらしくなってくる。なんでこんなのに付き合ってるんだ、俺。つくづくそう思うのに、何故だか帰るとも止めるとも、言えなかった。
「やはり体を重ねるだけで恋愛関係を知ろうというのには、無理が有るみたいです」
食事もして、やはり無言の時間を過ごし。帰宅してお互いシャワーを終えて、ベッドルームでしばらく佇んでいると、カイがそう呟いた。
「……今、気付いたの……?」
「という事で、今日は少し恋人らしい事を交えつつ、しましょう」
「するって……何を?」
「そんな事も判らないんですか?」
カイが呆れたような顔で言う。遊馬も呆れた。判っていないわけがない。とぼけて回避出来るならそうしたかっただけだ。こんな事、お互いにとって何の得も無い。
そうは思いつつも遊馬はカイに付き合う。一度手伝うと言った以上、最後まで続けないと、男がすたる気もする。たぶん(いや、どう考えても)気のせいだが。
「……んで、具体的には何すんの」
「まずは、ハグをしようかと」
「ハグ?」
「恋人同士が抱き合うような感じで、よろしくお願いします」
「……あいにく、あんまり経験が無いんで、よく判らんけど……」
「奇遇ですね、僕もです」
「……」
もう何もかもどうでもいい。とりあえず、カイを抱きしめてみた。カイは細くて、男だから骨ばっているし、抱き心地はよく無かった。
「……遊馬さん、筋肉有るんですね」
カイが抱きしめられたまま呟く。仕方無く、といったふうにカイも遊馬の腰に手を回していた。身長差が有るから、遊馬はカイの髪に顔を埋めるぐらいの位置になった。
「まぁ、仕事も有るし、それなりに鍛えてっけど。カイちゃんはそういうのしないの」
「仕事柄あんまり必要無いですしね」
それからまた会話が途切れた。やる事も無くて、遊馬は落ち着かなかったが、ふとカイの髪からいい匂いがする事に気付いた。
(あー、接客業だし、いいシャンプーとか使ってるのかね? 好きな匂い……)
そうしてしばらく経つと、何だか妙にそわそわしてきた。開けてはいけない扉を開けそうになっている気がしたのだ。
「遊馬さん」
「ん、うん?!」
「人肌って存外温かくて、心地良いものですね」
コメントに困る。遊馬は困り果てて何も言わなかったが、それでも良かったらしいカイは「そろそろ、先に進みましょうか」と呟いて、遊馬から手を離した。それが少々もったいなく思ったのは、気のせいだ。
「……っ」
二回目ともなると、少し慣れたのだろうか。前回よりも前戯は少なくて済んだ。前と同じように後ろから侵入して、一息つく。初めてでは無いから、多少余裕も出て来て、慣れるまで待つ間に、カイの背中を見ていた。
白い。まぁ電気を落としているから、薄暗くてよくは判らないが。白くて細い。腰も、何もかも自分に比べれば。なんとなく背骨のラインを指でなぞってみたら、びくりと体が震えた。敏感なんだな、と一瞬思ったが、いや背中は誰でもそうか、と思い直しつつ、もう一度指でなぞる。びく、と震えると中が動いて、遊馬も眉を寄せた。
「……遊馬さん、遊んでるでしょう……」
少しだけ顔をこちらに向けて、眉を寄せたカイが、苦しげにそう呟く。その声音が聞いた事の無いもので、少しだけ嬉しくなった。ついでに、今なら声を出させる事が出来ると思って、そのまま動いた。が、カイはすぐに顔をシーツに埋めて、また黙ってしまった。
そうする事がカイにとって決して楽な事でもあるまいに。遊馬はそう思いながら、今度は爪でそっと背中をなぞってみた。体が強張って、締め付けがきつくなる。そのまま腰を揺さぶり始めると、「んん」とか「うぅ」とか、そんな呻き声が僅かに聞こえる。ああ、もっと聞きたいと、思った。だがこれ以上遊んでいると怒りそうなので、そのまま行為を続ける。
カイは明らかに前回よりもちゃんと感じているようだった。体が次第に汗ばんできて、熱を持ち始める。だから意地悪と実益を兼ねて、遊馬はカイの耳元で尋ねてみる。
