例のひさこた と ちかなり が同軸設定だというお話で。短文です。
電波なりのお兄さん興元は前世の記憶が有るとかそういう。
元親は前回、あと一歩及ばず元就を救えないまま毛利家滅亡だったので
今度こそ救わなきゃあという意気込みなんだけど自覚してない。
電波なりのお兄さん興元は前世の記憶が有るとかそういう。
元親は前回、あと一歩及ばず元就を救えないまま毛利家滅亡だったので
今度こそ救わなきゃあという意気込みなんだけど自覚してない。
松永久秀は大変不服な思いをしていた。彼がこれほどまで「不愉快だ」と思った事はそれほど無い。だがその時の久秀は明らかに自分が不服な思いをしている、というのを感じ取れた。
それはとある日曜日の事。小太郎が遊びに来てくれたので、例によって三好三人衆が置いていったプリンをご馳走しようとしていた時だ。小太郎も喜んでいたので、久秀も愉快な気持ちになっていたのだが、そこでチャイムが鳴った。
久秀は仕方無く玄関に向かい、戸を開けた。そこには白髪の青年と、茶髪の小さな青年が立っている。なんだ、と思っていると、小さいほうが「たのもう!」と大声で言った。久秀が無反応でいると、今度は白い方が、「す、すいません、こいつがその、道場破りがしたいって言い出して……」と頭を下げた。
久秀がなおも無反応でいると、心配したのか小太郎がプリンを持って廊下に出て来た。すると小さいほうは「おお! プリン!」と目を輝かせたものだから、小太郎はプリンを彼に渡してしまった。「おおお!」となお喜ぶ青年に気を良くしたのか、小太郎は彼を連れてリビングに入ってしまった。
後に残されたのは未だに無反応の久秀と、申し訳無さそうに頭を下げている青年だけだった。
白い方は長曾我部元親といい、小さい方は毛利元就というらしい。元親が久秀に頭を下げながら事情を説明してきた。
なんでも元就は近くの高校で囲碁将棋部の部長をしているらしい。が、既に顧問でさえ相手にならないほど強くなってしまい、いい加減元就は楽しい勝負というのが出来なくなっていた。元就は近所の松永という男は、将棋が強いという情報をどこからか入手してきて、元親の手を掴むと「道場破りに行くぞ!」と宣言したのだという。元親は一生懸命止めたらしいが、暴走し始めた電波を人間が止められるはずがない。そして現在に至る、というわけだった。
「あの、あれですよ。面倒でしょうから、わざと負けてやって下さい、そうしたらあいつも二度と来ないし、迷惑もかけないと思うんで……」
元親はそう頭を下げて、ほんとにすいません、と謝り続けていた。その向こうでは小太郎と元就が和気藹々とプリンを食べていた。そして久秀にはその光景がとてつもなく面白くなかった。
せっかくの小太郎君との時間を、という考えが浮かんで、久秀は苦笑した。全く、こんな風なことを感じたのは初めてだ。せいぜい茶器を磨いている時に来客があった時しか、いらついたりはしないのに。
久秀はそう考えながら、「判ったよ」と元親に頷いて見せた。元親はほっとした顔をして「ほんとすいません」ともう一度謝った。
という事は、小太郎君は私の命をかけて守りたいものになるんだろうか。
久秀はぼうっとそんな事を考えていた。目の前では元就が険しい顔をしている。しかし元親には元就が悩んでいる理由が判らないらしく、「え?」と時々元就の顔を見ていた。
久秀は元就が今どう考えているか判る。勝負の基本は、お互いに全力を出し、最善を尽くす事だが、それはあくまでスポーツ、あるいは遊戯としての勝負の基本だ。三十六計逃げるに如かずというくらいであるから、現実には手を抜くのも早々と勝負を投げるのも戦法のうちだ。久秀はさっそく勝負を投げた。勝つ定石を踏まなかった。すると元就は久秀の行動が理解出来なかったらしく、何か裏が有るに違いないと警戒し、自分からボロを出してしまう事になった。
元就は悩んだ末に、飛車を動かした。すると久秀はつまらなそうに角を動かして「王手」と言う。元就は「あっ」と声を出して、そしてしばらく考えた後、久秀に頭を下げた。
「えっ、なんでだ? まだ逃げれるだろ?」
元親は不思議そうに言ったが、元就は首を振る。
「12手先で終わる。我の負けだ……」
「……12手ぇ?」
元親は顔をしかめて言ったが、久秀は笑って言った。
「頭の良い人間はこれだから面白くない。卿が思っている通りの最善手を私が打つとは限るまい。もう少し続けてみたらどうかね」
「いや、もしそうだとすれば、それは手を抜かれたという事だ。我には耐えられぬ。……勉強し直してくる」
元就はそう頭を下げて、それから、「美味しいプリンを頂いた、次に来る時は礼を持ってくる」と言うと、元親を連れてさっさと帰ってしまった。
それをとりあえず見送って、久秀はため息を吐く。筋は悪くないのだが、何しろ実戦経験が足りない。だからつまらない手に翻弄されて、負けてしまうのだ。あれはかなり鍛えないと使えないな、と久秀は考えると同時に、次に来た時はきっちり防御を固めてやろう、などと思った。それが自分でも少し滑稽で、久秀は笑う。
将棋強いんですね、と小太郎が言ってきたので、久秀は「いやいや」と首を振って。
それから、「卿も興味が有るならやってみるかね?」と尋ねた。小太郎は「是非」とそれだけ答えたので、久秀はまた笑った。何故だか嬉しかったし、元就と元親の事もそれほど悪くは思わなかった。
++++
将棋は苦手だし囲碁はルールも知りませんが。
何故将棋セットも無いのに私の家には三手詰めハンドブックだけ
有るんだろうと思ってたのですが、お父さんは将棋に学ぶものは多いと
言っていました。そうかもなあ、と最近思いますが滅多に解けません。
そもそもまだ駒の動き方も覚えてないのに
いきなり問題集に取り掛かることが間違いなんだと
この間ようやく気付きました。馬鹿め馬鹿め!
