9時間の、32になる予定だったメモです。途中で終わってます。
続きは書けそうにないので、一応。
続きは書けそうにないので、一応。
最初から、ライトは葵に敵意を抱かれていた。
それは船室から一番早く出られたのがライトで、先にデッキに着いていたからかもしれない。眼が見えない、という特殊な人間だったかもしれないし、それを理由に主催側からヒントを与えられていたからかもしれない。いずれにしろ、最初のルール説明が終わり、互いに自己紹介が終わった頃には、もう葵から不信感を寄せられていた。
曰く、こいつもグルかもしれない。眼が見えないなんて嘘かもしれない。そうして葵は逐一ライトの事を疑った。だから、嫌われているのだと思った。自分がこのメンバーの協力を妨げているのだ、と。
子供の頃から読書が趣味のようなものだったから、知識だけは他の子供よりよほど有った。それでも探索には参加出来ない。ヒントを見つけるまではおとなしくしているか、すでに見つけた物に触れて、何か自分にしか判らないヒントが無いかと探した。
彼らの足を引っ張ったかどうかは、判らない。それでもなんとか、大病室まではたどり着いた。誰が一緒に行くかとか、誰を残していくかとか。醜い争いが起こった。年少の子供の一人が、最後の9の扉をくぐれるのが、5人だけだという事に気づいてしまったのだ。年長者はあえて黙っていたことだった。
死ぬかもしれないんだぞ、船が沈むかもしれないんだぞ、と言われ、幼い子供達は不安のあまり泣き出す。余計な事は言うな、と葵が言うと、誰かが「余計な事じゃない」と声を上げる。そして葵に向かって叫ぶ。抜け駆けするつもりだろう。葵も叫ぶ。無駄な不安を煽りたくなかっただけだ、時間が無いんだ。
醜い罵り合いと、泣き声、揉み合う音。それらに悲しげな顔をしていたライトは、勇気を振り絞って、声を上げる。協力しなくてはいけない。帰らなくてはいけない。皆で信じ合って、生き延びなければ。四葉にあげるつもりだったクローバーを、皆に渡した。皆黙り込んで、受け取ってくれた。ひとまずは、進むしかない、と。
しかし葵だけが受け取ってはくれなかった。少し一人にさせてくれ、と個室の方へ歩いて行く。取り残された8人のうち、いくらかが置いていこうかと言い、ノナが絶対ダメ、と釘を刺す。ライトはしばらく考えて、葵を連れて来ると言い、大病室を出た。
葵、葵。名を呼びながら廊下を歩く。しばらくそうしていると、ここだよ、と声。その声のした部屋に入る。
なんだよ。素っ気ない声。ライトは怖じた。葵が自分を嫌っている事は、もうはっきり判っていた。しかし、信じ合わなければ生きて帰ることは出来ない。だから、ライトは勇気を振り絞って、言う。
僕が、君に好かれていないのは判る、でも、でも助けてほしい。皆を生きて帰してあげなきゃあ。もし、――もし犠牲が必要なんだというなら、僕が、なるから。この船に残らなくてはいけないのなら、僕がそうするから。だから――。
ライトの悲痛な声に、葵は小さく溜息を吐いたようだった。そして葵がずかずかとライトに近寄る。ぐっ、と胸ぐらを掴まれて、ライトは殴られるのだと、僅かに身を固くした。
「馬鹿な事言ってんじゃねえよ。誰かが犠牲になるとか、そんな話じゃないだろ。皆で、生きて帰るんだろ。言い出しっぺがそんなんでどうするんだよ」
「……葵」
ライトが驚いていると、葵はまた一つ溜息を吐く。
「俺がそれを受け取れなかったのは、奴らが言ってたからさ。お前はきっと役に立たないから、置いて行った方がいいってな。だからあいつらを信じる事なんて出来ないと思った」
「でも……でもそれが一番いい選択かもしれないし、」
「いいわけないだろ。こんな下らない事で死んでたまるか。皆で生きて帰るんだ。そうだろ、ライト。……だから、その為に必要なら、……それは受け取る」