「ねえカイちゃん、俺こういう事もホモの事もよく判んねえから聞くけど、気持ち良いトコとか有んのかね」
「……っ」
「有んの?」
「ん、……っ」
「ねえ、有んの?」
しつこく聞いてみると、またカイは少し顔を遊馬に向けた。悔しそうに眉を寄せて、のろのろと言葉を紡ぐ。
「男には、前立腺というのが、有って。それは、男にしか、無くて。お尻の、中に、有る、らしいです……しこり、みたいな、ものが……」
「んじゃあそれを刺激すれば、カイちゃんも気持ち良いわけ?」
「……まぁ、生理的に、そうなる、でしょうね……っ」
ふーん、と軽い返事をしつつ、遊馬は腰を小さく揺すって、カイの言う性感帯を探ってみた。すぐにまたカイはシーツに顔を埋めてしまったから、反応は判りにくかった。が、一つ判った事は、カイはゆっくりを抜く動作をした時に、たまらなそうな呻き声をあげるという事だ。だからとりあえずはそれが好きなのだろうと、遊馬は奥まで侵入しては、ゆっくりと抜けそうになるまで腰を引くを繰り返した。その度にカイは「んーっ……」というような声を出して、腰を僅かに揺らす。それがたまらなく、楽しい。
しばらく繰り返していると、カイがまた顔を上げて、「もう、いいですからっ」と言い捨てて、黙った。へいへい、と返事をして、激しく腰を揺する。カイの手がぎゅうとシーツを握り締めるのを見て、遊馬もそれに手を重ね、カイの前を擦ってやった。ああ、気持良い。遊馬はそれだけを考えて、カイを抱きしめるようにしながら、絶頂に向かっていった。
事が終わって。ゴロンとベッドに横になる。まだ隣でカイは、ハァハァと荒い呼吸を繰り返していた。カイは遊馬に背中を向けるようにして、横を向いて転がっていた。
その背中が、なんとなく寂しくて、遊馬はのろのろとカイを抱き寄せた。カイは文句を言わない。だから遊馬はぎゅっと抱いていた。いい匂いがする。シャンプーの匂いと、汗の匂いが混ざっても、嫌だとは感じなかった。ぎゅうと抱きしめて、温もりを感じながら、遊馬は目を閉じる。
カイちゃんは、勘違いしてる。体の関係を持って情が芽生えるのは、抱いた方だ。
抱いてしまった責任とか、そんなものを感じるのだ。メスとして、護らねばならないと本能が訴える。だから、本当にその情を手に入れたかったなら、あの時、女役になる事を受け入れてはいけなかった。
だからすっかり、情を持っているのは、遊馬のほうになっていた。
しかし皆でテキストチャットをしている時、紅が『カイちゃんは例のアレ、クリアしたの?』と尋ねた。そしてカイは『まだですよ』と答える。
『珍しいね、カイちゃんならもうクリアしてるかと思った』
そういう事言って煽るの止めれ、被害受けるのは俺だぞ。遊馬は叫びたかった。カイはその事について何の反応もせず、ただ黙っていた。嫌な予感しかしなかった。
「明日会いますよね?」
あれから一週間が経とうという時、ボイスチャット中にカイが突然そう言った。
「えっ」
「明日、会いますよね?」
繰り返された。聞こえないフリはさせてもらえそうにない。
「ど、どうすっかな~」と言えば、「すっぽかしたら呪いますよ」と冗談とも本気ともつかない言葉。
「……カイちゃん、まだクリア出来そうにないの……」
「じゃないと会うとか言わないでしょ」
もう何か言うのも面倒になってきた。溜息を吐くと、どう思ったのやら「僕だって努力してるんです」と的外れな言葉。
「会ってくれますよね」
「あー、はいはい。会うよ会うよ」
「前回体の関係になりましたけど、まだ足りないみたいなんです。だからもっと、恋愛っぽい事をしたほうが良いかもしれません」
「はあ……」
「デートしませんか」
遊馬はもう一度溜息を吐いて、「何処に?」と尋ねる。もう知った事ではない。どうにでもなれ、だ。
「恋人っぽいところが良いですね。食事もしたいですし……」
「あー、んー、カラオケとか?」
「僕、歌いません」