それはとある日曜日の事。小太郎が遊びに来てくれたので、例によって三好三人衆が置いていったプリンをご馳走しようとしていた時だ。小太郎も喜んでいたので、久秀も愉快な気持ちになっていたのだが、そこでチャイムが鳴った。
久秀は仕方無く玄関に向かい、戸を開けた。そこには白髪の青年と、茶髪の小さな青年が立っている。なんだ、と思っていると、小さいほうが「たのもう!」と大声で言った。久秀が無反応でいると、今度は白い方が、「す、すいません、こいつがその、道場破りがしたいって言い出して……」と頭を下げた。
久秀がなおも無反応でいると、心配したのか小太郎がプリンを持って廊下に出て来た。すると小さいほうは「おお! プリン!」と目を輝かせたものだから、小太郎はプリンを彼に渡してしまった。「おおお!」となお喜ぶ青年に気を良くしたのか、小太郎は彼を連れてリビングに入ってしまった。
後に残されたのは未だに無反応の久秀と、申し訳無さそうに頭を下げている青年だけだった。
白い方は長曾我部元親といい、小さい方は毛利元就というらしい。元親が久秀に頭を下げながら事情を説明してきた。
なんでも元就は近くの高校で囲碁将棋部の部長をしているらしい。が、既に顧問でさえ相手にならないほど強くなってしまい、いい加減元就は楽しい勝負というのが出来なくなっていた。元就は近所の松永という男は、将棋が強いという情報をどこからか入手してきて、元親の手を掴むと「道場破りに行くぞ!」と宣言したのだという。元親は一生懸命止めたらしいが、暴走し始めた電波を人間が止められるはずがない。そして現在に至る、というわけだった。
「あの、あれですよ。面倒でしょうから、わざと負けてやって下さい、そうしたらあいつも二度と来ないし、迷惑もかけないと思うんで……」
元親はそう頭を下げて、ほんとにすいません、と謝り続けていた。その向こうでは小太郎と元就が和気藹々とプリンを食べていた。そして久秀にはその光景がとてつもなく面白くなかった。
せっかくの小太郎君との時間を、という考えが浮かんで、久秀は苦笑した。全く、こんな風なことを感じたのは初めてだ。せいぜい茶器を磨いている時に来客があった時しか、いらついたりはしないのに。
久秀はそう考えながら、「判ったよ」と元親に頷いて見せた。元親はほっとした顔をして「ほんとすいません」ともう一度謝った。
という事は、小太郎君は私の命をかけて守りたいものになるんだろうか。
久秀はぼうっとそんな事を考えていた。目の前では元就が険しい顔をしている。しかし元親には元就が悩んでいる理由が判らないらしく、「え?」と時々元就の顔を見ていた。
久秀は元就が今どう考えているか判る。勝負の基本は、お互いに全力を出し、最善を尽くす事だが、それはあくまでスポーツ、あるいは遊戯としての勝負の基本だ。三十六計逃げるに如かずというくらいであるから、現実には手を抜くのも早々と勝負を投げるのも戦法のうちだ。久秀はさっそく勝負を投げた。勝つ定石を踏まなかった。すると元就は久秀の行動が理解出来なかったらしく、何か裏が有るに違いないと警戒し、自分からボロを出してしまう事になった。
元就は悩んだ末に、飛車を動かした。すると久秀はつまらなそうに角を動かして「王手」と言う。元就は「あっ」と声を出して、そしてしばらく考えた後、久秀に頭を下げた。
「えっ、なんでだ? まだ逃げれるだろ?」
元親は不思議そうに言ったが、元就は首を振る。
「12手先で終わる。我の負けだ……」
「……12手ぇ?」
元親は顔をしかめて言ったが、久秀は笑って言った。
「頭の良い人間はこれだから面白くない。卿が思っている通りの最善手を私が打つとは限るまい。もう少し続けてみたらどうかね」
「いや、もしそうだとすれば、それは手を抜かれたという事だ。我には耐えられぬ。……勉強し直してくる」
元就はそう頭を下げて、それから、「美味しいプリンを頂いた、次に来る時は礼を持ってくる」と言うと、元親を連れてさっさと帰ってしまった。
それをとりあえず見送って、久秀はため息を吐く。筋は悪くないのだが、何しろ実戦経験が足りない。だからつまらない手に翻弄されて、負けてしまうのだ。あれはかなり鍛えないと使えないな、と久秀は考えると同時に、次に来た時はきっちり防御を固めてやろう、などと思った。それが自分でも少し滑稽で、久秀は笑う。
将棋強いんですね、と小太郎が言ってきたので、久秀は「いやいや」と首を振って。
それから、「卿も興味が有るならやってみるかね?」と尋ねた。小太郎は「是非」とそれだけ答えたので、久秀はまた笑った。何故だか嬉しかったし、元就と元親の事もそれほど悪くは思わなかった。
++++
将棋は苦手だし囲碁はルールも知りませんが。
何故将棋セットも無いのに私の家には三手詰めハンドブックだけ
有るんだろうと思ってたのですが、お父さんは将棋に学ぶものは多いと
言っていました。そうかもなあ、と最近思いますが滅多に解けません。
そもそもまだ駒の動き方も覚えてないのに
いきなり問題集に取り掛かることが間違いなんだと
この間ようやく気付きました。馬鹿め馬鹿め!
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