ふってわいたアホネタ
長曾我部元親は大急ぎで山を駆け上がっていた。
人の事を田舎者呼ばわりするわりに、彼の思い人の屋敷は随分と山奥に有ったが、元親はただでさえ長旅をして来た疲れをものともせず、自らの足でその屋敷へと走っていた。
台風の来る季節、船は出せず、簡単に言うとお預けを食っていた元親は、今日こそは今日こそはと恥も外聞も無く意気込んでいた。部下達が一人また一人と脱落していくのにも気付かず、元親は屋敷へと駆け込んだ。
屋敷に入ると家来達がぎょっとした顔で元親を見、そして「お待ち下さい!」となにやら制止するが、元親は聞いても居なかった。立ちふさがる男達をばったばったとなぎ倒して、元親は一番奥の部屋にたどり着き。
「もとなりー! 3ヶ月ぶり!」
と障子を開けて、
「……へ?」
そしてその部屋に居た小さな生き物に眼を丸くした。
子供、のように思う。怪訝な顔をして元親を見ている。緑の着物は彼の思い人、毛利元就のそれに良く似ていたが、着ているというより着られている様子だった。しかもその子供には猫の耳が生えていて、おまけに尻からは狐の尻尾が生えていた。
「……もとちか」
しかもその子供が自分の名を呼んだものだから、元親は仰天し、そして子供に駆け寄って言った。
「もっ、もとなり!? なんかおまえ、いつもとちょっと違わないか!?」
すると元就はにっこり笑って、
「ちょっとどころではないわ、この痴れ者!」
と怒鳴ると、元親の脛を扇子で叩いた。それがまた硬い上に元就の背が小さいものだから所謂弁慶の泣き所に見事入って、元親はその場に蹲って呻くことになってしまった。
「……で、それどうしたんだよお前……」
しばらくして、元親はようやく痛みから立ち直り、そして元就に尋ねた。
「お前、あまりにもそれ、萌え要素を詰め込みすぎて、むしろ萎えるぜ……何が有ったんだ?」
元就はしばらく答えなかったが、ややして首を傾げて言う。
「心当たりが無いわけではないのだが」
「有るのかよ」
「ありすぎてどれが当りか判らぬ」
「なんだよ、その有り過ぎてっていうのは!」
元親が顔をしかめると、元就は元親を見て言う。
「ここ六日、我は忙しかった。ものすごくだ」
「はぁ」
「まず六日前、竹中半兵衛が我が城を訪れた」
「お前ら、仲悪かったんじゃねぇのかよ」
「句を読む仲でな。土産にと何処だかの茶をよこしてきたのだ」
「はあ……茶ぁねぇ」
「次の日、今川義元が我の城を訪れた」
「……あの麿と何してんだよ」
「碁の勝負をしようと言うてな。いや追い返そうと思ったのだが、土産に饅頭をくれたもので……」
「……したのか」
「……さらに次の日」
「まだ何か来るのか!」
「ザビー様が、」
「お前まだあの南蛮野郎を様付けしてんのか! いい加減眼を覚ませよ!」
「ザビー様はザビー様だ、今更ザビーと呼ぶのはしっくり来ぬであろうが!」
元就はそう怒鳴って、ともかく、と続ける。
「ザビー様はかすていらを土産に……愛の説法を……」
「あーはいはい、それで次の日は?」
「……何故次の日に明智が来たと判る?」
「ここまでの展開から……って、明智ぃ!? 明智って明智光秀か!?」
「そうだ」
「今度はなんだ、髑髏でも土産にくれたのか?」
「馬鹿を申せ、餡餅を置いて行ったぞ」
「……」
「それで、さらに翌日、松永久秀が……」
「……あの謀反狂いが何しに来たんだよ」
いい加減うんざりしてきて元親が嫌そうな顔で尋ねると、
「大陸の菓子と、なにやらいかがわしい物を……」
「いかがわしい物?」
「夜の教科書と言うておった」
「……」
「それで、次の日ようやく来客が途絶えたので、我はじっくりゆっくりたっぷりとそれらの土産を全て食った。だからどれが原因でこうなったのか判らぬ」
元就はそう言ってため息を吐いた。それに対し元親も頭を抱えて、言う。
「……元就ぃ……」
「なんだ」
「……俺、思うんだけどさあ……それ、全部当りだったんじゃねえの」
「……」
「例えば、猫耳、狐尻尾、幼児化、この三つがそれぞれの菓子に入ってて……」
「女人化も加えて4つだ」
「……ってえええ、お前今、え、なに、女なの!? 幼女なの!?」
元親が思わず元就を脱がそうとすると、元就は容赦なく目潰しを食らわせてきた。うおおおおと転がっている元親をよそに、元就は口元に手を当てていう。
「なるほど、つまり5人のうち、4人がそれぞれ我に薬を盛ったというわけか……ならば、潔白な人間が一人居るという事だな。それを探すと同時に、この症状を治す方法を探らねばなるまい」
「女人化は残そうぜ、なぁ元な、げは」
ごす、と元就は元親の脛を蹴りつけて、元親はまた呻く事になった。
「たわけ。このような体で居られるか。一刻も早く元に戻らねば……このような情けない体では、天の父上やお兄ちゃんにも申し訳が、……」
「……」
「……」
「……もとなり、今、お前……」
「……っ、誰だぁあああ! 我に、妹属性を付与したのはああああ!!!