「あ、そう……あー、じゃあ……水族館とかは?」
何気なく言ってしまった事を、遊馬は激しく後悔していた。
それなりに歳のいった男が二人、平日の昼間から水族館。あまりに異様だ。しかし平日の昼間から男が一人でも、十分悲惨でどうやってもいい気分にはなれない。しかも、やはり会話の一つも無かった。困り果てて遊馬はずっとミズクラゲの水槽を見ている。
ふわふわ、ゆらゆら、ぷかぷか。あぁお前らは気楽そうでいいな……。遊馬は溜息を吐いて、そしてカイが居ない事に気付いた。
慌てて探しに行くと、カイはフードコートで一人、変な色のソフトクリームを食べている。
「……カイちゃん、何それ……」
「アボカドマンゴーミント風味ソフトです。こいつはなかなかいけますよ」
「ホントかよ……」
「遊馬さんもいかがですか? 投げ捨てたくなるような味ですよ」
「要らないよ、そんなの! 不味いんじゃん!」
全く、何を考えているのかサッパリ判らない。判りたいとも思わないが。遊馬はまた溜息を吐いた。
別に悪い奴ではないと思っている。少しプライドが高過ぎて、口が悪くて、自分勝手で、言動に脈絡が無くて、悪ふざけが過ぎるぐらいだ。そう考えていると、良い奴にもとても思えない。遊馬はますますげんなりしてきた。
そんなのに、いいように振り回されてる自分。そう考えるとなんだかアホらしくなってくる。なんでこんなのに付き合ってるんだ、俺。つくづくそう思うのに、何故だか帰るとも止めるとも、言えなかった。
「やはり体を重ねるだけで恋愛関係を知ろうというのには、無理が有るみたいです」
食事もして、やはり無言の時間を過ごし。帰宅してお互いシャワーを終えて、ベッドルームでしばらく佇んでいると、カイがそう呟いた。
「……今、気付いたの……?」
「という事で、今日は少し恋人らしい事を交えつつ、しましょう」
「するって……何を?」
「そんな事も判らないんですか?」
カイが呆れたような顔で言う。遊馬も呆れた。判っていないわけがない。とぼけて回避出来るならそうしたかっただけだ。こんな事、お互いにとって何の得も無い。
そうは思いつつも遊馬はカイに付き合う。一度手伝うと言った以上、最後まで続けないと、男がすたる気もする。たぶん(いや、どう考えても)気のせいだが。
「……んで、具体的には何すんの」
「まずは、ハグをしようかと」
「ハグ?」
「恋人同士が抱き合うような感じで、よろしくお願いします」
「……あいにく、あんまり経験が無いんで、よく判らんけど……」
「奇遇ですね、僕もです」
「……」
もう何もかもどうでもいい。とりあえず、カイを抱きしめてみた。カイは細くて、男だから骨ばっているし、抱き心地はよく無かった。
「……遊馬さん、筋肉有るんですね」
カイが抱きしめられたまま呟く。仕方無く、といったふうにカイも遊馬の腰に手を回していた。身長差が有るから、遊馬はカイの髪に顔を埋めるぐらいの位置になった。
「まぁ、仕事も有るし、それなりに鍛えてっけど。カイちゃんはそういうのしないの」
「仕事柄あんまり必要無いですしね」
それからまた会話が途切れた。やる事も無くて、遊馬は落ち着かなかったが、ふとカイの髪からいい匂いがする事に気付いた。
(あー、接客業だし、いいシャンプーとか使ってるのかね? 好きな匂い……)
そうしてしばらく経つと、何だか妙にそわそわしてきた。開けてはいけない扉を開けそうになっている気がしたのだ。
「遊馬さん」
「ん、うん?!」
「人肌って存外温かくて、心地良いものですね」
コメントに困る。遊馬は困り果てて何も言わなかったが、それでも良かったらしいカイは「そろそろ、先に進みましょうか」と呟いて、遊馬から手を離した。それが少々もったいなく思ったのは、気のせいだ。
「……っ」
二回目ともなると、少し慣れたのだろうか。前回よりも前戯は少なくて済んだ。前と同じように後ろから侵入して、一息つく。初めてでは無いから、多少余裕も出て来て、慣れるまで待つ間に、カイの背中を見ていた。