するりと。手が触れる。ライトはその手に、クローバーを託した。信頼の証。仲間の証。これで9人は皆、互いの為に協力し合うと約束した事になる。
「お前の事も、必ず守ってやる。一緒に帰るんだ。いいな」
「……うん」
小さく頷くと、僅かに。僅かに、抱き寄せられて。軽く、頬に、柔らかい何かが触れた。ライトはそれが最初何か判らなかった。その上、葵はすぐに離れて、「行くぞ」とライトの手を掴み、歩き出してしまう。
「……葵、今……」
「急ぐぞ。時間がないんだ。話は生きて帰ってから、ゆっくりすればいい」
葵がそう言って、ライトの言葉を遮る。だからライトもそれ以上何も言わなかった。
ゲームから生還して。ライトの生活は少々変わった。いつ死ぬか判らないという恐怖は、ライトに生きる勇気を与えた。視力を失って以来、億劫だった全ての事に取り組み始める。
そうしてゲームから一年が経とうという時。葵は唐突にやってきた。
それが葵だと判ったのは、クローバーを渡されたからだ。彼は声変わりの時期に入っていて、喋るのが辛そうだった。
その時は家族は他に誰も居なくて、ライトは彼を自分の部屋へと招いた。ゲームの仲間は皆、別れる時に連絡先を交換し合ったが、恐らく誰一人、使わなかっただろうとライトは思う。辛い記憶は捨て去るものだ。たとえどんなに強い絆が結ばれていても、一時的な物は呆気なく消える。それが恐ろしい体験に根ざしたものなら、尚の事。
+++
この後葵君に謝られながら弄ばれて、どうしてなの葵、っていう
そんな展開だったと思います。
ライト時代はニルスさんかわいいですよねー。小さいし。
ライト君だけ妙に厚着だし。眼ぇ見えないのに螺旋階段ダッシュだし。
セブンに潰されるんじゃないかと思う。
それは船室から一番早く出られたのがライトで、先にデッキに着いていたからかもしれない。眼が見えない、という特殊な人間だったかもしれないし、それを理由に主催側からヒントを与えられていたからかもしれない。いずれにしろ、最初のルール説明が終わり、互いに自己紹介が終わった頃には、もう葵から不信感を寄せられていた。
曰く、こいつもグルかもしれない。眼が見えないなんて嘘かもしれない。そうして葵は逐一ライトの事を疑った。だから、嫌われているのだと思った。自分がこのメンバーの協力を妨げているのだ、と。
子供の頃から読書が趣味のようなものだったから、知識だけは他の子供よりよほど有った。それでも探索には参加出来ない。ヒントを見つけるまではおとなしくしているか、すでに見つけた物に触れて、何か自分にしか判らないヒントが無いかと探した。
彼らの足を引っ張ったかどうかは、判らない。それでもなんとか、大病室まではたどり着いた。誰が一緒に行くかとか、誰を残していくかとか。醜い争いが起こった。年少の子供の一人が、最後の9の扉をくぐれるのが、5人だけだという事に気づいてしまったのだ。年長者はあえて黙っていたことだった。
死ぬかもしれないんだぞ、船が沈むかもしれないんだぞ、と言われ、幼い子供達は不安のあまり泣き出す。余計な事は言うな、と葵が言うと、誰かが「余計な事じゃない」と声を上げる。そして葵に向かって叫ぶ。抜け駆けするつもりだろう。葵も叫ぶ。無駄な不安を煽りたくなかっただけだ、時間が無いんだ。
醜い罵り合いと、泣き声、揉み合う音。それらに悲しげな顔をしていたライトは、勇気を振り絞って、声を上げる。協力しなくてはいけない。帰らなくてはいけない。皆で信じ合って、生き延びなければ。四葉にあげるつもりだったクローバーを、皆に渡した。皆黙り込んで、受け取ってくれた。ひとまずは、進むしかない、と。