殺してやる!!!」
「あっ、も、元就、元就待てよ、幼女なら妹属性は必須、ぎひゃ!」
元親は痛みに呻き、元就は怒り叫びながら屋敷を走って行った。
+++
なんだこれ
人の事を田舎者呼ばわりするわりに、彼の思い人の屋敷は随分と山奥に有ったが、元親はただでさえ長旅をして来た疲れをものともせず、自らの足でその屋敷へと走っていた。
台風の来る季節、船は出せず、簡単に言うとお預けを食っていた元親は、今日こそは今日こそはと恥も外聞も無く意気込んでいた。部下達が一人また一人と脱落していくのにも気付かず、元親は屋敷へと駆け込んだ。
屋敷に入ると家来達がぎょっとした顔で元親を見、そして「お待ち下さい!」となにやら制止するが、元親は聞いても居なかった。立ちふさがる男達をばったばったとなぎ倒して、元親は一番奥の部屋にたどり着き。
「もとなりー! 3ヶ月ぶり!」
と障子を開けて、
「……へ?」
そしてその部屋に居た小さな生き物に眼を丸くした。
子供、のように思う。怪訝な顔をして元親を見ている。緑の着物は彼の思い人、毛利元就のそれに良く似ていたが、着ているというより着られている様子だった。しかもその子供には猫の耳が生えていて、おまけに尻からは狐の尻尾が生えていた。
「……もとちか」
しかもその子供が自分の名を呼んだものだから、元親は仰天し、そして子供に駆け寄って言った。
「もっ、もとなり!? なんかおまえ、いつもとちょっと違わないか!?」
すると元就はにっこり笑って、
「ちょっとどころではないわ、この痴れ者!」
と怒鳴ると、元親の脛を扇子で叩いた。それがまた硬い上に元就の背が小さいものだから所謂弁慶の泣き所に見事入って、元親はその場に蹲って呻くことになってしまった。
「……で、それどうしたんだよお前……」
しばらくして、元親はようやく痛みから立ち直り、そして元就に尋ねた。
「お前、あまりにもそれ、萌え要素を詰め込みすぎて、むしろ萎えるぜ……何が有ったんだ?」
元就はしばらく答えなかったが、ややして首を傾げて言う。
「心当たりが無いわけではないのだが」
「有るのかよ」
「ありすぎてどれが当りか判らぬ」
「なんだよ、その有り過ぎてっていうのは!」
元親が顔をしかめると、元就は元親を見て言う。
「ここ六日、我は忙しかった。ものすごくだ」
「はぁ」
「まず六日前、竹中半兵衛が我が城を訪れた」
「お前ら、仲悪かったんじゃねぇのかよ」
「句を読む仲でな。土産にと何処だかの茶をよこしてきたのだ」
「はあ……茶ぁねぇ」
「次の日、今川義元が我の城を訪れた」
「……あの麿と何してんだよ」
「碁の勝負をしようと言うてな。いや追い返そうと思ったのだが、土産に饅頭をくれたもので……」
「……したのか」
「……さらに次の日」
「まだ何か来るのか!」
「ザビー様が、」
「お前まだあの南蛮野郎を様付けしてんのか! いい加減眼を覚ませよ!」
「ザビー様はザビー様だ、今更ザビーと呼ぶのはしっくり来ぬであろうが!」
元就はそう怒鳴って、ともかく、と続ける。
「ザビー様はかすていらを土産に……愛の説法を……」
「あーはいはい、それで次の日は?」
「……何故次の日に明智が来たと判る?」
「ここまでの展開から……って、明智ぃ!? 明智って明智光秀か!?」
「そうだ」
「今度はなんだ、髑髏でも土産にくれたのか?」
「馬鹿を申せ、餡餅を置いて行ったぞ」
「……」
「それで、さらに翌日、松永久秀が……」
「……あの謀反狂いが何しに来たんだよ」
いい加減うんざりしてきて元親が嫌そうな顔で尋ねると、
「大陸の菓子と、なにやらいかがわしい物を……」
「いかがわしい物?」
「夜の教科書と言うておった」
「……」
「それで、次の日ようやく来客が途絶えたので、我はじっくりゆっくりたっぷりとそれらの土産を全て食った。だからどれが原因でこうなったのか判らぬ」
元就はそう言ってため息を吐いた。それに対し元親も頭を抱えて、言う。
「……元就ぃ……」
「なんだ」
「……俺、思うんだけどさあ……それ、全部当りだったんじゃねえの」
「……」
「例えば、猫耳、狐尻尾、幼児化、この三つがそれぞれの菓子に入ってて……」
「女人化も加えて4つだ」
「……ってえええ、お前今、え、なに、女なの!? 幼女なの!?」
元親が思わず元就を脱がそうとすると、元就は容赦なく目潰しを食らわせてきた。うおおおおと転がっている元親をよそに、元就は口元に手を当てていう。
「なるほど、つまり5人のうち、4人がそれぞれ我に薬を盛ったというわけか……ならば、潔白な人間が一人居るという事だな。それを探すと同時に、この症状を治す方法を探らねばなるまい」
「女人化は残そうぜ、なぁ元な、げは」
ごす、と元就は元親の脛を蹴りつけて、元親はまた呻く事になった。
「たわけ。このような体で居られるか。一刻も早く元に戻らねば……このような情けない体では、天の父上やお兄ちゃんにも申し訳が、……」
「……」
「……」
「……もとなり、今、お前……」
「……っ、誰だぁあああ! 我に、妹属性を付与したのはああああ!!!
殺してやる!!!」
「あっ、も、元就、元就待てよ、幼女なら妹属性は必須、ぎひゃ!」
元親は痛みに呻き、元就は怒り叫びながら屋敷を走って行った。
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二人とも変態。永遠の中二病。
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