白い。まぁ電気を落としているから、薄暗くてよくは判らないが。白くて細い。腰も、何もかも自分に比べれば。なんとなく背骨のラインを指でなぞってみたら、びくりと体が震えた。敏感なんだな、と一瞬思ったが、いや背中は誰でもそうか、と思い直しつつ、もう一度指でなぞる。びく、と震えると中が動いて、遊馬も眉を寄せた。
「……遊馬さん、遊んでるでしょう……」
少しだけ顔をこちらに向けて、眉を寄せたカイが、苦しげにそう呟く。その声音が聞いた事の無いもので、少しだけ嬉しくなった。ついでに、今なら声を出させる事が出来ると思って、そのまま動いた。が、カイはすぐに顔をシーツに埋めて、また黙ってしまった。
そうする事がカイにとって決して楽な事でもあるまいに。遊馬はそう思いながら、今度は爪でそっと背中をなぞってみた。体が強張って、締め付けがきつくなる。そのまま腰を揺さぶり始めると、「んん」とか「うぅ」とか、そんな呻き声が僅かに聞こえる。ああ、もっと聞きたいと、思った。だがこれ以上遊んでいると怒りそうなので、そのまま行為を続ける。
カイは明らかに前回よりもちゃんと感じているようだった。体が次第に汗ばんできて、熱を持ち始める。だから意地悪と実益を兼ねて、遊馬はカイの耳元で尋ねてみる。
「ねえカイちゃん、俺こういう事もホモの事もよく判んねえから聞くけど、気持ち良いトコとか有んのかね」
「……っ」
「有んの?」
「ん、……っ」
「ねえ、有んの?」
しつこく聞いてみると、またカイは少し顔を遊馬に向けた。悔しそうに眉を寄せて、のろのろと言葉を紡ぐ。
「男には、前立腺というのが、有って。それは、男にしか、無くて。お尻の、中に、有る、らしいです……しこり、みたいな、ものが……」
「んじゃあそれを刺激すれば、カイちゃんも気持ち良いわけ?」
「……まぁ、生理的に、そうなる、でしょうね……っ」
ふーん、と軽い返事をしつつ、遊馬は腰を小さく揺すって、カイの言う性感帯を探ってみた。すぐにまたカイはシーツに顔を埋めてしまったから、反応は判りにくかった。が、一つ判った事は、カイはゆっくりを抜く動作をした時に、たまらなそうな呻き声をあげるという事だ。だからとりあえずはそれが好きなのだろうと、遊馬は奥まで侵入しては、ゆっくりと抜けそうになるまで腰を引くを繰り返した。その度にカイは「んーっ……」というような声を出して、腰を僅かに揺らす。それがたまらなく、楽しい。
しばらく繰り返していると、カイがまた顔を上げて、「もう、いいですからっ」と言い捨てて、黙った。へいへい、と返事をして、激しく腰を揺する。カイの手がぎゅうとシーツを握り締めるのを見て、遊馬もそれに手を重ね、カイの前を擦ってやった。ああ、気持良い。遊馬はそれだけを考えて、カイを抱きしめるようにしながら、絶頂に向かっていった。
事が終わって。ゴロンとベッドに横になる。まだ隣でカイは、ハァハァと荒い呼吸を繰り返していた。カイは遊馬に背中を向けるようにして、横を向いて転がっていた。
その背中が、なんとなく寂しくて、遊馬はのろのろとカイを抱き寄せた。カイは文句を言わない。だから遊馬はぎゅっと抱いていた。いい匂いがする。シャンプーの匂いと、汗の匂いが混ざっても、嫌だとは感じなかった。ぎゅうと抱きしめて、温もりを感じながら、遊馬は目を閉じる。
カイちゃんは、勘違いしてる。体の関係を持って情が芽生えるのは、抱いた方だ。
抱いてしまった責任とか、そんなものを感じるのだ。メスとして、護らねばならないと本能が訴える。だから、本当にその情を手に入れたかったなら、あの時、女役になる事を受け入れてはいけなかった。
だからすっかり、情を持っているのは、遊馬のほうになっていた。
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