しかし葵だけが受け取ってはくれなかった。少し一人にさせてくれ、と個室の方へ歩いて行く。取り残された8人のうち、いくらかが置いていこうかと言い、ノナが絶対ダメ、と釘を刺す。ライトはしばらく考えて、葵を連れて来ると言い、大病室を出た。
葵、葵。名を呼びながら廊下を歩く。しばらくそうしていると、ここだよ、と声。その声のした部屋に入る。
なんだよ。素っ気ない声。ライトは怖じた。葵が自分を嫌っている事は、もうはっきり判っていた。しかし、信じ合わなければ生きて帰ることは出来ない。だから、ライトは勇気を振り絞って、言う。
僕が、君に好かれていないのは判る、でも、でも助けてほしい。皆を生きて帰してあげなきゃあ。もし、――もし犠牲が必要なんだというなら、僕が、なるから。この船に残らなくてはいけないのなら、僕がそうするから。だから――。
ライトの悲痛な声に、葵は小さく溜息を吐いたようだった。そして葵がずかずかとライトに近寄る。ぐっ、と胸ぐらを掴まれて、ライトは殴られるのだと、僅かに身を固くした。
「馬鹿な事言ってんじゃねえよ。誰かが犠牲になるとか、そんな話じゃないだろ。皆で、生きて帰るんだろ。言い出しっぺがそんなんでどうするんだよ」
「……葵」
ライトが驚いていると、葵はまた一つ溜息を吐く。
「俺がそれを受け取れなかったのは、奴らが言ってたからさ。お前はきっと役に立たないから、置いて行った方がいいってな。だからあいつらを信じる事なんて出来ないと思った」
「でも……でもそれが一番いい選択かもしれないし、」
「いいわけないだろ。こんな下らない事で死んでたまるか。皆で生きて帰るんだ。そうだろ、ライト。……だから、その為に必要なら、……それは受け取る」
するりと。手が触れる。ライトはその手に、クローバーを託した。信頼の証。仲間の証。これで9人は皆、互いの為に協力し合うと約束した事になる。
「お前の事も、必ず守ってやる。一緒に帰るんだ。いいな」
「……うん」
小さく頷くと、僅かに。僅かに、抱き寄せられて。軽く、頬に、柔らかい何かが触れた。ライトはそれが最初何か判らなかった。その上、葵はすぐに離れて、「行くぞ」とライトの手を掴み、歩き出してしまう。
「……葵、今……」
「急ぐぞ。時間がないんだ。話は生きて帰ってから、ゆっくりすればいい」
葵がそう言って、ライトの言葉を遮る。だからライトもそれ以上何も言わなかった。
ゲームから生還して。ライトの生活は少々変わった。いつ死ぬか判らないという恐怖は、ライトに生きる勇気を与えた。視力を失って以来、億劫だった全ての事に取り組み始める。
そうしてゲームから一年が経とうという時。葵は唐突にやってきた。
それが葵だと判ったのは、クローバーを渡されたからだ。彼は声変わりの時期に入っていて、喋るのが辛そうだった。
その時は家族は他に誰も居なくて、ライトは彼を自分の部屋へと招いた。ゲームの仲間は皆、別れる時に連絡先を交換し合ったが、恐らく誰一人、使わなかっただろうとライトは思う。辛い記憶は捨て去るものだ。たとえどんなに強い絆が結ばれていても、一時的な物は呆気なく消える。それが恐ろしい体験に根ざしたものなら、尚の事。
+++
この後葵君に謝られながら弄ばれて、どうしてなの葵、っていう
そんな展開だったと思います。
ライト時代はニルスさんかわいいですよねー。小さいし。
ライト君だけ妙に厚着だし。眼ぇ見えないのに螺旋階段ダッシュだし。
セブンに潰されるんじゃないかと思う。
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二人とも変態。永遠の中二病。
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